人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版のレビュー・感想・評価
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海外ドキュメンタリーに引けを取らない
登山が趣味で、最近の山の映画は観ています。MERU/メルー、フリーソロ、アルピニスト、ニルマル・プルジャ:不可能を可能にした登山家(Netflix)。どれもドキュメンタリー映画で、クライミングの魅力と恐怖を見事に描いていますが、この映画もそれらに引けを取りません。 本人と妻妙子のインタビューでは、死と向き合うことや挑戦を続ける心境が素直に語られ、山野井泰史の純粋さに感銘を受けました。
死を客観視するという事。
本作はドキュメンタリーであり、実在する日本で最高のアルピニスト山野井氏の経歴を追っていく作品です。 私的には、沢木耕太郎「凍」の印象が強かったのですが、やはりママでした笑(不要な指の選択があっけらかん!) また、アルピニストはやはりネジが2-3本飛んでいるのが普通なんだなーと思いました。(奥さんの妙子さんは5本はイってます。) ご両人の肌艶が良いのが印象的。我々の紫外線対策とは…⁈ 何気ない感じですが、普通じゃない富士山のシーンや、謎な伊豆の岸壁登頂などcrazyな事が、さも当たり前風に語られます。 是非、人生お疲れな方・命を考える方は映画館でご観賞下さい♪色々考える映画かと思います。 木の下で眠られる事を切に願う!
もっとも危険なスポーツ
山野井泰史さんという日本を代表するクライマーのドキュメンタリー。面白いです。
山野井は「単独」「無酸素」「未踏ルート」のジャンルにこだわった登山家で、分かりやすく言うと「岩や雪や氷の壁を登る」タイプの登山家です。
映画の見せ方は、山野井さんが若い頃に挑戦をしていた軌跡を辿るパートと、現在の伊豆での生活や今(57歳)の挑戦のパートを、交互に見せるやり方です。山の景色は綺麗ですし、現代のドローン撮影も迫力がありますが、ドキュメンタリーなので語りたいのはテーマ。
まず、印象的なのが「クライミングはとにかく危険なスポーツ」ってこと。
過去映像の中で、当時活躍していたクラマーや、後年になり単独登山からパーティーを組むようになった山野井さんのパートナーが、今は亡き人となっています。さらに、過去の話だけではなく、現在の挑戦でパーティを組んでた山岳ガイドさんも、映画公開前の今年4月に登山中に亡くなっています。
これだけ死と隣り合わせな行為をスポーツと呼べるのか?と考えさせられます。山野井さんも過去映像の中でのインタビュー、30歳代の頃だと思いますが「20代の頃、自分のようなソロスタイルで登るクライマーはたくさんいた。けど、みんな死んでしまった」と語っています。
彼が偉大なのはこれだけのキャリアを持って「生きていること」なのです。未踏ルートに挑戦し、何度も「敗退」となるのですが、負けても生還しているのが凄いこと。無理と判断したら、どんな場所からでも下山できる自信が大切なのだ、とも。
では何故、生還し続けられたのか。
一つは、常に「自分の限界を知っている」こと。一方で、自分がやりたい=登りたい山があれば「どうすれば、どんな努力をはらえば」実現できるかを考え、実行し続けることで、限界は拡がり、自信につながる。
もう一つは、常に「慎重、冷静である」こと。単独や未踏ルートの開拓に拘るのは、達成感が原動力になっている、と語っています。一方でアタックの前日は不安と恐怖で眠れないし、高度8000mの世界で頼れるのは己れのみ、というのは言いようのない孤独感だそうです。達成感が原動力になりつつも、恐怖や孤独感が強いから、慎重で冷静にいられる。
この「限界を知りつつも限界を伸ばす」とか「冷静と情熱の間に」という矛盾する身体と心のバランスを保ち続けることで、死の淵から生還し続けてきたのでしょう。
こういうのをひと言で表すと「勇気ってこういうことさ」ってことかな〜。命を代償にしてまで体得したいとは思いませんが、こういう気の持ち方は憧れますね。
潜在能力の枯れ果てに超意識と超景色
山野井泰史さんの近況が知れて良かった。南伊豆に引っ越されたのですね。そのたくましい命に見とれてしまう。あなたが見た、知った、感じた極みが、その瞳その言葉からあふれだして何故か私をふるわせます。
迫力ある景色以上に迫力ある経歴
低山歩きさえしない自分でも昔植村直己を読んでからクライマーに対する憧憬と尊敬の念は変わらない。 真摯に自然と対峙するご夫妻の輝かしい経歴に驚くばかり。 良い映画です。
足跡の凄さと飄々した人柄
山野井さんの足跡の凄さと飄々した人柄が魅力たっぷりに表現されている、とても良い作品です。 伊豆の岸壁にも、ヒマラヤやアルプスにもーーもちろん準備にかける時間やお金は違うのですがーー同じ根源から湧き出る情熱をかけてるんだろうななあと思わされる。 静かに熱く溢れてくる行動力、登りたいという衝動に感動する。 90年ころから今の撮影技術があったらすごい映像が撮れたんだろうなあと思っちゃう。でも蛇足だ。 素晴らしいドキュメンタリー。
世界的に唯一無二な方
奥様の妙子さんも物凄いキャリアの方ですが、山野井さんもまた空いた口が塞がらないほどの物凄い方です。クライマーという余り一般的ではない世界の神様のような存在であり、一直線に人生を歩む人で、夭折することもなく現在もご活躍されているといった信じられない奇跡的かつ半ば伝説となっている方です。余りの飄々とした雰囲気に呑まれてしまいますが、本物の天才とはこういう人だと感じる。奥様もやはり天才的な人ですから、二人の天才が共に生活しているのが不思議にも思える。凡人から見たら常軌を逸している生き方も、天才にとっては当たり前のことであり、反対に「何故、そこに止まっているのか?」と問われているようで不甲斐なさを覚える。「あなたは天才だが、私はただの凡人でしかない」認めざる得ない事実を認めて、素直な賞賛と拍手を送りたい。
山野井泰史という奇跡の人
山野井泰史さんを知ったのは、沢木耕太郎氏の『凍』だったが、それ以来、ドキュメンタリー番組やノンフィクション作品、ご本人の著書、ブログなど密かに追いかけてきた。 自分自身はクライミングをするわけでもなく、単にとんでもない才能に感動して憧れるだけなのだが、それでも昨年のピオレドール生涯功労賞を受賞された際も、さほど話題になっていなかったのが個人的にはとても残念だった。 今回、こうして一本の映画作品になったことで、更に多くの人に知られることになると期待している。山野井さんの生き方が、きっと誰かの人生にも良い影響を与えてくれると思うから。 長年、関係を築いてきてくれた監督に、感謝申し上げます。 それにしても、山野井泰史さん本人はそれはもうもの凄い、人間離れした奇跡の人なのだけれど、その人の側にずっと居続けてくれる、妙子さんが更に凄い、と思うのは私だけではないと思う。
独歩、そして二人でゆく
その指先に信念が宿る、永続的な情熱を捉えた人生録。私は、クライマーでは無い為、テクニカルな視点では何も論じ得ない。ただ、彼が挑戦を単独に拘る姿勢、己の領域を把握するが故、入念な準備とトレーニングを怠らない“対策の人”である姿は、困難に直面する全ての人へ、それぞれの人生における“登頂”への指南役となって迫るはずだ。眼差しの優しさに裏打ちされた根拠のある自信は、虚勢では到底太刀打ちできない巨壁と対峙してきた生き方があってこそだろう。後悔など1ミリも滲まない前向きな姿に、素直に心が涙していた。
紺色の宇宙に近い色の空に向かって登る。サイコーの景色。ソロの魔力。
映画館で観るのはいいなあ。と思いながら観た。 迫力ある映像や、登場するクライマーたちの壮絶さ。観客席に座っていた皆さん、息をのんで同じスクリーンをみつめていたと感じたから。 奥さん、妙子さんがすごい。ステキすぎ。 芯があって、可愛いのに…。 18本と鼻の頭って…… それでも、ギョーザ作ってるし。山登ってるし。 して、この夫婦、魚釣って、庭仕事楽しんで、子供みたい。そして、崖を攻めて、一緒に厳冬期の山に登って… 『死がせめぎ合うときの命の手触り』 ほんものを観た、というのが一番の感想。 岡田准一さんのナレーション、秀逸。
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