劇場公開日 2023年3月31日

生きる LIVINGのレビュー・感想・評価

全171件中、1~20件目を表示

5.0見事なリメイク

2023年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

こんなに見事にリメイクできるとは。余命を宣告された男が人生を見つめなおすという物語は、オリジナルの『生きる』をはじめとして大量に存在するが、このように抑制を効かせて静謐なタッチで描けば今なお有効な題材なのかと驚いた。
主演のビル・ナイが本当に素晴らしい。イギリス紳士のあるべき姿(それはもしかしたらすでに現実には失われているかもしれない)を抜群の存在感で演じ切っている。公共事業と福祉が手厚かった頃の「古き良き時代」を築いたのはこういう人だったのかなと思わせる。
人生を悔いなく生きるというのは、誰にとっても切実な問いだ。後悔ないように生きたいと誰だって思うが、それを叶えるには他者との関係、社会との関係、その他多くのことを見つめなおすことから始まる。息子や同僚との個人的な関係を見つめなおし、陳情に耳を傾け社会との関係を見つめなおし、雪ふる公園のブランコから世界を見つめ直す。人と社会と世界との関係を正しく描いた傑作。

コメントする (0件)
共感した! 7件)
杉本穂高

4.5巧みな脚色。そしてビル・ナイの俳優人生に燦然と輝く見事な名演。

2023年4月26日
PCから投稿

非常に心を打たれる映画だった。オリジナル版と同じ志を持ったストーリーでありつつ、本作独自の、例えば列車通勤の一場面を用いて勤務先での序列や風土をかくも巧みに表現してみせる手腕は見事だ。ウィリアムズ氏は口うるさくもないし、不愉快な人でもない。しかし部下たちは誰もが、そうすることが礼儀であるかのようによそよそしく壁を作る。こうした古い階級社会のしきたりを突き崩し、皆が一丸となって自分以外の誰かのために身を投げ出して事を為そうとする衝動に「生きる」の本質を見た。「ゴンドラの唄」に代わるスコットランド 民謡の響きと、それを掠れ気味に切々と歌い上げるビル・ナイのたたずまい。それでいて部下を従え「さあ、いくぞ」と雨の中を飛び出していく気高さ。カズオイシグロの脚色もさることながら、ケープタウン生まれの監督の演出が冴え渡る。元々のトルストイの要素も相まって、世界が共有しうる力強い普遍性を持った傑作である。

コメントする (0件)
共感した! 6件)
牛津厚信

5.0カズオ・イシグロ×ビル・ナイによる"そうなる前の人生の教科書"

2023年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

これは多分完璧なリメイク映画だ。黒澤明が1952年に発表した『生きる』を同じ時代である1953年のロンドンに置き換え、末期がんに冒された初老の公務員が残り少ない人生をどう生きたか?そのプロセスを黒澤版が143分の長尺で描いたのに対して、今回のイギリス版は103分で駆け抜ける。でも、見終わると40分を端折った感じがまるでしないのだ。

オリジナルの細部を削ぎ落とし、そこにいかにもイギリス映画らしい洒脱さを書き加えたのはノーベル賞作家のカズオ・イシグロ。黒澤版が1枚のレントゲン写真から物語が始まるのに対して、イシグロ・バージョンは市役所の若い新入職員が先輩たちと乗り合わせる朝の通勤列車に、仏頂面の主人公、Mr.ウィリアムズが乗ってくるところから始まる。そうして、周囲から距離を置いて見られていたMr.ウィリアムズが、人知れず自分の死を察知した時、誰も想像しなかった行動に出ていたことが判明する時、特にこの映画を観た若者たちに対して、人生に限りがあることを強く訴えかけてくるところが新鮮だ。

誰だって若い頃は希望に溢れ、社会に貢献したいと思っているはず。でも、やがて時の経過と共にそのような熱は日々のルーティンと共に消え去り、気がつくと、ただの組織のコマに成り果てている。黒澤明のマスターピースに敬意を表しつつ製作された『生きる LIVING』は、そうなる前に観ておくべき人生の教科書。Mr.ウィリアムズを演じるビル・ナイの端正で押し付けがましくない存在感が、珠玉のテキストに説得力を加筆している。アカデミー賞は逃したけれど、ビル・ナイって凄い!そう感じるファンは多いに違いない。

コメントする (0件)
共感した! 53件)
清藤秀人

3.5じわじわと

2024年4月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ビル・ナイは「パイレーツロック」(最高に面白い)で、面白い役柄をカッコよく演じているのを観ていい感じを抱いていた。
ただ、脚本のカズオ・イシグロは別段好きでもないので、あまり期待せずに見始めたつもりだった。
しかし、どこかで期待していてのか、見始めてしばらくは、はっきりしない物言いに若干じれたりしたものの、メインテーマに近づくにつれ、じわじわと温かいものが伝わってきた。。
総合的には、観て損はない映画、かな。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
ぜんじん

5.0心で仕事をする

2024年4月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

私の仕事をする中で、心が麻痺していた期間があった。
私の仕事は介護が必要な方に車椅子や介護ベッドをレンタルする仕事で、余命僅かな方達にもお貸しする。
亡くなられた後、その方達の家の前を通る時にその方の事を思い出す。
その意味を教えてくれた映画で、それこそが生きるという事だと知る事が出来た。。。
感謝

コメントする (0件)
共感した! 0件)
KTM

5.0黒澤明監督の「生きる」のリメイク。 抑制が効いた表現。

2024年4月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

黒澤明監督の「生きる」のリメイク。
抑制が効いた表現。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
rachi

4.0前半がイマイチ

2024年4月24日
iPhoneアプリから投稿

もっと要素を減らして仕事の話を丁寧にしたら良かったのにと思ってしまった。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
takantino

4.0成長譚的な

2024年4月21日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

楽しい

堅物が人生を見つめ直して成長するっていう、まぁそれだけですが、いい映画でした。
テンポも美術や衣装も素晴らしく見応えあり。
ゴンドラの唄的な物もあって完コピです。
オリジナルファンも好きになってくれそうです。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
Ferma

4.5シナリオがいい

2024年4月21日
Androidアプリから投稿

オリジナルも見ていました。違和感のないシナリオと主人公の演技
なんでだろう??日本ものをリメイクすると感じる違和感を感じなかった
国籍は英国だけど、カズオ・イシグロだからなのかしら?
それとも、英国と日本は気質の相通ずるところがあるからか、要は秀作でした

コメントする (0件)
共感した! 1件)
chagall

3.0ビル・ナイの名演が染みる。自分も「生きよう」と思える。

2024年4月21日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

知的

黒澤明の「生きる」のリメイク。
1953年のイギリスを舞台にしている。
カズオ・イシグロがシナリオを担当したことも話題になった。
手堅くまとめた印象。

ロンドンの役所で働くロドニー・ウィリアムズが、末期がんを宣告される。彼は生きる意味を求めて街をさまよう。そして、偶然、元部下のマーガレットに出会う。彼女は役所をやめて転職することになっていた。
ロドニーは、彼女の明るさに生きる意味を見出す。彼女に、仕事に戻るように促され、ロドニーは役所に戻り、今まで放置していた仕事に取り組む。それはたらいまわしにされていた公園事業だった。

本作では、いわゆるお役所仕事から抜け出す事は容易ではないということが描写される。ロドニーは、人生の最後に公園事業を成し遂げるのだが、それは小さな仕事であり、いずれ忘れ去られる。しかし、それは彼が生きた証であり、感謝している人もいる。ロドニーの部下たちも彼の姿に感動し、自分たちもロドニーのように生きようと誓う。ただし、時が流れるともとのお役所仕事に戻っている。現実はそういうものだ。
それでも、生前のロドニーの「生きることなく人生を終えたくない」という言葉は大切で、人はそうあるべきだろう。

黒澤明の「生きる」が名作であることに異論はないのだが、なぜ70年後の2022年にイギリスでリメイクする必要があったのだろうか。完成度は高いと思うが、必然性の点で理由が思い当たらなかった。「生きるという事は、ただ人生を過ごすのではなく、輝いて生きることだ。」というメッセージはあまりにも普遍的で、「なぜ今なのか」という問いに対して理由を探すのが難しい。

それとも、2023年に「異人たちとの夏」がイギリスで「異人たち」として再映画化されたことを考えると、イギリスで日本映画のリメイクがトレンドになっているのだろうか。
製作費は不明。興行収入は10億円。赤字なのか黒字なのかわからないが、大ヒットはしていない気がする。売れるから作っているわけではないのかもしれない。

独特のカメラワークが印象に残った。オリジナルもこういうカメラワークだっただろうか。奇をてらっているというよりは、なにかに似せようとして作っている構図のように見える。
カズオ・イシグロが原作をどのように変えたかはわからない。

ただ、熱意もなく、ただ働くだけだった主人公のロドニーについてマーガレットがこっそり「(生きているのに死んでいる)ゾンビ」というあだ名をつけていたところなどは、「生きるとはなにか」を問うカズオ・イシグロの作風とマッチしていると感じた。

なぜ今この映画を作ったのかわからないと書いたが、こういう映画を観て、生きるということを考えるのは大切だ。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
あふろざむらい

4.0お役所仕事はどこも同じ、今でも

2024年4月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

幸せ

黒澤明の「生きる」をイギリスでリメイクした作品で、脚本はカズオ・イシグロ。
主人公(ビル・ナイ)は市役所の市民課の課長で、何も仕事をしないで生き延びてきた。
ところが医者からがん宣告を受け、余命を告げられる。
無断欠勤して慣れない遊びをしてみたが・・・。
お役所仕事はどこも同じだから、感動も同じくやってくる。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
いやよセブン

4.0世界のクロサワ、リメイク

イギリス人らしい、実直な仕事とリメイク、これはこれでいいです。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
全国連加盟国不可侵条約締結、武装中立主義、多様性男女平等自由主義、5名作4良作3いい作品なので他は2以下です。

2.0何故かがっかり

2024年2月7日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

単純

ご存知黒澤明の作品リメイク版。
CSで録画視聴。日本映画専門チャンネル
なのに何故か洋画の作品が放送。
昨年から気になった作品でやっと観れた。
黒澤明の作品観なくても問題ない。
結論から言うとがっかり。
とにかく地味すぎる。テーマ的に訴える
ものが伝わらなかった。
しかし、この作品何故昨年アカデミー賞
作品賞候補ノミネート?

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ナベウーロンティー

4.0この作品が作られる切っ掛けは、プロデューサーとカズオ・イシグロが食...

2024年2月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

この作品が作られる切っ掛けは、プロデューサーとカズオ・イシグロが食事中にモノクロ映画を撮った監督の名前を言い合いしてた時に、たまたまその店に入って来たビル・ナイが混ざって黒澤明の『生きる』の話になり、リメイクの企画が持ち上がったとか。
今作の演技が認められ、73歳にして初めてアカデミー賞主演男優賞ノミネートされたビル・ナイがハマり役だと思う。
『生きる』では志村喬が「いのち短し、恋せよ乙女」と「ゴンドラの歌」を歌い、ビル・ナイは亡き妻を思い、スコットランドの伝統的な歌「The Rowan Tree」を歌った。

「私は紳士になりたかった」

久しぶりに黒澤監督の方を見直してみよう。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
ナイン・わんわん

5.0黒澤明監督 の「生きる」が ノーベル賞作家 カズオイシグロ脚本 で...

2023年12月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

黒澤明監督 の「生きる」が
ノーベル賞作家 カズオイシグロ脚本 で
イギリスでリメイク

1953年
第二次世界大戦後のロンドン
余命半年と宣告を受けた
仕事一筋の公務員
ウィリアム
(…あだ名はゾンビ)
生きることなく人生を終えたくない
誰かのために
残された日々を大切に過ごしたい
気づき
歩んだ小さな一歩が
人々の心に火を灯す

原作を観ていなかったので
どちらから観ようか迷ったけど
ビルナイのリメイク版を先に観た

よい
すごくよい

コメントする (0件)
共感した! 0件)
lily

3.5紳士

2023年12月26日
PCから投稿

悲しい

知的

 1953年ロンドン。役所の市民課に若いピーター・ウェイクリングが配属され、ロドニー・ウィリアムズ課長は彼に婦人たちの陳情を担当させる。しかし、それは役所内でたらいまわしにされていた案件だった。そんな時ロドニーは、末期がんで余命半年と宣告される。彼は無断欠勤をし、遠くの海辺の酒場で騒いだり、元部下のマーガレットと会ったりして残りの人生を楽しむ。そして彼は気付き、人が変わったように皆を動かす。
 黒澤明の名作を、カズオ・イシグロが脚本、ビル・ナイが主演でリメイク、と偉大な名前が連なっています。オリジナルは、かなり昔に観て大部分は忘れていました。ただ、リメイク版の方が今の人には良いと思う気がします。もう一度、オリジナルを観なくては。
 当時の役所の課長に、良いんだけどビル・ナイは少し歳が高いかな。
 この時代に、ゾンビという言葉があって、クレーンゲームもあったのかと意外でした。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
sironabe

4.5リメイクでも傑作だと思う

2023年12月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

主人公が変わったきっかけが少し曖昧だったのが残念。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
あっちゃんのパパと

4.0オリジナルに匹敵‼️

2023年12月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

悲しい

怖い

この作品は黒澤明監督の名作をイギリスを舞台にしてリメイクした作品‼️途中で回想形式となる展開も踏まえて、ほぼ同じ作品になってます‼️主人公が公園作りに関わるプロセスが、オリジナルに比べると短いので希薄な印象を受けますが、元が名作なだけにこの作品も良く出来てます‼️主演はビル・ナイ‼️オリジナルの志村喬さんの演技があまり好きでない私にとっては、今作のビル・ナイの抑えたというか、落ち着いた演技の方が好感が持てます‼️今作もオリジナルと同じく主人公がいくら頑張っても官僚主義や体制は何も変わらないという残酷なテーマ‼️しかし、主人公を理解していた市役所の元女性職員と新人職員が恋仲になるという、オリジナルにはない展開もあって、チョットだけ微笑ましい終幕は好感が持てます‼️

ちなみに生前、黒澤明監督はオリジナルの「生きる」の事を「あまり語る気になれない作品だ」と語っておられたらしいです‼️そしてNHKの企画「黒澤明が選ぶ世界の名画100本」において、自作ではオリジナルの「生きる」ではなく、「赤ひげ」を選ばれてました‼️

コメントする 2件)
共感した! 27件)
活動写真愛好家

4.0日本版の欠点がいくつも改善されていてよかった。 何よりも主人公の男...

2023年12月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

日本版の欠点がいくつも改善されていてよかった。
何よりも主人公の男性の毅然とした態度がよかったと思う。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
省二

4.0その意志はしっかりと人に受け継がれている

2023年12月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

黒澤明作品の名作「生きる」のリメイク版
ノーベル賞作家のカズオ・イシグロが脚本を執筆
主人公が余命を宣告されてから
いろんな体験をしようとするが何か違う。
心情を言葉にしないが立ち居振る舞いだけで
それが観ているものに伝わる。
自分のために何かをするより
人のためにその命を最後まで使うなんて
なかなか出来ることではない。
でもその意志はしっかりと人に受け継がれていました。

コメントする (0件)
共感した! 2件)
tom