劇場公開日 2022年6月10日

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「これは「ドリフト競技」映画!少年のロマンが音と映像で湧き上がる」ALIVEHOON アライブフーン たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0これは「ドリフト競技」映画!少年のロマンが音と映像で湧き上がる

2022年6月10日
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鑑賞方法:映画館

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正直舐めてかかってた…。良くあるクルマ映画と思っていたら、本格的なドリフト競技映画に仕上がっていた。変態的でターゲットは狭いが、そこに刺さるようなコアな作りが素晴らしい。

『ワイルド・スピード』シリーズを始め、すっかり国内外に馴染み深いドリフト映画。日本でも『OVER DRIVE』など、クルマ映画も増えてきた。しかしながら、ドリフト映画はB級のVシネに留まることが多かった。しかし、本作は一味違う。芸術を競うドリフト競技を舞台とした本格派。妥協なき演出とスリリングな映像がスクリーンと調和する。

なんせ監修はドリキンこと土屋圭市氏。言わずと知れたドリフトキングで、本物を追求した競技の映像に魂が宿る。GoProを使ったと思われる少し粗のある映像も迫力を出すための選択であり、スピーカーから響く、強いタイヤの音が高揚させる。その圧巻の展開に思わず何度も声が出た。

ストーリーの組み立て方も上手く、少しベタでも許せるほどコテっとしている。また、eスポーツのチャンピオンが実際にリアルレーサーになる事例は珍しくない。また、出てくるドリフトレーサーとマシンは本物揃いで、あまりD1を見ない自分でも興味を持つほど突き詰められた仕上がりをしている。そうした現状を踏まえても、オタク気質の本格派であり、侮るとヤケドするのだ。

そんな主演は、クルマ好きを公言している野村周平さん。感情の起伏は少ないが、確かな芯を持った姿に好感。少々『頭文字D』の藤原拓海っぽいが(笑)。ヒロインは吉川愛さん。つなぎも似合うメカニック女子で、チェイサーを走らせる姿は可憐で眩しい。少々クルマ好きのロマンも具現化されているのだ。そりゃたまらないよ、、

エンドロールの最後に出てくる言葉。エビスサーキットをメインに置き、魅力のひとつとして正面から描いたことを証明している。単なるクルマ映画ではないことを確かめてほしい。そして、「これはクルマ好きが唸るのも納得だわ…」と言ってほしい(笑)。ここにロマンを覚える、少し変態で、少年のような純粋さに火を付ける良作。

たいよーさん。