「ネイサン・ドレイク 幻の海賊秘宝と失われぬ冒険心」アンチャーテッド 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ネイサン・ドレイク 幻の海賊秘宝と失われぬ冒険心
毎度の事ながら、基のゲームは全く知らず。タイトル名どころか、存在すら知らなかった。
ただただ、絶好調トムホと“This is THEハリウッド・アクション・お宝探しアドベンチャー・エンターテイメント”に釣られ、鑑賞。
この時期にこれほどのハリウッド・エンタメ大作が、しかも日米同時公開とは異例。無論トムホの『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の余波を受けてだろうが、配給会社もよほど自信あったのか。
にしても、2ヶ月連続でトムホ主演のハリウッド大作が公開とは、ノリにノッてる~!
率直な感想。
特別目新しさは無い。典型的なアクション・アドベンチャー。
しかしその分、気楽に見れる。これぞ単純明快通快ハリウッド・エンタメ!
設定やストーリー展開は本当に平凡。が、ワクワクのツボは抑えている。
“兄弟トレジャーハンター”としていつの日かお宝探しや冒険に出る事を夢見ていた兄サムと弟ネイサン(通称ネイト)。俺たちはフランシス・ドレイク(実在のイギリス人冒険家)の末裔、冒険心が騒ぐ。
が、ある日、伝説の黄金秘宝の在りかのヒントとなる地図を手に入れようとして、サムが捕まる。入所の直前、逃げ出す。
唯一の肉親であった兄との別れ。それ以来兄は消息も音沙汰も全くナシで、今に至る。
NYでバーテンダーとして働く一方、ケチなスリもしているネイト。
そんな彼に声を掛けてきた一人の男。トレジャーハンターで、通称サリー。
ネイトのスリの手際さや度胸、知識を見込んでのスカウト。歴史の中に消えた海賊船絡みの50億ドル相当の財宝…!
話やサリー自体に胡散臭さを感じつつも、ネイトが決意したある理由。
サリーは兄の知人。ひょっとしたら、兄を見つけ出す事が出来るかもしれない…。
若きトレジャーハンターとして、ネイトは冒険に出る…。
全編通して、トムホの魅力ぎっしり。言うなれば、トムホのスター映画…いや、アイドル映画!?
開幕からパラシュート無しの空中ダイブ・アクションを披露。(ちなみにこのシーンは、物語上は中盤に当たる。ド派手な見せ場先出しの掴み)
世界を股に駆けるトレジャーハンター故、スパイダーマンの時よりマッチョになった印象。トレーニングで筋肉を付け、激しいアクションにもノースタント。
トムホが魅せる身体を張ったアクションの連続。ジャッキー・チェンばりの高所ぶら下がり、大男との肉弾ファイト、飛んで跳ねてとにかく躍動。
CG主体のスパイダーマンとは一味違う、生身アクション!
アクションだけじゃなく、キャラの性格像も従来の“子供っぽい”トムホとは違う。バーテンダーとしての華麗なボトル捌き、女性を口説き、その間にスリ。言動もワイルド。
新たな魅力のトムホ。
だけど、冒頭のNY地下鉄のシーン。まんまピーター・パーカーじゃん!…って思ったり。
今回のトムホは“スパイダームズムズ”ならぬ“冒険ムズムズ”でありながら、それでもやはりトムホは、“親愛なるトムホ”!
アドベンチャー物に、バディ、悪役、魅力的なヒロインは必須。
ネイトをスカウトしたトレジャーハンターのサリー。マーク・ウォールバーグが雰囲気ぴったりのタフさ。
勿論マークも身体を張ったアクションを魅せるが、一番の見ものはトムホとのやり取り。
ネイトはお宝以上に冒険そのものや兄を探すのが目的だが、サリーはズバリ、お宝目当て。組んだのはいいけれど、時々100%信用出来ないような…。
それ故の対立、衝突。また、サリーがネイトに隠していた兄の真実…。
しかし、腐っても男臭い冒険野郎。
スカウトして当初は“師弟”の関係性だったが、次第に熱い男の“バディ”を育んでいく。分かっていても、男ならこの絆に惚れろ!
それから言うまでもなく、トムホとマークによる丁々発止の掛け合い、絶妙なユーモアのケミストリーもそつなく。
だって、普通に考えてみても、トムホとマークのバディなんて魅力的じゃん!
財宝を代々我が一族のもの。それを取り戻す為なら手段…いや、金に糸目は付けない。
財宝を狙う大富豪、モンカーダ。アントニオ・バンデラスが、一見ジェントルマンなロマンスグレーを含ませつつ、非情さも。
このままネイト&サリーの前に執拗に立ち塞がる悪玉ボスとして存在感を発揮するのかと思ったら…!
お宝を狙うのは男たちだけじゃない。二人の女トレジャーハンター。
ネイト&サリーと行動するクロエ。その美貌に引き込まれながらも、彼女もまた100%信用ならない。ソフィア・アリがクールな魅力。
モンカーダ配下のブラドッグ。サリーとは“男女”の訳あり、ネイトとも後々判明する因縁。屈強な男どもを従える実行リーダー。性格もキッツイ! タティ・ガブリエルがインパクト魅せる。
『インディ・ジョーンズ』『トゥームレイダー』『ナショナル・トレジャー』…これまで映画史を冒険してきたレジェンド・アドベンチャー・ムービーの例外に漏れず。
本作もお宝探しアドベンチャーの醍醐味、あるある、ワクワクたっぷり!
旅の手掛かりは決まって、街中。オークション会場、修道院の地下…“鍵”を探す。
手に入れ、いよいよ冒険に出る! アメリカ~ヨーロッパ~アジア…。世界を駆けてこその冒険野郎!
“鍵”を得ての謎解き、思わぬ裏切り、立ち塞がる敵…。ミステリーや襲い来るアクシデント、スリルは一度や二度じゃない。
そして、お楽しみの大スケール・アクション!
オークション会場での騒動アクション、街中地下の探訪も楽しいが、アクションの見せ場は中盤から!
“先出し”の空中ダイブ・アクションは本当に圧巻! いつもなら蜘蛛の糸スイングしてるところだが、比べ物にならないくらいのこの浮遊感!
遂に見つけたお宝眠る幻の海賊船。それが突然動き出す…? しかも、空へ…!?
悪玉一味がヘリで海賊船ごと空中輸送。
“空飛ぶ海賊船”上で繰り広げられる、クライマックスを飾るに相応しい最大見せ場!
綱を使ってのスイング、大立回り、近代ヘリvs古代海賊船砲弾…。
気分は“スカイ・『パイレーツ・オブ・カリビアン』”!
お宝探しに加えて、ヨーソーロー!
(劇中、“インディ・ジョーンズ”や“ジャック・スパロウ”の名前も出てくるし)
『ゾンビランド』や『ヴェノム』など、ルーベン・フライシャーの軽快なアクション演出が存分に活かされた。
それは良くも悪くも。
エンタメ作品としては楽しいが、本当に終始“軽い”ノリ。
もっとドラマ性や歴史に踏み込んだミステリーなどの深みを期待すると、実に淡白。
唯一意表を付いたのが、バンデラスが途中退場。ブラドッグが女ボスに。
ここら辺もっと巧みだったら、お宝に色が付いただけに、惜しい。
さすがに冒険家の大先輩インディ・ジョーンズには及ばず。『トゥームレイダー』『ナショナル・トレジャー』とライバル…?
まあでも、ケチは付けられない。これほどの王道アドベンチャー・エンタメ大作を劇場大スクリーンで“冒険”出来たのだから、それだけでも!
冒険の果てに見つけ出した“お宝”。
バディの絆。
決して失われぬ兄弟愛…。
それこそ本当に“アンチャーテッド(地図に無い場所)”から。
当然、ニュー・トレジャーハンターの冒険はこれ一回きりじゃないよね。だって、
牢獄の謎の…いや、おそらく“アノ人物”。
ラストシーンは完全に“次回作”のOPのよう。
監督も明言。もう次の冒険に出る気マンマン!
さあ、ネイト&サリー、
次なる冒険へ連れてってくれ!