ー まずは、凶弾に斃れた安倍元首相に謹んで、哀悼の意を表します。-
■海外情報に精通するラッパーのダースレイダーと新聞14紙を読む芸人・プチ鹿人が、YouTube番組のスピンオフとして選挙取材を企画。
2021年の衆院選と2022年参院選の候補者に突撃取材をするなか、2022年7月8日、安倍元首相が銃撃されたという一報が入る。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・2021年の衆院選では、二人は香川一区に行き小川淳也氏と地元に強力な地盤を持つ平井氏との選挙活動に密着する。
ー この辺りは、今作のプロデューサーを務めた大島新監督の名作ドキュメンタリー「なぜ君は総理大臣になれないのか」と「香川一区」をご覧いただくと良いかと思う。
そして、プチ鹿人は平井氏の弟が社長を務める四国新聞の報道姿勢に疑義を抱き、至極真っ当な問いかけをするが、四国新聞はまともに回答をしないのである。ジャーナリズムの健全性の危うさを浮き彫りにしている。-
・2022年参院選では、主に辻本清美氏を軸に二人は取材をする。2021年の衆院選でマサカの落選をした彼女は、街の人達に積極的に声掛けし二人の質問に対しても的確に回答する。
■だが、選挙中にあの忌まわしい民主主義の根幹を揺らがせた安倍元首相銃撃事件が起きる。二人も取材方法を変えるし、多くの立候補者が街頭演説を止める中、辻本清美氏は敢えて街頭演説に立つ。
そして、安倍元首相の安否を気遣いつつ、涙ながらに安倍氏と”又、国会で討論したいね。”と交わした会話を俯きながら喋るのである。
御存じの通り、安倍氏と辻本氏は且つての国会で激しいやり取りをした事”首相‼首相!”と辻本氏が追求した事で有名である。
<今作は、前半は面白可笑しく選挙戦に密着しているが、安倍氏への狙撃事件後トーンは一変する。
そして、思ったのは、ラッパーのダースレイダーと新聞14紙を読む芸人・プチ鹿人氏の政治、民主主義、ジャーナリズムに対する真摯な姿と観る側への問いかけである。
今作はフライヤーは持ってはいたが、選挙を揶揄する映画だと思い鑑賞しなかったが大いなる過ちであった。
日本には、政治、民主主義、ジャーナリズムの健全性を求める人が多数いる事が判り、安堵した映画でもある。>