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アイドルって…ホント大変だな。
常々思う。
体力の化け物だなぁと。
あんなに激しいダンスを何曲も。歌って走って、それらのほとんどを笑顔を絶やさずに。
で、この作品はその裏側が垣間見れる。
東京ドーム公演に至るまで。
コロナで激変した環境、心が折れていくメンバー。絶やさない笑顔は倍以上の涙で埋め尽くされてた。
無観客ライブの虚無感とか相当なんだろな。
佐々木美玲さんだったか、放出するエネルギーが無観客の空間に吸い込まれていくようだったと言ってた。
その通りなんだろうなぁと思う。
全てのエンタメは観客がいて成り立つ。
"おひさま"の存在が彼女達のアイデンティティである事は間違いない。
それが直で跳ね返ってこない空間では、その存在自体が揺らぐ。揺らぎまくる。
彼女達が笑顔でいる為の努力に埋め尽くされた2時間だった。
ただ、こうも思う。
想像以上なのだ。
あまりに過酷だ。
その想像以上の部分を映し出すのは、果たしてアイドルとして是なのだろうか?
彼女達が届けたい想いとはウラハラな内容に埋め尽くされてはいる。
正直、同情に似たような感情を抱く。
観客としても強制したいわけでも、脅迫したいわけでもない。とても複雑な感情を抱きながら見てた。
彼女達のパフォーマンスに観客は歓喜する。
そのリアクションが彼女達を一層輝かせる。
なのだとしても、人間1人。
ましてや、あんなに華奢な20代の女性達だ。
“職業・アイドル“であったとしても、器の容量は桁違いに大きいわけでもない。
100%では足らず120%のパフォーマンスを発揮させたいのならば、周りがコントロールしなければならないと思う。
無理は効く。若いから。
成長もする。若いから。
とはいえ、限界はある。
その限界を全く無視してるような環境でもあった。
その結果、思うのは消耗品として捉えられているんじゃないかという疑念だ。
潰れても他がいる。
潰れたところで後続がいる。
アイドルなんて、一生はできない運命なのだから。
…そんな破滅的な価値観を、統括しているスタッフのトップは考えているんじゃないだろうかと怖くなった。
「家に帰りたい」と泣きじゃくる加藤さんの後ろをプラプラと着いていくスタッフの男性。ああいう状況には慣れっこなんだろうか?気遣いひとつ感じずで…彼はあの後彼女になんと声をかけるのだろうか…?
キャプテンが「この2年間をドラマにして欲しくない」と言ってた。
なるほど、とも思うし、アイドルって大変なんです!って主張したいわけでもないだろう。
見たくも見せたくもない裏側ではあり、ドキュメンタリーと言われれば、そうなのだろうと思える。
グループは違うけど、櫻坂の守屋さんが卒業する時に「嘘がつけない」って事を仕切りに口にしてた。
この作品をみて、少し理解できたような気がした。
この作品をみて「儚さ」や「煌めき」なんて言葉が出れば良かったのだけど、頭に浮かぶのは「消費期限」とか「消耗品」とか、そんなネガティブな言葉だった。
太く短くが常なのだろうが、あんな風に詰め込まれて追い込まれりゃ潰れもするわ…。
日向坂だけなのだろうか?
櫻坂や乃木坂は、また違う雰囲気なのだろうか?