劇場公開日 2022年10月21日

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「気になる点もあるものの、原作ありで原作重視とのことなので…。」線は、僕を描く yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5気になる点もあるものの、原作ありで原作重視とのことなので…。

2022年10月21日
PCから投稿

今年307本目(合計582本目/今月(2022年10月度)21本目)。

水墨画をテーマにしたという、映画館での作品では結構珍しいんじゃないかな、というタイプです。

もちろん日本の文化としては「実際に描いてみること」自体は高校の美術まで含めても扱うことはほとんどないし、おそらく大学の美大芸大で選択科目で専攻でもしていないと、「実際に描いてみること」自体は学んだこともなければ触れたこともない(そして、いわゆる市民文化教室の類で扱われるような内容でもない)のは確かだし、どうしても西洋の美術が一般的によく扱われる今日ではマイナーな点はあるものの、それでも「そういう文化はある」ということは常識扱いかな、という気はします。すると、そこの点に関する専門用語については抑え目でありながらそこそこ詳しく扱っているという点は評価できるかな…という感じです。

一方でこの映画は、原作も本映画も「あまり成績がよくない法学部の学生」(公式サイト、原作公式サイト、映画内でも触れられる)が主人公ということを考えた場合、主人公のおいたちや後半に出てくること(河川がどうこうという話。詳しくはネタバレ回避)に関しては、特に「河川がどうこう」の話は結局は国家賠償法(2条)の話になるところ、その話が一切出ない点は理解するものの(主人公が法学部の学生というだけであり、国賠の話をする趣旨ではない)、後半一部の部分で、資格持ちは「なんでそういう展開になるんだろう??」という点があることは確かですが(後述)、一方でそういう事情である関係上、ほかの部分に関しては概ね「学生さんとはいえ法学部」という事情から極端に変な展開になってもいないし、まぁそこに極端にウェイトをおいて引くのはフェアではないし、映画の趣旨的に見てもよくはないんでしょうね。

なお、扱っている文化が少し「変わっている」とはいえ日本の文化でもあるし、それほど難しい語句は出ないので、今、日本への旅行がほぼコロナ前になった今日においては、来日されている方の「日本の映画館ってこういうもの」ということ以上に「日本の美術についてもふれている」という点でも、その観点でも推せるかな…という印象です(まぁ、大阪市内でも解禁されても、ずーっと串カツだの何だので結局コロナ前と変わっていないし、まして映画館に来る方もレアですが…)。

採点にあたっては下記を考慮しています。

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(減点0.3) 上述通り、この映画では「河川でのあるできごと」がひとつのファクターとして描かれます。ただこのことは極端な話「大震災」でもよければ、あるいは「大火災が延焼した」でも構わないところ、原作がそうなのだろうと思いますが、「河川でのできごと」として描かれています。

 ただこのことは、一方で国家賠償法(2条、公の営造物の瑕疵)との関係で、特に河川に関してはいろいろな判例が多いことは資格持ちは知っているので…。映画内での描き方を見る限り、「河川の管理も、設置者(「国家賠償法」だからといって、常に国との争いとは限らない。設置者が都道府県・市町村ということもありうる)も責任なしか?」というと微妙な気がします。ただ、このことについて触れ始めると、映画の展開が変な方向にいってしまうし、一気に法廷ドラマものになってしまうという事情もあるので仕方なしという点は一応理解はしても、そうであればそもそも「大震災」とかであればその疑問も生じえず(まさか、大地震まで国の責任にされたらたまったものではない。もちろん、違法建築物が倒れてきただの何だの別の論点があれば別)、そこが「河川のあるできごと」であるのは原作重視とは思うものの、資格持ちは???な展開が「やや」あります。

 ※ といっても、リアルでいろいろ調べると、法学部の一般的なカリキュラムをみると、行政法(国家賠償法)自体が学部3年、4年配当の大学も多く、主人公は学部3年か4年であると思われるところ(飲み会で飲酒している描写の解釈から)、これらの科目は大半「選択科目」であるのもリアル法学部では確かで、そこは「うーんどうだろう…」という気はします(明確に憲法や民法など、明らかに学部1年配当の科目として理解が変という指摘とは違う)。

 ※ かつ、このことで大きく引けないのは、「確かに国賠2条の観点では描写が微妙」なものの、法学部の学生さんが弁護士などと一緒に設置者(国とは限らない。都道府県が管理していれば、被告は変わります)を訴えるだの何だのという話になると映画の趣旨を逸脱してしまう、という「実際上の問題」もあります(ストーリーが原作を逸脱して支離滅裂になる)。

 ※ このような細かい指摘は、結局、「主人公が法学部の学生という設定だから」という点に大半つきます(すべての映画でこの趣旨の描写が微妙、ということで引き始めるとまともな採点ができなくなる)。
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 ところで、「RRR」も楽しみにしているのですが、左下にバンバン出てくる謎の「たばこはやめましょう」みたいなのは出てくるのかなぁ…(明日のおたのしみ、かな?)。

yukispica