線は、僕を描くのレビュー・感想・評価
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文系スポ根になり得ず。
小泉徳宏監督の『ちはやふる』はカルタを格闘技のように描いた青春映画で、「あ、文系を舞台にしてもスポ根なドラマティックさを語れるんだ」と、日本映画のステージを一段上げたのが2016年。その『ちはやふる』を語って、小泉監督の新作である本作の予告が展開されていた。舞台が水墨画というアート。これは、もう優劣が曖昧すぎる世界。将棋や囲碁では、スポーツ的な側面を強調した演出がし易いと思うが、「墨絵」である。原作が小説であるため、読者は「絵」を想像しながら読み進む。そとため、登場人物の描く作品は無限の芸術的傑作を、勝手にイメージしていける。が、しかし映画では観客に提示しなければならない。そこには、カルタを獲った枚数のシーソーゲームや、攻守せめぎあう将棋盤上のバトルは描けない。そう、そこには作品を制作しているだけで「相手に負けたくない」という、闘争をしてはいない主人公に対して、手に汗を握る共感を持ち難いのだ。
ストーリーはとある屈託で人生に希望を失った大学生が墨絵と出会うことによって、新たな前進を始めていける。めでたしめでたし。という単純明快なものだが、肝心の水墨画での「達成感」にカタルシスが全く無いのだ。映画で提示される作品の良し悪しは素人の観客には伝わらず、最高賞を受賞したから優れた作品だという、記号でしかない。だから、映画のクライマックスで震えるようなカタルシスや主人公の汗に共感できない消化不良を起こしてしまうのだ。
これはもう、題材の問題で、俳優たちのせいではない。特に江口洋介が楽しそうに「美味しい」役を演じていたのが印象的だ。
世界観がいい!
全編に貫く、独特のリズム感が心地いい。
横浜流星、清原果耶、江口洋介、三浦友和、すべてのキャストの演技も素晴らしい。
水墨画という難しい題材だが、映像の美しさと相まって、とても美しい光と影のグラデーションをつくりだしている。
不幸話はいらなかったんじゃないだろうか。話をふくらますのなら、学園風景をもっと描いてもよかったかもしれない。
霜介が家族と喧嘩をして家を飛び出し、その夜に家族が洪水で流されるという設定だが、霜介は雨に降られなかったのだろうか?それとも、かなり遠くまで移動したのだろうか?
「ちはやふる」と比べると、登場人物も少なく、ストーリーの厚みが足りない感は否めないが、それでも映像やストーリー展開はすぱらしいものがある。
少し予算が足りなかったのだろうか。
また続編を作ってほしいと思う。
#172
日本の映画ですね
盛り上がる場面の映像と音楽が好き
水墨画始めます。
椿の絵を見て涙する横浜流星のアップにはじまり、江口洋介、三浦友和、細田佳央太、河合優実、そしてトドメの清原果耶。みんな絵になる、さまになる。
予告で何度も見たシーンだけど、三浦友和が横浜流星に語りかける、「私の弟子になってみない、」そしてタイトル「線は、僕を描く」、、、もう涙が止まらない。(ここがピークだったけど)
映画にも相性があるんだろう。すべてがドンピシャ。なんなら地団駄踏んでる細田佳央太まで良く見えてくる。
なんてお洒落で、かっこよくて、勇気づけられる映画だろう。
久々にパンフレット買ったけど、パンフレットも写真やインタビューがたくさん載っててよかった。
久しぶりに江口洋介らしい江口洋介、三浦友和らしい三浦友和。
横浜流星も清原果耶も、いつまでも見ていられる。
期待値MAXで初日に観に行って、大満足できる作品でした。
気になる点もあるものの、原作ありで原作重視とのことなので…。
今年307本目(合計582本目/今月(2022年10月度)21本目)。
水墨画をテーマにしたという、映画館での作品では結構珍しいんじゃないかな、というタイプです。
もちろん日本の文化としては「実際に描いてみること」自体は高校の美術まで含めても扱うことはほとんどないし、おそらく大学の美大芸大で選択科目で専攻でもしていないと、「実際に描いてみること」自体は学んだこともなければ触れたこともない(そして、いわゆる市民文化教室の類で扱われるような内容でもない)のは確かだし、どうしても西洋の美術が一般的によく扱われる今日ではマイナーな点はあるものの、それでも「そういう文化はある」ということは常識扱いかな、という気はします。すると、そこの点に関する専門用語については抑え目でありながらそこそこ詳しく扱っているという点は評価できるかな…という感じです。
一方でこの映画は、原作も本映画も「あまり成績がよくない法学部の学生」(公式サイト、原作公式サイト、映画内でも触れられる)が主人公ということを考えた場合、主人公のおいたちや後半に出てくること(河川がどうこうという話。詳しくはネタバレ回避)に関しては、特に「河川がどうこう」の話は結局は国家賠償法(2条)の話になるところ、その話が一切出ない点は理解するものの(主人公が法学部の学生というだけであり、国賠の話をする趣旨ではない)、後半一部の部分で、資格持ちは「なんでそういう展開になるんだろう??」という点があることは確かですが(後述)、一方でそういう事情である関係上、ほかの部分に関しては概ね「学生さんとはいえ法学部」という事情から極端に変な展開になってもいないし、まぁそこに極端にウェイトをおいて引くのはフェアではないし、映画の趣旨的に見てもよくはないんでしょうね。
なお、扱っている文化が少し「変わっている」とはいえ日本の文化でもあるし、それほど難しい語句は出ないので、今、日本への旅行がほぼコロナ前になった今日においては、来日されている方の「日本の映画館ってこういうもの」ということ以上に「日本の美術についてもふれている」という点でも、その観点でも推せるかな…という印象です(まぁ、大阪市内でも解禁されても、ずーっと串カツだの何だので結局コロナ前と変わっていないし、まして映画館に来る方もレアですが…)。
採点にあたっては下記を考慮しています。
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(減点0.3) 上述通り、この映画では「河川でのあるできごと」がひとつのファクターとして描かれます。ただこのことは極端な話「大震災」でもよければ、あるいは「大火災が延焼した」でも構わないところ、原作がそうなのだろうと思いますが、「河川でのできごと」として描かれています。
ただこのことは、一方で国家賠償法(2条、公の営造物の瑕疵)との関係で、特に河川に関してはいろいろな判例が多いことは資格持ちは知っているので…。映画内での描き方を見る限り、「河川の管理も、設置者(「国家賠償法」だからといって、常に国との争いとは限らない。設置者が都道府県・市町村ということもありうる)も責任なしか?」というと微妙な気がします。ただ、このことについて触れ始めると、映画の展開が変な方向にいってしまうし、一気に法廷ドラマものになってしまうという事情もあるので仕方なしという点は一応理解はしても、そうであればそもそも「大震災」とかであればその疑問も生じえず(まさか、大地震まで国の責任にされたらたまったものではない。もちろん、違法建築物が倒れてきただの何だの別の論点があれば別)、そこが「河川のあるできごと」であるのは原作重視とは思うものの、資格持ちは???な展開が「やや」あります。
※ といっても、リアルでいろいろ調べると、法学部の一般的なカリキュラムをみると、行政法(国家賠償法)自体が学部3年、4年配当の大学も多く、主人公は学部3年か4年であると思われるところ(飲み会で飲酒している描写の解釈から)、これらの科目は大半「選択科目」であるのもリアル法学部では確かで、そこは「うーんどうだろう…」という気はします(明確に憲法や民法など、明らかに学部1年配当の科目として理解が変という指摘とは違う)。
※ かつ、このことで大きく引けないのは、「確かに国賠2条の観点では描写が微妙」なものの、法学部の学生さんが弁護士などと一緒に設置者(国とは限らない。都道府県が管理していれば、被告は変わります)を訴えるだの何だのという話になると映画の趣旨を逸脱してしまう、という「実際上の問題」もあります(ストーリーが原作を逸脱して支離滅裂になる)。
※ このような細かい指摘は、結局、「主人公が法学部の学生という設定だから」という点に大半つきます(すべての映画でこの趣旨の描写が微妙、ということで引き始めるとまともな採点ができなくなる)。
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ところで、「RRR」も楽しみにしているのですが、左下にバンバン出てくる謎の「たばこはやめましょう」みたいなのは出てくるのかなぁ…(明日のおたのしみ、かな?)。
まさに、水墨画「道」を描いた映画
水墨画には詳しくないが、シンプルなだけに奥が深く、技巧だけで良し悪しが決まるものではないのだろう。タイトルや劇中の台詞にもあるように、描き手の人となりや生き様が如実に表れるというのも、そのとおりなのかもしれない。
ただ、そうは言っても、水墨画で人に認められたり、賞を取ったりするためには、それなりの絵の才能やセンスが必要になるのではないだろうか?
その点、湖山先生が主人公を弟子に取った理由には、今一つ納得がいかないし、主人公が水墨画にのめり込み、めきめき腕を上げていく展開にも、どこか違和感を感じてしまった。
仮に、湖山先生が、行き詰まっている孫のために、一緒に前に踏み出すパートナーとして主人公を選んだのだとしたら、その深謀遠慮ぶりには舌を巻くしかないが・・・
いずれにしても、芸術家というよりは求道者のような水墨画家たちの言葉には、人生訓のような含蓄があるが、最も心に響いたのは、江口洋介演じる湖峰の、人や絵についての考え方だった。
水墨画の世界を舞台に自分の殻を破るお話です。絵は綺麗ですが話は・・
楽しみだった作品です。
初めて知ったのは、週刊少年マガジンでした。心惹かれたのは、作画の美しさだけでなく、物語の美しさでしてた。
映画化を知ったのは、原作を読もうとしてるときでした。漫画の中の4巻分を2時間弱でどう、表現していくのか、すごい楽しみでした。
水墨画に命を吹き込む、そのためには、どうすればよいのか。名人の見本の作品をマネして上手く描ければそれでよいのか、師匠、先生、先輩は、ちゃんと教えてはくれない。ヒントは、どこにかに隠れている。悲しみ、苦しみを乗り越えて前に進むことを考えてみるのには、よいのではないだろうか。
この作品も、テレビドラマとして、長い尺で観てみたいが、そうなると良いところが消えてしまいそうに思えてならない。
原作読んでみよ!!
静と動を動きから音楽から映像
続編は是非、千瑛と川岸で❗️
偶然だと思いますが、先週公開の『耳をすませば』も主人公は自分の心の声を聞くことで、また前に進み始めます。
心の声とはすなわち進む道を確認し選択することであり、それは、決して何かと〝折り合いをつけること〟ではなく、何かに〝踏ん切りをつけること〟なのかもしれません。
そして踏ん切りをつけた対象である何かが、決して忘れてはいけない大切なものだからこそ、選んだ道、選んだ生き方に命を吹き込む。
この映画では、鑑賞する多くの人に分かりやすく伝えるために、自然災害による不幸な出来事を背景として描きましたが、どんな人であろうとも、人生の選択においては、その都度、何かを諦めたり、一旦は距離を置いたりしているはずです。
よくよく考えると、災害や事件・事故という不運な事態を除けば、人生における選択の都度、何かを諦めたりするのは、女性の方が圧倒的に多いのではないでしょうか。
仕事におけるキャリア、家庭、こども等々…。
続編があるのなら、是非、千瑛やサークルを立ち上げた川岸の視点で、人生の選択や、そもそもその選択の時に何かを切り捨てなければいけないのか。
そんな20代から30代を描いて欲しい。
そんなふうなことを今考えています。
【関連情報⁈】
清原伽耶さん主演のドラマ『霊媒探偵 城塚翡翠』が始まりましたが、必ず最後まで見てください。
原作小説では、すべてが伏線、と帯に謳ってましたが、まったくその通りなので、最後の第4章まで見届けないとすべてが無駄になります。
スタートからいい!
大切なのは「迷いを消す」こと
いい映画だなぁと、素直に思った。
トラウマを抱えて前に進めないでいる主人公。
水墨画の大家という偉大な祖父の血を受け継ぎながらも、画に自らのオリジナリティを見出せずにいるヒロイン。
共通するのは、自分が置かれた立場に対する迷い。
あの時、こうしておけば現実を変えられたのに、とか。
いまの自分を受け入れて前に進むには、どうすればいいんだろう、とか。
けれど水墨画が答えをくれる。
才能や技術だけでなく、心のうちを素直に描くのが、水墨画の本質だから。
過去と向き合い、現実を受け止め、迷いは消える。
その結末はぜひ劇場で確かめてみてください。
迷いつつも、自分の色を出そうともがくフリーランスの自分には、とても心に沁みました。
最後の終わり方
原作は知りません。
始まってすぐの弁当シーン辺りから「あ~完全に好きな映画の雰囲気、世界観だ!」とそこから目が釘付け!
三浦友和さん演じる湖山。
あの優しい雰囲気に、始まって10分辺りで和テイストのBGMに合わせて描かれてく水墨画!この時点で湖山と水墨画、映画の世界観に引き込まれました😍
清原果耶さん演じる篠田千瑛も何と書いていいやらとてもいい雰囲気でしたよ😏
流星君演じる霜介!いやぁ良かったよ!役柄もいいし、いい雰囲気も出てた!
だけどなんで肝心な見せ場ないんすか!?嘘でしょ!!(笑)
ラストシーンで校内に用意された特設ステージでカッコイイBGMに合わせて華麗に描いて終わる!と思ったら・・・一筆シュと描いてエンドロールに入る。
この終わり方は嫌だわ~
完全好き嫌い別れると思うけど個人的にはカッコよく描いて終わってほしかったな!そしたら☆5だったんだけど。
ある意味1番カッコイイ役だと思ったのは江口洋介さん演じる湖峰!(個人的に)
身の回りの世話係と思いきや・・・湖山の代わりで描くシーン、目をギラギラさせて楽しそうに描く姿!シビレたしカッコよかった!
白い紙に無限の可能性が広がっている
清々しい
【良かった点】 演技、音楽、演出がどれも高いクオリティな良作。前半...
【良かった点】
演技、音楽、演出がどれも高いクオリティな良作。前半の水墨画にのめり込んでいく主人公パートは主人公と共に水墨画の美しさに息を呑んだ。後半は展開的にはベタだが、yamaのLostからの主人公のトラウマ昇華のシーンは分かっていても泣いてしまう。ちはやふるチーム、安定です。
【良くなかった点】
水墨画が題材なだけあって、もっと筆の音を感じたかった。劇版が良いのは確かだが、ちょっとうるさく感じでしまう所もしばしば。静寂に筆を走らせる音だけの演出を欲してしまった。
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