コーダ あいのうたのレビュー・感想・評価
全162件中、101~120件目を表示
お父さん名演技!
ろう者のお父さんがとてもいい味出してる!下ネタばっか言ってるお父さんが、娘を思う気持ちが伝わってくるクライマックスは感動でした。
無音になってはじめて観客もろう者の世界を体験する。聞こえる人と聞こえない人の世界が綺麗事ではつながらないことを思い知る。
そしてヤングケアラーとして生きることを決める娘と、それを求めてしまう親。その事実に苛立つ兄。
父は娘への思いが変化していく様子が描かれるが、母と兄はその過程がわからないのが残念。
漁業組合を立ち上げることでろう者が「社会」に主体的に関わっていく様子は良いが、もう少しろう者から世界を変えていく(人々の心の壁がなくなっていく)様子が描かれてもいいのでは。
通訳の苦悩が報われて良かった
幼い頃から家族の通訳が当たり前だったであろう彼女の苦悩が少し分かりました。病院で父親の症状を説明させられるとか大変過ぎる。
症状をメモし、事前に医師とは筆談を希望するとか出来なかったのか?そこまで何もかも耳の聴こえる娘任せ?
漁船も、幼稚園くらいの娘なら危ないし、その頃は父と兄だけならやはり巡視艇のサイレンとか無線聞こえないはずだし、どうやってたのか??と疑問。たまたまこれまでは事故は無く、でもそういうことも含めて違反船が無いかどうか監視員を乗船させることになったのだろうか。
コンサートでの無音演出と、オーディションでの彼女の歌い方、とても良かったです。自分だけ障害が無いこともつらいのだと、少し理解出来て良かったです。
最高のリメイク
いい意味で裏切られた。
エールが良かったからコーダもそこそこいいだろうでもアメリカ臭がしてエールには勝てないだろ、くらいに思っていた。
ところが、最高のリメイクだ。
まずはキャスティングが素晴らしい。
次に万人受けする選曲がいい。
そして、設定を酪農から漁師に変えたことで、海の絵が生まれたことが何より良かった。
崖から飛び降りたり、丸太の上ではしゃいだりキスしたり、みずみずしい青春をうまく切り取っている。
父親もエールのように選挙に出たりしないから、より無力で置いて出ていくのは心配だ。
発表会では完全な無音のシーンで観客も聞こえない世界を体験する。
この時、赤のドレスが視覚的に鮮明なのもより聞こえない世界にインパクトを増している。
ラストシーンでは結末がわかっていても涙が溢れた。
大学に行った後の、続きも観たくなるような作品に仕上がっていた。
最後の手話の意味は?
以前、同じようなシチュエーションの映画を観た記憶があるけど、それよりも判りやすく美しく、面白みのある映画だったと思います。開始して数分で世界観を全て描ききる明解さ、「ろうあ者の家族に囲まれ、話相手はラジオの音楽だけ、だからヒロインは歌が好き」という説明書きが一瞬で説明されていて、そこからスイスイと没入していきました。障害者の映画だからと云って、決して何とかポルノじゃない、下品な手話もシーンも満載w そして歌好きにもちゃんと見応え聞き応えのあるシーンも満載。
といって、ただ綺麗な歌声を流すだけじゃ無い、「ろうあ者にはどのように聞こえる(見える)のか」を再現するため、途中で音を消すという、ちょっと骨太い演出に関心。そして、最後のオーディションのシーンにも感動しました。それは手話というのは単なる言葉の代わりだけじゃない、言葉にならない想いを伝える手段にもなり得ると云うこと。ろうあ者にとって唯一の言語かも知れないけど、ヒロインの彼女にとって、小さい頃から家族とやり取りしてきたもう一つの言葉、もう一つの思い、彼女の体には私達と比べて二倍の厚みの辞書が埋め込まれていて、思わず言葉だけじゃ無く手話が出てしまう。だから、劇中で先生に想いを伝えられず手話で表現せざるを得なくなった。だから、最後のオーディションで想いが募り、思わず歌声と共に手話で表現してしまった。あの場に家族が来ていたからでは無いと私は想います。彼女はもはや、独り言すら手話で出てしまう、思わず手話で思いを語る人ではないのかと――。
最後の手話の意味は「あいしてる」なのだそうです。そして、エンドロールと共に流れる歌は彼女自身の生い立ち、家族と共に夜明け前から漁に出ていた頃を表した彼女自身の歌なのに気が付き、最後の最後まで聞き入り、字幕を読み込んでしまいました。また、タイトルのコーダが音楽用語でも有り、「Children of Deaf Adults」→「耳の聞こえない親のもとに生まれ、手話を第一言語とする人」という意味でも有るというのが面白いですね。
バークリーよりAGTの方が良くねーか?
などと。リアルな事は言いっこなしでw
アカデミー賞マイノリティ枠のノミネート作品です。フランス映画「エール!」のリメイクです。見始めて直ぐに「ピーナツバターファルコン」なんかを思い浮かべたりして。有り体に言えば、特別な感じもしない普通の映画。なんですが、クライマックスの演出が飛びっきりで特別だったw
秋の定例コンサートのサイレントな演出の素晴らしさと来たら、あーた。コレは生涯忘れないんだろうなぁ、ってくらいに良かったです!
通りで。脚色賞にもノミネートされてる訳だw
アカデミー賞の事は忘れて、期待値を上げ過ぎず、リメイクである事を承知の上で見ましょう。個人的にはフランス版の方が好きかも。
Codaというタイトルが秀逸です!
久しぶりに深く感動した。
誠実で、嘘臭くなく、コミカルで、美しい。
ルビーが歌うときの気持ちを表した手話が、ほんとに心からの、自然に生まれた表現という感じ。手話を知らなくても,伝わる想い。
お父さんがルビーの歌を、"触れて"聴くシーン。余計なセリフが一切なく、表情だけで心が通じたことがわかる、みごとな演技。
そしてクライマックス、聾者と聴者、両方の間を生きてきたルビーだからこそできる表現。“Both Sides Now“の歌詞と相まって、最高にたかぶる。
聾者の子ども、Codaとして生きてきたことがハンディキャップではなく、確かな強みであることが、言葉でなく心で理解できる。
I love youの手話を先に覚えておけば良かった。もう一度見たい。
鼻水がすすれなかった。
あらすじだけで「これは観たら泣く」と思っていたのですが、自分の想像以上に後半はボロボロ泣いてしまった。
あのコンサートの無音シーンは秀逸。
家族達がどんな環境にあるのか、体験させてもらえたのは有り難かったし、めちゃくちゃ泣けました。
タイトルにも書きましたが、あの無音体験を邪魔してはいけないと思って、鼻水がすすれなかったです(笑)
お父さんの為に歌うシーンも、その後の試験も、後半はもうずっと感動。
素直に、とても素敵な作品でした!
最高に感動する映画。これはオスカー作品賞とれる!
ジャンルは全然違うけど、「グリーンブック」見た後の感情に似ていた。でも、「グリーンブック」よりも良かった!「グリーンブック」は映画館で観ることが出来なかったので後悔していたが、「CODA」を映画館で観れたことで後悔を払拭でき、とても嬉しかった。
主人公の女優さん(=エミリア・ジョーンズ)がとても表現力豊かで可愛くて、歌もめっちゃ上手かったので最高やった^_^
心が温かくなって涙が止まらなくなる
一生語り継がれて欲しい名作。
久しぶりにこんなにいい映画を見た。
一瞬たりとも集中が切れない!
今でいうヤングケアラーの話だと思いました。
音が完全に消えてお父さんたちと同じ気持ちが味わえるシーンは鳥肌でした。
そのシーンからの喉を触って歌を聞こうとするシーンは号泣です。
主人公のルビーとお兄ちゃんは感情が爆発する手話と表情が本当に心に刺さる!
お兄ちゃんがひたすら妹思いで妹の夢を諦めさせないためにキツい言い方になってでも背中を押す姿には胸が締め付けられました。
ルビーはいい子すぎる!!
ルビーも家族思いで優しいからこその葛藤がラストのシーンに響いていて嗚咽するくらい泣きました!
歌にも手話にも家族に対する想いが込められていて、こんなにも表現されているなんて本当に演技力が凄すぎる!!
先生も大好きになりました!
みんなにからかわれるから引っ込み思案になるルビーに感情を吐き出させてから歌を歌わせる。
ルビーの才能を信じてルビーを支える熱くて優しい先生!
最高すぎます!!
友達も彼氏も優しい!
優しい世界!!
こんなに素晴らしい映画に巡り会えて幸せです。
世界中の人に見て欲しい。
どうでもいいけど、彼氏めっちゃカッコいい!笑
最高な映画に出会ってしまった…!
たまたまみていた某番組の映画紹介コーナーでみた、エミリアジョーンズの歌が
とても印象的だったので正直に言うと歌唱シーンだけ見るために観にいきました!笑
ですので、映画の内容にはあまり期待をしていなかったのですが…
最高の映画でした…!
題名のCODAですが、てっきり音楽用語のCODAだと思っていたのですが
Children of Deaf Adultの頭文字できこえない・きこえにくい親をもつきこえる子どものことを指す単語でもあるのですね…
内容ですが、やっぱりエミリアジョーンズの歌が素晴らしかった…!
そこが目的でもあったので、歌唱シーンはどれも良かったです。
父親目線での歌唱シーンでは、耳がきこえないという状態がどういった状態なのか
観ている側が体験させられる演出に鳥肌がたちました。
その後の父と娘のシーンからずっと泣きっぱなしです。笑
個人的にルビーが歌うboth sides nowが劇中の中で一番好きなのですが、
映画を最初から観て、ルビーたちロッシ一家をずっと観てきていたからこそ
ルビーが通訳としてではなく気持ちを、歌を伝えるために手話をし始めるシーンにまたぐっときました!
久々に見終わった後に高揚感がある映画に出会いました。
マイナスな気持ちじゃない感動の涙ってすごく良い!
まだ上映しているので迷っている方は是非とも映画館で見てほしい!
円盤化したら買います…
勉強になった
作中、聾唖の方が感じてる世界を感じる場面があったけど、想像すれば分かることなんだろうけど、驚いてしまった。
自分の知らない世界がまだまだたくさんあるんだと思いました。
歌声はすごいかっこいいし、V先生がとっても良かったです。
終わったときに覚えてるメロディーはなかったけど(記憶力のせいかも)。
最後の方、家族の問題がなぜ解決したのか分からなかったです。
なんで主人公がいなくても家がうまくいったのかな?
周りが聾唖者に歩み寄ったりしてる場面あったかな?
先生の手話のところかな??友達の子かな?私の理解不足か。。
あと、お父さんとお母さんが仲良しなのはいいけど、子供に下品な発言させたり、お兄ちゃんと友達との場面もあったり、性的表現あんなに必要だったかな。
映画館で笑ってる人何人かいたけど、私は笑えませんでした。
でも、全体的にはいい話だったと思います。
主人公の将来が楽しみです。
この映画の世界に浸っていたくなる
ママは私が聾唖者だったらよかったのにって思ってる?
あなたが生まれたときこうやって抱いてたの。たくさんのチューブをつけてね。あなたが耳が聴こえると分かって、心が沈んだわ。
思いもよらない言葉に私は何を理解したつもりで感情移入していたんだろう、と突き刺さる。
ルビーの声が優しくて序盤の練習の歌声だけでも泣きそうになった。
ずっと家族と一緒だったの
私のせいにしないで
人に責任を押し付けないで
苦しさも描いているのに、ずっとあたたかい感じがする映画だったのは家族が明るくて家族を思っているのが感じられたからだろうか。
星空の下でお父さんのために歌ってくれ、というシーンは涙なしには見られない。
オーディションのシーンはみんなの気持ちがあふれてて胸がいっぱいになる。
歌ってるときの気持ちをルビーが手で表したシーンも印象的だったな。
素敵なシーンがたくさんあってこの映画の世界に浸っていたくなる。そんな映画だった。
愛と歌と下ネタと。
学校のコンサートのシーン。
聾唖者目線(耳線?笑)での1分弱の無音。
映画を観る人達を信じてなければ恐ろしくて出来ない手法ではないか。究極にまで削ぎ落とした演出に驚いた。
その無音の中映る、笑顔の人、感極まって泣いてる人、リズムを取る人、肩を寄せ合う人達。そんな姿を見て父と母が娘の音大へのオーディションを許すに至った流れは綺麗。
またラスト、聾唖者の家族に歌の素晴らしさが伝わるように音大のオーディション中に手話を交えながら歌う主人公の姿に感動した。
もちろんこの伝え方があるのは作品上予測できてはいたが、溜めて溜めて満を持していざやられると、歌声の圧倒感と相まって心が震え上がった。
あとこれでもかと挟んでくる下ネタは、健常者聾唖者関係なくボーダーレスという。
いやむしろ手話の方がジェスチャーありきなのでよりディープじゃんか笑
ちなみにリメイク作品なの知らなかったので、今度リメイク前も観てみたいと思う。
大きな家族愛を描いた感動作
予告編を観て面白そうだったのと、非常に評価が高かったので今回鑑賞しました。
本作は2015年公開の『エール!』のリメイク版になりますが、こちらの作品は観ていないので、あくまでも本作単体での評価になります。
結論ですが、めちゃくちゃ良かった。劇中何度も涙腺が緩みそうになりながらも、何とか耐え抜きました。歌も素晴らしかったし脚本も素晴らしかったし、何より役者陣の演技が本当に良かった。劇中に登場する聾唖者は、実際に聾唖の俳優さんたちが演じることで非常にリアリティがありましたし、主人公ルビーの父親を演じたトロイ・コッツァーはアカデミー賞助演男優賞にノミネートしたり、聾唖者として初めてのオスカー賞候補になるなどの輝かしい功績を残しました。この演技は実際に見てみないと素晴らしさが伝わりません。ぜひ劇場でご覧になって欲しい作品です。
・・・・・・・・・
海辺の町で、家業である漁の仕事を手伝いながら高校に通うルビー・ロッシ(エミリア・ジョーンズ)は、両親と兄との4人家族で唯一耳が聞こえる健聴者(コーダ)であった。彼女は歌が好きだったが、過去に喋り方を揶揄われた悲しい経験から人前で歌うことを苦手としていた。ルビーは、片思い中のクラスメイトであるマイルズ(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)が選択授業で音楽の授業を取っているのを見て、自身も音楽の授業を選択する。その授業で教師を務めていたベルナド・ヴィラロボス(エウヘニオ・デルベス)は、彼女の並外れた歌の才能に気付き、バークレー音楽学校への進学を推薦するのだが……。
・・・・・・・・・・・
恥ずかしながら私は本作で初めて「CODA」という単語を知りました。「Children Of Deaf Adult/s」の頭文字を取った言葉で、「聾者の両親を持つ健聴の子供」という意味です。家庭内での会話ができないため発話に若干の問題を抱えてしまったりするらしく、本作の主人公であるルビーも入学時に「声が変だ」と同級生からからかわれたという描写が出てきますね。
本作で一番多くの比重を占める部分と言えば、やはり「CODA」であるルビーと家族との関係性の描写。家族でただ一人の健聴者であるが故に、通訳のような仕事を付きっきりでやらされていた彼女が、家族から離れて夢を追いかけたいと思うようになる。彼女の家族もまた、難聴者に対して厳しい社会の中で健聴者の彼女無しで生活ができるように奮闘する。「親離れ」と「子離れ」を同時に描いた作品で、家族映画として本当に素晴らしかった。
障がい者を「神聖で無垢なもの」として描かず、「一人の人間」として描いていることに好感を持ちました。最近は特に、障がい者やLGBTQの表現に対して風当たりが強く、彼らをどこか「穢れなき存在」のように描く作品が横行しているように感じていました。私の知り合いにも障がい者や同性愛者がいますが、彼らは決して神聖な存在ではなく普通の人間です。良い人ももちろん多いけど、悪い人だっています。だからこそ、最近の映画における障がい者の描写には強い違和感を感じていました。
しかし本作において聴覚に障害を持ったルビーの家族は、どぎつい下ネタも言うし昼間からセックスはするし、どこにでもいる「一人の人間」として描いているんですよね。私はこれこそが正しいポリコレの姿のように感じます。
本作に登場する聾唖者は、実際に聾唖の俳優さんが演じています。監督であるシアン・ヘダーは彼らの出演に対して「聾唖の俳優が聾唖の人物を演じるのが自然だ」とパンフレットのインタビューで語っており、映画の撮影が始まる前に手話をマスターし、手話通訳を介することなく直接演技指導を行なったそうです。このエピソードだけでも監督の映画に対する並々ならぬ情熱と出演俳優へのリスペクトを感じます。
主人公の父親役である聾唖の俳優トロイ・コッツァーも「こんなに良い現場は初めてだった」と語っています。そしてそんな素晴らしい現場が、トロイ・コッツァーをゴールデングローブ賞やアカデミー賞に助演男優賞としてノミネートするという快挙を生んだんでしょう。
語りたい感動的な場面や笑った場面がたくさんありますが、挙げればキリがないので割愛。ぜひ多くの方に鑑賞してほしい映画でした。オススメです!!
【4月1日追記】
アカデミー賞作品賞と、トロイ・コッツァー氏の助演男優賞受賞、本当におめでとうございます。アカデミー賞をきっかけに上映館数がまた増えたらしいので、更に多くの人が本作を観てくれそうですね。一ファンとして、非常に嬉しいです。
温かいファミリーヒストリー
生まれた我が子の健常を願わない親がいるという価値観に目からウロコでした♪
しかし、我が子の幸せを願わない親はいません。
家庭環境がどうあれ、それまでの関係性がどうあれ、最終的には抱き合って涙するものだと思います♪
心が洗われました!
「手話」の捉え方が変わる映画
言葉は、原体験の2次表現である。
まず、何も名前が付けられていない、そのままの状態の「何か」があって、それを表す手段として言葉を用いる。
手話は、言葉の代替品。つまり、3次表現として捉えていたが、コーダをみて、その考えが変わった。
ルビーは、V先生に、胸の内を表してみろ、と言われた際に、手話という言語を用いた。その手話には、字幕が付け加えれていなかったが、伝わる
「何か」があった。
さらに、音楽大学の入試の場面。ろう者である家族が2階から見守るその場面で、ルビーは声だけでなく手話を用いて、歌を表現した。
これは、家族に対して為された「配慮」などではなく、自分の、胸の内を表現する最高の手段として、手話を選んだのだ。
手話には、言葉では伝え切ることのできない、何かを伝える威力があり、「伝える」という人間の根本である行為に説得力を持たせる手段であると実感した。
久しぶりに1週間浸れたました
とてもとても感動しました。
別の映画で予告編を見て、必ず見ようと決めていました。
その期待を上回る感動をくれました。
すべての役者さんが素晴らしかったけど、
特に主役の ルビー が抜群でした。
私は特に、バークリーのオーディションのシーン。
出だしイマイチだったのをうまく救ってくれたV先生。
ふぅっと息を吸いながら気を取り直して歌い始め、
忍び込んだ家族に向かって手話で語りかけるように ”歌う” ルビー。
本当に美しい歌声。
美しい手話でした。
このシーン、映画を観ている事を、私は忘れていました。
見事という他はない。
素晴らしい作品に出会えた事を感謝します。
青春の光と影
聴覚障害のある家族の中で、唯一健聴者である主人公が、家族への愛と葛藤を抱えつつ、自分の生き方を求めていく姿を描く。世評の高さに引かれて観に行った。
音が聞こえない家族と、歌の才能を開かせていく娘という設定は、とてもつらいものがあるが、ユーモアとバイタリティに溢れていて、しっかりエンターテイメントに出来上がっていた。セックス関係のネタが多いのは、アメリカのハイティーン映画ならでは。
マーリー・マトリンの母親をはじめ、父親、兄の役者も、本当の聴覚障害者とのこと。特に、父親が素晴らしい。コンサートでの無音のシーン、そしてその後の娘ののどに手を当てて振動で歌声を聞くシーンは、ぐっとくる。
最近では「ドライブ・マイ・カー」でも印象的だったが、手話というのは美しいね。
音楽映画としては、マーヴィン・ゲイ、デビッド・ボウイといった選曲が良い。特にハイライトは、ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」(Both Sides,Now)。主人公にとっての夢と現実の両面という意味とともに、音が聞こえる人と聞こえない人の両方をつなぐ主人公自身の姿を表しているようにも思う。
最後は、主人公が音楽大学に合格して自分の行きたい道へ踏み出し、ハッピーエンドに見えるが、昨今言われる「ヤングケアラー」でもある主人公が独立して、そのあと家族はどうなるのか(漁はできるの?罰金はどうしたの?)が気になってしまった。現実を振り返ると、周囲の理解や支援が必要だと思うが、そこまでこの映画に求めるのは、ちょっと酷かな。
あるシーンで感じた映画体験感
面白かったです。ほとんど前情報なしで観に行ったんですけど、面白かった。
序盤からキャラクターがひとりひとりキャラ立ちしている。だから、各キャラクターに共感が持てるし、世界観にも『すっ』と入っていける。
お父さんの下ネタ手話の熱演とか、先生のクールさとか。モブキャラの『ハリーポッター』ですらキャラ立ってる。そんなこんなで、序盤から最後まで、ずっと感情移入しながら観てました。お父さん役の人アカデミー賞助演男優賞いけるんじゃないだろうか?ちょっと楽しみ。
ルビー達コーラスクラスのコンサートのシークエンスがとくによかったです。
夕飯のおかずとか、そんなん後にしろよ。などとハラハラしながら観ていたら、無音になるシーン。けっこう長い。お父さんの周りを見渡す表情が印象的で、『そうか、彼等はこういう世界で生きているのか』と。圧倒されて、涙が溢れた。
音楽のチョイスも素敵だった。歌の歌詞と主人公達の置かれている状況がシンクロする演出。あれ、最高だし、そういうの好きな人にはこの映画、最高だと思う。
とっても気持ち良い映画でした。
全162件中、101~120件目を表示