「【”仲間までも監視し、利用するMI5の諜報活動でナチス欺瞞作戦を成し遂げられるのか・・”作戦を立案したモンタギューを演じたコリン・ファースの哀しみと苦しみを湛えた演技に魅入られた重厚な作品。】」オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”仲間までも監視し、利用するMI5の諜報活動でナチス欺瞞作戦を成し遂げられるのか・・”作戦を立案したモンタギューを演じたコリン・ファースの哀しみと苦しみを湛えた演技に魅入られた重厚な作品。】
ー 今作は、史上でも有名な英国、MI5の諜報作戦”ミンスミート”をベースにしているのは、御存じの通り。
であるので、実在した人物が多数登場する。
勿論、劇中にも登場し、ナレーションも担当したイアン・フレミングも。
彼が、英国海軍情報部に在籍し、第二次世界大戦中には諜報員としても活躍したあと、007シリーズの執筆活動に入った事は有名である。-
◆感想
・登場人物が多いので、最初は戸惑うが、直ぐに内容に没入する。
そして、MI5のチャールズ・チャムリー(マシュー・マクファディン)と共に”ミンスミート作戦”遂行役となった弁護士から転身したユーエン・モンタギューを演じたコリン・ファースの哀しみを湛えた存在感は流石である。
- 仕事に没入した人生を送って来たが故に、妻との間に出来た亀裂。妻は子を連れ、米国の英国機関に在籍することに・・。-
・それにしても、”ミンスミート作戦”の突飛さは、特筆に値する。しかも史実である事に対しても。
- 街中で亡くなった浮浪者を”ビル・マーティン少佐”に仕立て上げ、”英国軍のギリシャ上陸計画”を示唆する手紙を持たせ、中立国スペインの海岸に漂着させる。実際にはイタリア・シチリアに上陸する作戦を遂行するために・・。
驚くのは、手紙を何度もユーエン・モンタギューが書き直し、更に海軍省で働くジーンを”ビル・マーティン少佐”の恋人パムに仕立てあげる入念さである。
それは、最初彼らの作戦を鼻で嗤った海軍のゴドフリー総督(ジェイソン・アイザック)を見返すためではなく、偏に1943年当時劣勢であった連合国の勝利のため、世界平和の為であろう。-
・驚くのは、信頼すべき相方チャムリーとモンタギューの複雑な関係性である。チャムリーはジーンに惹かれつつ、ジーンはモンタギューに惹かれている。
そして、チャムリーはゴドフリー総督 ー イアン・フレミングの007シリーズのMのモデルである。ー の指示でモンタギューを監視するのである。モンタギューの弟(マーク・ゲイティス)が共産主義者であるという噂を基にして・・。
- 同じ組織に所属する者同士でも、信頼しきれない諜報部隊員の心理的プレッシャーは相当なものであろう・・。-
・チャムリーとモンタギューが”吐きそうだ・・”と呟く、”ミンスミート作戦”決行の日。
そして、重い沈黙の中、戦地からテレグラムで届いた結果。
- このシーンは、今作では唯一ホッとした瞬間であった。そしてチャムリーとモンタギューが早朝、二人で石段に腰掛け”飲みに行くか・・”と言葉を交わすシーンも沁みたなあ。-
<今作では、”ミンスミート作戦”が上手く行き、第二次世界大戦の流れを変えた切っ掛けになった作戦成功の理由を、反ヒトラー派であったレンネ大佐が敢えて偽情報を本国に流したという解釈を取っているが、実際はどうだったのであろうか。
今作は”事実は小説より奇なり”を地で行く戦争時諜報作品であり、複雑な人間関係を描いたヒューマンドラマでもあり、懐深い重厚な作品である。
エンドロールで流れた、ユーエン・モンタギューの妻が戦後、英国に戻り夫と平穏に暮らしたというテロップは感慨深いモノがあった。>
レンネ大佐の件は、眉唾な印象を受けました。
イミテーション・ゲームが強烈に記憶に残っているので、イギリス側は、ほぼ把握していたという結論に落ち着いてしまいます。
コメントありがとうございます。
ここだけの話😅
本音で言えば、『妻より強い者はこの世に無し』なのですが…、それを言っちゃあ、おしめえよ、という大変なことになるので😂