劇場公開日 2022年12月16日

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ケイコ 目を澄ませてのレビュー・感想・評価

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4.5"日常"に勝るドラマ無し!!  耳の聴こえない女性プロボクサーがままならない日常のノイズに怯えながらそれでも下町の空の下で日々の積み重ねを生きる人生応援映画

2022年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

Filmarks試写会にて鑑賞。
 "耳の聞こえない女性プロボクサー"というプロットから大仰な物語を想像するが,本作はあくまで事件性の無い日常を描くその圧倒的な情報量と迫力!
敢えて16mmフイルムで撮られた荒川の下町の景色は清貧で,際立った環境音は快い音楽のよう…
ケイコの等身大の不安、煩悶、焦燥、そして安らぎに自然と思いが寄せられる。
日常に勝る物語無し!
 主人公の人物像からして、ともすれば"耳が聞こえないことによって生まれる苦悩と感動のドラマ"を想像してしまいますが、そこは独特の話運びと映像センスを持ち合わせた三宅監督らしく、劇的な出来事ではなく起伏の乏しい日常の積み重ねを、明光風靡な景色ではなく下町の何気ない片隅を、敢えてデジタルではなくしかも情報量の少ない16㎜フィルムで撮影した"日々の一回性"を大事にした稀有な作品に仕上がっています。
 主人公の持つハンディキャップを強調はせず、本来であれば最大の盛り上げ場でカタルシスとなるべきボクシングの試合もあくまで日常と対等かそれ以下ぐらいの比重で語られております。
 作品内容とは対照的に作品が観る者に投げ掛けるメッセージはアンチドラマツルギーとも言える挑戦的なものとなっており、"面白さ"の前提条件を根底から覆すような作りです。

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O次郎(平日はサラリーマン、休日はアマチュア劇団員)

3.5僕らは耳を澄まして、目を見開く=この結局分かり合えない世界を注意深く見る

2022年12月9日
Androidアプリから投稿

コロナ禍の閉塞感漂う世界で一歩踏み出すこと、何かしらの理由で壁にぶち当たって立ち止まった人々がまた走り出すまでを丁寧に描き紡ぐ日常。劇伴のない中で環境音だけが普段より大きく際立つ世界は、耳の聞こえない人を主人公に据えた他の作品の一般的な演出方法とは異なるアプローチで、観客の安易な"共感"=知ったつもりを拒む。そうやって断絶されながらも、同じなんだと知る。テンポ・リズムを刻んでは人生を踊り、駆け抜ける。
画が良くて、例えば河辺の橋の下、電車が上を通り過ぎる中で主人公ケイコがこちらに向かって歩いてくる夜のカットとか痺れた。そのカット関連で言うと、"点滅"という状態も印象に残った。母親が「もうボクシングやめたら?」と説得するときの踏切のカンカン音(だけ)、電車の通る河辺の橋の下、そして家の呼び鈴を告げる光…と順を追って、最初は光源が見えなかったものが見えて、最後は光だけが顔を照らすという(考え過ぎかもしれないけど)具合。
未来が見えなくて、語弊を恐れずに言ってしまえば息苦しい作品。でも…。分かっちゃいたけど、やっぱり岸井ゆきのが凄かった。本作を見る理由そのもの。そして三浦友和演じるコーチも良かった。監督の寄り添うような、だけど決して湿っぽくなりすぎない絶妙な距離感の中で、二人の体現するキャラクターの人生が最終的には確かに動いていた。これを見た僕らも、微かに射し込む光へと向かって走るんだ(病院、丘の上)!

P.S. 主人公の弟とその彼女のカップル、もしかして小松菜奈主演『ムーンライト・シャドウ』の氷魚の弟カップルと一緒?

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とぽとぽ

2.5「一度休みたいです・・・」

2022年12月7日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

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いぱねま