ミセス・ハリス、パリへ行くのレビュー・感想・評価
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87番のワインレッドのドレス
一言「うふふ、いいねえ」。
「1人のおばあちゃんが、洋服を買いにパリへ行くだけの話」(@W座)。
なんですが、夢のディオールのドレス、500ドル。どうする?。
主人公の諦めない気持ちと、持つ前の明るさ、強運。
いろんな要素が噛み合っていく様が、ちょっとドキドキ。
予想と反した展開になっていくのが、あれれだったり。
見てて忙しく、かつ目が離せない。
いろんな経験をしてきて、分別がつくようになった同世代女子。
きっと主人公のそばにいるような、もしかしたら自分?。
そんな夢を見ることでしょう。
個人的には、主人公の役者さんがタレントの千秋さんに、似てて。
余計親近感が湧きました。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「助けてあげる、でもまず(自分で)立たないと」。
美しいものを手中にしていく 登場人物たちの愉快な連鎖
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「旅上」 萩原朔太郎
ふらんすへ行きたしと思へども
ふらんすはあまりに遠し
せめては新しき背廣をきて
きままなる旅にいでてみん。
汽車が山道をゆくとき
みづいろの窓によりかかりて
われひとりうれしきことをおもはむ
五月の朝のしののめ
うら若草のもえいづる心まかせに。
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1957年のおはなし
『ディオールのラメのドレス』を目撃して、Mrs.ハリスは自分に魔法をかけます。
エイダ・ハリスは貧しい家政婦。
夫の戦死が、彼女にとって認めざるを得ない事実と判りました。独り身に戻ったエイダは新しい人生に踏み出さなくてはなりません。
そんな失意と傷心の中で、偶然見かけたのが、500ポンドのディオールのドレスだったのでした。
【この映画には特徴が2つある】
①ディオールの映画といえば、他にも何本もありますが、この映画では顧客限定での内覧会=「オートクチュール見本会」がハイライト。
エイダ・ハリスならずともモデルの登場には思わず声が出てしまいます。そのエレガンスが目を奪います。
ドレスそのものをしっかり観たい人にはとても良い映画だと思います。
そして更に面白いのは
②これは「労働者階級」を描くことに長けている「イギリスの映画」である ということ。
「おやっ?」と、その点に 気付いたのは、「家政婦がやってきた」と聞いたときに(ナターシャだけでなく=ここ重要)、モデルたち全員が控室から飛び出して来て、戸口の暖簾からエイダを親しく観察したシーンでした。
主たる舞台はパリであっても、登場人物すべてに「労働者」としてのキャラクターを持たせている。これは意識して脚色されていると思います⇒後述。
あと、新しく作られた映画としては「有色人種の登用」について、コンプライアンス重視がはっきり感じ取れました。
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先日 僕はディオールのフレグランスをふたつ買いました、
ひとつは自分用にお気に入りのDior Homme 2005年版Original、
もうひとつは友人=チェック映画館の支配人さんへのプレゼント。お世話になっていますからね。
出たばかりの新作香水 DIORIVIERA。
思い返せば、僕がディオールに惹かれるようになったのも、この映画の主人公同様 人生にへこたれていた時期だったかもしれません
だから ”やらまいか精神“ のMrs.ハリス=エイダさんには親近感をグッと覚えて応援をしたくなるのかもなぁ。
そして僕のDior推しは「5時から7時の恋人カンケイ」で、あの 棘のリングを見つけてからでしたね。
で、それ以来手に入れたのは、身の回りにはジャケツがひとつ、
きかん気な我が娘にはビジューのネックレスと、ローズ色のハット、そして小さな腕時計を。もちろんUSEDですがね。
そして今回はパルファムを求めたのです。
ディオールには独特の“粋人の世界”があります、
媚びない、自立した人間のためのファッションだから。
ちょっと不良で意地っ張りの、冒険者のアイテムだから。
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【下請けの労働者が主人公】
主演は レスリー・マンビルでした。
「ファントム・スレッド」で居丈高なマネージャーを演じた、加賀まりこ似のレスリー・マンビルが、本作では下町の家政婦のおばちゃんに大変身。柔らかな面持ちと 背中を丸めてちょこまか動くコメディエンヌぶりで、こちらの目尻はもう下がりっぱなしでした。
劇中、ハリス旋風に巻かれて乗り気になった人たちは=ハイブランドメゾンの社員であろうとも、警官やバスの車掌さん、そしてドッグレースのダフ屋たちであっても、
そして最後にはあのイザベル・ユペールでさえも、実は誰にも知られずもう一つの役割のために働いていた《社会の透明人間》だったこと。全員が下働きの労働者で、みんな同じ立場であったことが示されます。
物語の中で、彼らそれぞれが貴い労働者であり、愛すべき庶民であることが繰り返し繰り返し提示されました。
「大変な仕事ね・・」とエイダは事あるごとに口にしていました。メゾンでも、キャバレーでも。
それ、お気づきでしたか?
《ディオールのお針子・経理の男性・モデルの女の子たち》も皆んなおんなじ労働者として描かれています。
ゆえに全員が家政婦の冒険に興味津津。
即席応援団を結成して、ロンドンから来た“仲間”に駆け寄り、手を貸し、知恵を貸し、家政婦ハリスの夢をみんなでなんとか叶えようとするのです。
これ、昔のディズニー映画・・そうだな、《善意》というものにみんなが信頼を寄せていた頃のメリー・ポピンズの味わいなのです。
そしてなんでだろう、
こんなあり得ないおはなしなのに
親切な人たちから惜しみなく無尽蔵に繰り出される怒涛の優しさに 涙が溢れます。
映画の流れは、それはまったくもって非現実的な“おとぎ話”なのだけれど、でも、「詐欺」と「邪悪」と「脅迫」が満ちるこの悲しい世の中にあって、こういう映画でまるで子どものように笑ったり信じたり、そして夢の世界に踊ったり固唾を呑んだり・・
そういうかつての「子供心」を取り返すことって、大人になった僕たちも軽視しちゃあいけませんよね。
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後日談:
DVDを観たあとちょっと買い物に。
財布と靴を探しに行きました。(Diorではなくてイトーヨーカ堂ですよ)、
フロアで働いている人たちに売り場を尋ね、何気ない会話や声掛け、そして買い物が済んでから、こちらからの改めてのお礼を言いたくて先ほどの売り子さんを探し、双方に思いがけないほどの笑顔の花が咲きました。
楽しい一日を過ごさなきゃいけません。
この映画には、
確かに
《魔法の力》がありました。
そう、ドレスよりも美しいものが。
女性の夢を叶える!! 家政婦が貴婦人に姿を変えていく作品♥
服(福)来る
服が福を呼び?念願だったクリスチャン・ディオールのオートクチュールを買い求めに、ロンドンからパリにやって来たMrs.ハリス(レスリー・マンヴィル)。メゾンを仕切る支配人イザベル・ユペール 扮するコルベールに開口一番こう尋ねられるのです。「ディオールのオートクチュールを着てどこにいらっしゃるおつもりなの?」お金持ちは社交界のパーティに着て見せびらかすためにディオールを買い求めるけど、家政婦であるあなたには高価なドレスを着た姿を見てくれる人なんていないでしょ無駄じゃない、ってことを多分いいたかったのです。
「ディオールは私の夢なのよ」とMrs.ハリスは答えます。劇中でも言及されているサルトルの唱えた実存主義において、意識を持たないドレスは即自存在だと言えますが、それがクリスチャン・ディオールがデザインした世界に一着しかないオートクチュールとなると、人間と同じ“対自存在”へと限りなく近くなるのではないでしょうか。メゾンの看板モデルであるナターシャが、服を買ってもらうためにお客の前で人形のように振る舞う自分を本当の自分ではないと言って、胸のうちの苦悩を打ち明けます。モデル業が即自存在ならば、哲学科の学生が対自存在というわけなのです。
あるアパレルに勤める方がこんなことを言っていました。「マインドが服を高めることがあっても、服がマインドを高めることはない」意識が高い方はたとえユニクロを着ても高級品のように見える、ということなのでしょう。逆に、自分が金持ちであることを見せびらかしたいだけの人は、どんな高級ブランドを着ても服に着られているようにしか見えないのです。そのマインドの高低を本作は、フェミニズムや階級格差、しいてはストライキによるゴミ放置問題へと(強引に)結びつけているのです。
シナリオの随所にご都合主義が散見されるため、その演繹表現は必ずしも成功しているとは言い難く、フランス人労働階級のマインドが高いことの証明には必ずしもなっていないような気がします。シャサーヌ公爵(ランベール・ウィルソン)の自分に対する好意が学生時代のコンプレックスの裏返しであり、Mrs.ハリスを対等な女性としてではなく“お針子さん”としか見てなかった事実に(ドレスを失った以上の)大きなショックを受けるのです。ディオールを着れば公爵に相応しいレディに近づけるのでは。自分のマインドの低さに思わず打ちのめされるのです。
しかし、焼け焦げにされた服(階級に対するコンプレックス)を捨てることによって(これが何度目になるのでしょうか)Mrs.ハリスに福(服)がおとずれるのです。旧軍人が集まったパーティに、ディオールのオートクチュールを身に纏ったMrs.ハリスが現れます。しかし、会場にいた軍人さんたちは別にその服に見とれたわけではありません。あくまでもMrs.ハリスの内面から溢れだす美しさにやられてしまうのです。その人の持つマインドを正直に写し出す鏡、それがブランド服の持つ真の魔力なのかもしれません。
めげないおばあちゃん「ここにあり」
ドレス着た~い
オートクチュール
ユーモアと突破力で夢を実現する!
とても庶民的な家政婦さんが、夢を叶えるために
なんとフランスのパリ。
クリスチャン・ディーオール本店で、一着500ポンドの
オートクチュール・ドレスを仕立てる。
夢は望んで努力すれば叶うのです。
(因みに当時の500ポンドは現在の200万円位です)
シンデレラ・ストーリーですが、とてもミセス・ハリスさんが、
稀にみるウィットに溢れる会話で周りを巻き込み和ませて、
いつも笑いの輪の中心にいる。
そして彼女の行くところ、難問は突破力で解決に導かれるのです。
小柄で平凡で働き者の60代。
美しさもそこそこで地味。
だけれど彼女が来ると家はピカピカに光り居心地良く快適。
主婦の家事力ってすごい縁の下の力持ち。
1957年。
戦争に行って帰らない夫エディを12年も待っているハリス夫人は、
遂に夫の戦死を知らされる。
「これで自由になったわ」
とハリス夫人はめちゃ前向きな人です。
なんとか幸運もあって工面した500ポンドでクリスチャン・ディーオール本店に
乗り込みます。
その後のことは見て頂くとして、なんとディーオール氏に改革を
進言してしまいます。
そしてオートクチュールの発表会のドレスの美しいこと。
目の保養です、最高!!
そして心優しいモデルのナターシャ、
会計士のアンドレ(メガネの似合う超イケ面)
2人の仲も取り持つお節介な仲人おばさん役も。
ともかくスピーディなストーリー展開。
美しいドレス。
身分の違いや貧富の差も、ハリス夫人の突破力で道は開かれるのです。
小気味いいです。
「日の名残り」のような伝統を守る執事のような人もイギリスにはいる。
この映画は庶民レベルで有能でユーモア溢れるステキな女性ミセス・ハリス。
とても楽しく品のあるイギリス映画。
有能な家政婦さんの役割と、
美しいオートクチュールを堪能しました。
主演のレスリー・マンヴィルさんに盛大にブラボー!!
突然趣味に目覚めて暴走するタイプ
いや美しい話だとは思うのですが
素敵な物語
情けは人のためならず巡りめぐって己のため
ミセス・ハリスの情で人の心が動いていく。
自分の手で生きているプライドが芯にあるので透明な存在に抑えつけられることには屈しない下を向かない魅力的なミセス・ハリスをレスリー・マンヴィル。
レスリーが当時のイギリス🇬🇧女性の労働者のプライドを体現に対してクリスチャン・ディオールのマネージャーを圧倒的な存在感でイザベル・ユペール。
パリのファション会、こんなフランス🇫🇷女性が支えてきたのだろうな感で納得の配役
華やかなDiorのドレス、オートクチュールは見えない存在に支えられている。自分の手で人生をつくる全ての人の心情にプライドを思い出させるミセス・ハリスのドレス愛。
ファションショーもお見事、一着一着に人々の愛情込めて作られている。だからミセス・ハリスは魅了され自分に求め諦めなかったのだろう。
自分の人生だから
情のある人が己をつくる。
最後に送られたDiorの箱に丁寧に大事にみんなの心が包まれていた。
ドレスの色の対比も象徴的でした。
ブラボーと呟きたい。
●とにかく主役のミセス・ハリスの魅力に尽きる。真面目に積み重ねてき...
●とにかく主役のミセス・ハリスの魅力に尽きる。真面目に積み重ねてきた家政婦人生をしっかりとベースにした、物怖じも遠慮もない、気丈で快活なお婆ちゃんの振る舞いを楽しむ作品。時にはドレスに惚れ込んだり大失敗して落ち込む可愛らしさも。
●プログラムによると、登場する数々のドレスはかつてディオールが実際に仕立てた傑作の「オールスター」なのだという。当時のアトリエの再現も見所であるそうで、まるで芸術を鑑賞できたかのような気にもさせる。意外な高精細画面での鑑賞の利点。
●意地悪される等の場面もあるにはあるが、爽快さが全体の90%ほどを占める、ほぼハッピーに満ちあふれる展開。その展開も失望と希望を織り交ぜながらダレることなくテンポよく進む。誰もが鑑賞後にスッキリとした笑顔になれると思う。
●終幕後の廊下で、日比谷のマダムたちが「素敵だったわね」と子供のようにはしゃぎながら連呼していた。この作品の評価を端的に表していると感じた。
▲ごく一般の婦人が、誰にでも初対面の初日から寵愛され、わずかの期間で異国のクリスチャン・ディオールにまで深く関わるというのは、さすがに都合が良すぎるのではと感じた。ヒロインが謎の厚遇を受けまくるNHKの朝ドラの感覚に近い。
※制作費…1300万ドル
夢追い人、いつまでも諦めなかったね!
人間関係、階級、表に出てくる人と影で支える人、色などの対比が見事 ...
人間関係、階級、表に出てくる人と影で支える人、色などの対比が見事
ディオールへのリスペクト
透明人間というキーワード。
労働者としての表には出ず裏で支えているという根底的な部分は同じで作っている人に優劣はないんだな、と。
ディオールの体質、ドレスに対する価値観が変わっていく瞬間
ナターシャとアンドレのデートがローマの休日みたいでとてもいい
ユペールさまが支配人の時は黒スーツバチバチなのに対して家に帰って夫を介護をしている姿がハリスと同じ姿で泣いちゃった
好きな服だから着る。ときめく服を着る。
夢を持つこと追うこと、いくつになっての何かを始めるのに遅いということはない。そういう気持ちを大切にしたい、そう思わせてくれる作品
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