「【”適者生存。”禿鷹が舞う壮絶なる地上600Mでのワンシチュエーションサバイバルムービー。究極の友情と父と娘の絆を描く作品。序盤の何気ないシーンの伏線回収を含め、作品の構成が巧みなる作品でもある。】」FALL フォール NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”適者生存。”禿鷹が舞う壮絶なる地上600Mでのワンシチュエーションサバイバルムービー。究極の友情と父と娘の絆を描く作品。序盤の何気ないシーンの伏線回収を含め、作品の構成が巧みなる作品でもある。】
ー 冒頭、フリークライミング中に夫ダンを失ったベッキー(グレイス・フルトン)は、死んだように暮らす日々。
だが、夫の転落の際に一緒にクライミングをしていたフォロワーが6万人いるというハンター(バージニア・ガードナー)が一年振りに旅から戻り、彼女に新たなチャレンジを持ちかけられる。
それは、今は使用されていない高さ600MのB67電波塔に登る事であった。
ベッキーは新規一転するためにその誘いに乗るが・・。-
◆感想
・舞台はほぼ、総て高さ600MのB67電波塔である。赤錆びた鉄塔。そこを、ハンターとベッキーは登って行く。時折、朽ち果てた梯子が折れる中、ハンターは楽しそうに登って行く。
ー 最初は、ハンターの企みかと思ったが・・。-
・電波塔に向かう前、二人が車を発進させようとすると、間一髪トレーラーが目の前を通り過ぎるシーンや、途中の店でスマホに充電を頼むと“有料だよ”とベッキーが冷たく言われた時に、ハンターが見せた充電の裏技。
そして、二人が電波塔まで歩く途中で観た禿鷹に突かれる死にかけた野生動物の姿。
ー これらのシーンが、総て中後半に効果的に効いてくる。巧い構成である。-
・頂上間近で、突然崩れ落ちる外付けの梯子。そして、二人は鉄塔の天辺の僅かな空間に取り残されるシーン。余りの高度故に、スマホの電波が届かない・・。
ー 絶望的なシーンだが、ハンターは明るさを失わず、前向きに困難に対応して行く。それまでは、ダンの事が密かに好きだったハンターを少し疑っていたのだが、違った。
彼女は、親友であるダンと一線を越えてしまった事に対する後悔の念があり、ベッキーに立ち直って欲しいという想いで、彼女を電波塔登りに誘ったのだ、と私は解釈した。-
■ハンターが、落下した小型リュック(中には、生命線である、水、ドローンが入っている。)を取りに、電波を発信していた箇所までザイルを頼りに、取りに行くシーン。
緊張感が漲るシーンであるが、観る側が見事に作り手にヤラレタシーンでもある。
最初は、ベッキーが必死に確保する中、ザイルをよじ登りハンターが”生還”する姿が描かれる。そして、二人は再び力を合わせて、必死に生を求める。
それは、ハンターのドローンへベッキーが必死に塔の先端まで登っての充電シーンであったり、ドローンを飛ばすシーンであったり・・。
だが、それはハンターの【親友を困難な状況下で、生かそうとする魂魄】がさせたことが明らかになるシーンは心に沁みた。彼女の屍を見て、涙腺が緩んだ・・。
その数々のシーンには上記したスマホへの充電の裏技や、ドローンが到着直前にトラックにぶつかり大破するシーンや、禿鷹のシーンが見事に描かれているのである。
そして、ベッキーは生き残るために、禿鷹に腹部を食われたハンターの腹部に自らの助けを求めるメッセージを入れたスマホを入れ、地上に落とすシーン・・。
<今作は、秀逸なるワンシチュエーションサバイバルムービーである。
が、極限状態でも、最後まで生きる事を諦めない人間の姿、究極の友情、そして父と娘の絆をも描いた映画でもあるのである。
映画とは多額な製作金額を掛けなくても優れたる発想により見事なる作品になるということを示した作品である。
今作は、秀作であろうと私は思った作品である。>
コメントありがとうございます。返信不要と言われましたが、私も本作は秀作だと思います。ちょっと評価を厳しめにつけたかも知れません。
どうしても「ディセント」によく似ていた部分が気になりました。それでもやはり良い作品でした。「ディセント」もお勧めです。
NOBU様こんばんは。母校でしたか。良い学生さんで感動しました。
嵐山電鉄の件ですが笑わせて頂きました。公共道徳は大事です。私も怒れば良かったんですが木が小さいんで・・・
あと中国語が分かるって凄い。またひとつ尊敬する部分が増えました。