生きる LIVING

劇場公開日:

解説

黒澤明監督の名作映画「生きる」を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本によりイギリスでリメイクしたヒューマンドラマ。

1953年、第2次世界大戦後のロンドン。仕事一筋に生きてきた公務員ウィリアムズは、自分の人生を空虚で無意味なものと感じていた。そんなある日、彼はガンに冒されていることがわかり、医師から余命半年と宣告される。手遅れになる前に充実した人生を手に入れたいと考えたウィリアムズは、仕事を放棄し、海辺のリゾート地で酒を飲んで馬鹿騒ぎするも満たされない。ロンドンへ戻った彼はかつての部下マーガレットと再会し、バイタリティに溢れる彼女と過ごす中で、自分も新しい一歩を踏み出すことを決意する。

「ラブ・アクチュアリー」などの名優ビル・ナイが主演を務め、ドラマ「セックス・エデュケーション」のエイミー・ルー・ウッドがマーガレットを演じる。

2022年製作/103分/G/イギリス
原題または英題:Living
配給:東宝
劇場公開日:2023年3月31日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第80回 ゴールデングローブ賞(2023年)

ノミネート

最優秀主演男優賞(ドラマ) ビル・ナイ
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(C)Number 9 Films Living Limited

映画レビュー

4.0単調な毎日に心が麻痺してしまったら

2024年12月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

オリジナルは未見である。 輪郭の優しい映像が脚本、ビル・ナイの演技、この作品を構成する全てを繋いでくれているように思った。 できれば字幕で観ていただきたい。丁寧な英語のセリフが心地よい。 人はいつか死ぬ。それはわかっていても、余命幾ばくもないと言われれば落ち込むどころではないだろう。 何故落ち込むのか、自分ならと考えてみた。 「死ぬ」ことが怖いのか? 誰も「死のその先」を知らないので怖い。 「どんな死に方」をするのかが不安? これも誰も死に至る状況を本人の視点で語ってくれていないので、予備知識がなく不安。 「遺す人との別れ」がつらい? まあ、これも死してどうなるのかを知らないので今生だけの別れかもしれないし。淋しいっちゃ淋しいけど。 ここまでは人類平等の条件かも。 (信仰上「死のその先」を知ってる方もいるかもだけど) 最後は私だけかと思ったらウィリアム氏もだった。 「なにもなし得なかった自分が情けない」? とほほ。ホンマ申し訳ない。漫然と生きてきたわ。 私もウィリアム氏がウェイクリングに送った手紙を思い出そう。何かを成し得ることも良いことだが、せめて自分の心にだけは正直でいよう。

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イズボペ

3.5黒澤明版「生きる」との印象の違い

2023年4月1日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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ニコ

4.0Re-Appreciate the Original

2024年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

A quaint retelling of the Kurosawa film. It is rather wholesome compared to most other films released today. As a period piece it's a convincing dress up of post-war London. Compared to the original the film, it has more to say about life based on the characters surrounding the lead public works officer. One could hope this studio will try it again with another Kurosawa classic reset in London.

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Dan Knighton

5.0見事なリメイク

2023年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

こんなに見事にリメイクできるとは。余命を宣告された男が人生を見つめなおすという物語は、オリジナルの『生きる』をはじめとして大量に存在するが、このように抑制を効かせて静謐なタッチで描けば今なお有効な題材なのかと驚いた。 主演のビル・ナイが本当に素晴らしい。イギリス紳士のあるべき姿(それはもしかしたらすでに現実には失われているかもしれない)を抜群の存在感で演じ切っている。公共事業と福祉が手厚かった頃の「古き良き時代」を築いたのはこういう人だったのかなと思わせる。 人生を悔いなく生きるというのは、誰にとっても切実な問いだ。後悔ないように生きたいと誰だって思うが、それを叶えるには他者との関係、社会との関係、その他多くのことを見つめなおすことから始まる。息子や同僚との個人的な関係を見つめなおし、陳情に耳を傾け社会との関係を見つめなおし、雪ふる公園のブランコから世界を見つめ直す。人と社会と世界との関係を正しく描いた傑作。

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杉本穂高