ハケンアニメ!のレビュー・感想・評価
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アニメがこんなに多くの人の集団作業であることを認識。吉岡さんは堂...
アニメがこんなに多くの人の集団作業であることを認識。吉岡さんは堂々の主演女優だと思った。瞬発力と集中力もある。柄本さんはかっこいい。脇役も揃ってた。ものを作る現場への愛に溢れてた。ED後のラストシーンがいい。
行城さんが良い感じにズルい
原作は2014年発行、確かに当時はオリジナルアニメが多かった記憶はあるが今は人気原作漫画をどれだけクオリティ高く表現するか、視聴率よりも配信やSNSの時代に移行している。
当時のアニメ業界は露骨に異質でプロフェッショナルな集団、それを束ねるのが監督でありプロデューサーで命を削るよな職業なのかと感服する。
今や働き方改革、コロナ禍での進捗変動があるので製作の仕方は大分変わってはいるのではと思うものの、夢見る世界を作り出す裏側の演出がリアルで先が読めない展開が純粋に楽しかった。
吉岡さんや中村くんの熱演も含め特に行城役の柄本さんのEDロール後のリアクションが個人的に後味が良く激しく同意する、上手くまとめられた脚本に爽快感のある終幕に万歳。
クリエイター必見!
原作は辻村深月さんの小説。
原作は
1.王子監督と有科さんの話
2.斎藤監督と行城の話
3.並澤と宗森の話
とあって3が一番長い。
これをうまく斎藤監督を中心にして映画としてまとめてあげた脚本がまず素晴らしい。
原作から時間が経って、今はBDの売り上げが重視されないとか、覇権という言葉が一般的ではないとか、深夜アニメが主流で視聴率が重視されないとか小さな問題はあるが、この映画の世界ではこうなんだろうと考えれば問題ないと思う。実際のアニメ制作の現場ではエンタメにしにくい。映画はフィクションで楽しむものなのだから。
アニメ制作の現場というと『SHIROBAKOが』あるが、SHIROBAKOは制作進行の目線で進むので、むしろ映画製作として『映画大好きポンポさん』の方が比較しやすいと思う。ポンポさんは実写の映画制作をアニメで表現した映画で、本作とは真逆。
ポンポさんとの最大の違いは本作ではライバルとの対立構造にしたところで、それによって物語に厚みが出たと思う。単純に悪いやつとか、足の引っ張り合いではなく、それぞれの陣営が相手に敬意をもって、発破をかけながら対立しているところもいい。
作中に制作するアニメにも手を抜かず、実質3本分の映画を観たような気分にもさせてもらえる。2022年を代表する邦画の傑作だ。
2022 187本目
面白いというよりは、ざっくりでもアニメの裏側が知れて良かった。実際にはこれ以上に大変だと思うが。アニメにしろ映画にしろ監督や出演者だけではなく色々な工程の人達が1つになり、作品を生み出しているということを改めて思わされた。吉岡さん、いい演技でした
新人アニメ監督が憧れの天才監督・王子千晴に戦いを挑む熱戦!!
はじめて監督を任された斎藤瞳(吉岡里帆)の情熱・熱意・頑張り・必死さ。
それがバンバン暑苦しいほど伝わる映画でした。
アニメ業界の人たちは「人の心に伝わる作品」を届けるために、
寝食を忘れて、プライベートを犠牲にして、頑張ります。
なんでそこまで熱くなるの?
と聞きたくなるほど《一生懸命》
そこが人を動かし山を動かし《天下=覇権》を取ることなのですね。
アニメ監督の仕事の中身がかなりリアルに描かれています。
アニメは日本を代表する芸術で今や2兆円産業とか。
斎藤瞳・28歳
公務員を辞めてアニメ制作会社大手に転職。
7年目にして初監督の指名を受ける。
(演じるのは吉岡里帆。頑張り屋の代名詞のような方です)
テレビアニメはワンクールに50本もの新作が製作される。
その中でトップを取ったのアニメを「覇権アニメ」と言う。
(覇権とはあまりにも大袈裟な形容だが、原作は8年前、
(この映画の企画は7年前で、当時は覇権が普通に使われていたが、
(今ではその言葉はあまり使われていないそう)
斉藤瞳の仕事ぶりを見ていると、アニメ監督とは
かなりの権力者だと知れる。
スポンサーとテレビ局の次に偉いのだ。
ざっと仕事内容をあげてみます。
1、脚本と絵コンテ制作
(この設計図が一番大事だと思われます)
2、各関係者との打ち合わせ
3、レイアウト
4、原画チェック
5、カッティング
6、アフレコの立ち合い
そして更に統括プロデューサーの行城(柄本佑)が雑誌の宣伝やグラビア撮影などの
雑用(都、瞳は思っている)を多々入れるので仕事は無限大に多くなる。
まさにオールマイティーを要求される最高責任者が監督
・・・なのですね。
責任者って下で働くスタッフの信頼を得て、彼らがいかに気持ちよく、
斎藤監督のためなら無理難題も聞きたくなる・・・
そういう存在に瞳が成長して、信頼を得るまでの過程が
後半で怒涛のように描かれる。
瞳が監督らしくなって行く様子が素晴らしくて引き込まれました。
そして瞳が命を賭ける「劇中アニメ」のクオリティの高さに目を見張りました。
原作者の辻村深月さんが、
『奏の石 サウンドバック』と、
『運命戦線 リデルライト』の、
12話2作品のプロットを作成して東映のプロデューサー陣に渡すほどの
意気込みだったそうです。
なので
「サバク」は谷東監督。
「リデル」は大塚隆史(絵コンテと演出も)
という2人の気鋭の実力者とスタッフが作り上げた。
(まったく何という贅沢な作品なのでしょう)
「サバク」と「リデル」の作画の違いにも注目。
「サバク」のトワコは日本の子どもそのもの。
「リデル」の少女戦士は無国籍の美少女系。
そして更に「ラスト」
“主人公を殺したい”と、熱望する王子千晴(中村倫也)。
そして「サバク」のラストにも一波乱が起こる。
そのゆくへは如何に?
(このあたりの対比が映画に厚みが増しました)
本当の意味で「我を通した」のは千晴か?
はたまた瞳か?
覇権をとる意味は、結局は一等賞より、良い作品を届けたい・・・
10年後にも残っている作品。
だが良い作品と言われる前に売れる作品、視聴率のとれる作品もまず必至で、
このあたりにジレンマがある。
覇権(金メダル)をとってはじめて監督として認めてもらえる。
王子千晴は瞳の人生観を変えた「ヨスガ」の天才監督。
その憧れの人に「覇権をとります」と勝利宣言。
瞳は世間知らずの怖いものなしに見えます。
ラストに向かって自他共に「天才」を自認する王子千晴が、
実は普通の男の素顔をさらしてきたり、
「努力」と「頑張り」「ど根性」に見える斎藤瞳が、
真の粘りとヤル気で《才能》を開花させる・・・図式も見えてくる。
「アニメ」そして「映画」「音楽」も、「文学」も、
「人はパンのみにあらず」のたとえ通り、
どれだけ救われ、どれだけ人生を豊かにし、生きる力になっているか………
改めて考えさせられました。
中村倫也、尾野真千子の実力と愛すべき存在感。
神作画の小野花梨。六角精児。古舘寛治。
声優の高野麻理佳。
ダントツの柄本佑。
素晴らしい奇跡のコラボレーション。
☆そうそう、ラストのラスト。
エンドロールの最後の1秒まで見てくださいね。
(真の勝者がわかるかも……)
何やら中途半端な映画だった。
結局のところ、斎藤瞳監督が、安定しているという公務員の職を投げ捨てて、アニメ界入りしたのは、なぜだったのでしょうか。
確かに、それらしいシーンは、ありました。「自分のような子供の心にも届くようなアニメを作りたい」と幼い頃に思ったと。
だったら、とうして王子監督と覇権を競う必要があるのでしょうか。
たとえ覇権を取れなかったとしても、自分で得心のいくようなアニメが作れれば、斎藤瞳監督としては、本望だったはずですから。
そして、子供の心に届くようなアニメを作りたくて斯界に飛び込んだのであれば、作品の構成としても、その思いを語る対話シーンなり、モノローグ的なシーンが、あっても然るべきだったのではないかと思います。そして、そこで、斎藤瞳監督がアニメにかける情熱が、ふんだんに語られたはずではないかと…。
そんなこんなで、評論子としては、いわゆる「お仕事映画」としてみても、本作は決して秀逸な出来とは言えないように思います。
(その実は、公務員の世界ではうだつが上がらないので、ひと山当てるために、畑違いのアニメ界に飛び込んだとみるのは、穿ち過ぎ?)
どうもに…あまりスッキリしない一本でした。観終って。評論子には。
<映画のことば>
「俺たちは監督のアタマの中を現実にするために、ここに来ている。」
「モノづくり」が重視されてきた今までは、デザインやサービス、アイディアは、いわゆるハコモノ(製品)の「おまけ」でしかなかったというのが現実だったと思います。
しかし、これからの日本は、世界的に優位のあるアニメなどの知的創造の産物を世界に売っていく「知財立国」を目指すということですが。
それならば、労働条件の面など、その製作現場を担う上記の「ことは」のような人材を大切にしないと成功は覚束ない…そう考えるのは、評論子だけではないと思います。
清々しい一本
ひとつの作品で、どれたけの人が動いているのか、
動かさないといけないのか。
よっぽど強い何か、
魂を突き動かす何か、を持ってないとだめだなー
そして、そんな現場で働いている人たちが
羨ましいなーって思いました。
劇中のアニメ気になりますね。
最後の最後で、綺麗にまとまった感じ。
ドロドロ感なく、爽やかで、なんか
優しくなれる映画でした。
熱意の邁進
第14回TAMA映画賞最優秀作品賞受賞作。
Amazon Prime Videoで鑑賞(レンタル)。
原作は未読。
近所の映画館での上映がもたもたしている内に早々に終わってしまったので、今回待望の鑑賞でした。いやぁ、面白い!
「誰かに刺され!」を合言葉に邁進した人々の熱量に圧倒されました。ものづくりとは斯くあるべきだな、と…。熱意と想いが無ければ、何も成し遂げることは出来ない。
多彩な登場人物たちの織り成すドラマがとにかく良い。アニメ好きで無くとも、仕事に情熱を持って臨んでいる人や、夢や目標に向かって全力で取り組んでいる人には大いなる共感を呼ぶだろうし、彼ら彼女らの熱さには自分の中にある何かを奮い立たせてくれる力を感じたので、私自身勇気を貰いました。
私は、工事の現場監督の仕事をしています。人を動かす際には、自分の中に確固たる想いがあり、尚且つそれを伝えられないと何も前に進まないし、誰も従ってくれないと云うことを実感して来たので、主人公が最終回の変更をぶち上げた時、その想いに応えようと皆が動いてくれた瞬間にめちゃくちゃ感動させられました。仕事は、人の想いで成り立っている。
※修正(2024/03/04)
想定内
で、既視感強め、少し残念でした。
構成とテンポが悪く、熱さが古さに見えてしまったり、エピソードの一つ一つが軽く流れていくので、嵌る前に終わってしまった。ありがちではあるけどテーマがいいだけにもったいないね。
榎本さんが特に良かった。し、俳優さんが皆んな良かったのだけど、全体的に物足りなかったかな。
届け、突き刺され。苦闘の果てに掴む“ハケンアニメ”!
市場規模は約2・5兆円。国内のみならず海外でも絶大な人気を誇り、今や日本を代表するカルチャー、アニメ。
現在“アニメ戦国時代”と言われるほど1クールだけでも多くのアニメがしのぎを削るが、その中で勝ち抜くのは僅かに限る。年間だったら尚更。『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『SPY×FAMILY』(←第2クール始まったね♪︎)…。
だが、作り手の情熱に変わりはない。
彼らが目指すは、最も成功したアニメに贈られる称号、“覇権(ハケン)”。
ライバル作、現場内、己との闘いの果てに、勝ち取れ!
漫画業界を舞台に新人漫画家コンビと天才漫画家のバトルを描いた『バクマン。』があったが、本作はまさに“アニメ版”。
公務員から転身した新人女性監督、斎藤瞳。若く見た目も可愛く、モデルは山田尚子監督辺りかな…?
転身を決めた理由は、ある一本のアニメとの出会い。
そのアニメの監督は、“天才”と呼ばれる王子千晴。革命的なアニメを作り、一切の妥協ナシ。唯一無二の才を持つ監督は各々いるが、ここは敢えて庵野秀明とでもしておこう。
奇しくも同クール同時間帯で対決。瞳にとっては念願の監督デビュー作。王子にとっては8年ぶりの監督作。
構図としては瞳が主軸で、新人が憧れの天才と同じ土俵に立つ。
それは光栄な事であり、苦闘。
天才も然り。天才故の苦悩。
瞳のプレッシャーは計り知れない。
他業界からの転身。新人、女性…その肩書きだけで終わらせない。
遂に念願の監督デビュー。並々ならぬ意気込み。
が、もしコケたら…? 次作は無いかもしれない。
全身全霊を注ぐ。
ところが、なかなかスタッフや声優に伝わらない。
そんなんで視聴者に伝わるのか…?
注目の初回視聴率は同率も、第2話以降は差が開き始める。
これが天才との実力や才能の違い…?
視聴者からも手厳しい意見。人気や注目を集める為、タイアップやメディア露出など、本来のフィールドから離れた事も。
暗雲立ち込める…。
一方の王子。
その名の通りのルックスで、天才。人気も注目も瞳とは月とすっぽんで、作る前から“傑作”。
いざ始まると、期待通り。会社も世間も満足。ブランクあったとは言え、天才王子健在!
…そう、何もかも期待通りで想定内。
本人はそれに満足も納得もしていない。
それをぶち破る。安易なハッピーエンドなど作らない。
物語をどう終わらせるか。以前果たせなかったアイデアを再考。
主人公たちを死なせる。
だが、それはタブー。何故なら、放送枠は子供も見る夕方枠。そこで主人公たちの死というバッドエンドなど絶対NG。会社や視聴者はお決まりの感動ハッピーエンドを求めている。
最終回の方針が決まらぬまま。天才の発想は世間の常識に理解されないのか…?
それぞれの闘い、悩み。
二人の関係性がよくある意識し合って刺激し合って…ではなく、多少顔は合わせるがそれほど直接的に関わらず、あくまで両極端のライバル設定なのがいい。
確かに制作中に他の作品や監督に気を取られていたらプロじゃない。
自分の作品に全集中。
ライバル作と闘いつつ、関わるスタッフ/声優や己との闘いがメイン。
二人の若き監督を主役に据え、製作に関わる周りやプロセスも挿入。
デート中でも仕事を依頼される“神作画”アニメーター。
過密スケジュール、突然の展開変更…無理難題に追われる作画スタジオ。
編集のぼやき、色彩設定のこだわり、構成ライターとの相違…。
世間一般の人気と視聴率だけの上役、要望を聞き入れてくれない製作進行の陰口…。
舞台地の市役所職員はアニメに疎くてPR活動。
声がイメージと違う。客寄せのようなアイドル声優。ダメ出し、ダメ出し、ダメ出し…確執深まる。
強いて言えばアニメに欠かせない音楽や主題歌の描写が無かったのは残念だが、アニメ製作に関わる皆の群像劇だ。
中でもそれぞれのチーフプロデューサーはもう一人の主役。
瞳側の行城。ビジネス優先。作品を商品として売り出すなら、監督の意向に反するタイアップやメディア露出も厭わない。
敏腕だが、辛辣家。瞳ともしょっちゅう対立。
だが、的を射た発言も多い。100の方法で一つでも視聴者に届けば成功。
確かにそうだ。大勢が関わる作品を失敗させられない。その為には自分が悪者になってでも成功させる。それがプロデューサーの仕事。
行城にも彼なりの信念がある。ある時瞳もそれを知って…。
対立/衝突からの確執を乗り越えての関係性。
代打ではなく、4番。新人監督にとって、これほど嬉しい言葉はない。
王子側の有科。
いきなりの失踪など、王子の言動に振り回される。
明らかに王子は一匹狼。周りのスタッフも近寄り難い。
その間に入り、円滑に進めるのが、自分。
それもこれも、信じているから。
その為に王子の要望(主人公の死)を上役に頭を下げて直談判。スタジオに頭を下げてまで王子の無理難題を聞き入れて貰う。
それぞれの監督とプロデューサーの対比とドラマは必見だ。
本作は信頼のドラマだ。
最終話を巡って覚悟を決めた王子と有科。
製作当初はスタッフ/声優と溝が深かった瞳。徐々に何を作りたいか、発言力も強くなっていく。
瞳も突然の最終話展開変更。スタッフらは一丸となって監督の要望に応える。
監督がブレなければ製作チームもブレない。監督はわがままなほど自分の信念を貫いていいのだ。
譲歩も必要。ダメ出しばかりしていた主役声優。彼女の本作への思いを知る。自分の意見ばかり押し通したあまり視野が狭くなり、相手を受け入れようとしていなかった。
己がブレず、相手を受け入れれば、自ずと信頼は生まれてくる。
第1話ラッシュでスタッフたちの最後尾でおどおどしていた瞳。最終話ラッシュではスタッフたちの先頭に立って歩く。
紛れもない“斎藤組”。
全ての人へ贈るお仕事奮闘と成長のドラマでもある。
キャストたちも適役。
吉岡里帆を女優としてしかと認識したのは『見えない目撃者』だが、本作でさらにステップアップ!
序盤の新人監督の頼りなさ。多くの苦境を乗り越え、若き才の誕生。
それらを喜怒哀楽たっぷりに体現。
孤高、天才でありながらもナイーブ。中村倫也も常人離れの佇まいがハマってる。
小野花梨、前野朋哉、古館寛治、徳井優、六角精児らが好サポート。
尾野真千子は言わずもがな。だけどやはり個人的にVIPを挙げたいのは、柄本佑。
巧い。ハマり過ぎ。出る度に場をさらう。
序盤の憎まれ役から一転、このキレ者プロデューサーになら全信頼任せられると思いたくなるほど。
親父も名優なら、息子も同世代屈指の名優だ。(最近、『真夜中乙女戦争』でも同じ事書いたような…)
個人的に今年の邦画の助演男優は強者揃い。現時点で印象に残ったのは…、『前科者』の森田剛、『シン・ウルトラマン』の山本耕史、『流浪の月』の横浜流星。そこに、本作の柄本。
この中で“覇権”を勝ち取るのは…?
元々アニメが好きで、ドラえもん映画の脚本にも携わった事のある辻村深雪の小説を、自身も企画から関わって7年の歳月をかけて映画化。
吉野耕平監督の作品を見るのはこれが初めてだが、見事な手腕。
題材、演出、構成、展開も素晴らしいが、一際クオリティーを高めているのが、劇中劇のアニメ。
斎藤瞳監督作は、『サウンドバック 奏の石』。少年少女たちが“奏”と呼ばれる石に音を吹き込む事で変形するロボットに乗って戦うロボット・アニメ。戦いに身を投じていく子供たちは『ガンダム』や『エヴァ』のようであり、王道的な展開から伏線張り荘厳なスケールへと展開していく。
王子千晴監督作は、『運命戦線リデルライト』。自らの魂の力で操作するバイクレースで戦う魔法少女アニメ。ポップな雰囲気からダーク展開になっていく『魔法少女まどか☆マギカ』的な…?
単なる設定に留まらせず、実際にOA出来る1クールのアニメシリーズを2本製作。故に映画化にも時間がかかったとか。
しかも、一流のスタッフ/声優を器用。本当に声優は、人気ビッグネーム!
登場人物たちの台詞の中にも人気アニメの名台詞オマージュ。ニヤリとさせられる。
今現在アニメは、配信などで気軽に見られ、BD売り上げやSNS人気で支えられている。
本作では人気や対決の構図を、視聴率争いで。昭和のTV局かよ!…とつい思うが、ここは敢えて数字で表される分かり易さ。
放送直後の反応や視聴率争いの行く末をSNSでバズる現代的描写も勿論。
でも、放送を日本中リアルタイムでTVやスマホで見たり、そこら辺の過剰描写がちと違和感…。
それが引っ掛かっても、上々!
かつてアニメはオタクのものであり、製作側もよほどでないとスポットライトが当たる事など無かった。
日本のアニメ製作現場は過酷。長時間拘束で、賃金も安い。
その昔アニメや漫画オタクが少女殺人事件を起こし、偏見や白い目で見られる。
今は世界へ誇れるカルチャーとなったが、日本のアニメ文化も苦難の連続。
それでも我々はアニメに魅せられる。それは何故…?
かつての自分に魔法をかけてくれるような、人生を変えてくれるようなアニメを作りたい。今の子供たちへ。かつての自分がそうであったように。
その為に魂を削ってでも。自分が天才ではなく凡人なら、プライベートや睡眠の時間を削ってでも。
だから作り手はこだわる。革命を起こす。
日本アニメの礎『鉄腕アトム』。長きに渡って愛され続ける『サザエさん』『ドラえもん』『ドラゴンボール』…。ジャンルの金字塔とでも言うべき『機動戦士ガンダム』。常識をぶち破った『新世紀エヴァンゲリオン』『魔法少女まどか☆マギカ』…。社会現象となった『鬼滅の刃』。そして、唯一無二のジブリ作品…。
子供も見るアニメで描かれる死。『フランダースの犬』や映画クレヨンしんちゃん『アッパレ!戦国大合戦』。それらはただ悲しいだけじゃない。私たちの心にどれほど響いたか。
誰かの心に届け。
突き刺され。
作り手の真摯な思いは必ず届く。
例えそれが今すぐでなくとも、10年後でも。
日本の数々の名作アニメがそれを物語る。
そしてそれは、本作自体が実証した。
残念ながら公開時は強力ライバル作に押され、週末興行ランキングTOP10入りを逃す不発。
が、見た人は熱く、強く支持。この声は本年度の邦画のBEST級の一つと言ってもいいほど。
どんなに批判受けても致し方ない。私も劇場ではスルーし、レンタルでやっと鑑賞。
この胸に届き、刺さった。
吉岡里帆の役者色が顕著になった
2022年劇場鑑賞34本目 良作 61点
鑑賞予定ではなかったが、吉岡里帆の演技と顔が好きなのと、評価が高かったので鑑賞。
当方幼少期から人よりアニメを鑑賞する習慣がなく、疎く育ってしまったので正直アニメ好きな方々よりは圧倒的に響かなかったと思いますが、それでも十分にアニメ業界の苦悩と葛藤を肌で感じることができました。
吉岡里帆やっぱり可愛すぎる
是非。
イマイチ伝わってこなかった
アニメ業界の内幕を描くという素材は抜群なのに、それほど面白いとは思いませんでした。
全体的にストーリーのテンポがよくないような印象を受けた(とくに序盤に)。
もっと疾走感のようなものやワクワクしたものを期待していたのですが、意外と物語の展開が地味に感じました。
アニメ制作に関わる人々の奮闘する姿は描かれているのだけれど、どうしたわけか、イマイチ熱が伝わってこなかったです。出演者はなかなかの面子がそろっているのですが、脚本のせいか、カット割りが悪いのか、画(映像)が良くないのか、はたまた東映作品だからか、とにかく、あまり感情移入できなかった。もっとうまく主人公を引き立てる人物――キャラの濃い、愛すべき脇役というような人物――が登場しなかったのも理由のひとつかもしれません。
なんかスクリーンを見つめながら、「映画づくりってホントにムズカシイな」と考え込んでしまいました。
今回もエラそうなことをいろいろと書きましたが、映画の入場料は、こういう好き勝手な感想を述べる権利を買うためのお金でもあると僕は思いますので、どうかお許しを。
原作小説未読。2本の新作アニメの直接対決。覇権を目指す監督と支える...
原作小説未読。2本の新作アニメの直接対決。覇権を目指す監督と支えるプロデューサの人間模様。映画らしい胸アツ展開ではある。劇中内アニメの作りにもお金かけてる感もある。でも「万人ではなく悩みを抱える誰か一人の子に届け」がテーマなのに、作品を通じて放たれるのは団結、信頼、友情、商業主義との葛藤、プロフェッショナル魂といったドラマにありがちな一般論なのにギャップを感じてしまった。大声だす、物投げる、当たる、泣く、仕事の大変さの表現がコミュ障が絶対やらないのばかり。アニメ見た子供たちの反応や番組宣伝のチープさの描写もなんか薄い。これって『別にアニメ業界じゃなくてもよくね』っていったら怒られてしまうかしらん。
明日の仕事への原動力になる映画
最初にタイトルを見たとき、『ハケンアニメ』=派遣アニメ(派遣社員がアニメ業界の中で奮闘する話?)かと思いました(笑)
正しくは「覇権アニメ」なんですね。
レビューが4.0だったから面白いんだろうなとは思ったけど、これがもう予想以上に良かった!!! ヾ(*゚∀゚︎)ノ
キャストも、劇中のアニメもすごく良かったです✧︎
アニメ業界の裏側が見れたのも興味深かったし、
何より、どの業界、どの仕事にも共通していることだと思いますが、
仕事は決して一人ではできなくて、色んな人の力が結集して“届く”んだということを改めて感じて感動しました。
明日の仕事への原動力になる映画です。
「こうありたい」が純粋真っ直ぐに描かれる。
この世界に魔法なんかないし、現実は厳しくて苦しい。それでも、時に感動は人を救うし、自分のなんでもない想像も誰かの感動になったらと夢みてしまう。
もづくりをする人の「こうありたい」を真っ直ぐ純粋に描いてくれたこの作品は、私にとっても救いでした。あれ、私こうありたかったはずなのに。その気づきと一歩踏み出す勇気をくれる側面には普遍性があり、業界が違っても多くの人生を応援できる作品に思います。
そしてそれを制作陣が現実に体現する、作品へのこだわりや全方位から溢れる愛を感じて更に涙が止まらなくなりました。
ベタなはずの台詞たちが生々しいお芝居で止めどなく刺さり、脇の脇まで登場人物の設定が鮮やかで会話劇が楽しい。空気を変える小野花梨さん、憎まれ役を愛おしく魅せる柄本佑さん、中村倫也さんの捲し立てる長台詞は圧巻でした。何より吉岡里帆さんの体当たり感や生っぽさが想像以上でした。斎藤瞳役が吉岡さんで心から良かったです。
そして限られた予算で劇中アニメ12話分プロットを2本作る本気ぶり。吉岡陣営と中村陣営で異なる物語が進みながら、劇中アニメも2本楽しめてエンタメとしても見応え十分。エンドロールの演出、主題歌エクレール、最後の最後に飛んでくる爆弾。つくることへの愛を感じて、自分も、と胸ををいっぱいにしたあの日感じた気持ちが宝物になりました。
“お仕事映画”という難物
公開時気にはなったがスルーして興行的にも振るわなかった様だが作品の一般評価自体は悪くなく、何となく気になっていた作品だったので再映された機会に観に行ってきました。
鑑賞結果、客観的に見て確かに映画そのものとしての出来は良かったと思いましたし、ヒットしなかったのも勿体ないと思いましたが、個人的には色々とシックリと来ない部分も多々あり、評価し難い部類の作品でした。
そこで今回お話ししたいことは、タイトルの個人的な“お仕事映画”による評価基準の難しさでしょうかね。
まず、鑑賞前にこの作品のタイトルの意味が私は全く分からず“ハケン”も“派遣”を指す意味と思い込んでいたのが、鑑賞中に“覇権”という意味だと分かりました。
私は映画は“時代の写し鏡”だと思っているので、この作品の設定やテーマに対して若干の時代性のズレ(古さ)を冒頭に感じてしまったので、それが最後まで引っかかりとして残ってしまいました。
私が、Amazonプライムビデオに加入して何年経ったか忘れましたがもう数年は過ぎて、最近Netflixに加入してからも、今アニメを鑑賞するツールは完全にネット配信に移行してしまっているし、テレビの衰退が叫ばれてからもかなりの年月が経ち、今ではティーバーやらアベマなどテレビ番組まで配信コンテンツになっている状況で、今更テレビの視聴率争いを物語の主軸にするって時代感覚は、私の映画嗜好からは完全に外れていました。
まあ、アート系作品とか普遍性を扱った人間ドラマであれば違った角度から鑑賞出来ますが、現代劇でしかも娯楽映画の中の時代性のズレは、私にとっては入り込めない要素の一つになっています。
本作は大枠“お仕事映画”として分類される作品だと思いますが、私のもう一つの個人的な“嗜好”(こだわり)として、昔から“お仕事映画”が苦手なんです。
それは恐らく、個人史的に仕事現場に対して良いイメージがない人間なので、最終的に“仕事”を美化したり、仕事を頑張る事の素晴らしさをテーマとした作品に対して素直に肯定出来ないのが原因なのでしょうね。逆に様々な問題点が解決しないままに終わってくれた方が作品に対しての印象は良くなります。
まあ私の場合、今回の“仕事”に対して感覚は“会社”“組織”“団体”“国家”“政治”に対する感覚と同様で、客観的に良く出来た作品であっても、これらを最終的に美化する内容の作品に対してはいつも懐疑的であり、取り扱いに困ってしまう苦手な作品群ではあります。
今回の感想は私の映画の観方のスタンス表明みたいなものになってしまいました。
同じ「ともや」でも中村倫也と前野朋哉じゃえらい違い
2022年映画館鑑賞39作品目
8月14日(日)チネラヴィータ
スタンプ会員1400円
原作未読
監督は『水曜日が消えた』の吉野耕平
脚本は『サクらんぼの恋』の政池洋佑
新人アニメ監督とカリスマアニメ監督が対決する連続TVアニメ視聴率戦争
いわゆるギョーカイ系のアニメ版
意外にレビューが多いことに驚いた
劇中のアニメの内容はどちらもちんぷんかんぷんだった
サバクは音によって毎回ロボット?の姿が変わるらしい
ロボットじゃないが以前ボンボンで連載していた飲むスープによって変身後の容姿が変わる『スープマン』みたいなものか
アニメにかける職人気質の労働者たちの熱意だけはヒシヒシ伝わった
この映画を観て刺さったり共感する人がいたら充分リア充だと思う
銀座コージーコーナーのゴリ押し感がハンパないが買うもんか
派遣ではなく覇権
あえてタイトルをカタカナ表記にしたことに出版社や原作者深月に悪意を感じる
派遣問題だと勘違いして買わせる悪徳商法
JAROなら紛らわしいに属する卑怯な商売
映画会社だって映画化する際に誤解を与えないために『覇権アニメ』に改題すればいいものを
ファッション誌撮影シーンの吉岡里帆が可愛かった
いくら監督に要求された芝居とはいえ前野朋哉ごときが吉岡里帆の肩に何度も何度も触るので腹が立った
それが中村倫也なら観てる方も不快感はない
同じ「ともや」でもえらい違いだ
お天道と番頭くらい違う
プッチーニとプッチモニくらい違う
大手アニメ制作会社『トウケイ動画』
アニメ監督・斎藤瞳に吉岡里帆
チーフプロデューサー・行城理に柄本佑
制作デスク・根岸に前野朋哉
宣伝プロデューサー・越谷に古館寛治
脚本家・前山田に徳井優
作画監督・河村に矢柴俊博
編集・白井に新谷真弓
色彩設計・青嶋に森レイ子
美術監督・仁木に二木二葉
撮影監督・二宮に尾倉ケント
制作進行・増田に広田亮平
制作進行・中島に久遠明日美
中堅アニメ制作会社『スタジオえっじ』
斎藤と対決することになるフリーランスの天才アニメ監督・王子千晴に中村倫也
チーフプロデューサー・有科香屋子に尾野真千子
演出・田口に松角洋平
制作進行・川島に大場美奈
原画制作会社『ファインガーデン』
原画のカリスマ的存在のアニメーター・並澤和奈に小野花梨
アニメーターで社長の関に六角精児
アニメでまちおこしを目論む秩父市観光課職員・宗森周平に工藤阿須加
斎藤のアニメに主演する声優・群野葵に高野麻里佳
フィギュア制作会社企画部長・逢里哲哉に水間ロン
アニメショップ店員に前原滉
王子に期待するテレビ局の重役・星にみのすけ
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