独裁者たちのとき

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独裁者たちのとき

解説

「エルミタージュ幻想」「太陽」などで知られるロシアの鬼才アレクサンドル・ソクーロフが、ダンテの「神曲」を彷彿させる冥界を舞台に、神の審判を受けるため天国の門を目指してさまよう独裁者たちの姿を描いた異色ドラマ。

深い霧に包まれた廃墟の中に、ヒトラー、スターリン、チャーチル、ムッソリーニという、第2次世界大戦時に世界を動かした者たちの姿があった。煉獄の晩餐が始まると、彼らは互いの悪行を嘲笑し己の陶酔に浸る。彼らは地獄のようなこの場所で、天国へと続く門が開くのを待っているのだった。

実在した人物たちのアーカイブ映像を素材として使用し、独特なデジタルテクノロジーで彼らの姿をスクリーンによみがえらせた。セリフも全て実際の発言や手記を引用している。

2022年製作/78分/ベルギー・ロシア合作
原題または英題:Skazka
配給:パンドラ
劇場公開日:2023年4月22日

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映画レビュー

5.0映画を更新する映画

2023年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

冒頭に「これはAIを使っていない」とわざわざ出る。このご時世なので、予防線は貼っておくべきなのだろう。この作品は、実在した独裁者たちが画面に登場するが、それは過去のアーカイブ映像から取られたものだ。彼らが本物であることが重要な作品と言える。彼ら自身は本物だが、舞台となるのは幻想の地獄のような場所である。モノクロ映像で輪郭のはっきりしない映像を作っているので、古い映像から切り取られた登場人物たちも違和感なく画面に存在している。背景のテクスチャーと登場人物たちを見事に合わせていることで、この映像の真偽があやふやになっていく。
本作の原題は「Fairytale」である。本物のフッテージ映像を用いて、幻想のおとぎ話を作るとは大胆な発想だ。さすがはソクーロフだ。これは実写映画というべきか、アニメーションというべきか。カテゴライズを拒むような挑戦的な作品であり、映像制作の倫理の面でも色々な問題を投げかけている。独裁者だからこそ成り立っているというべきか、これを例えば昔のハリウッドスターを使ってやったらどうなるのかとか、色々と考えてしまう。AIを本作は使用していないが、AI時代に盛んに議論されることになりそうな要素がふんだんにある作品だ。

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杉本穂高

4.0何を見せられているのかさっぱりわからない。

Mさん
2023年8月29日
Androidアプリから投稿

映像も音楽も相当に不気味である。特に民衆の映像。
なのに、何故、評価が4? まあ、話の種にということで。
ただし、このレビューを読んで、見に行ったら、後悔することは間違いない。

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M

4.0クソコラージュ幻想

2023年7月9日
iPhoneアプリから投稿

命一つでは到底贖えないような歴史的大罪を犯した独裁者たちを、銃も核も持たない俺たちが断罪する方法があるとすれば。それは映像史のアーカイブから彼らの肉体だけを拝借し、そこに好き勝手な魂を込めて物語世界を彷徨わせることなんじゃないかと思う。互いを痛烈な差別用語で罵り合い、うねる群衆の前で演説を披露する独裁者たちの姿は滑稽以外の何物でもない。俺たちとしてはそのまま永遠に煉獄を彷徨い続けてほしいところだが、昨今の世界情勢を鑑みるとどうやらそうもいかないようだ。戦争は続く。プーチンがこいつらに列される日はまだまだ遠い。

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因果

2.0退屈者たち。

2023年6月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

アーカイブ映像の本人再現、凝った手法は認める。しかしお話が全くつまらん。
第二次世界大戦の反省会的なダラダラした井戸端会議。
ただ退屈でした。

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あらじん