ザリガニの鳴くところのレビュー・感想・評価
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独女カマキリ
理不尽な暴力を受け続けてきた者が、それを法によらずに強制排除することは自然の摂理にかなっているのではないか。この映画ならびに動物学者ディーリア・オーエンズがしたためた“湿地”ベストセラーミステリーが掲げたテーマは見た目以上に重く、ややもすると戦争や革命を助長する危険な思想といえなくもないのである。ゆえに本作に対する体制擁護の立場をつらぬく評論家たちの評価は例によって一様に芳しくない。
戦地から戻ってきたPTSD父さんのドメバイのせいで一家が離散してしまい、人里離れた湿地に一人取り残されたカイヤ(デイジー・エドガー=ジョーンズ)。やがてそのドメバイ父親も死に、学校にも通わず孤独な生活を強いられてきたカイヤだったが、沼で偶然知り合った同じ年頃の青年テイトと意気投合、将来を約束した2人だったが...
この後テイトに捨てられたと思ったカイヤは、町でみかけた青年チェイスと知り合うのだが、これが父親とおんなじとんでもないドメバイ男。ある日、チェイスの死体が湿地の家付近で発見されたために、チェイスと付き合っていたカイヤに容疑がかけられてしまう。映画はチェイス事件の法廷劇に、事件にいたるカイヤのボッチ物語がカットバックされる構成になっている。
動物観察の才能を持つカイヤが劇中こんなことを述べるのだ。「カマキリのメスは2つの目的のためオスに誘いにかける。ひとつは生殖のため、ひとつはオスを食べるため。自然に善悪の区別はないわ」と。原作小説には、オスを補食するために光るホタルのメスの話もしつこく登場するらしく、自分の身を守るための暴力を肯定するような発言が、やたらと目につく映画ないし小説なのである。
それもそのはず、原作者ディーリア・オーエンズの夫は、自然保護の立場から移住先のアフリカで密猟者を容赦なく撃ち殺していたらしく、ザンビア政府からも出頭を求められているのだそう。力ではかなわない相手に暴力を振るわれ続けてきた時は、周囲が何も助けてくれない以上、暴力に訴えるしかないではないか。そもそも自然とはそういう摂理で成り立っているのだから、カイヤがおかした◯◯は正当防衛として許されて当然だ、と。
しかしこの考えを容認してしまうと、ロシアのウクライナ侵行や無差別テロ、エコテロリズムも正当防衛で一様に片付けられてしまうおそれもあるわけで、世の中がマッドマックスのようなカオス状態に陥ることを世の支配者層は最もおそれているのである。それ故、現代の御用哲学者連中は今更“スピノザ”の道徳論なんぞを持ち出したりするのだが、むしろその(自然界には存在しない)道徳心自体が差別や格差、疎外を生んでいる気がするのである。
自然の中で育ったカイヤが、父親やBFの暴力や、地元住民の疎外から逃れるためには、ザリガニの鳴くところ=人間界の道徳ルールが及ばない場所に逃げ込むしか無かったのがいい証拠である。それは、この世界のシステム自体が自然のメカニズムに反して作られているからではないのだろうか。ディーリア・オーエンズが投げ掛ける命題は、平和になれすぎた私たちに重苦しくのしかかるのである。
比較的キレイなサスペンス映画。
映画館で見なかったことを後悔しました。
なんでこんなに
"すへては自然の摂理のなかで"
異質なものを疎外する人間の性。
いやーな映画。描かれる父や恋人のクソな所業がとにかく許せなくて、映画のこととは思えないほどに腹立たしい。報道されることは氷山の一角で、いまだに至る所でこのようなことが起こっていることに嫌気がさす。
だからこそ、裁判後に訪れる穏やかで幸せな時間がとても沁みる。かつて話題になった某洗剤のCMでもあったのような老夫婦像。
そして、大ラスの展開はやっぱりといった感じで、してやったり。
この数年で観た映画で最高傑作!
湿地の自然が美しい
ザリガニは鳴かないそうです
けど、ワタシが泣けるわー
一人でも立派に生きていってくれー
けど風呂入ってんのか?女のコやしな。
心配や。
ええ彼氏できたやん。
次の彼氏は顔つきからしてクズ男やけど
それでええのかー?
前の彼氏とヨリ戻ってよかったやん
あーずっと寄り添って行くんやね
あー最期は幸せ満載で逝くんやね
完全に感情移入して
涙腺爆発のエンディング
で、真相はコレ?!
ミステリーならではの快感です。
80点
4
TOHOシネマズ日比谷 20221130
パンフ購入
やったー月間10本 新記録
湿地が美しい
まあまあ
何通りも考えられるラスト
カイヤが湿地を離れなかったのは、母親が迎えに来てくれるのを待っていたからなのだろうか?
井の中の蛙でも大海は知っとこう
事件の真相は初恋のなかにある!!
1969年のノースカロライナ州
静けさの中で川から飛び立つ鳥の羽ばたき
湿地帯を覆う木々の自然界。
ある日、少年2人が見つけた沼に横たわる
男性の死体。
死体はチェイスでした。
カイアにチェイス殺害の容疑がかかります。
ストーリーは、孤独と初恋を主軸に描かれています。
父親に暴力を振るわれて、家を去る母親
それに続いて次々と家を出ていくきょうだいたち。
学校に通うことが出来なかったカイア。
何かあったらザリガニの鳴くところまで
逃げろと助言を受けていたカイア。
6歳の少女が孤独を抱えながら必死で
生きていく強い生命力を感じました。
湿地帯の地面に根付いた森林。
朝霧の靄がかかる中で水面に浮かぶボートを漕ぐカイア。
羽ばたいていく雁を見て、カイアがどんな人生
だったかを考えさせられるストーリーでした。
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