「明日こそ目が覚めないように」夜明けまでバス停で humさんの映画レビュー(感想・評価)
明日こそ目が覚めないように
そう祈るホームレスをみる三知子の目が、彼の気持ちをよく理解していた。
コロナ禍をきっかけに職も家もない状況に巻き込まれ、実質的にも精神的にも行き場を失う現実が我が身に起きていた彼女。
頼れる関係性がまわりにあったとしても頼らない。
他人の心配はしても自分のことを心配されるのは苦手なのかひとりで頑張る。
親の介護を巡る実兄との電話のシーンなどや同僚を助けるシーンで三知子の性格と心情が板谷さんの様子から細やかに伝わる。
なんだかわかる…
そして
案外たくさんいるんだろうな。
社会への痛烈な批判は政治だけでなく初めから最後まで存分に盛り込まれているため、気がつけばメッセージはずしりと重ため。
あの頃から比べて落ち着いた現在にも変わらず尾を引く不安も転がっているのはわかるし、依然続く問題の方が多いなと華やかなクリスマスのにぎわいを感じながらふと考えた。
そうなのだ。
〝ふと。〟
ふとでも考えるきっかけはたくさんあったほうがいいのだと思う。
自分とは距離があったり、喉元すぎてしまえば忘れてしまえる私たちには。
明日目が覚めないことを祈るだ世の中はやっぱりさみしすぎる。
修正済み
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