ファイブ・デビルズのレビュー・感想・評価
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不穏で意味深な展開が観るものを惹きつける
不穏な空気を宿しながら観る者をいざなう作品だ。それは序盤、なんら問題を抱えている様子のない母娘のプールでのやりとりから始まるものの、そこに続く日常描写の中で、そこはかとなく少女の特異な能力について明かされるのが面白いところ。それは何らSF的な派手さはないし、何かが光り輝いたり仰々しく蓋が開くような仕掛けもない。ただ「細かな香りを嗅ぎ分けることができる」という極めて地味な能力を起点として、そこからさらに、香りで気を失うことで過去へとトリップするという序破急の「破」の展開が生まれる。監督2作目となる脚本家出身のレア・ミシウスは、こういった描写を非常にナチュラルに盛り込みながら、いったいこの先に何が待ち構えるのか、観客を引きつけるのが実にうまい。母の過去の傷跡と、幼い娘の心に寄り添いながら、一筋縄ではいかない愛の形を多面的に組み合わせようとする趣向にも魅せられた。これからも注目したい才能である。
ジャンルごちゃ混ぜに収拾はついていない
色々と突っ込み所があるにしてもサイコなホラーでファンタジー物かと思いきや『秘密の森の、その向こう』みたいな、いや、セリーヌ・シアマより巧い、劇中の選曲が全然知らないけれどメジャーな曲なのか?潔く使う感じが良くて所々に監督のセンスが溢れた映像のLookがまた良くて、それぞれの純愛の物語として全部は描かなくても雰囲気で、途中から『バック・トゥ・ザ・フューチャー』になりそうな展開が微笑ましくも!? 記憶に新しいジャック・オーディアールの『パリ 13区』など脚本家としての確かな腕があるレア・ミシウス、もっと監督作品が観たいと思わせるこれからが楽しみな女性監督としても。
娘としてはたまりません。
父母と叔母の三角関係を、娘視点で描く愛憎劇。 愛憎劇・・・しかも、かなりドロドロとしたものを描いた作品です。 そんな物語にタイムリープを絡め、娘視点にすることでサスペンス色も加えて、マイルドに見せる・・・そんな作品です。 それにしても、大人達の行動が全てあり得なくて驚きます。 特に父親。なんか悲劇的な役回りを演じているようにみえて、一番あり得ない行動をとっているのはこの人のような・・・ サスペンス色はありますが、娘と鑑賞者以外は何が起きたか知っている・・・このような設定は個人的にあまり好きではなく、評価を上げることは出来ませんでした。 私的評価は少し厳しめです。
どこでもアデルらしい
アデルがでてたので見た。 母親の遍歴をユニークな方法で可視化する娘視点の奇譚。SFにはモノにさわると来歴が見えるサイコメトラーという能力があるが、ヴィッキーは対象の人物に関連した匂いをかぐと過去へリープする。無類の独創性だった。 主人公ジョアンヌ(アデル)は結婚してヴィッキーを生んでいるが旦那の妹ジュリアと同性愛関係にあった。ジュリアは幻視に悩まされていて、周囲からは(頭が)おかしいと思われている。幻視対象はヴィッキーであり、構造はよく解らないが合意しうる説得力があった。分類としてはファンタジーだが肌感はリアルな愛憎劇になっている。 核となる事件のあとの平穏な時勢から話がはじまり、ヴィッキーが匂いをかぐたびに、顛末が見えてくることで倒叙していく。 Léa Mysiusという女性監督で語り口も色使いも音使いもばつぐんにセンスがよかった。 ウィキペディアに『2022年に開催された第75回カンヌ国際映画祭の監督週間部門で上映され、クィア・パルムに選出された。』とあった。 クィア・パルムとはLGBTやクィア(性的アウトサイダー全般)をテーマにした映画に与えられる賞だそうだ。 個人的に映画に使われるクィア値には懐疑心をもっている。クィア値に加点するとなれば、男女の物語では0だったものが男男(あるいは女女)の物語ではプラス勘定になってしまう。欺瞞ではなかろうか。クィア・パルムなんて賞設定自体が欺瞞だと思う。 そういう付加価値判断があるから、彼らが本気で編むときは、みたいなエセLGBT映画がつくられちまうんだ。LGBTがなんだってんだ、あんたが女をすきだろうと男をすきだろうと、じぶんのことを女だと思っていようが男だと思っていようが、知るもんか。──って思いませんか。 ちなみにこの映画には釣りのクィア値はない。それはアデルが演じているからだし、自身がそうだったりクィアが日常に遍在している人たちがつくっているからだと思う。 アデルは演技の気配がなかった。ケシシュの映画でなくてもそうなんだと思う。少しぼーっとしているときの半開きの口から齧歯類のように前歯がちょっとだけのぞいている自然で動物っぽい表情! なおタイトルの意味はわからなかったw。
SF百合ホラー
色々な過去映画の要素やジャンルを垣間見せながら、どこへ向かっているのかは判然としなかったストーリーが徐々に顕になっていき、閉鎖された社会の中で型に嵌められた女性の愛情と解放というテーマが浮かび上がりクライマックスへ向かう、というだけなら上手いな〜というぐらいだったんだけど、ツインピークスを想起させるような閉ざされた村のどんよりした美しさや、SFホラージャンルとしての醍醐味もちゃんとあって面白かった。香りでタイムリープするとか『時をかける少女』かよってところもいいし、百合映画なのも個人的にポイント高かった。終わってみると結局何か解決したっけ?という気にもなったし、ホラー的な幕切れは蛇足とも思えたが、かといって他の着地点も思い浮かばないので、多分これで良かったのだろうな。
少女の眼力
母親ジョアンヌが主役のようだが、娘のヴィッキーが主役にる思える。ギョロッとして、見つめるヴィッキーの目がとても印象強い。 山や湖などの自然も美しく、火事の場面の紅炎や、ヴィッキーがいつも着ていた鮮やかな青い上着が、黒い肌ととてもよく合っていて、全体的に色が印象的。 タイムループものだけど、ヴィッキーの特殊な臭覚の能力により、匂いを嗅ぐことでタイムスリップしてしまうところが面白い。 閉鎖的な田舎町であり、ヴィッキーが黒人ゆえのイジメに遭っていたり、同性愛者への偏見など、社会的な問題も絡ませて、タイムループ物でも、わかりやすい展開。臭いによって意識を失い、タイムループするヴィッキー、そこで母親父親おばの過去を知る。私たち観る側も同じタイミングでおばが何故街の人もうとまれているのかがわかってくる。ことあたりも面白い。 事件が起こる前に、パパは別の彼女、現在のジョアンヌの同僚、がいたのに、その彼女と別れてジョアンヌと結婚するに至った経緯がわかるともっと良かったのに。 最後のシーン、ジョアンヌとジュリアがヨリが戻ったことで悲しむパパを(反対するジョアンヌを無視してジュリアを迎え入れたのは自分なのにね)ヴィッキーが優しく慰めるシーン、小さな娘が屈強なパパを抱きしめて慰めているのがとても良い場面。ただあの少女は誰? 未来にタイムスリップしたジュリアなのか?ヴィッキーの未来の娘なのか?謎!
アデル・エグザルコプロス
『アデル、ブルーは熱い色』のアデル・エグザルコプロスが出ててルックが良いし面白そう〜って軽い気持ちで観にいったらめちゃくちゃよかったとゆう贅沢体験な鑑賞でした。 閉鎖的な村でのスリラーかと思ってたらクィア映画で解釈は色々あると思うけど 村的な閉鎖空間における、“古き良き”家族や、絆とゆうものから受ける女性の痛みを描いててよかったです。 何より映画としてのルックがよい。 アデルの佇まいと繊細な表情の演技がたっぷりみられる。 普段女性として生きる上で、ただ見られるとゆうことに対する恐怖の瞬間みたいな感覚がホラー的な表現で描かれていたり わざとストーリーが欠けているんだろうなとゆう部分があったりミステリアスなところも好き。 パンフレットの監督のインタビューが充実してて映画への理解が深まってより映像が魅力的なものに感じられて良かったです。
サイキック物かと思いきや
小さな街の人間関係の【ボタンの掛け違い】を娘ちゃんが導いて正してくれた…といった感じ。 掛け違いがあったから、娘ちゃんが産まれた訳で。紆余曲折あったけど納まるところに夫婦が納まった。あのラストシーンって?!意味ありげに雰囲気出してるけど…、タイムリープを押し出してたし…なーんか勝手に期待し過ぎてしまった。
ポスター タイトルからしてもっとスケールの高い怖い世界を期待したが!
匂いフェチの自分の世界にいる娘と旦那も子供もいるのに今も同性の相手と関係を続ける主婦の話 相手が同性の場合は不倫になるのかな?タイムスリープと言っても一瞬で何年前だか分からず回想シーンやカットしても良かったかも?
不気味な雰囲気が漂う
香りの能力を持つ症少女が母の記憶に飛び込んでいくタイムリープムービー。不気味な雰囲気が漂う作品で雰囲気はなかなか良いがストーリーは面白みが無く不満が残る。 2023-7
ダイヤモンドアイで全てお見通しよ
彼女が幽霊という認識だったのか、なぜ怖かったのか、幽霊を殺せると思ったのか そのあたりが腑に落ちない 動機やギミックは腑に落ちないものの、それなりに紐解き方がうまいので見ていられたが登場人物の動機と行動が不自然なときは実は・・・というのがあったのかもしれないが、わかりませんでした。
日記の代りに匂いを使って何度も過去を遡る『バタフライ・エフェクト』
フランスの山間にある小さな村サンク・ディアブルに住むヴィッキーは微かな匂いを嗅ぐだけでそれが何の匂いかを正確に言い当てることが出来る鋭い嗅覚を持っている8歳の少女。水泳インストラクターをしている母ジョアンヌはある日ヴィッキーの能力に気付いて驚愕するが、長らく連絡を絶っていた父ジミーの妹ジュリアが家に訪ねてきたことをきっかけにしてヴィッキーの能力は更に進化し、匂いを辿って自分が生まれる前まで時間を遡ることが出来るようになってしまう。ヴィッキーはジュリアに関わる匂いを集めることに異常な執着を持ち、その匂いから何度も時間を遡ることで、父と母、ジュリア、そしてサンク・ディアブルの過去に潜む秘密に触れることになる。 まず圧倒されるのはサンク・ディアブルに蔓延する窒息しそうなほどの閉塞感。ヴィッキーに対する同級生達の凄惨な虐めも過去から現在に至るまでジュリアに浴びせられる罵詈雑言もリアルで、協調性が乏しかったり他人とは異なる嗜好を持っているだけで孤立してしまう絶望は世界中どこにでも転がっていることに改めてうんざりさせられます。自分の嗅覚だけで村に隠された秘密を理解しようとするヴィッキーの試行錯誤を周りの大人が全く理解出来ないことにも心底イライラさせられますが、昔起こった悲劇にヴィッキーが辿り着いた時に過去と現在がもつれて繋がる観察者効果をもたらすクライマックスに唖然とさせられた後にようやく訪れる平穏に胸を撫で下ろしました。 劇中でジョアンヌとジュリアがカラオケで歌うボニー・タイラーの“愛のかげり“がさりげなく暗示している通りLGBTQ+に根差した力強い人生讃歌。終幕にすきま風のように忍び込んでくるDanitの“Cuatro Vientos”がエンドロールを眺めている自分の胸にじわじわと染み込んできました。
全力でつまらない結末へ向かっていく
2022年劇場鑑賞278本目。 代々伝わる力である種の匂いをかぐと失神して過去を見ることが出来るが、同じ力を持つ親族にもその姿が見えてしまうという設定なのかな?理屈は全く分かりません。 まぁそんなへんてこな設定に色々な事情が絡まって、過去と現在をつないでいくのですが、まぁ本編通して重要になる過去の事件の原因がなんだろう、というのが普通の映画の見所なんでしょうが、序盤で上記の設定がわかった時点で原因はすぐ分かってしまうので、主人公の少女が過去を変えようとする気配がない時点でただその通り話が進んでいくだけという退屈な映画でした。タイトルの意味もよくわからないし。原題も5体の悪魔たちだからなんか意味あるんでしょうが、登場人物が悪魔に例えられているなら5は多すぎるし・・・。
『ツイン・ピークス』と重なって…
山の麓の田舎町で不可思議な出来事って『ツイン・ピークス』とカブりますが、 主演の人、見覚えあるな…と思ってたら、 『アデル、ブルーは熱い色』で、レア・セドゥと同性愛カップルを熱演した女優さん! テンション上がった(笑) "匂い"によって過去にタイムリープする話で『時をかける少女』みたいな設定。 全体的に、最後は特に、考察したくなります🤔 『ツイン・ピークス』のファンである僕が観てて、これ意識してるでしょ?と思うシーンがあり、 後から調べたら、やっぱり監督が意識して、 『ツイン・ピークス』『シャイニング』『アス』をオマージュしてるそうです。 『ツイン・ピークス』の色が1番つよいけど(笑) 評価は3.5と4の間で、3.5じゃ低いし、少し甘めの4です。 もう1回観よ!
娘と夫と元同性愛の恋人
2021年。レア・ミシウス監督。フランスの田舎町に暮らすスイミング指導者の女性には消防士の夫と10歳の娘がいる。母を溺愛している娘は鋭い臭覚を持っている。問題を抱える父の妹が同居することになったとき、娘は香りを通して母の過去に入り込めるようになり、母の秘密を知っていく。 人造湖の寒々としたさざ波や遠くにそびえる山岳が美しい。タイムリープが事件の原因をつくってしまうというウロボロス的SF設定。時代だなーと思うのは、母親に対して、娘、夫、元同性愛の恋人、の4人がそれぞれに愛情をいただいているという点。さらに、そのなかで唯一無二なのは元同性愛の恋人だという点だ。娘や夫との愛情は偽物ではないが、真実の愛を覆い隠すものとしてある。そしてすごいのは、この苦い現実を夫は受け入れられないのに対して、10歳の女の子は驚異的に成長して受け入れ入れていくことだ。
うーむ、タイトルの意味がよくわからんなぁ、、、
なかなか面白いじゃないの、設定が。 鼻のきくトイレブラシ頭の女の子が、匂いコレクターで叔母さんのキツイ匂い1発決めて過去の出来事が見えちゃうようになり、母や父、父の妹と母の関係に気づいちゃう話し。フランスでも、ど田舎小さな村だとLGBTとかまだきついんだろうなぁ。 娘さんの透視能力で過去がわかる話なんだけど、それがまたある人には見えちゃうってのがミソで、タイムリープものになってます。この能力は父方女性に遺伝傾向があるっつー事ね。面白いネタ組み合わせを田舎町に閉じ込めたらジャンプした中々の怪作だと思う。 Fivedevilsは劇中の村の名前、何でそれがタイトルなをだろ、、、、? ツインピークスみたいな感じか? 。
救いが少ないような…。
タイムリープしたおかげでいろいろな人の人生を変えてしまった、と。タイムリープしたための負のイメージが強過ぎていまいち好きになれない。けど、お話としては面白かったかも。微妙な気持ち…。
よかった。
フランス映画なのにある意味わかりやすく、楽しめました。 めずらしいタイムリープもの。 白人黒人見慣れてないので、当初妹さんはDV受けてあざがあるのかな、とか歌を歌う場面が過去なのか現在なのかわからずで。 ただ、特に歌を歌う場面では皆さん演技が上手いのでそれにフォローされたかな。 夫の表情はかなり良かったです。
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