ケイコ 目を澄ませてのレビュー・感想・評価
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立ち止まったり迷ったり。その葛藤を淡々と。
ボクシング映画は大好きです。鑑賞後になぜかシャドーボクシングしながら帰ってしまうような、あの独特の高揚感がたまりません。最近はただボクシングだけに焦点を当てるのではない、人間ドラマとしての良作が多くて期待しておりましたが、「アンダードッグ」や「百円の恋」のようなものを想像して観るとちょっと肩透かしをくらってしまうのは事実。
実在の耳の不自由な女性プロボクサーをモデルにしていて、主人公ケイコを演じているのが岸井ゆきのさん。3か月のトレーニングで体を作ったそうですが、体つきはもちろんのこと、目つきまでもこれまでの岸井さんとは全くの別人!「神は見返りを求める」のゆりちゃんの面影は皆無。
ほぼ台詞の無い役なので、体と目つきで全てを語っていて、お見事でした。
聴覚障碍者って見た目ではわからないことが多く、コンビニ店員やお巡りさんとのワンシーンで、あーそういうことなんだな、と日常の意思疎通の難しさを知らされました。
でも決して可哀そう、という目線ではなく、あくまでも日々の生活を淡々と描いているあたりに監督の想いが込められているのかなと。
劇伴は無く静かに生活音だけが聞こえてくる町の描写。
16ミリフィルムのざらざらした質感がその日常をより現実的に映しています。
立ち止まったり迷ったり、誰もが日々経験していること。
そしてどういう選択をしたにしても、自分で前に進んでいくしかないんですよね。
会長役の三浦友和さんがいいですよねぇ。三浦さんは若いときより最近の方がずっと演技に味が出て良くなりましたね。
障害になるものへの気づきがある映画
2022年劇場鑑賞302本目。自分の2022年最後の映画になりました。
観る予定あまりなかったのですがたまに見かける映画コミュニティの文でみんな口を揃えて良かったということを話しているとちょっと気になったので観てきました。
近江商人、走るが最後にならなくて良かった(笑)
チケットを買う前の方々が身振りで買っていて、ああ、なるほど、と思ったのと映画が当然のように日本語字幕付きでまたなるほどと思った次第です。
皮肉なことに、と言っていいのか分かりませんがミット打ちの音がリズミカルで心地よかったのが最初の印象でした。
恐らく演技派という位置づけで決して美人女優という立ち位置ではないものの数々の主演をこなす力量のある岸井ゆきのが演じているのですが、メイクでここまで顔が変わるのかというくらいシーンごとに顔が違います。試合後の顔なんて誰?状態ですよ。
ストーリーは実際にいた女性をモデルに、聴覚障害のボクサーという視点と、コロナ禍や会長の高齢化などが重なり存続の難しくなったボクシングジムという視点を並行で描いていく感じです。どちらも今までなかった(少なくとも自分が観てきた映画では)視点で興味深く観ることができました。
最初聞こえないくらいそこまでハンデになるのかと思っていましたが、たしかにセコンドのアドバイスは聞こえないし、レフェリーの指示が聞こえなかったら確かになと。
そこらへんの事情を知るには良かったのですが、ラストが実話ベースの割に途中だなという印象をうけました。後でモデルになった方を調べて補完しましたが、ちょっと観るものに委ねすぎかな、監督。
静謐な映画。 耳の聴こえない女性ボクサーが題材なのに、特別にドラマ...
静謐な映画。
耳の聴こえない女性ボクサーが題材なのに、特別にドラマチックな展開があるわけではない。
ただ、聾唖者の生活のディテールが、細かな場面で伝わってくる。
手話に対する字幕が場面によって使い分けられた演出も新鮮。字幕でなく、演技に集中することができる。
主人公の内面が語られる場面もほぼない。
なぜボクサーになろうと思ったのか、なぜやる気(「情熱」という言葉とも違う気がする)が途切れたのか、そして試合に負けて何を思っているのか。
感情が表に出ないから、観客は、正に目を澄ませて読み取ろうとするしかない。(聾唖者同士の手話の場面では字幕もつかない。)
ラストの岸井ゆきのの泣きだしそうな笑ってるような顔に涙が止まらなかった。
エンディングも俯瞰で捉えた東京の映像に、スタッフクレジットが切り替えで載っているだけで、とことん静かな終わり。最後に縄跳びの音が少し差し込まれる。ケイコはボクシングを続けていくんだろう。それがすごく良かった。
前作もそうだったけど、三宅監督は朝焼けや夕焼けを捉えるのが上手い。
16ミリの粗い質感、高架下や線路の多い川沿いの風景、冬の曇り空、季節感とも相まって、少し虚しさもまとった感情が残る。
パンフの監督コメントにもあったが、フィルムで撮るという行為自体が、映画の画面を研ぎ澄まされたものにしている。
「日常では見逃してしまうかもしれないごく小さな心の波や、どんな言葉にもできない何かが、映画館では繊細に感じることができると思います。それを信じて作った映画です」
岸井ゆきのの演技を楽しむ
岸井ゆきのを初めて見たのはドラマ「99.9」だったと思う。すごいコメディエンヌが出てきたと驚いた。でも出る作品ごとに、コメディエンヌにとらわれない幅広い女優だということが明らかになっていく。本作の岸井ゆきのは女優として行き着いた最高到達点みたいなもの。
聴覚障害者でボクサーという役を見事に演じきっていた。特にボクシングのシーンがいい。トレーナーとコンビ打ちするシーンはなかなかすごい。相当なトレーニングを重ねたんだろう。
でも、話としてはそれほど面白くも盛り上がることもない。エンタメ映画ではないから仕方ないのかもしれないが少し物足りなかった。
ドラマ「silent」を観ていたので、手話のシーンの表現の違いが面白かった。聴覚障害者同士の会話は字幕もないし、聴者との手話のシーンもサイレント映画のような黒い画面の字幕もあれば、普通の字幕もあって、いろいろと工夫しているのがわかった。その意図はややわからなかったけど。
事前情報が無かったのでピンとこなかった
口コミで上映館が拡大しているとのネットニュースを見て興味を持ち鑑賞しました。
見終わった後の率直な感想は「これで終わり?どこが評価されているのか全くわからん??」でした。何かもの凄く大事な事を見落としてるのだろうかとレビューを見直すと、①敢えて生活音を大きめに表現②映画音楽を無くしている③16mmフィルム撮影 といったポイントがあったそうだ。そんな事とはつゆ知らず静かな場面にウツラウツラしてしまったり。。。
その辺の予備知識があれば、もっと意識して観ることができたのだろうか。また違った印象を持てたのだろうか?私としては岸井ゆきのさんの体当たり演技が素晴らしかった事しか印象に残りませんでした。
ボディブローな環境音
日本アカデミー賞、最優秀賞女優賞、おめでとう!
「ある男」だらけ、そして知名度の高い映画ばかり受賞していた本年度ですが、そんな中で映画ランキングに1度も載っていない本作が受賞。岸井ゆきの、本当に最高だった...泣けてくる。また見たくなったな。
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先日、「月の満ち欠け」のレビューにて、今年一番のドラマだと「silent」を紹介しましたが、訂正させてください。最終回、ハッキリ言えば最低最悪でした。脚本家は今までドラマやら映画を見た事がないのか?紬というキャラクターがつまらな過ぎないか?カスミソウをイルミネーションとか抜かしたこと言うなよ!ろう者バカにしてるだろ!とツッコミどころ満載。今まで追いかけてきた自分が馬鹿みたいに感じるほどムカムカしたのですが、本作はその感情を払拭してくれました。これこそが、ろう者の本当の気持ちのように思え、聴覚障害をハンディキャップだ、すごい大変だ、と言ってるように聞こえるあの作品に対し、本作は決して自分の抱える障がいをハンデだと思っておらず、その周りも真正面から向き合ってくれて、見ていてすごく気持ちよかったです。
耳が聞こえない主人公の作品だと、音がない状況を体験させるシーンがよくあるのだけど、本作はそうではなく、逆に環境音を大きくし強調させることで、主人公のケイコはこの音たちが聞こえていないんだと、観客に感じさせる方法を取っている。それがすごく斬新で、痛いほど感情移入出来てしまう。紙とペンの擦れる音、氷を噛み砕く音、扇風機の爽やかな音、彼女にはこれらの音が届いていない。そんなケイコを孤独だ、可哀想だ、という風に描いていないのも本作の魅力で、嫌な事だったり聞きたくないことが聞こえないから、意外と羨ましいと思ったりもする。ろう者だから辛いという感じでは全く無い。
音にすごくフューチャーされつつも、タイトル通り映像にも見入ってしまう。16mmフィルムの良さは劇場でしか味わうことが出来ず、土地や光なんかもまた1人の登場人物として存在感を放っている。もの寂しさを出しながらも、決して強くない主人公が生きるために必死に頑張る姿を捉えている、ある種のドキュメンタリーのような作品。洗練された映像と音の美しさが、ボディブローのように胸に響く。見た直後は、物足りなかったなという思いが強かったが、時間が経つにつれてこの作品の底知れぬ魅力に気づき始めた。そんな、味わい深い映画です。
フライヤーを見ると、ゴリゴリのボクシング映画(百円の恋、アンダードッグ)を想像してしまうが、全然そうでは無い。私としてはそういうのを期待していたので少し肩透かしですが、それ以上に主人公・ケイコと会長の人生がすごくよく描けている作品であるため、良さを実感するには時間がかかりますが、素晴らしい映画であることは間違いないです。岸井ゆきのファンは必見。ホント、今年は岸井ゆきのが大好きになる年でしたよ。最高の演技をありがとう。
ラストは直前に見た「そばかす」に通じるものがあって、最高に良かった。
silentで盛りあがっている人達に是非とも見て頂きたい。それも劇場で。最後の最後で良作揃い。何度も言うようですが、今年は本当に邦画が凄かった。ラスト1本、年納めに何か見て、それで2022年はおしまいかな。
勢いのある女優の最新作
「愛がなんだ」で衝撃的なブレイクを果たし、出演作が続く、映画ファン期待の女優のひとり、岸井ゆきの最新作。
彼女は美人でもグラマラスでもなく背も低い。今年、「やがて海へと届く」という大愚作に出演していて心配していたが、今作はキャリアベストに近い作品となった。知り合えば知り合うほど、もっともっと知りたくなる女性の魅力に満ちている。
脇役もみごと。「線は僕を描く」に続き三浦友和が素晴らしい。いつの間にこんな優れた俳優になったのか。
生まれつき耳の聞こえない主人公が、ボクシングという舞台に昇ったり降りたりする物語。光の使い方がうまく、聴覚を意識した音の使い方も絶妙。
健常者への警告も的確。コンビニで店員に「ポイントカードお持ちですか〜?」と何度も不審げに言われ、慌ててマイバッグを取り出すプレゼンスをするシーン。コミュニケーションの断絶。他にも細かい演出が秀逸。耳が聞こえないとは、こういうこと。
16ミリフィルムの質感も、豊かに描かれる荒川沿いの風景も、まるでヴェンダースのショットのようだ。
唯一、気になった点は主人公に聴覚障害者を採用できなかったところ。健常者の岸井さんを採用することで、彼女の演技性の素晴らしさはお披露目することはできたのだが、このあたりが欧米映画に追いつけないゆえんかも。
岸井ゆきのの矜持
はい。良く私のやんちゃレビューを覗きに来て頂きました。
唐突ですが私はボクシングマニアなんですね。何故ならば・・・
なにしろあしたのジョーとはじめの一歩を読んでるからね!
漫画かよ‼️
はい。早々に枕を切り上げますね。
ケイコは生まれつき音が聞こえません。
2020年12月23日から物語は始まります。目覚まし時計は役に立たないのでタイマーで扇風機を作動させて目覚めます。
ケイコは弟と同居しています。会話は手話。仕事はホテルの清掃係です。そして夜は下町のボクシングジムに通います。
淡々と日常が描かれます。そう淡々と・・・
特筆すべきはこの映画はいわゆる映画的な演出がありません。スローモーション、カットバック、フラッシュバック、有りません。さらにですよ・・・
音楽、効果音、もないんです。
当然ケイコも殆ど喋りません。ナレーションも有りません。
必然的に私達観客はケイコの表情、特に目の動きに注目するわけですね。ずっとね。するといつのまにかケイコの内面に入って行っちゃうんですよ。今までそんな経験はないんですけどね。
ケイコはいつも怒っています。弟やお母さんが手話で話しかけても拒絶します。お巡りさんやコンビニの店員にも怒っています。しかしボクシングジムで過酷なトレーニングをしている時だけは大丈夫。むしろ楽しんでます。
【注意】ここから少しだけネタバレ気味です。
ある時、ジムの会長(三浦友和)が身体を壊します。さらにジムの老朽化も進み、苦渋の決断でジムが閉鎖する事になりました。ケイコはジムの会長を慕っています。さらに次の試合も迫っています。ケイコの心は揺り動きます。どうする?
やはりボクシングはどつきあい。殴られれば痛いし、怖い。やめる?続ける?
終盤近くに河川敷でケイコに話しかけて来た人がいます。その後のケイコの表情が絶妙なんですよ。モノローグかナレーションが入りそうなところ。でもそれらは、ないんですね。
【注意その2】いまから本質的な事に触れるかも知れません。未見の方は読まない方がいいかも。
あのね沈黙は金ですよね、わかってます。言わぬが花とも言いますよね。あしたのジョーの主題歌が良いのは・・・
♩だけど、ルルルルー ルルルールールルルルー
ハミングかよ!尾藤イサオ歌詞忘れんなよ‼️
それでも言いたい。ケイコの気持ちを。
「あたいは小さい時からいじめられてきた。耳が聞こえないからね。音の無い世界は健常者はわかんないんだよ。安易な同情もうざいんだよ!
あたいは一人だった。今でも。だから、あたいはボクシングを始めたんだよ。ボクシングは団体競技じゃないからね。
ボクシングはあたいの性にあった。練習をしてれば、辛い事も忘れられるしね。いや最初はあたいを守る格闘技のつもりだったんだけどね。
ジムの閉鎖かあ・・・お母さんも言ってたし潮時なのかなあ・・・前の試合も・・・
でもね、今の人の言葉で考えが変わった!ボクシングって個人競技じゃない。会長さんやトレーナーさんとコミュニュケーションを取っている。なんなら敵だった対戦相手とだってコミュニュケーションしてるじゃん!
やるかやられるかだけどね。まあ同志なのかな。喧嘩じゃないんだよねボクシングは。なんかまた好きになったかもね。ボクシング。
どうしようかな?どうしようかな?
とりあえず走ろう。走ろう。
明日はどっちだ?」
岸井ゆきのは言ってます。ケイコは私だし、私はケイコだ。3ヶ月糖質制限して身体を作りました。
監督とスパーリングした時、監督はディフェンスしかしませんでした。当たり前です大切な主演女優を傷つける事は御法度。ゆきのは・・・
激怒!打ってこいよ!
ボクサーです。
僕さーボクサーなの。
ガッツかよ‼️
語りたい事はまだまだあるんですがきりが有りません。井上尚弥とかね・・・
あとねインスタで吉岡里帆とやりとりしてるのもホッコリ。吉岡里帆は目が見えない役をやったしね。
そろそろこの辺で・・・
OK牧場。
うるせえーー‼️
お付き合い頂きありがとうございました。
岸井ゆきのの演技に尽きる
「愛がなんだ」でも今年の「やがて海へと届く」でも、また放送中のCMであっても、警戒感を感じない柔らかな笑顔しか浮かんでこない そんな柔らかな岸井さんが、同じ障がいを持つ友人との語らいの場面以外では、常に厳しく他人を寄せ付けない表情で、常に前を見ている
実話がベースにあり、障がいと向き合いながら生きていくことが、彼女をそうさせているのであろうが、これまでの岸井さんからの大きな変化に圧倒された
学校の先生は、一年とか決まった期間だけ受け持つのに対して、こういったジムは様々な動機や理想を持って期間を定めず入会してくる それこそダイエットやストレス解消、体力づくりの目標の人がいる一方で、人生に足りないものを求めたり、一生を賭けてくる人もいるだろう 三浦友和演じる会長や指導者の側からすれば、そんな重い大きな動機を持って入会してくる「会員」に、その思いに応えていくという責任を、岸井さん演じるケイコから感じ取り、向き合ったともいえるだろう
ケイコは何と闘っているのか、母親の心配にも揺るがないのは何故なのか、それでも他の「会員」や指導者に気遣って手紙を書いたのは何故か、いつもの岸井さんではない、倒されてもすぐ起き上がり、足を踏まれたことを懸命にアピールする姿に打たれました
「櫻の園」の中島ひろ子さん、アイドル並みの人気であった仙道敦子さん、こういう役をされる年代になられたのですね(12月29日 なんばパークスシネマにて鑑賞)
予期せぬ傑作との出会い
元プロボクサー・小笠原恵子さんの自伝「負けないで!」が原案とのことで、耳が聞こえない女性ボクサーの話なのだが、、、
障害者のスポ根映画かと思い観ることを躊躇していた自分がバカだった。障害とボクシングがインターフェースとはいえ、途中からは自分と重ねた。自分の生き様と重ねた。心が震えた。
そう、これは「生きること」そのものを問う普遍的な作品。多くの人に届くことを願う。
ケイコ、負けんなよ。
両耳とも聞こえない聴覚障害を持ったプロボクサーの主人公ケイコが、所属するジムの閉鎖を知ったり、親に心配されたりして、自分の進退について迷う話。
前半、表情もあまり変わらず、人と関わることも極力描かれない主人公は呆気なく劇中1個目の試合にあっさり勝利。だからこの強さの理由は、無駄な雑音が入ってこないから普通の人より逆に集中して試合に挑めてるんじゃないかと思える。
最初から強調されるジムの色んな機械が動く音、ミットを殴る心地良い音は聞こえないし、カードを作ると得になることも知りえないけど、コーチが大声で怒鳴る声やめんどくさいおじさんが絡んでくる声も聞こえない。聞こえないことがかえってプラスになってるのかなと前半までは思える。
でも、1試合目が終わり傷だらけ、体調も崩してお母さんにもやや反対され、ケイコの心の中に雑音が入ってくる描写が増える。そこら辺を境に友達と笑いあったり、弟ともコミュニケーションが増え、前半関わらなかった大声で怒鳴るコーチとも練習するシーンが出てくる。
極めつけはケイコの日記が明かされるシーン。ケイコが変わったのではなくて、実は最初から色んな雑音を心に抱えてたことが分かる。このシーン、勝手にケイコを神格化ささて見てしまっていた自分に気づいて、グサッと刺さった。普通にくだらないことで笑ってたり、ダルいなと思ったり、自分の未熟さを痛感する普通の女の人だった。
ボクシングをする何か高尚な目的があった訳じゃなくて単純にジムの会長が良いおじさんで、しかもやっと自分を受け入れてくれた場所だったから続けてたんじゃないかなと思う。それが、ジムが閉鎖になると決まり、色んな気持ちを抱えたまま試合に挑んで、そこで足を踏まれたことを誰にも気づいて貰えない理不尽さに遭遇して、初めて「負けたくない!」ってなったんじゃないかなぁ。
それまで、傍から見ると歯がゆい部分もあったけど本人的には耳が聞こえなくても比較的不自由なく暮らしていたように見えて、だけど最後、足を踏んだことを謝りもされなくて「あぁ絶対負けてたまるか」ってなったように見えた。負けんなよケイコ。
あの名作を彷彿とさせる‼️❓プロローグなら続きを見せて欲しい‼️❓
岸井ゆきのは、シドニースワンク。
三浦友和は、クリントイーストウッド。
そう、あの、アカデミー賞作品に並び称される映画なのだ。
そして、silentの斜め上を行く、凄い作品。
コーチの俳優といい、ゆきのの所作といい、この映画、マーベリックみたいな本物なのだ。
聾唖のボクサーは危険、放浪する聾唖は危うい、遮断機が危険、突き詰めていけ、ひたむきに、丁寧に、正直に、繊細に。
ただ、揺れる心と苛立ち寂しさそれらが混然となり昇華する時、何かが始まろうとしている。
それは、夜明けなのか、それとも地獄の始まりなのか。
この映画の最後は静寂だ、だから、続きを期待するのだ。
最高の映画のシリーズ🎞🎬🎦を予感させる、何か身震いさせるような今後を期待させるものでした。
日本映画を最高の品質を世界に誇れる一端を担おうとする歴史が始まろうとしている。
日本映画の記念碑となる名作を是非。
ミット打ちが言葉に出来ぬほど素晴らしく、それだけで途中涙ぐんでしま...
ミット打ちが言葉に出来ぬほど素晴らしく、それだけで途中涙ぐんでしまった。ミット打ちと友人との手話を「同義語で対義語」として描く辺りも才気迸る。ただ「きみの鳥は歌える」的ラストの決定的感はなかった。勿論三宅唱らしいのだけど。
劇場は満杯。邦画ではアニメでしか見ない光景。日本のエースは濱口ではなく三宅ではないかなあ。
絵も上手い
可愛い岸井ゆきのちゃんが
あのゆきのちゃんが
顔が違う
別人
ケイコになっていた
耳の聞こえないボクサーを熱演🥺
耳の聞こえない方の世界を覗かせてもらえた
重要な事が聞こえないのは
かなり大変だと思ったが
聞こえなくて良い事が聞こえない、わからないのは良いなと少し思えた
弟役の佐藤 緋美君が良い
最近ドラマに映画に出てきていて嬉しい😆
緋美君以外の音楽がなかったのも凄い
でも引き込まれる
会長役の三浦友和、ボクシングを教える方々も熱く良い人
ケイコから目が離せない
そんな映画🎬
Facebookで知ったが
クリスマスイヴにシアターキノへ柄本明さんが来てこの映画を見て行ったらしい!
激アツだ!
一緒に映画観てみたいわ🤭
コロナ禍の日常を描く異色作
生まれつき聴力がない障碍を持ちながらプロボクサーとなった主人公・ケイコの葛藤と、彼女と周囲の人々との関係性を描いた良作でした。聴力がない人を描く映画というと、今年のアカデミー賞作品賞を獲得した「コーダ あいのうた」が直ぐに思い浮かびましたが、コーダがコメディ要素満載だったのに対して、本作にコメディ要素はなく、全く雰囲気の違う映画でした。
またフィクションだったコーダとは異なり、本作は実際に聴覚障碍のあるプロボクサー・小笠原恵子の自伝である「負けないで!」を原案として構成されていて、ノンフィクションとは言わないけれども、それに近い内容になっていました。北千住駅前や京成線の鉄橋と思われる、なんとなく見たことのある下町の風景を舞台にしていたことも、非常に身近な作品だと感じさせてくれた一因でした。
本作で注目すべきは、自分が聴力がないことで、ボクシングジムの他のメンバーに迷惑を掛けているのではないかと思って葛藤するケイコの姿もさることながら、ジムのメンバーの個々の反応ではなかったかと思います。会長やトレーナーは基本応援するスタンスですが、必ずしも才能豊かとは言えないケイコを重視することに反発を覚えてジムを止める練習生もいて、この辺りは非常にリアリティを感じました。仮に自分がジムの一員だったとしても、ジムを止めてしまった練習生同様の反応をしたかも知れないと思うからです。
また、原案となった「負けないで!」は2011年に上梓されていて、小笠原恵子が実際にプロのリングに上がったのは2010年から13年だったようですが、本作は現在の日本、つまりコロナ禍になってからの出来事として描かれていました。登場人物たちもマスクをしているし、ジムの経営にもコロナ禍が影響して、会長の健康状態の悪化とともに、ジムを畳まないといけなくなることになる辺りも、現下の日本の状況に即して物語られていました。思えばコロナ禍になって3年近くが経過しますが、この状況を所与のものとした作品は初めて観たので、ある意味非常に新鮮でした。おそらくはコロナ禍が去った後に、その結末を踏まえてコロナ禍を描く作品が出てくることは想像に難くありませんが、必ずしもコロナ禍そのものをテーマとせず、それを所与のものとして現在進行形の日常生活を描いた本作は、大変貴重な存在だと思います。
俳優陣としては、ケイコを演じた岸井ゆきのが聴力のないボクサー役を非常に上手に表現していたと思います。ただ冒頭にも触れたコーダとの対比で言うと、コーダに登場した聴覚障碍者は、アカデミー助演男優賞を受賞したトロイ・コッツァーはじめ、皆実際の聴覚障碍者の役者でしたが、岸井はそうでなありません。この点をもって本作を否定する積りは毛頭ありませんが、コーダがアカデミー作品賞を受賞したのは、トロイ・コッツァーら聴覚障碍のある俳優陣を起用したことだ大きく貢献していることから、日本においてもこのような作品創りはひとつの課題なのではないかと感じたところです。
あと、ジムの会長夫妻を演じた三浦友和と仙道敦子が、枯れた感じを出していて、非常に好感が持てました。仙道と言えば、30年以上前に「職業選択の自由、あははん」という転職情報誌のCMが印象的で、個人的にはその印象をずっと引き摺っていたのですが、本作ではそうした印象が払拭されました(笑)
そんな訳で、聴覚障碍のボクサーという稀有の存在を描くとともに、コロナ禍の日常を描くという異色な点も考慮して、評価は★4としたいと思います。
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