PLAN 75のレビュー・感想・評価
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内容が中途半端
劇中、大変良く出来たPLAN 75のCMが流れるが、PLAN 75に携わるスタッフの苦悩、PLAN 75の死体処理の杜撰さなど、PLAN 75に対してかなりネガティブな場面が多い。最後のミチの決断に至った過程はPLAN 75の運営としてはあり得ないミスが発端となっており、最後のシーンは結局、何が言いたかったのか不明。
ありきたりの「生きる喜び」を伝えたかったようにも思える。
本作はもっとPLAN 75 を肯定的に描き、徹底的にユートピア的政策として描き、現実でも国会において審議入りするほどのアピールをしてもらいたかった。国民が毀誉褒貶の議論を交わすきっかけとなるような作品に仕上げるべきだと思う。
実際、現時点での医療も中途半端で延命処置はできても健康寿命を延ばすことはできない。他人様に迷惑をかけたくないと考える高齢者も少なからずいる。天寿を全うし老衰で亡くなる人は限られてきた。延命処置を望まない人も多い。
そのような中、この映画は社会に対して何の問題提起になっておらず中途半端。
監督はPLAN 75に対して否定的に考えているのだろうが、その上であえてPLAN 75が作り得るユートピアを徹底的に描き、最後のカットはあの世へ旅立った人々への餞としてもらいたい。
ソイレントグリーンの舞台は2022年!今年でっせ
あちらは60歳で人生強制終了。ワタシはアウト
こちらは75歳で希望者のみ安楽死。
間の長い演出がおまえらこんなことで世の中いいんですか?
と我々に答えを委ねる。
ですが
なんで自殺やめたん?
なんで叔父を助けようとしたん?
フィリピーナ要る?
世の中の不条理に対し言いたいことは一杯あるのに説明不足が多いなあ。
心に染みるまではいかない。
60点
5
MOVIX京都 20220621
現実的
先日(2023/04/27)ネットに“日本人口50年後8700万人”というニュースがあがっていた。「将来推計人口」の試算によるものだそうだ。
外国人の入国者が増加し、2070年の平均寿命は、男性は85.89歳に、女性は91.94歳に伸び、高齢者の人口は38.7%に上昇する。──とニュースは言っていた。
じっさい、どんな世界になるのだろう。
映画Plan75は75歳で死ぬ選択ができる謂わば姥捨山が法制化された世界を描いている。
若年者は老人の長話につき合い、つつがなく死んでくれるように説得し、外国人は死を看取る。
倫理はともかく「そうならざるをえない」と思える世界でかなり現実的に感じられた。
以前に比べて成田悠輔があまり出なくなったのは「高齢者は集団自決」発言によるものと言われている。
発言は伝播し海外の拒否反応が強かったので日本もそれにならった。人権に触れる問題はグローバリズムに従属せざるをえないからだ。
ただし少子高齢の社会問題にたいして高齢者が死ぬしかないという提案は、たんに誰も言わないだけの姥捨山発想であり、ドライかつ毒のある成田悠輔の特性を知った上で、ネタにされ楽しまれた発言だった、に過ぎない。
言うまでもないが高齢者が集団自決するのは不可能だから。喩えに憤ってどうするの。
ましてこの惑星で唯一無二の特殊な環境にある日本の問題を海外の人権派にいちゃもんをつけられる筋合いはない。
ごく順当に考えて高齢者が死なないなら、じゃああんた、どうやって少子高齢社会に決着つけるんだよ。──という話である。
生きたい人はともかく、75歳で(あるいは何歳であろうと)逝ってもいい人が逝ける世界は、かなり現実的ではなかろうか。
じぶんも誰かや国の世話になる前におしまいにしたい。
そういう制度があったら世話になりたい。(潔いことを言っといてその時になったら生きる気まんまんだったりしてなw。)
早川千絵監督は上手だった。基本が出来ていて悲しい場面をずるずる引きずらない。お涙にしない。日本の映画監督とはぜんぜん違った。
来歴を見て、海外でしっかり映画を学ぶと、悪しき日本映画から抜け出せるのかもしれない──と思った。また(わたしの観相は精度が曖昧だが)早川監督は顔がよかった。
ただし映画Plan75には生きのびる人も死にゆく人も大人しく善良な人物しか出てこない。
現実世界はもっとぐだぐだで、理不尽な人がいっぱいいて、むしろPlan75の世界が丁寧な世界に感じられてしまった。
そこで思うに、この進み具合で人の心が荒んでいけば、政治家が選択制安楽死法案を提唱し国会で通るのは、わりと近い未来のような気がする。
本作はカンヌの“ある視点”をとっているのだが、将来の日本で、少子高齢化は“ある視点”どころか、ほぼすべての因子になる。
そのとき「高齢者は集団自決」発言やPlan75がどんだけ普通の成り行きなのかきっとわかるときが来るだろう。と思った。
倍賞千恵子がよかった。
孤独を抱えた老人が人生の最後に考えること
倍賞千恵子さんの演技が光る
夕陽は、ただ沈む
ようやく見た。
ずっと気になっていて映画。
『週刊金曜日』でも特集が組まれ、表紙は倍賞千恵子が飾っていた。
杉田何某とか成田何某というような、自分のアイデンティティを「無知」と「無恥」に込め邁進している輩が重宝されているこの社会の現実では、この輩の口を少しばかりでも塞ぎたくなうような心境だ。
おそらくは誰もが、重く考えさせられた映画だったろう。
もしこの映画を観て何も響くものがないというのであれば、まさに「何某」と同類の「素晴らしい」論者ということになるだろうし、自分からすれば、また「蠅叩き」の相手が増えただけの話だ。
映画のテーマとして
死は吐き気である。これは正しい。
この死を、自己完結的に綺麗に処しようとするところから、人の思考は誤り始める。
自己決定とか、他害禁止という言葉で、死を害い始める。
死は、いつでもどこでも誰にでも吐き気でしかない。
この映画の後半部分にそのシーンが出てきたのは合点がいく。
自分でも、そして他者でも割り切れずに受け入れなければならない「死」とは誰にとっても「吐き気」でしかない。
死を自在や他材では処すことなどできないにもかかわらず、それを知らない連中は傲慢にもそれを恣にすようとする。生まれてきた時もそうであったように、死すること、時も自分の思いのままにはできないのだ。
映画の構成として
見事である。
角谷、岡部、マリアのストーリーが、最後に向け結節点を描き出していく。そして、その結節点が、誰かに「剥ぎ取られてはならない死=生き方」であった。
この死の固有性や一般化不可能性を描き切ったという点では評価できる。
背後に流れる、言葉として語られている「一般化されたナレーション」とのコンストラストが秀逸だった。
そして映画の色使い
光の使い方、照らし方、影の用い方、とても素晴らしい。役者の一人一人の言葉少なさを陰影で十二分に表現していた。
#こんな映画を制作させてしまうこの国のあり方こそが、No Planだということの証左だろう。
#倍賞千恵子の「声」=「歌」。
人は、この(自分の)声=歌で、生きる。
自分の人生は自分のメロディーでしか理解できない。
考えさせられる作品
高齢者の安楽死に踏み込んだ映画
75歳から自分の生死を選択できる制度が制定された近未来の日本を描いた映画です。
設定やストーリーはさておき、高齢者の『安楽死』を正面から取り上げた勇気を評価したい。政治家は高齢者の票が欲しいので一切触れないし、マスコミも批判を恐れ本格的に触れません。
この映画は高齢者には実感が湧くが、若い人には、老人ばかりで暗くてテンポが遅い映画としか映らないだろう。若い人もいつかは高齢者になるので、高齢者の若いときの映像も入れ、若い人でも実感が少しでも湧くようにしてほしかった。また、もっと存在感のある男性高齢者俳優を起用してほしかった。
しかし、この映画により、高齢者の『安楽死』について、スタートラインに着けたような気がします。
ちなみに、私は71歳の爺です。
重い内容。
役者さん達が名演技
カメラの角度、おさまりの悪いピント、長すぎるズームなど、撮影にいくつか心地悪さをおぼえる。
自分事として考えさせられた
寂しさ溢れる各人に訴えてくる映画
内容は、舞台は近未来の日本。75歳に選択制で死を選ぶ権利が法律で可決され登場する人物が死について考える映画。印象的な言葉は『さよならだけが人生さ』この映画は、映像の寂しさを強調しながら歌が映画全体を分かりやすく登場人物の心境を表していたところが、一段深く感じる事が出来ました。印象的な場面は、それぞれの登場人物が観客に訴えかける様に正面を向く場面が目を逸らすことが出来ず、意図的に考えさせられました。印象的な状況は、老年の寂しさが特に強調されステレオタイプに描かれて、もう少し深く登場人物に入り込めなかったのか?!尺の都合なのか残念でなりません。映画界では、昔から良く使われる題材の姥捨山なので期待しずきてしまいました。しかし、新しい視点を得ることが出来ませんでした。夕暮れの静寂の中新たなスタートを感じされる終わりのコントラストは気持ちよかったです。そして倍賞千恵子さんの演技と姿勢は歳を感じさせない流石女優だと感心した作品です。
死の選択と、その先。
影、遮光、自然光での撮影など、どうしても感情的になってしまう映像だが、この制度を前向きに受け入れた人も中にはいたのではないだろうかと想像せざるを得ない。そのあたりの対比もきちんと描いて欲しかった。
一方で、死をルール化することで、対象者個人や親族ではなく、社会にもたらす影響については、もっと深掘りできるのではないかと思った。そこに光を当てるのが作者の意図だとすると面白く思う。
それにしても、倍賞千恵子の素ではないかと思わせる演技力に、ただただ引き込まれる。
重い!
十年ten years japanのオムニバス映画は20分ほどの短編だったが、それでも衝撃的だったが、さらに長編になって見応え充分。
プラン75の該当者、推進する役所側の職員の苦悩。さらに現場で働く人々の苦悩など様々な角度から描かれていて考えさせられる。
この映画の中で法案が出来たキッカケが、老人の無差別殺人ということが、きついなあ。
主人公のミチさん、退職する日にロッカーを綺麗にし、ロッカーに手を合わせておせわになりました、とするあたり、今まで真面目にきちんと生きてきたであろう人物。生活保護に頼らず新たに仕事を探して自分でしっかり生きていこうとする意欲もある。そんな人でさえ、この制度を利用することを選んでしまう。
最後、生き残って外に出ることができるのだろうか?との疑問もあるが。
個人的にはこんな法案があったら私は利用してしまうかも。もう老後を考える年齢であり、世で言われている老後の必要な資金とか、先を考えると不安しかない。子供達の負担にはなりたくないし、何歳までと決めることが出来ればそれまでの生活費、楽しめる資金等の計画も立てられ、病気で苦しむよりも良い気もする。身の回りの整理もつけられる。なんて、短編映画を観た時から考えていた。でもこれって逃げてるよなあ。命ある限り頑張って生きないとね。と思うけど、先を考えると不安だらけの気弱おばさんです。
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