RRR : 映画評論・批評
2022年10月18日更新
2022年10月21日より新宿ピカデリーほかにてロードショー
「最高濃度の映画体験」看板に偽りなし ラージャマウリ監督にひれ伏したくなる特級エンタメ
「最高濃度の映画体験」という熱狂的な文句に対して、「いやいや、煽りすぎでは?」と半信半疑でスクリーンと向き合った結果、私がどうなったと思いますか? 拳をぶち上げたくなる“最高のエンタメ”の前にくずおれ、そして、ひれ伏した――すっかり“RRR信者”となり、S・S・ラージャマウリ監督の豊かなクリエイティビティを称え続けていたのです。
日本でも大きな話題となった「バーフバリ」シリーズのラージャマウリ監督。新作の舞台としたのは、1920年・英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた幼い少女を救うため立ち上がったビームと、大義のため英国政府の警察官となったラーマ。敵対する立場にあった2人が、互いの素性を知らず、運命に導かれるように出会い、無二の親友に。しかし、ある事件をきっかけに、2人は究極の選択を迫られる。
主人公のA.ラーマ・ラージュとコムラム・ビームは、実在したインドの独立運動の英雄。実際に出会うことのなかった2人が「もしも出会っていたら?」という発想から生まれた物語は、初っ端からフルスロットル。それぞれの驚異的な身体能力&胆力を示すべく「無謀すぎる!1人VS数千人の群衆」「超ワイルドな猛獣鬼ごっこ」が展開。イントロからこんなにぶっ飛ばしていいのかと思うほどの加速ぶりですが、ご安心ください。ラージャマウリ監督、まだまだ余力を残しつつ、アクセルをべた踏みしていきます。
全編過不足なくぶち込まれていくアクションは、どれも新鮮の一言。邂逅を視覚的に表現したサーカス的救出作戦、獰猛な野生動物が暴れまくる公邸パーティー、「その体勢で進むのか…!?」と舌を巻く脱出劇、そしてバイクがぶっ飛び、弓矢が鮮やかに射出されていく壮絶リベンジ。「友情か? 使命か?」という2択によって生み出されるラーマ&ビームの“激情”も重なり、凄まじきエネルギーを発するシーンばかりなのだ。
N・T・ラーマ・ラオ・Jr.&ラーム・チャランの超絶テクが堪能できるノンストップの耐久ダンスバトル「Naatu Naatu」は、多くの人を虜にしてしまうはず……というよりもかなりの中毒性をはらんでいるので、ご覚悟を。本作鑑賞後、暫くの間「Naatu Naatu」が脳内に鳴り続けていたことは言うまでもない(こう記しながら、今でも口ずさんでしまっている……!)。
(岡田寛司)