ー 私が年齢が随分と違うジェーン・バーキンを知ったのは、大学の岳友のアパートの彼のCDラックの中にあったジェーン・バーキンのCDを聴いてからである。
彼の有名な、彼女と良い仲だったセルジュ・ゲンズブールとのエロティック過ぎるデュエット曲「Je t'aime moi non Plus」での、ジェーン・バーキンが喘ぎ声を囁きながら”Je t'aime”と繰り返すウィスパーヴォイスにヤラレテしまったのである。
あー、やられたよ!
で、中古CD屋を回り名盤「BABY ALONE IN BABYRON」を購入した。このCDは1000枚あったCDを半分処分した際にも、手元に取って置いた。今、そのCDジャケットを見ながらこのレビューを書いているのだが、ジェーン・バーキンの顔が物凄い妖艶さで、映されているのである。
その後、彼女とセルジュ・ゲンズブールとの間に娘さんがいて、若いのにCDを発売していた事を知った私は、コレマタ速攻で中古CD屋に行き、シャルロット・ゲンズブールが15歳‼の時にリリースした「Charlotte For Ever」(日本版のタイトルは”魅少女 シャルロット”である。)を探し回って購入した。
一曲目からセルジュ・ゲンズブールとのデュエット曲”Charlotte For Ever"が流れ、何故か”コノヤロー、セルジュ・ゲンズブール‼”と思った事は覚えている。このCDも当然、手元にある。可愛い声だがシャルロット・ゲンズブールも又、ウィスパーヴォイスなのである。
その後、だいぶ経ってから「5.55」「IRM」が発売された時は、コレマタ速攻で購入し、聴きまくったモノである。当然、この2枚も手元にある。売る気はサラサラない。ー
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・最初は、2018年の日本で、二人は小津安二郎の映画の舞台にもなった京都の旅館で向き合うが、雰囲気がギコチナイ。
それはそうだろう。二人に諍いが有った訳ではないが、シャルロット・ゲンズブールは、ジェーン・バーキンが新しいパートナー、ジャック・ドワイヨンの元に走ってからも、セルジュ・ゲンズブールに育てられたからであろう。
・その後、撮影は2年中断され、二人は自宅や思い出の地で昔の事を語り合うのである。ジェーン・バーキンが、若い頃から不眠症であった事や、長女ケイトを”事故”で亡くした事などや、彼女が今でもシャルロット・ゲンズブールに対し、後ろめたい思いを持っている事など・・。”貴女は、特別な子だったの。近寄りがたくて、神秘的で・・。”
・それにしても、ジェーン・バーキンが齢70歳とは思えないチャーミングさなのには、驚いた。話し方、立ち居振る舞いも若く、シャルロット・ゲンズブールと交わす会話も、哀しい出来事に対しても真摯に話す姿勢には、感服したなあ。
矢張り、このお二人は素敵な母娘なのである。
<二人は、打ち解けた様子で語り合い、最後は浜辺でワインを飲んだ後に、二人でお互いに腰、肩に手を回しながら歩んで行くのである。
そして、ジェーン・バーキンは、今作後、2023年の夏に長女ケイトのいる場所に旅立ったのである。
今作は、”こんな素敵な母娘って、そうは居ないよなあ。”と思った貴重なるドキュメンタリー映画なのである。>