「面白い部分VS不快な部分」はい、泳げません よっちゃんイカさんの映画レビュー(感想・評価)
面白い部分VS不快な部分
生真面目な哲学教授によって泳ぐとはどういうことか、歩くとはどういう事かなどが考察される様は見ていて非常に面白かったのだが、そんな面白い部分と同じくらい不快な部分も目立った。
例えば、小鳥遊が水泳教室に通い始めたとき、小鳥遊が水を怖がる様子を見て周りのおばちゃんたちがゲラゲラ笑う。
これがすこぶる不快だ。
人が苦手を克服する様をなぜ笑うのだと非常に憤りを覚えた・・・のだが、そんな長谷川さんの演技で笑ってしまったことも事実。
僕もあのおばちゃん達と同じだったのかなとか少し考えてしまった(泳げない時あんな事あったなぁというあるあるで笑ってしまっただけだと思いたいのだが・・・)
この他にもこのおばちゃん達はいちいち余計なことを挟んでくる。
先生の説明に対して、「男の人はここ(の筋肉)使わないからね〜」とか、「出産の時の苦しみに比べたら〜(女性にしか体験できないことを挙げてあなたには理解できないでしょ感を感じた)」
その度に「いちいちそんな事言う必要あるぅ!?」と思ってしまう。
が、それを除けば泳ぎ方のレクチャーはなるほどと思うものばかりだったし、何より長谷川博己さんと綾瀬はるかさんの演技が一級品。
このお二人の演技で持ち直してると個人的に思う。
長谷川さんの生真面目な哲学教授はハマり役だったし(まあそれは以前のさまざまな作品で実証済みなのだが)トラウマを乗り越えて最後2人で泣くシーンは思わず泣きそうになってしまった。
綾瀬はるかさんも包容力がありつつ時に厳しく指導するコーチを好演。
後半急に長谷川さんの演技等で尻上がりに良くなる作品。
あとは麻生久美子さんが不慣れな関西弁、不慣れなキャラをされてるのが少し不憫。
原作は未読なのでわからないのだが、麻生さんの役が関西弁である必要性をあまり感じなかった。
明るくて良い加減な人=関西人という考えがもし監督の中に少しでもあるなら偏見以外のなにものでもないだろう。
軽めに始まる序盤から急に重くなる中盤、急に軽くなるエンディングと浮き沈みの激しい映画だった