劇場公開日 2022年12月16日

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「岸井ゆきのの矜持」ケイコ 目を澄ませて masamiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0岸井ゆきのの矜持

2022年12月30日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

はい。良く私のやんちゃレビューを覗きに来て頂きました。

唐突ですが私はボクシングマニアなんですね。何故ならば・・・

なにしろあしたのジョーとはじめの一歩を読んでるからね!

漫画かよ‼️

はい。早々に枕を切り上げますね。

ケイコは生まれつき音が聞こえません。

2020年12月23日から物語は始まります。目覚まし時計は役に立たないのでタイマーで扇風機を作動させて目覚めます。

ケイコは弟と同居しています。会話は手話。仕事はホテルの清掃係です。そして夜は下町のボクシングジムに通います。

淡々と日常が描かれます。そう淡々と・・・

特筆すべきはこの映画はいわゆる映画的な演出がありません。スローモーション、カットバック、フラッシュバック、有りません。さらにですよ・・・

音楽、効果音、もないんです。
当然ケイコも殆ど喋りません。ナレーションも有りません。

必然的に私達観客はケイコの表情、特に目の動きに注目するわけですね。ずっとね。するといつのまにかケイコの内面に入って行っちゃうんですよ。今までそんな経験はないんですけどね。

ケイコはいつも怒っています。弟やお母さんが手話で話しかけても拒絶します。お巡りさんやコンビニの店員にも怒っています。しかしボクシングジムで過酷なトレーニングをしている時だけは大丈夫。むしろ楽しんでます。

【注意】ここから少しだけネタバレ気味です。

ある時、ジムの会長(三浦友和)が身体を壊します。さらにジムの老朽化も進み、苦渋の決断でジムが閉鎖する事になりました。ケイコはジムの会長を慕っています。さらに次の試合も迫っています。ケイコの心は揺り動きます。どうする?

やはりボクシングはどつきあい。殴られれば痛いし、怖い。やめる?続ける?

終盤近くに河川敷でケイコに話しかけて来た人がいます。その後のケイコの表情が絶妙なんですよ。モノローグかナレーションが入りそうなところ。でもそれらは、ないんですね。

【注意その2】いまから本質的な事に触れるかも知れません。未見の方は読まない方がいいかも。

あのね沈黙は金ですよね、わかってます。言わぬが花とも言いますよね。あしたのジョーの主題歌が良いのは・・・

♩だけど、ルルルルー ルルルールールルルルー

ハミングかよ!尾藤イサオ歌詞忘れんなよ‼️

それでも言いたい。ケイコの気持ちを。

「あたいは小さい時からいじめられてきた。耳が聞こえないからね。音の無い世界は健常者はわかんないんだよ。安易な同情もうざいんだよ!

あたいは一人だった。今でも。だから、あたいはボクシングを始めたんだよ。ボクシングは団体競技じゃないからね。

ボクシングはあたいの性にあった。練習をしてれば、辛い事も忘れられるしね。いや最初はあたいを守る格闘技のつもりだったんだけどね。

ジムの閉鎖かあ・・・お母さんも言ってたし潮時なのかなあ・・・前の試合も・・・

でもね、今の人の言葉で考えが変わった!ボクシングって個人競技じゃない。会長さんやトレーナーさんとコミュニュケーションを取っている。なんなら敵だった対戦相手とだってコミュニュケーションしてるじゃん!

やるかやられるかだけどね。まあ同志なのかな。喧嘩じゃないんだよねボクシングは。なんかまた好きになったかもね。ボクシング。

どうしようかな?どうしようかな?

とりあえず走ろう。走ろう。

明日はどっちだ?」

岸井ゆきのは言ってます。ケイコは私だし、私はケイコだ。3ヶ月糖質制限して身体を作りました。

監督とスパーリングした時、監督はディフェンスしかしませんでした。当たり前です大切な主演女優を傷つける事は御法度。ゆきのは・・・

激怒!打ってこいよ!

ボクサーです。

僕さーボクサーなの。

ガッツかよ‼️

語りたい事はまだまだあるんですがきりが有りません。井上尚弥とかね・・・

あとねインスタで吉岡里帆とやりとりしてるのもホッコリ。吉岡里帆は目が見えない役をやったしね。

そろそろこの辺で・・・

OK牧場。

うるせえーー‼️

お付き合い頂きありがとうございました。

masami
Uさんさんのコメント
2023年5月6日

「ボクシングって個人競技じゃない。〜〜なんだったら敵だった対戦相手とだってコミュニュケーションしてるじゃん!」と言う、ケイコの想像モノローグが、すごく素敵です。

Uさん
Mさんのコメント
2023年4月18日

もし、読まれてなければ、ぜひ「がんばれ元気」も読んでみてくださいね。

M
CBさんのコメント
2023年3月24日

ほんとに、淡々と、毎日が描かれてました。
一体、なぜ、この映画に感動するのでしょう。今でも謎のままです。なんて、気持ちいい謎なんだろう!

CB
iwaozさんのコメント
2023年2月10日

W三浦コンビ(友和、誠己)は最強!
&松浦さんっ!品質保証感がハンパないであります。
「百円の恋」「あゝ、荒野」「アンダードッグ」「BLUE」「レッドシューズ」「かぞくへ」、、
ボクシング映画名作だらけですよね

iwaoz
iwaozさんのコメント
2023年2月10日

しかし、masamiさんのコメント
楽しすぎ面白すぎ!(^。^)
他もいろいろ見させていただきます!

iwaoz
iwaozさんのコメント
2023年2月10日

喋らずにいる方が人の複雑な
矛盾した心情を表現できている
ような気がします。
是枝監督の「誰も知らない」や
ケンローチ監督の「ケス」から
「家族を想う時」などなど。
極めつけは
新藤兼人監督の「裸の島」!
全編セリフなしなのに泣ける(T . T)
しかし、ゆきの氏は小河恵子として
小手先技じゃない体当たりの表現、
生き様を見せてくれましたよね。
凄いです。m(_ _)m感謝

iwaoz
iwaozさんのコメント
2023年2月10日

ケイコの気持ち!最高です!
「明日はどっちだ?」!^_^;
元祖あしたのジョーから真心ブラザーズ、クリープハイプと名曲ぞろいですが、映画と言えば
この映画が代表になるかも。
セリフはないですが、もう
そうとしか聞こえないですよね。
実際は聞こえないのですが、
耳を澄ませば聞こえる。
「目を澄ませば」聞こえる!
そう感じました!
素晴らしいコメント!感謝です^ ^

iwaoz
cocoloさんのコメント
2023年1月12日

岸井ゆきのって、去年、「恋せぬ二人」っていうNHKのドラマに出てたんですよ。
ゆきのは恋愛が駄目なんですよ。っていうか、いちいち男と女という単位で、解釈でモノを見たがる予定調和にめちゃくちゃ苛立っている。ゆきのは人間として存在したかったんだと思う。知らないけど。
で、セックスが駄目な男性と、世間の干渉を回避するため、カムフラージュとして同居するんですよ。
私、このドラマ好きでした。
そんなゆきのが、また、えらい「個」になったもんだなあと思いました。あんまり世間がうるさいんで聴覚なくしちゃたのかな?

cocolo