母性のレビュー・感想・評価
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胡散臭さの正体
私は愛能う限り、娘を大切に育ててきました。
原作の『母の手記』冒頭の一行です。
映画でも登場人物が「胡散臭い」と言ってましたが、本当にその通り。
母娘3代のキャラクター設定は、呆れるほど嘘っぽさに溢れています。少し誇張はあるけどそういう人いるかもしれない、と思わせることもしません。ある意味、隙がないというか手を抜かない、というか。
真っ直ぐに育った、という場合、普通は開放的で大らかな家庭で伸び伸びと、というイメージだと思いますが、永野芽郁さん演じる清佳は鬱屈を抱えたまま、精神的な歪さを保持したまま、真っ直ぐに育ちました。ここにも嘘っぽさしかありません。
原作者の湊かなえさんは、これが書けたら作家を辞めてもいい、と言ったそうですが、その後の活躍を見る通り、堂々と嘘をつきっぱなしです。
というわけで、この映画(原作も含めて)はすべて虚構、虚飾です。ストーリーや謎解きのミステリーという以上に、作品自体が我々を騙しにかかってきてます。
タイトルの『母性』から受けるイメージとか、作家生命を賭けてる、という話は、この作品がいかに人間存在の本質にまで迫る重い作品であるか、という錯覚を起こさせますが、テーマ性を読み取ろうとするとモヤモヤしか残りません。だって、もともとそんなつもりで書いてないのですから。
作家と出版社と映画製作に関わるすべての人たちが、長い時間をかけて我々を騙しにきてるミステリー。
胡散臭さの他に何もないけど、実は本当にそれだけ⁈
私は映画を見終わってやっとそれに気が付きました。
以上、極めて個人的な感想で、たぶんそういうことだっだのではないだろうか、という一種の妄想です。当然、客観的な根拠はひとつもありません。
【追記】
こういう置き換えに意味があるかどうかはともかく、こちらの方が分かりやすい気がしたので…
戸田恵梨香(母)…承認欲求が極端に強い中間管理職
大地真央(祖母)…褒め上手な上司
高畑淳子(父方の祖母)…超パワハラ上司
永野芽郁(娘)…戸田恵梨香の部下として配属された新人
褒め上手な上司との蜜月関係はとても幸せだったが、最近配属された新人がその上司からの覚えがめでたいことで、強烈な嫉妬心を感じる。ほどなく事故でその上司が亡くなり、超パワハラの上司がやってくるが、自分の仕事のスタイル(頑張れば褒めてもらえる、褒めてもらいたい)が有効であるとの盲信は変わらず、部下(新人)への仕事上の配慮は行き届かず、パワハラ上司への忖度だけが、責務のようになる。
そして、悲劇が…
あんた‼️❓そこに❓‼️愛はあるんか‼️❓
宣伝にミスリードされて、サイコ系ミステリーと覚悟してたら、なんと、超絶感動人間ドラマでした、いい意味でのサプライズ。
微に入り細に入り、悪魔のように繊細に天使のように大胆に。
原作者最高の小説を最高のシナリオと演出、さらに最高のキャストと演技、今年最高の邦画。
酷い環境や人間関係を乗り越えて、幾度か踏み外しながらも、健気に生きて、全力で愛を注ぎ合う、戸田恵梨香と永野芽郁の姿に涙が止まりませんでした。
乗り越える山が大きければ大きいほど、乗り越えた感慨はひとしおです、結末は本当に生きる勇気をもらえました。
ネタバレはほんの少しでもしたくありません。
最高の映画を、白紙の心で観て欲しい、そして素晴らしい気持ちを共有したい、全ての人に、是非。
あなたは誰を選びますか?
そこに 愛 はあるんか⁈
ちょっと待って
あらすじを読むと、女子高生の死の真相を母と娘の視点から描くというように読めますが、冒頭のシーンで自殺した女子高生は、永野芽郁さんではないですよね、だって教師をやって
いるのだから。別人。この解釈でよいのだと思っているけどちがうのかな。劇場を出るとき、同じ回を見ていた人が『小説と違う。』と話しているのが聞こえました。原作読んでみようかと思います。それはそうと高畑敦子さんの演技素晴らしい。最高です。そして、永野芽郁さん朝ドラに出ていた頃はあんまりでしたが、この間のマイブロークンマリコもそうでしたが開眼した感がハンパないです。この2人の演技だけでも観る価値あり。
"母性"その無償の全肯定の愛の矛先が狂った時、家庭は歪に瓦解する... "愛"のボタンを掛け違った人々が織り成す世にも醜悪な自己愛群像劇映画
noteクリエイター特別試写会にて鑑賞。
湊かなえさんの2012年刊行のミステリー小説の映画化作品。
生々しくも釘づけにされてしまう女性の内面描写に人を食ったようなどんでん返しが印象的なストーリーテリングが最大の持ち味かと思いますが、その中でも同じく映画化された『告白』『少女』と並ぶほどの女性心理の残酷さと孤高ぶりで、ショッキング映像こそ無いものの登場人物それぞれの人間的歪さが織り成す不協和音への嫌悪感は本作が屈指だと思います。
満たされない愛の代償として無自覚に他人を傷つける劇中の各々の姿に言いようの無い眩暈と胃もたれを禁じ得ませんでした。
過去の映像化作品同様に鑑賞には些か覚悟の必要な一本だと思いますが、時として自分がとある相手を慈しむ気持ちが別の誰かを歪ませることはあるにせよ、それが多重構造になるとこんなにも醜悪で救いようのない様相を呈するのかとハッとさせられます。
また、"恋愛映画の名手"と称される廣木隆一監督作品ですが、たしかに視点を変えれば娘・母・祖母の一途ながらも絶妙に噛み合わない凄惨な恋愛にも見えるかもしれません。
母性という毒性?
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