グッバイ・クルエル・ワールドのレビュー・感想・評価
全120件中、21~40件目を表示
大森監督流のフィルム・ノワールとして
人的な信頼関係ではなく、その時々の利害関係によって(かろうじて)繋がっているだけで、それ故に、事務所のドアを鋼鉄製のものに変えたり、監視カメラで周囲を窺ったり、万一(?)の抗争に備えて常に事務所に若手(兵隊)を侍らせておかなければならないという特異な世界のことですから、その中に恒久的な「居場所がない」のは、当たり前といえば当たり前なのでしょう。
そんな「cruel(残酷な、過酷な)world 」ならぬ「狂える世界」の中でも、少しでも浮上しようとして、もがき苦しむ姿を見るのは、切ないといえば、切ないものです。
億単位のお金にはとんと縁がなく、月々のクレカの支払を決済できて安堵する小市民の評論子には無縁の世界ですが、もともと映画は(タキシード・夜会服の正装で)紳士淑女が観ていた時代から異世界を描いて来ましたから、これはこれで、大森監督流のフイルム・ノワールとして、良い作品なのかも知れません。
少なくとも「カネを返せ」「時間を返せ」という一本ではなかったと思います。評論子は。
全員がいかれていた
借金やお金欲しさにヤクザの金を盗んだ人たち。
その人たちの中で仲間割れになった。
使い捨てされた人たちは、復讐しようと決心した。
ヤクザを追っている刑事と協力して復讐をしたという内容だった。
全員がいかれているなと思いました。
自分の欲望のために平気で人を殺したり、裏切ったりしていたので。
結局誰も幸せになることなく切なかったです。
斎藤工さんが一番やばそうな人だと思いました。
クライム・ムービーってやっぱりセンスが大事ね
つくづく日本映画はタランティーノに成り切れないと思ってしまった。
別にそれを狙った訳じゃないかもしれないが、大金を巡るクライム抗争劇、クセあるワルたち、バイオレンスにクールな楽曲…どうしても連想してしまう。
一応それなりに面白味のある題材なのだが…。
ヤクザの資金洗浄が行われているラブホテルを強盗団が急襲。大金をゲットする事に成功したが…。
強盗団は互いの素性を知らず、一夜限りの結成。もう関わり合う事は無いと思われたが…。
ヤクザは癒着している刑事を使って追跡。強盗団に情報提供だけの利用されたラブホ従業員と裏切りに遭った一味の若い女を突き止めた事により…。
強盗団の面々、刑事、ヤクザ、若いカップル…各々の思惑が交錯。
取り分を巡って仲間割れ。
せしめた金で人生再出発と穏やかな日々を得ようとする者もいれば、金欲しさに新たな強盗計画に加担する者も。
ヤクザの金を盗んだらどうなるか…?
刑事も弱味を握られ、従うしかない。
若いカップルは自分たちを裏切った連中に復讐を…。
面白味はあるのだが、どうも弾けない。
こういうクライム・ムービーの定石は踏まえている。裏切り裏切られ、殺るか殺られるか、死ぬか生き残れるか…?
では、何が足りないのか…?
見てすぐ分かった。
センスの欠如だ。
登場人物たちもクセあるように見えてステレオタイプ。
彼らが織り成すギスギスした人間模様も型通りで、これといったユニークさに欠ける。
それから、圧倒的にユーモアやエンタメ性が足りないのだ。
その辺タランティーノは…いや、比較するのはよそう。タランティーノでなくとも三池崇史の『初恋』なんかは快作だった。
もっと快テンポかと思いきや、シリアス路線。
クールでイカしたクライム・エンターテイメントより、アウトローたちの顛末を描きたかったのだろうか…?
にしても哀切やスリルが感じられない。ただバンバン銃を撃ち、人が死に、血が流れるだけ。
何処かで見たシーンや演出の連続。古びたセンスに酔いしれ、カッコつけている演出や作風に温度差を感じてしまった。
西島秀俊が主演となっているが、アンサンブル色が濃い。
実質主演の西島秀俊のパートやキャラが弱い。三浦友和のパートとキャラも同じく。
キャラのインパクトなら極悪の斎藤工とリアル過ぎる奥野瑛太。
ドラマ面なら大森南朋演じる刑事か宮沢氷魚&玉城ティナのカップルの方が印象的。
この二人が斎藤工に復讐するシーンはスカッと痛快なのだが、素人二人があんなに容易く殺人カップルになれる…?
大森立嗣監督の作品は割りと好きだが、今回はまあまあ。『ゲルマニウムの夜』だけは全く受け付けず、あれよりかは酷くないけど。
この題材なのでエンタメ性の高いクライム・ムービーを勝手に期待した方も悪いが、作品自体も何とも言えず。
もっと突き抜け、エンタメに徹して欲しかった。
詰め込みごちゃごちゃ
つまりは半グレから金奪うってのは甘くない、ってこと?ヤクザはやめてもヤクザ。一生逃れられない。結局中途半端な奴らが狡賢く生きていくのね。いや、中途半端も結局淘汰される。クソみたいな狭い世界。
マジなのか。あえてなのか。
風。
型。
似。
的。
パクリ。
オマージュ。
モチーフ。
スタイル。
ライク。
そんな感想しか出てこない。
しかも、それが、どれも、浅くて薄っぺらい上澄み。
なので、「あ、これはあの映画のあのシーンだな」って
思うたびに腹が立ってくる。
そして、残念なことに「〇〇風」の〇〇の部分の
引用された側の映画は、どれもこれも私の好きな作品。
タイトルのフォントも、BGMも小道具も。全部。
大森監督は、マジで〇〇風な薄っぺらい映画を作りたかったのか。
いや、過去作から考えて、そんなセンスのない監督ではない。
とすれば、「グッバイ・クルエル・ワールド」
(残酷な世界よ、さようなら)
残虐なシーンをスタイリッシュに描いてヒットした
〇〇な名作映画たちを、大森監督は大嫌いなのか!?
そんな冷たい映画はこの世からなくなればいいんだ。
というメッセージが込められているのか!?
だから、あえて、パクって、あえて薄っぺらく、かっこ悪く
作っているのか!?
マジなら★1つ。
あえてなら★5つ。
で、★3.5点にしました。
センスのなさに辟易
いや、ちょっとコレ、酷すぎない!?
とにかくやってる事はモノマネばかり!
タランティーノ、スコセッシ、北野武・・・
映画ファンなら観れば、このシーンはスコセッシのまんまじゃん!
とかスグ分かる!
まだ成功していればまだ救われるのだが、
そのセンスのなさときたら・・・センスのなさに辟易とする!
ツッコミ処も満載で、
例えば、犯罪に巻き込まれたカップルの男が、
犯行に使用する為に用意した車が、派手ででかいアメ車だったり、
(わざわざ目立つ車で強盗するかぁ!?)
何故かそのカップルの犯罪ド素人の女に強盗を手伝わしたり、
(足手纏いになるに決まってるじゃん!!)
カップルの男が犯行が終わるのを車で待ってる間に、
ラジオでガンガンに曲を聴いている。素人にそんな余裕あるかぁ!!
しかもその曲がいかにもタランティーノを意識してる・・・という感じなのだが、
ちょっとズレていて、その選曲のセンスのなさ!!
車に殺された死体・・・そして音楽、
このシーン、まんまスコセッシ監督の「グッドフェローズ」!
曲も諸、それっぽいのを意識しているし!
さすがに観た時、「グッドフェローズのまんまじゃん!」と、
1人で観ていて大声で突っ込んでしまった!(笑)
カップルが喫茶店で銃撃するシーンも
まんま「パルプフィクション」を意識しているし、
そのカップルも完全に「ナチュラル・ボーン・キラーズ」だし・・・
しかしモノマネでしかなく、全て中途半端で劣悪な出来。
他にも言いたい事があるが、キリがないので割愛。
あまりにも酷かったので、
レビューを書かずにはいられなかったという珍しいパターン(苦笑)
クズどもの狂宴
Amazon primeで鑑賞。
裏社会のに生きる、クズどもによる、血生臭いバイオレンス・サスペンス。登場人物全員が、行き場も無ければ、先も見えずに、金だけに群がるハイエナの如きゴロツキばかり。鑑賞後に何も心に響くモノも無く、只々、虚しさだけが残る。終始、人間の金に対する醜さを露にした暗い展開で、テンションも下がる作品だ。
ラブホテルで、ヤクザの裏金回収をしている現場を襲い、大金をまんまと奪い取った、互いの素性も知らない5人の強盗団。しかし、ヤクザもそれを黙って見過ごすわけもなく、現役刑事を取り込んで、強盗団を次第に追い詰めていく。
一方、強盗団の中でも、分け前の不公平さによって、内輪もめか起こり始める。そして、その内の2人が、ヤクザにも捕らえられてしまう中で、理性も吹っ飛び、強盗団同士でも銃口を向け合い、敵も味方も無く、血しぶき上げての狂宴が展開する。
作品的には、脚本や演出において、各シーンの繋ぎや突っ込みどころもいくつかあった。特に、ラストシーンでの大けがを負って血みどろの2人が、山梨県から静岡県に、一夜の内に移っていたのは、繋ぎのシーンとして違和感しかなかった。
とは言うものの、出演者については、豪華というしかない。主役の元ヤクザの強盗団を西島秀俊が演じ、同じく強盗団のチンピラ役を、西島とは『シン・ウルトラマン』でもコンビを組んだ斎藤工が演じている。また、若手の演技派の玉城ティナや宮沢氷魚と芸人・宮川大輔が、体当たりの演技を見せている。そして、ベテランの三浦友和もいぶし銀な演技で強盗団の一人を演じている。
他にも、強盗団を追う刑事には、本作の監督の実弟でもある大森南朋。そして、いかにも悪の幹部らしい鶴見慎吾と奥田英二が凄味をきかせていた。そんな中でも、奥野瑛太のチンピラ役は、本物としてか見えなかった。
本作は、こうした豪華俳優陣全員が、眉間に皺寄せて、凄味をきかせて語る演技を観るだけでも、なかなか壮観な眺めでもあった。ストーリーよりも、彼らの演技を楽しみたい作品とも言える。
結構、好き!!
悪くはない
タランティーノ・テイストの映画。
「レザボア・ドッグス」と「パルプ・フィクション」を日本的に
アレンジした様な感じの映画。
多少、糠味噌臭くなっているが、結構楽しめた。
宮沢氷魚と玉城ティナのカップルのバイオレンスがアクセントになっている。
「パルプ・フィクション」のダイナーのシーンで、ティム・ロスと女が
ラリって撃ちまくるシーンを思い出した。
大金を強奪した寄せ集めの悪たち。
西島秀俊、斎藤工、三浦友和、宮川大輔など。
ヤクザの幹部の鶴見慎吾。
ヤクザと連んでる警察官の大森南朋。
バイオレンスが半端なく兎も角殺しまくる。
ゴミ・クズ扱いされた宮沢氷魚と玉城ティナの復讐の銃弾は
八方破れで刹那的で自滅的。
斎藤工を蜂の巣の様に撃つ気持ちは分かるわ!
どうせ自分たちも命なんかないのだ。
BGMは中々攻めてて、
ボビー・ウーマックの「What is thjs」で景気良くはじまり、
マージー・ジョセフの「Let's Stay Together」
ラストには、ママス&ザ・パパスの、
「C alifor nia D reamin’」で終わる。
空と海の大画面に銃声が一発。
誰が撃たれたか?
自分を撃ったか?は、
想像に任される。
(レザボア・ドッグスをめちゃめちゃ観たくなった)
豪華キャストを使った偶像劇
公開前はそのメンツ的にすっごい興味が合ったんですが、タイムラインで目に入ってしまう一・二行で分かる不評感。
こ・これは…と戸惑っていたら見逃してしまいました。
そうして巡りあったプライムです。
まずタイトルやボビーウーマックに派手な車など、タランティーノ感が強いのが気になりました。
「ジャッキーブラウン」「パルプ」「トゥルー・ロマンス」、あとウォン・カーウァイのような風味も有りましたね。
スタイリッシュなクライムムービーを撮りたかった意図は分かるのですが、どこかぼやけた感じが…。
というのもそのまま突き抜ける訳でなく、途中から現代社会で行き場の無い元ヤクザの話になったりと打って変わってベタっとした流れへ。
ただ、途中からラストが完全に見えてしまったのは少し残念でしたか。
でも、豪華キャストを使った偶像劇としては中々魅力的ではありました。
宣伝の仕方間違ってる気はする
数多いけど殺傷力の低い派手でチープな銃撃戦というより、そんな些細なミスで人生再起不可になってしまうのか、という切ない話だった。
三浦友和がやかましくて素晴らしかった。浜田は基本汚い金を狙って素晴らしいのだが、よく考えると現場には来なくてサイテーだ。ほんの少しのシーンなのに安西と浜田の信頼関係もよくわかり、安西が情を感じるのもよく理解できた。
映画館で観る没入感、狂乱世界に迷い込む楽しきエンターテイメント
ただひたすらに豪快で
ただひたすらに残虐で
ただひたすらにダークで
笑ってしまうほどのバイオレンス!
アメリカ映画っぽい派手な王道さもあり
フランス映画みたいにシニカルなシュールさも醸し出し
日本映画みたいな縦の組織感の表現を強く残しつつも
まるで漫画みたいな強ぶっ飛びを存在させた世界観。
あえて一言で言うならば、
『下克上バイオレンス』!
ストーリー性も人生観も全てがcruel world 〜残酷な世界〜
でもラストカットを観終わった後、
この127分間の激しさが、じわじわと自分自身の血に肉に染み渡っていくような∙∙∙
そして妙な満足感に、帰り道 独りニヤッとしてしまう。
そんなシャレオツさがあった(笑
ストーリーを愉しむというより、映像色や音の迫力や音楽の選曲、台詞回しやトーン。
映画館という空間だからこそ、研ぎ澄まされた没入感で感覚で愉しむ邦画。
ありそうでなかった作品ではないかと思う。
そして音楽もこれまたシャレオツで。
サントラ欲しいと思う選曲。
カッコ良い作品でした。
無
すごい不思議なことなのだが、かなりバイオレンスな映画なのに、見ている間の感情は「無」なのだ。
「怖い」も「血がたぎる様な興奮」もない。
ただただ「無」なのだ。
役者さんは一流なので、ここが物語の山場なんだろうなぁというシーンはなんとなくわかるものの何も響かない。
なんというかとても不思議な映画だった。
全120件中、21~40件目を表示