ザリガニの鳴くところのレビュー・感想・評価
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マイノリティを尊重することの大切さ
<映画のことば> 私じゃない、嫌ったのは彼らよ。 私を嘲笑い、仲間外れにし、悪意をもって蔑んだ。 そんな彼らに懇願しろと? 私は何もしない。勝手に裁けばいい。 でも、彼らが裁くのは私じゃない。 彼ら自身よ。 ☆ ☆ ☆ それが彼女にとっては至極当然のことであったとしても、人が多く住む市街を離れて、独り湿地で暮らしているということだけで、外の世界で生活している人からは好奇の目で見られ、「変わり者」と決めつけられ、時に軽蔑さえされるー。 地域社会(文明社会)からは距離を置いて静かに暮らしていた少女・カイアが、しかし、自分を包み込む湿地の自然をこよなく愛しながら、その中で生き抜く術と価値観とを身につけた、その生命力のたくましさーそれが本作のエッセンスであることは、疑いのないところだろうと思います。 食料としてのトウモロコシ粉は言うまでもなく、湿地であるが故に船を使わざるを得ない以上、ガソリンや点火プラグなどか必要となり、それ故に、貝を雑貨店に売ることで、現実の文明社会との関わりを否定はできないのですけれども。 そして、ある事件を契機として、彼女がマジョリテイの価値観で裁かれようとする事態に陥ってしまうー。 そういう不条理には、本当に心に痛い一本でした。評論子には。 佳作であったと思います。 (追記) この町で生まれてから、片田舎のこの町でずっと暮らしてきたと言いますけれども。 しかし、この弁護士は、只者でない。 否、むしろこの町にずっと根づいて来たからこそ、この弁護ができたのか。 いわゆる「マチ弁」(企業の顧問を中心に経済事件などを専門に手がけるのではなく、地域に密着して、地元民の法律問題をひろく取り扱う弁護士)の強みというのは、こういうところにあるんだろうなぁ…とも思いました。 その点も、本作は、とてもとても興味深い一本になりました。評論子には。 <映画のことば> 自然に善悪はない。ただ、生きるための知恵があるだけ。 <映画のことば> 危ないときは、ザリガニの鳴くところまで逃げるんだ。
美しい景色、生き物としての客観性と人の知性、言葉はどこか詩的
人は彼女の元を去り、湿地だけが彼女を受けとめた。 それでも人である彼女は孤独から逃れるように恋をする。 それらが愛なのか、孤独に対する1つの手段なのか、映画を観ているこちら側も自問自答してしまう。 上質な脚本を綺麗な景色と映像でラッピングした素晴らしい映画。
美しすぎる自然の描写
サイト評価から予備知識ゼロで鑑賞。様々な事が対比され、主人公とその周辺が劣って描かれている。唯一優っているのが自然の美しさ。しかも圧倒的に。それが世の中の負を一身に背負ったような主人公と重なって、ゆっくりと力強く、やがて怖くさえも思えてくる。
🇺🇸の病巣。🦞が鳴く鳥になりたいと。。。
内容は、舞台はアメリカはカロライナ。1969年に起きたチェイス殺人事件の深層に迫る被疑者・主人公カイア(湿地の娘)の話。果たして彼女はチョイスを殺害したのか?殺害していないのか?!印象的な台詞は『自然に善悪はないのかも、生きる為の知恵よ』自分の絵画が認められる様になって会食での一言。食事を摂りながらの話はかなりキツくて笑いました。そして『彼等が裁くのは私ぢゃない。彼等自身よ!』との叫びは上手いミスリードだと感じました。この問題提起の内容のすり替えは、BLM等過去多数の例あるアメリカの民主正義のなせる技だと感じます。大多数の人が深く思いを寄せる所に切り込む問題提起は面白くも感じました。印象的な場面は『そして父も去った』簡単にサラッと流されましたが、あの土地に固執し続ける原因は父親も排除したのかも?!何て考えてしまう怖さがあります。戦争体験で性格も人格も変わってしまった父親の表現が伝わり戦争後遺症の悲惨さと戦争を逃れた内地に潜む人のバイアスも分かりやすく描かれていた所が面白かったですし、対照的にヤンキーチェイスの様なベトナム戦争時代に兵役拒否した若者の心模様が垣間見れて面白いのです。印象的な映像は、アバンタイトルのアオサギが湿地〜浜辺〜沼地まで全景を説明する様に見せてくれる自然の風景が美しく驚きました。最後まで見ると鳥になって自由になりたかった主人公・ザリガニの魂の泣き声が聞こえて来そうで文学的で感傷深い正にカタルシスの解放。『湿地の奥にあるのが本当の沼・ザリガニの棲家』サルオガセモドキの様な着生植物も朝夕の陽光も全てそれだけで素晴らしく、大自然それだけで楽しめました。何よりもザリガニ🦞は鳴かないのですが、硬い殻に覆われたザリガニが鳴く様に人造国家アメリカ🇺🇸の声なき声を代弁するような攻め具合が叙情的に表現されて良かったです。内容が内容だけに子供には見せづらいのが難点ですが非常に実験的で面白い作品だと思います。自分は4回程観ましたが何回見ても面白い作品だと感じます。また原作も読んだみたいと思わせる映画です。
ラストの描き方が残念
原作小説を読んだ後でこの映画を観た。 映画に期待していたのは小説では明確に描かれていなかった殺害シーンの映像化であるが、残念ながら映画でも描写されていなかった。 更に残念だったのは、最後に犯人が判明するシーンの描き方。 小説では、驚きから理解につながる深みのある終わり方となっているが、映画では単に衝撃で終了、となっている。まぁ映画としてはこういう描き方になってしまうのかな、という感想。
真実に驚きは無し
主人公の殺人容疑の裁判を主人公の生涯を交えながら描く。 主人公の生涯については、描かなければいけなかったのかも知れないが、長く感じる。その割には、最後のもうちょい知りたい部分が描かれなかったのは残念。 最後まで犯人はわからなかったけど、真実を知っても、それほどの驚きは無かったのも残念… ザリガニの鳴くところについても、よくわからなかったし…
目に優しい映像は好きでした
全編通じての佇まいは好きでした。女優さんの役柄や強さ、弱さの表現のあり方も。でもミステリーとしての展開や主人公の生い立ちの設定に不自然さを感じてしまうと、もうそこから踏み出して没入することはできなかったです。
殺人容疑者は湿地の女。裁判で明らかにされる彼女のすさまじい過去。 ...
殺人容疑者は湿地の女。裁判で明らかにされる彼女のすさまじい過去。 とにかくこの湿地の女が実に魅力的。中盤はラブロマンス的要素もあり、物語の展開から目を離せない。 彼女は犯人なのか、また裁判員の評決はどうなるのか。ラストはある程度予想はできてくるのだが、やはりそれもなかなかの衝撃。 とても面白いミステリーであった。
企みと信じること
2022年劇場鑑賞98本目 優秀作 73点 久しぶりに品のある正しいどんでん返しものをみた気がする 物語の構成が古典的すぎるくらい下手だけど、凄く楽しめました、最後はもう言わずもがな綺麗でしたね。 冒頭から湿地の自然の中の高台の真下に死体が発見されミステリー色が強い感が漂いましたが、どちらかとうと下手な恋愛映画の延長に愛が牙を向いたパターンを豊かな街並みと豊かな湿地帯のギャップを交えて描いていた 見終わりよく考えると、彼女の最後に至るまでの人間像というかしたたかで賢い人なのがわかる 成り上がって幸せを掴んだ肉食な女の映画でした、楽しめます 是非
サスペンス+法廷もの。秀作です。
サスペンスでもあり法廷ものでもあり、ドラマでもある。 二人のクズ男によって、苦難の道を歩まされた 女性の物語、そんな感じでしょうか。タイトルもいいですね。
湿地帯で孤独に育ったということから、動物に育てられたような言葉も満...
湿地帯で孤独に育ったということから、動物に育てられたような言葉も満足に話せない女性をイメージしていた。 しかし、実際は単に親に捨てられた気の毒な少女。 彼女を支え続けてきた商店の夫婦の優しさは泣ける。 つくづく男運のなかった彼女だが、最後は無罪判決が出てめでたしめでたし・・・・。 と思いきや、ラストはそうきたか!
女性が一人で生きるための知恵
ひとりの女性が生き抜くための知恵 自然を愛し、自然と暮らすこと。 人とのつながりを出来るだけ省き 人の目を避けて生活すること。 この主人公はそうせざるを得なかった。 衝撃のラストシーンで 女性が一人で生きるための知恵を知りました。
古きアメリカの美しい湿地に生きるのは、魔女?それとも野生児?
魔女狩りを扱ったミステリ―と捉えるには、勿体ないほどの強く、しなやかで美しい女性を描いた物語です。 60年代オールドファッションの南東部アメリカ。ノースカロライナは発達心理に明るい大学もありながらボートを移動手段とする湿地帯で独自の生態系を持つ地域でもある。 家族が離散し、世捨て人として生きること余儀なくされた主人公。コミュニティから隔たり、蔑まれ、学校にも通わず1人で生きるために自立し、自然と共存する彼女もやがて出会いと喪失を経験し。。。というくらいで説明はとどめておくべきか。 生態系図鑑を発行してくれた出版社との会食で、彼女は「ホタルの光りには補食と交尾の二つの目的がある」という話を述べる。「昆虫には道徳心がないからね。」という返答に対し、「自然に善悪はないのかも、、いきるための知恵よ。」 俗世を離れて湿原の生態系から学びを受け、人間の善と悪の両面の出会いを経てただ自分を守らねばならなかった彼女の台詞は心に打つ。
独創的なストーリーとカイアに引き込まれる
沼地にひっそり佇む一軒家に、6歳からたったひとりで生きてきた少女カイア。学校にも行けず、沼地の貝を獲りながら人目を避けて暮らしていた。楽しみは沼地の生物の観察とそれらのスケッチ。そんな少女に救いの手を差し延べた人もいた。文字を教え、本を与えてくれた青年と雑貨屋の夫婦。そして美しく聡明に成長した少女。 今作は沼地の少女カイアが、一人のある青年の殺人容疑をかけられ、心優しい弁護士との会話で物語が進んでいく。 独特な設定と映像、カイアの存在感にどんどん引き込まれていった。そして最後になんて素敵なお話!ミステリーか?と思っていたら、最後の最後に驚愕の事実が明らかに…しっかりミステリーでした。
サスペンスでもなければ法廷ものでもなく、人間ドラマ。
暴力を振るう父に耐えかねて母が出ていき兄弟も次々いなくなりそして父にも捨てられ6歳にして1人で生活を始める主人公。 皆に蔑まれ、村で唯一親切にしてくれるのは貝を買い取ってくれる黒人夫婦のみだった。 やがてテイトと知り合い字を教えて貰う。彼は彼女に研究を出版するよう勧めるが大学に行くため村から出ていってしまう。5年間全く連絡が無いテイトに彼女は傷つきチェイスと付き合い出すがチェイスに婚約者がいることが分かる。 チェイスと別れようとするがしつこくつきまとうチェイス。 ある日チェイスが死に彼女が疑われる。彼女は町で出版社の人と会ってアリバイが有るのだがそれでも無理やり犯人に仕立て上げられる。陪審員の全員が彼女を蔑み馬鹿にしてきた村の人々だ。魔女裁判に近いものがある。無実を勝ち取れるのかというのが定石だがこの映画は裁判はあくまでも添え物に過ぎない。湿地の少女がどう生きたかを丁寧に描いた作品。 ラストは観客に委ねる形にはなっているものの多くの観客がやっぱり殺していたのだと思うのだろう。 でもそれだとテイトがあまりにも可哀想だと思うのでやっぱり殺してはいなかった説を唱えてみよう。先ず深夜にバスで戻るって深夜にバスなんか走ってないよ。深夜バスがあったとしてあんな村行きの深夜バスに乗る人なんていないからバスの運転手が彼女を覚えてないなんて有り得ないね。戻ったとしてどうやってチェイスの居場所が分かるのか?誘きだしたら誰かにカイルに会いに行くと喋るかもしれない。限りなく犯行は不可能な気がするんだけどな。大体殺したとしてそれを日記に書いて証拠のネックレス保存するなんて有り得ないよ。それにしても何故ネックレスを隠し持ってた?証拠でなくてもチェイスとの思い出の品なんか女性は一番先に捨ててしまうと思うんだけどなあ。 殺したとしたらテイトがあまりにも可哀想。何も知らず殺人犯と暮らしてきたのだ。殺してなくてもテイトが可哀想。妻が別れた恋人の想いでの品を後生大事に隠し持っていたのだから。カイルの人生を思ってカイルに感情移入すべき映画なのだとは分かっているが私はカイルに感情移入出来ない。テイトの気持ちになってやりきれない思いでラストを観た。
カイアの成長
アメリカの田舎の湿地帯で、1人少女が家族に捨てられる。 小さなカイアが選んだ選択が、ミステリーへと繋がっていく。 湿地帯の自然の美しい景色の中で、雑貨屋の黒人夫婦に助けてもらいながら、美しい女性へと成長して行く。 1人で暮らす、美しい女性を男が放っておくわけが無く、恋愛、失恋、殺人事件へと繋がり、カイアは容疑者にされ、法定劇に発展。 裁判の結果、本当に殺人事件が起こったのか? 本当の真実は、カイアのみぞ知る映画でしたが、素敵なミステリー作品でした。
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