ケイコ 目を澄ませてのレビュー・感想・評価
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笑わない岸井ゆきの選手。ケイコの心情が伝わってくる。
ケイコはボクシングが好きで、このジムにも愛着がある。何よりも会長(三浦友和さん)を慕っている。後半、ケイコと会長が鏡の前でやるシャドーボクシングの場面がいい
下町のさびれゆく小さなボクシングジムの悲哀がよく描かれていた
映画は一般人の密着ドキュメンタリーみたいな内容だ。生きてれば誰にでもある日常的な出来事や、人間関係のあれこれが描かれるだけだ。だから何も起きずに淡々と進み静かに終わる。しかし、ケイコの心は雑音だらけ(ポスターより)で揺れに揺れる。その心の迷いを岸井ゆきのさんがみごとに好演
持ち前の演技力に加え、腕力も手に入れ更にパワーアップ。マシンの筋トレの場面はマジきつそうで笑えた
(追記)結構おすすめの映画なのだが、私のように映画にエンタメ性(ドラマ性)、感動を第1に求める人は、期待値のハードルを下げて見たほうがヨイ。ラーゲリ、スラダン、アバター、コトー系ではない
挑む価値
彼女にしか聞こえない音があるのだろう。
何故、ボクシングなのか最後まで分からなかった。想像は出来る。殴り合う事自体がコミュニケーションであり、目や体は雄弁に語りもする。
感触、他人の感触が自分の存在を確かにする事もある。そういう事なのだろうか?
おそらく、ご本人は立派な人なのだろうと思う。
健常者からは分からない。やる価値がご本人にはしっかりとあるのだろう。
挑戦なのか、抵抗なのかは分からないけれど、並々ならぬ信念がないとなし得ない事だと思う。
それにどれくらいの価値があるのか?
他人からは測れない。
ましてや、普通の人とは感覚が違う。
彼女は彼女の世界を生きてるのだと思う。
「音」が聞こえないから。
それ以外の情報から、推察し構築するのだと思う。
…凄い世界なのだと思う。
静かな映画だった。
むしろ…静かすぎた。
この作品を無音で観たら、彼女の世界を少しは感じれるのかもしれない。
女子の四回戦って、あんなにプニプニでも成立するんだろうか?申し訳ないけど、ボクサーには見えなかった。
岸井さんが彼女を表現するには、飢えが足りなかったように思うし、ちゃんとボクシングをやっとかないと、この作品は手出しちゃダメだと思う。
彼女はおそらくボクシングが好きで、その理由が彼女の存在証明にも直結してるように思うからだ。生まれつきのハンデを背負ってる状態でもやれる。勝てる。私は何一つコイツらに劣ってない。
ハングリー精神の代名詞でもあるボクシングが、この作品にもたらす影響は絶大なのだと思う。
とてつもなく凄い映画を観た感覚
なんだろうなあ、人間としての器量があるんですよ。
岸井ゆきの、やってくれるねえ。聴覚障害がある役なので、ほぼセリフなし。そして、ほぼ笑顔もなし。世間から距離を置いて生きているけれども、けしてはみ出しているわけではない。つまり、人に頼ることを拒否して生きているようだ。ボクシングは彼女にとってどんな存在なのだろう。どうも、強くなりたいってだけじゃないみたい。勝ちたいって気持ちは、対戦相手にじゃなくて、自分に、じゃないかと思えた。人間関係も極力避け、甘えることも捨て、まるで、媚びない野良猫のように。
音楽のないエンドロール、生活音だけが雑音のように聞こえてくる。ケイコの世界はこんな様子なのか、と思ったが、いやいや、本当のケイコの世界はこんな音さえも聞こえてこない無音の世界なのだ。いま、自分のいる世界から音が消えたらどうだろう?と想像した。そのぞっとする世界にいて、ケイコはさらにボクシングに挑んでいる。挑んでいるんだよ、ひるむことなく。器量、というか人間としての了見というか、なけりゃできないよ。すごいよ。そんなケイコを体現した岸井ゆきの、彼女もすごいよ。
岸井ゆきのの好演につきます。
もの凄いカウンターパンチ😇
あとからじわじわ来る
途中までジムとアパート、職場の淡々とした生活描写が続くが、オーナーの奥さんが主人公の日記を読み、それに沿って主人公の回想シーンになったところで、感情移入させられ、最後に向かってぐっときました。久しぶりにパンフレット買って解説と岸井さんの写真みたいなと思ったら売り切れていて、やっぱり、、と思いました。
“人間の器量が大きいんですよ”とは、人間やっている限り一度は言われてみたい台詞だなァ。少なくとも二度観るべき映画。一度は一観客として。二度目はケイコになったつもりで(ってまだ一回しか観てないけど)。
徹底された引き算の美学。 この映画には劇伴が一切ない。 氷を噛み砕...
徹底された引き算の美学。
この映画には劇伴が一切ない。
氷を噛み砕くガリッという音、日記を書きつける時の紙の上をガリガリ走らせるペンの音、静寂を切り裂くようにバシッ、バシッと鳴り響くミットを打つ音、シューズでキュッ、キュッと床を踏み鳴らす音。生活音だけが静かに流れ、
受け手の、画面を眼差す感覚が研ぎ澄まされていく。
ここに至るまでの過程や背景、主人公がボクシングに賭ける想いなど、一切の説明はない。聾者が主人公だが、共感を求めるように主体的に主人公の中に入ろうともしないし、送り手は一定の距離をずっと保ったまま、見つめ続ける。例えば、主人公が聾者の友人らと手話で会話するシーンには一切の字幕がない。主人公の葛藤の理由もはっきり分からずに話は進んでいく。理解や共感を求めるような作りには一切なっておらず、むしろ、そういうものからは距離を置こうとしているようにすら映る。
また、強いコンフリクトや、ハンデがもたらす感動とかで変に煽ることもしない。スポ根モノとしてドラマティックな盛り上がりがあるわけでもない。ただただ、静かに登場人物たちを照射する映画である。全ては受け手の想像に委ねられている。
劇中、大変なことや精神的にしんどいことが継続的に起こる。その後挽回するかのように何か特別に幸せが訪れるわけでもない。日常は淡々と流れて行く。けれどその日常の中にハッとする美しい瞬間がある。淡々と描く中に、計算された確かな眼差しがある。
街に静寂だけが流れ、最低限の環境音楽だけで静かに奏でられるエンディングは鳥肌モノ。永遠に見ていたい。
色んなものを削ぎ落としているけど、知的で静かなパワーがある映画。もう少ししたら2回目の鑑賞に行こうと思う。
メッチャ引き込まれる女性ボクサーの作品! 本年度ベスト!
岸井ゆきのさん目当て!
セリフは無いものの、彼女の演技に圧倒。
彼女が出演している作品の中でも1番良い作品って感じ。
聴覚障害のケイコ。
ホテルの客室清掃員として働きながら、プロの女子ボクサーとしてジムでトレーニングする毎日。
ケイコのトレーニングする姿が圧巻される!
特にコンビネーションのトレーニング。
グローブでパンチングミットを打つ音がリズミカル。
ストレートやアッパーパンチをする中、ミットを躱す動きもプロっぽい(笑)
ステップを踏むシーンがダンスをしている感じで美しいながらも何故かコミカルに見えてしまう。
試合のシーンの迫力が凄い!
本当にパンチを受けている感じ。
彼女が手話で会話するシーンも素晴らしかった。
ボクシングや手話など難しい演技が多い作品の印象。
岸井ゆきのさんにアッパレを差し上げたい(笑)
ジムの会長の笹木を演じた三浦友和さんも良かった。
最近観た水墨画の映画の役の様に優しい感じが印象的。
本作は実際にいる聴覚障害のある女性ボクサーを題材にしているらしいけど、音が聞こえないのにボクシングするって事に驚きを隠せず。
本作は岸井ゆきのさんの代表作になった感じです( ´∀`)
静かにアツい良い作品だった。登場人物全員の葛藤が丁寧に描かれつつ、...
ボクシング映画は数々あれど、女性で聴覚障害のある方が主人公の映画は初めて?
澄んでいる
一つ一つの構図が美しく
雑多な日常の風景であるが非常に目を引く魅力的な画であって、とても好きです。
特に夜の川沿いの高架下で電車が通るとその光で浮かぶシルエットがとても良かった
しかし構図が決まった固定の画であるためボクシング試合のシーンでは少し大人しい
印象もあったが岸井ゆきのさんの闘う姿や生命力強い瞳から熱い闘争のようなものを感じた。
なぜケイコがボクシングを休もうと思ったのか理由を考える時間がとても長く
葛藤が非常に丁寧に描かれているが、結局決定的なものはわからず
こうなのかなぁ?と見る側がそれぞれ感じとるもので、少しモヤモヤしたが
それを察してか勝手に人の心をわかったように思わないでという言葉にハッとし
何事も明確にすることが良いということではないし
これは主人公も手探りであり、後半の松浦慎一郎さんが嬉しそうに笑った
コンビネーションミット打ちは
観るボクもとても嬉しい見事なミット打ちだった
とても静かな映画であり、激しいものは無いのだけど、静かな闘志というか
力強い生命力、深い呼吸のような強さが画から溢れている
淡々と進む
少し退屈なのに、心地良い
ある女性を定点観測の基準点として、日常を切り取った詩のようなドキュメンタリー、或いはドキュメンタリーのような詩。
生きるためには稼がなければならない。
生きるためのエネルギーとして打ち込める何かがあればもっといい。
生きるためには周囲とのコミュニケーションが必要だけれど、その方法は人それぞれでいい。
ささやかな達成感もささやかな挫折も車や電車の走行音と同じで、いつでも隣にあって、時には意識的に耳を(目を)澄ますこともあれば、無意識に受け止めていることもある。
ラスト。
対戦相手から声をかけられて、心にほんの少しの揺らぎが生じたと思ったら、想像以上に複雑な感情が同時に襲ってきて、思うより先に身体が反応して走り出す。
このシーンの岸井ゆきのさんの表情の変化は圧巻でした。映画全体のトーンは正直なところ少し退屈ではあるけれど、このラストを見たら、なんだかいい感じで締め括られてしまいました🤗
干渉はしないけれど、個々のあり方について自然体で受け入れる。
そんなウエット過ぎない人間関係の描かれ方がとても心地良い映画です。
ソリッドな岸井ゆきの
岸井ゆきのの視線も演技も切れ味が鋭い。耳が聞こえないというハンディをハンディとして扱って欲しくないという意思の表れだと思う。
ケイコの心の内の変化を表情と仕草だけで表現するソリッドな作品で、音のない世界を色々な手法で観客に伝えようとしている。高架下で電車の轟音が響く場所でも、ケイコは母親に何かを言おうとする。弱い者と見るや攻撃する中年オヤジの怒声もケイコには聞こえない。
ボクシングの試合は、リアルファイトに感じるすごい迫力。岸井ゆきのはハードなトレーニングをしたんじゃない。
作品の質は高いと理解できるが、ライドできるようなストーリーラインでないところが、自分の好みではなかった。
それにしても、客席が9割埋まっていたのには驚いた。
劇的な展開はないけど
淡々と進んでいきます。仙道敦子さん懐かしい。あの頃を思い出します。岸井さんも、いいですね、オモチャ屋の社長より断然こっちです。ミリオンダラーベイビー的な雰囲気がありますが、あちらのような悲劇的なラストにならないのも良い。対戦相手がちゃんと自分をリスペクトしていたことを知るラストも清々しい。
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