正欲のレビュー・感想・評価
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秀逸なカメラと破綻した物語。
カメラと照明は、立派ですね。この光の撮り方は精密で手堅いし、きちんと同時代の記録になりおおせているとも思います。ここは大きなプラス要素です。 しかし、物語が支離滅裂。演技もそれを支えていない。おそらく物語構造そのものがダメなのではなく、演出がヘタクソすぎるのです。部下から新聞記事を渡されて声に出して読んでみる検事、いるか? 会話の撮り方も、ほぼ全滅です。オープニングのベッドでの自慰シーンも、悪いけど水が満ちてきたから何?としか思わない。そもそもショット割りが下手すぎて自慰だかなんだか分からない。「インティマシー・コーディネーター」が入ってコレなら、もうどうしようもないのでは。 こんな作品を評価してしまうというのは、つまり「映画」というものを真面目な芸術形態ではなくて、中学生に見せる性教育ビデオのようなものとしか考えてないからです。ただの社会改良の道具にすぎないと。それはそれで好きにしたらいいんだけど、映画を批評するのはお門違いですね。 作り手は、「生きづらい」「違和感」「多様性」とかの言葉をちょっと気楽に考えすぎじゃないでしょうか。そうした言葉の意味をきちんと精密に真剣に考えていれば、こんな薄っぺらい作品にはならないと思うんだけど。この映画では、ただなんとなく辛そうな登場人物が出てきて、彼らが脈絡なくリンクして、もわんふわんと終わってしまう。演出側が、それなりに優れているカメラと照明・美術を、まったく活かしきれていない。 このあたりはニューヨークやパリでの大方の評価ですね。見た人はみんな呆れてるし、作品としてはほぼ完全に無視されました。
ちんぷんかんぷん
ぼちぼち評価が高い中、私は⭐︎0で提出します 頭が少々悪めの人には何にも響かなかった 水そのものに性的興奮する事にびっくりしただけの感想 小説凄い売れてたよね 本屋さんで働いてた時いっぱい売れた えっちな小説かと思ったけどまたちょっと違ったね
理解されなくていいが、理解されないという苦しみは存在する
これは自分自身がセクシャルマイノリティの人間だから共感できた作品なのかもしれません。 そうでなくとも人間は誰しも何かしらの性癖や欲を抱えて生きているものだと思っていますし、人から理解されにくいことに対しての苦しみが痛いほど伝わります。 自分はアセクシャルの人間なので、性的欲求がありません。かといって恋愛ができない人間なのかと問われれば、アセクシャルは性的欲求がないだけで恋愛自体に興味がないわけではないので、お付き合いをした経験はあります。 残念ながら未だ「結婚(もしくは恋愛)していない人間は不幸せ」という風潮が根強く、「恋人いないの?」「結婚しないの?」という質問に疑問を感じたり、苛立つことがあります。 人間は必ずしも誰かと恋をし、結婚し、子供を産み育てなければいけないのか。 恋人が自分にいなかったり結婚していないことに対して悪態をついたところを「妬ましい」と思っていると勝手に解釈され苛立つ主人公の気持ちに共感しましたし、車のシーンもそうですが、実際にあんな風にもうどうにでもなれと突発的な行動を起こしたくなる気持ちも理解できました。 これはあくまで個人的な意見ですが、特殊性癖を抱えていることや他人から見て変わった欲があること、セクシャルマイノリティに属していること自体が悪いとは思いません。 性癖が犯罪に繋がってしまうことは断じて許されることではありませんが、人様に迷惑をかけずただその性癖を抱えているということは悪くないと思います。 それは人知れず抱えたそれに本人が一番苦しめられているかもしれないから。 何が「普通」なのか。人は「普通は」とよく口にしますが、その多くの人が口にする「普通」ってなんなんでしょう。 それが繊細に描写されている作品でした。
間違った多様性に対する皮肉もあるのかな・・・
偏った性癖を持てば生き辛く感じるのは解る でもそこに囚われて【周りは普通】【ズレてるのは自分たちだけ】と 普通を美化して【人と違うものに愛着を強く持つ】事を、自ら【良くないもの】と 断定しているのには共感できない。 大なり小なりフェチズムはあるものだし 愛着が強いから・・周りと違うから・・とか 他人に認めてもらえないから・・・とか どうでもいい気がする。 理解してほしい気持ちが強いのに、説明はしない それでいて理解してない人には真っ向から敵対し否定する 上手くいくわけない 登場人物のほとんどが自分の欲を押し付け合っているような 着地点の無い底なし沼のような話
普通
前半ちょっと長い感じが、、、。 普通ってどうなんだろう。 普通に男女で結婚して普通に子供産んでその子供普通に育てられなくて離婚。 と 普通じゃなくても人としての信頼関係がしっかり築けた2人。 どうでもいいけど、別に普通じゃなくてもなんとかなるなくらいで生きたら楽かも。 でもそれって映画観る前からわかってるかも。 そうゆう感じで普通な映画だったな。
人格形成が完了した大人が一歩前進するには
2023年劇場鑑賞69点 優秀作 72点 結論、若い頃の人格形成がなされる前に多種多少な人物のと関わりがあれば、その先未来の自分の理屈が積み上がってからも、明後日の方向から飛んできた理屈も理解しようと出来るのかもね だからこそ、自身の特性に気づいたら恥じる事なく早くにそれを表にするべきだし、それを表にしても恥じない社会を作らないといけないし、親がまずは子がオープンに出来るような寛容さを日頃から印象づけ、理解しようと歩み寄らないといけないね 稲垣が悪い人とかじゃないし、所謂世間一般の感覚の持ち主の敬称だけど(随所に普通じゃないなというところもあるけど)、彼の人格が形成されてからのこの出会いだから、もう難しい こんな社会、特に日本の国民性だもんね何年語になるかな〜
多様性と社会
多様性がテーマの話。原作を読んでないが、十分メッセージ性も伝わり、面白かったと思う。時間の制約で後半は駆け足になっているが、スピーディーな展開であり良かったと思う。 特異性嗜好で悩んでいる人が現実世界でもいることを思うと、多様性と社会の在り方について考えさせられる。少数の性嗜好も社会としては存在を認め、受け入れることが大切だと思う。安易にありえないやおかしいといった評価は人をひどく傷つけることがある。 一方でやはり社会システムとしては誰かが被害を被るような性嗜好の行為は抑止しなければならないし、多数派のボリュームゾーンの人向けの社会システムにする必要があると思う。つまり多様性と社会のバランスが大切であり、昨今の少数派(社会的弱者にイメージが持たれている)を優遇して多数派を締め付けることになっている流れは良くないと思うと考えた。 このように現代社会へのメッセージも含まれる個人的に好きなタイプの映画。
多様性が謳われる現代では様々な考え方が理解されやすくなってきたと思...
多様性が謳われる現代では様々な考え方が理解されやすくなってきたと思う。それでも周囲に理解されない人がいるのも確か。常識とか価値観が人によって違うということを改めて感じる作品だった。
純水
被害度合いを高めて世間との壁を必要以上に高く築き、自分たちは美化してピュアに描き、傷を舐め合うようでもある。ぼっちはフェチではないし、フェチだから犯罪者でもない訳で、こういうテーマの作品であればより配慮すべきところが欠けているように思える。 夜中に人の家のガラスを割るのは犯罪であるし、子供の動画配信を家にあがり込んでまで支援するボランティアと家にあげる妻というのもどうかと思える。出てくる食事の粗末さは意味を含めているのだろうか?
ラストで勝ち誇る夏月の笑みの凄み
原作が好きすぎて、映画館では観なかったんですが、Netflixのラインナップに入ったので鑑賞しました。 映画化にあたり省かれてしまったものが結構あり(長いし複雑ですからね)、まずは残念な気持ちもあったことをお伝えします。 でもでも! ラストで寺井が「調停中」とぼそっと言った後に、夏月が佳道への伝言として「普通のことです」「いなくならないから」と言うときの新垣結衣さんの微かな、でも確実な笑み、そしてそれに呼応して、愛の次元において己の敗北を悟っていく稲垣吾郎さんの消沈していく感じがとてもよかった。 このシーンは小説を読んでるときにもっと劇的なイメージを持っていたのですが、この演出とおふたりの演技には圧倒されました!! あと最後に。 冒頭と中盤で、夏月と大也が自慰するシーンありますけど、そこで性器(の周辺?)を触ってると想像できる演出しちゃうのはいただけないです。 だって、それだと佳道と夏月の、真似事セックスの泣けるほどの切実さ・滑稽さが台無しに感じられちゃうからです!
難しい
一番初めに思った事は 単純にガッキーってこんな表示して出来るんだ! と言う驚き。 そこから一気に引き込まれたのだけど、 話が進むにつれて自分は分からなくなった。 自分はどこまで行っても、社会によって作られた普通の中で生きて来て、普通にバカ話で性欲、性癖もぶちまけるような雑な青春を送って来たので、 ここで描かれたキャラクター達の性癖が、そこまで 生きづらくさせてる物が何なのかが分からなかった。 その分からなさが彼女らを生きづらくさせてる事は 分かったのだけど、 問題が難し過ぎて心がズンっと重たくなってしまった。
共感と理解は違う。
異質なものを理解しようとすることはできるはずだ。 しかし共感をすることはそうそうできるものではない。 だからこそ、理解できないもの・異質なものに出会った時にはとにかく理解しようと努力することが我々には必要なのだと思う。 そう気づかせてくれる作品。 新垣結衣の死んだ目がすごく良い(褒めてます)
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