鬼が笑う

劇場公開日:

鬼が笑う

解説

家族を守るために罪を犯した男の魂の行方を、日本社会が抱える差別や偏見などの問題を見据えながら描いた骨太な人間ドラマ。母と妹を父の暴力から守るため、父を殺してしまった石川一馬。更生保護施設で暮らしながら社会復帰を目指すが、社会からは「人殺し」と非難され、生きる希望を失っていく。ある日、一馬は職場のスクラップ工場で、外国人労働者へのイジメに巻き込まれてしまう。周囲が目を背ける中、中国人労働者の劉だけがイジメを止めに入る。そんな劉の姿に目を覚まされた一馬は、劉との交流を通し、自分の望む幸せを掴むべく立ち上がるが……。兄・三野龍一が監督、弟・三野和比古が脚本を担当する映画制作ユニット「MINO Bros.」の長編第2作で、前作「老人ファーム」に続いて半田周平が主演を務めた。

2021年製作/124分/PG12/日本
配給:ラビットハウス、ALPHA Entertainment、MINO Bros.
劇場公開日:2022年6月17日

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(C)2021 ALPHA Entertainment LLP 「鬼が笑う」

映画レビュー

3.0勝手な主観でごめんなさい

2024年7月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

タイトルについて考えさせられる。
おそらく鬼とは主人公石川カズマの母のことだと思う。
すべてをカズマが悪いからだと決め込み、その自分に憑りついた邪悪を取り払うためにカルトに入信した。最後にカズマがアパートを訪れると、3人で仲良く肉じゃがを食べていた。
その時の母の笑顔が実に印象的だ。
石川一家の元凶は父だ。
パチンコ狂いのDV 現状の悪いことすべてを妻の所為にしている。
当時母は必死で子供たちを庇っていた。是が非でも夫が子供たちに暴力を振るうことは許さなかった。
妹のまどかは父のDVに堪えられなくなり母を助けようとするが、一蹴されてしまい家を出るとちょうど兄が帰宅したことで兄に助けを求めた。
カズマもすでに我慢の限界に達していた。
金属バットで父の頭を何度も殴って死亡させた。
さて、
カズマはなぜ母からあんなにも疎まれなければならないのだろう?
仕事から帰り、作った肉じゃがの皿をひっくり返す行為は、恵方巻を家族で食べていた時の父の行為と同じだ。
「私がこんなに苦しいのは全部アンタの所為」
この言葉も父と同じ。
カルトの入信者営業をやめさせようとするカズマに「鬼子」と痛烈な言葉を浴びせかける。
この瞬間、タイトルの鬼とは母のことを指しているのがわかる。
事件が起き、世間体や嫌がらせを想像することはできる。
でも引っ越しもせずその毎日の嫌がらせに応じていたのはなぜだろう?
妹は良縁に恵まれ幸せな家庭を築いた。
しかし彼女もまた「私の人生に関わらないで」と兄を退けた。
「全部あなたのエゴなの なんで私を巻き込むの? どんな思いで今まで生きてきたかわかる? 誰の所為? もう辛いのは嫌 あんな思いは嫌」
妹は少し兄に対する思いやりを残しているものの、許せない気持ちの方が強い。
まどかにとって「いい人」が現れた時、事情をすべて打ち明けたのだろう。
同時に廃人の様になっている母を見捨てたのだ。
もちろん結婚式にも呼んでない。
兄には連絡をしたのだろう。
まどかは石川家を捨てた身分だ。
さて、
カズマは家族を守りたかった。
でも失われた絆はもうどうにもならない。それをまどかによって痛烈に教えられた。
リュウは誤って社長の首を何かで切り死亡させた。
彼の祖国の話を何度も聞いていたカズマは、彼の「殺してくれ」という依頼にこたえる。
この時カズマは2度目の鬼になったと、自分自身思ったに違いない。
社長の葬儀をめちゃくちゃにして、その足で母のアパートに行った。
最後にもう一度母の目を覚まさせたいと思った。
しかしそこにはカルト二人と一緒に楽しそうに笑いながら肉じゃがを食べている母を見た。
一瞬、殺気が走る。
しかしそのままいつか家族3人で海水浴に出掛けた浜辺に行く。
カズマは職場で「殺人鬼ちゃん」と呼ばれていたこと、母の言った「鬼子」という言葉 まどかにまで「私の人生にもう関わらないで」といわれたことなどが頭に浮かんでいたのだろう。
自分自身の忌々しい人生にケリをつけるため割腹した。
しかし、
この作品は何だろう?
どうしてもカズマがしてしまったこととその後の石川家に対するバッシングがあったにせよ、二人ともすべてをカズマの所為にした理由がまったく理解できないし共感できない。
この部分が描き切れてない。通常絶対そうはならない。ならない理由を描いてほしかった。
また、高校生のカズマが取った窮地から脱出する最後の方法がどれだけ間違っていたとしても、刑罰を受け世間から疎まれながらも社会復帰し、家族の絆を取り戻そうとするのはそんなに間違ったことなのだろうか?
カズマが心のよりどころにしてきた母とまどか 二人の思いはどこまで行っても交わることのないほど開き切ってしまっている。
それに加えて仕事上の問題と仲間の苦悩。
最後はどうしようもなくなってしまう。
この作品を撮るのであれば、「セヴン」のように、カズマに考える余裕を与えないようなスピード感が欲しい。
考えさせると視聴者も一緒に考えることで違和感が払拭できなくなるのだろう。
また、どこまでさかのぼっても「悪魔の法則」のように、いつの時点での選択だったのかを考えさせるようでなければ面白くないと思う。
作り手の方々申し訳ございません。完全に私の主観です。

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R41

4.0母親が憎い

2024年7月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

2回に分けてみてしまいました。
父親の狂った暴言と暴力がひどすぎて、一度休憩はさみ、翌日続きを観ました。

悲しい末路でした。
母親が父親から逃げてたらこんなことにならなかったとしかいいようがない家族の崩壊。

崩壊してもいいけど、逃げようよ、誰か「逃げる」ことを教えてあげてほしかった。

更生施設の職員、あの腐った態度、現実ですか?

私が殺意湧きました。

妹からボロクソに吐かれ、妹は泣きながら謝る、しかし、離れてくれと、そこは、理由はどうであれ、殺人者の家族がいわれもしない酷い年数あゆむしかなかったのは、理解できます。

人殺し、人殺しと、言われても無抵抗で、そうなるしかないのか。

あまりに、あまりな、短い人生で、ラストは母親を殺めるかとおもいきや、自分に刃をむけた。

母親が父親から子供を連れて逃げたらこんなことにはならなかったのに。

岡田の演技はうまかった。

半田周平、今後の活躍に期待です。

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はなくろ

5.0断罪しない映画

2024年4月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

家族を守り殺人を犯した者、それによって人生が一変した家族、外国人労働者とその雇用者、更生施設の職員、新興宗教信者など、実にさまざまな立場の人間が描かれており、見る角度によってほぼ全員の中に正義もあり悪もあるようになっています。
今の日本では正義があり、ルールがあり、悪者がいて、処罰される、という図式があまりに単純化されているというか、社会が単純化を目指し過ぎていると思うのですが、そんな中にあって、それぞれに少しずつ正義も悪もあるし、そもそもどちらも無いのかもしれない、というような作品はとても貴重だと思います。
普段からネットやテレビのわかりやすい断罪に慣れ親しんでいる人にこそ、是非「これは〇〇が悪い」と断罪せずに見てほしいです。

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mcabee

2.5生き辛いよね、何が誠実でどこを間違えたのか

2022年10月27日
iPhoneアプリから投稿

2022年劇場鑑賞46本目 佳作 57点

当サイトにてポスターと予告を拝見し鑑賞したミニシアター映画。

雰囲気は頑張っていたけど、、、って感じでした。

もっと絶望感が伝わる演出や脚本があった方が終わり方といい、より締まった作品になったのにどこか終始ふわふわしていた印象でした。

登場人物各々厳しい状況にいて、その中で希望を見出して生きている様には失望感が苛まれました。

次回作に期待です。

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サスペンス西島