LAMB ラムのレビュー・感想・評価
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羊たちの沈黙…?
どこまでも続く曇天の空、果てしなく広がるアイスランドの大地を舞台に、そこに暮らす羊飼いの夫婦が、破滅への道を歩んでいくスリラー・ミステリー。効果音やBGMも一切無く、聞こえてくるのは北の大地を吹きすさぶ風の音と羊たちの泣き声。それが却って、この作品の謎めいた不気味さを煽ってくる。
本作は、禁断な生業への贖罪といえる内容で、賛否が別れる作品だと思う。最後の最後まで、謎を引き付けて、心揺さぶってくる演出は、素晴らしい。しかし、ラストのオチや正体の部分が、今ひとつハッキリしないまま、非情なまでのイヤミスで、いきなりエンドロール。やや短絡的で、何となく消化不良で観終わった方も多いのではないだろうか?
前半は、トラクターで牧草を刈り、干し草を羊に与え、放牧犬と共に羊を追い込み、羊飼いとしての日常を大変リアルに描いていく。そんなある日、羊の出産に立ち合った時、羊ではない『何か』が生まれる。子供を亡くした夫婦は、その『何か』にアダと名付け、子供の様に育てることにする。
しかし、母親の羊は、夫婦に連れ去られた子供を追い求めて、夜な夜な夫婦の部屋の前で子供に向かって「メェー」と鳴き続ける。次第に妻のストレスが溜まっていく中、夫の弟が借金から逃れて、舞い戻ってくる。当たり障りない夫婦と弟の会話の中にも、少しずつ不穏な空気が漂い始める。
本作のスリラーとしての魅力は、物言わぬ羊の描写にあると思う。音のする方向に、一斉に見つめる羊たちの視線、自分たちの運命を知っているかのような、哀愁が漂う鳴き声、全てわかっていると語ってくるような仕草。まさに、悲哀が溢れる『羊たちの沈黙』とも言える。
妻のマリア役のノオミ・ラパスは、『シャーロック・ホームズ シャドウ・ゲーム』や『プロメテウス』にも出演したスウェーデン出身の女優。本作では、田舎の羊飼いの妻らしくスッピンで、泥臭い体当たりな演技を魅せてくれただけでなく、製作総指揮も務めている。ラストシーンは、いろいろな思いが掻き立てられる、彼女のアップでエンドロールを迎える。
解釈が何通りもできる
さすがカンヌ作品。作りはいたってジミ。登場人物も少なく、セリフも最小限。
私の解釈は
このストーリーに良い悪いはない。白夜が続いて昼も夜もなくただ時間が過ぎていく。生きなければならない。
ラストはやはり因果応報であり、プラス・マイナス零になってしまった。
人間の強欲も結局は自然の淘汰作用で打ち消される。
とても面白い
頭と右手が羊で、他が人間の子どもを我が子のように育てる、里親映画だ。その子が特に手が掛からないいい子に見えるけど、感情も描かれず、空疎な感じもする。おじさんのドラムに見入っていて、音楽が好きなようだ。
それほどドラマチックな事件や展開がないまま地味に進むのに、退屈しない。岡田索雲さんの妖怪の漫画のようなテイストだ。特に最後の羊おじさんが岡田索雲さんの漫画に出そう。
ホラーなのかな?
あのミッドサマーのA4制作ということでさぞかし怖いだろうとドキドキして観に行った。舞台は地の果てのような寒い、天気悪い処。隣家までなんキロあるかなって感じのポツンと一軒家。羊飼いのご夫妻と犬、猫、たくさんの羊。動物好きには嬉しい映像。でも異形のモノが産まれ、ソレヲ育てていくご夫婦。ソレを抱いて短調の子守唄を歌うヒロインが怖い。育ての母と実の母の攻防も凄い。羊とかヤギの類いは感情がよくわからないから羊の目が怖い。でもミットサマーの(人間が一番怖い、特に女)のコンセプトは変わってない。母親は子供の為ならなんでもするよね。ラストでとてもビックリしたけどこの映画で一番怖いのは羊飼いの奥さん。日本だったら毒親と呼ばれそう。ホラーではなくて心理オカルト映画かな。スーパーでラム肉を当分買えそうにもないから星は3,です。
セリフが極端に少ない寡黙な物語。すべての解釈は観客に委ねられています。“夢”と“幸福”をめぐるおとぎ話として見ると、いっそう興味深いのかもしれません。
一風変わった映画は世界中にいくつもありますが、これほど妙ちきりんな作品にはめったにお目にかかれないと思います。アイスランドから届いたホラー映画。いや、ファンタジーとも言えるし、サイコスリラーのようでもあります。いっそ”ストレンジ映画”と呼んだ方がぴったりくる作品でしょう。
地の果て。そう思わせるような風景です。険しい山々を望む谷。白い霧が漂います。どんより曇りがちな空は、白夜で夜も日が沈もうとしません。
そんな人里離れた山間部で暮らす羊飼いの夫婦、マリア(ノオミ・ラパス)とイングバル(ヒルミル・スナイル・グドゥナソン)他には、メェ~と鳴く羊だけ。誰も住んでいません。彼らの牧場以外は、何もなかったのでした。
序盤、谷に閉じ込められたようなふたりの日常が淡々と描かれていきます。夫婦は、子どもを亡くして悲しみに暮れていたのです。
ある日、ふたりはある1頭の羊の出産に立ち会います。そこで羊が羊ではない「何か」を産んだことに直面するのです。産まれてきた子羊は普通の羊とは違う半人半羊の奇怪な赤ん坊だったのだったのでした。夫婦は戸惑いながらもそれを受け入れます。その生き物はとても愛くるしい容貌でした。夫婦はそれをすぐに溺愛して、わが子同様に大切に育てていくことになります。亡くなった子供の名前と同じ"アダ"と名付けるほどに。奇跡がもたらした"アダ"との家族生活は、ふたりにとって大きな幸せをもたらしまします。
しかし、そこへ夫の弟ペートゥル(ビョルン・フリーヌル・ハラルドソン)がやってきます。彼は"アダ"に驚き、それが異常だと指摘するのです。静かな谷に不穏な空気が流れていきます。やがて"アダ"の存在がふたりを破滅へと導いていくことになっていくのでした。
セーターを着て二足歩行する無邪気なアダに、夫婦がありったけの愛情を注ぐ光景は、開いた口が塞がらないほどシュールです。ただそんな異常な光景をひっくり返してしまうほど、アダは可愛くて、夫婦の気持ちに自然に感情移入できました。"アダ"は明らかに異常ですが、夫婦にとっては「喪失」を埋めてくれる大切な存在であるということに納得させられました。異常さに目をつぶりさえすれば、目先の幸せは壊れないものです。「喪失」の中身は違っても、そんなふうに思って暮らしているのは、彼らだけではないことでしょう。
雄大で荒々しい山や草原の風景をダイナミックにカメラに収め、北欧民話のエッセンスや宗教的な隠喩を織り交ぜた映像世界には、ただならぬ吸引力がみなぎります。
アダの父親である異形の怪物が姿を現す展開にも驚きました。それを覆う白夜の不気味さ。ほとんどセリフの無い不穏な空気。人がジワジワ不快に思う要素盛りだくさん込められています。見終わった後、考えれば考えるほど自分の中で作品の捉え方が変わってくる感覚に包まれることでしょう。
ホラーやSFの雰囲気ですが、本質的には寓意を込めたファンタジーといったほうがいいでしょう。奇妙な物語は甘美な夢のようでも、悪夢のようでもあります。神話のようにすら見えてくるほど。けれども一方で、気味悪いほどの生々しさも感じさせてくれました。 アイスランド北部でロケ撮影されたという圧倒的な自然描写の魔力だからでしょうか。
セリフが極端に少ない寡黙な物語。すべての解釈は観客に委ねられています。“夢”と“幸福”をめぐるおとぎ話として見ると、いっそう興味深いのかもしれません。1時間46分
監督はヴァルディミール・ヨハンソン。これが長編デビュー作となります。衝撃的な設定の中にもリアリティを持った世界観を構築したことで世界から称賛を浴び、第74回カンヌ国際映画祭のある視点部門で受賞しました。アカデミー賞®国際長編部門アイスランド代表作品にも選出。
主演・製作総指揮を務めるのは『プロメテウス』、『ミレニアム』シリーズで知られるノオミ・ラパス。この手の映画は彼女が似合っているとおもいます。
羊の赤ちゃんが可愛い。
観た率直な感想
え?これで終わり?????、羊の赤ちゃん可愛い
でした。
全体的に俳優さん達の台詞が少ないので静かに進んでいく。たまにエンジン音とかでドーンとうるさくなりますが、寝れる人は寝れると思います。
物語最後になるまで、恐怖に感じるところはほぼないです。雰囲気ホラーみたいな感じでホラー映画苦手でも大丈夫だと思います。ビックリさせるシーンもないです。
私的にはもっと、羊人間と暮らしていく内に不可解な事が起こっていくのだと思ってました。(羊人間が不思議な力を持っているとか、他の羊達と話しができて自分という存在がなんなのか悩むシーンとか)
最初のシーンで吹雪の中、小屋の中にいる1匹の羊が"なにか"によって襲われる。
↓
春?になり、その羊が奇怪な子供(羊人間)を産む。
↓
しばらくは羊人間子供と幸せに過ごす。
(全1時間55分ですがここまでで1時間半くらい)
↓
物語最後に、羊人間と一緒にいた育ての親の父が、大人バージョンのムキムキ羊人間にライフルで撃ち抜かれて亡くなってしまう。→妻が銃声で駆けつけるも、すでに羊人間大人は羊人間子供を連れ去っていて、亡くなった夫を見て、謎の時間だけが流れる。
妻の心情を表現したかったのかもしれないが、物語はそこで突然終わる。
しっかり計ってませんが感覚で、ここだけで30分もしないくらいでした。
結果、??????とあの羊人間大人は何??で謎で終わりました。
羊は悪魔にもいるから、悪魔のなんかだとは思いますが、にしてもライフルで物理的にやるんだ…と。
もう少しオカルト的にやってほしかったです。
しかも今までほぼ伏線もなく突然出てくるので尚更です。(一番最初のシーンのみですが、伏線といえばそうかも)
恐怖を味わいたい人には向いてないかもしれません。
怖くなく羊が可愛い映画です。
噛み締める映画
人の業の恐ろしさの話か、愛の話か…
はたまた神様の報復か、自然の摂理か……
淡々と流れる自然の世界で穏やかな気持ちになるのに、
ずっとどこか不気味で…何か起こりそうで…
どっちの視点に立つかで、感情乗りおき場所がだいぶ変わるので見終わった後もずっと考えている。
ただ、どうかアダちゃんが幸せな日が過ごせるといいな…
映像表現は素晴らしいが、内容はチープ
演出 ★★★★☆
音楽 ★★☆☆☆
ストーリー ★★☆☆☆
カンヌの「とある視点部門」は若手を評価した賞なんですね、それを聞いて納得しました。
興味/期待をさせるための、映像の溜めが上手な作品です。
でも期待させすぎた割に、思ったほどの衝撃がなく終わってしまったのがとても残念。
次回作に期待
これから見る人は期待しすぎない方がいいと思う、
ああマリア様・・
迷える小羊は、
ラストのマリア様で、
更に瞑想、、、いや、
迷走に入りました。
オマエ達のやってる事は、
こういう事だ。
とか?
中学生の時、
『エレファントマン』に、
中学生が殺到した。
(大阪ミナミの南街劇場に関しては。)
作品の最後までエレファントマンの顔は隠されていた。
子羊は予告篇から顔を見せていた。
やはり中学生の観客は来ていた。
1980年→見せない売り方。
2022年→見せる売り方。
迷える小羊をすくいたまーえー
「狼男」にも「カバおくん」にもなる題材
ネタバレではないので直球で書きますが
突然産まれた 羊人間 のお話。
この手はホラーでも撮れる。例えば 狼男 系。
コメディでも撮れる。例えば
アンパンマンのカバおくんTHE MOVIE(無いけど)
そしてこれはダークファンタジー。
アイスランドという“静”の大地が舞台。
物凄くセリフと説明が少ないので
その手の映画好きにはたまらん楽しさ。
芝居の上手い俳優部の方々なので
表情と目で伝えるのがめっちゃ上手い。
(特にラスト)
つまり
会話も説明も少ないので
その手を求めるタイプの人は辛いかも。
説明不足なポイントも
世界観で楽しむ作品かと。
週刊新潮の映画評で89点なので、観てみた。
映画鑑賞する朝まで、この映画を見る気は全くなかった。映画館で予告編を観ていて、ホラー映画ぼっく(血とか残虐場面が大嫌い)また、気が小さいので敬遠する映画だった。
たまたま、家族で自宅近くの喫茶店でモーニングを食べていた。店に置いてある週刊新潮の映画コラムが、89点の点数をつけていた。これは見なきゃいけないと感じ、急遽鑑賞することにした。
いい映画だけど、89店の高評価はありえない。70点台前半の点数かなと思った。出だしは順調。まぁ、怪奇幻想恐怖映画だろう。舞台のアイスランドの自然がそれに相応しかった。結末は何となく予想出来て、特段の衝撃はなかった。相手が間違っているのではないかと感じた。ワグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」の「神々の黄昏」は、アイスランドサガがヒントになっている。あの自然を背景にすれば、もっとスケールの大きい物語が出来そうだ。
改めて見ると羊って怖いよね
モフモフなボディに騙されて『カワイイ』って思いがちだけど
あの角の感じとか、羊ってよくよく見るとおっかないかも
お話は『えっ?』って思うほど淡々と進んでいく
逆にそれが不可思議と言うか怖いというか
ふんわりと宗教的なものも感じたけどその辺明るければもっと楽しめたかも
怖くて美しいR15指定の童話。
怖いと言うよりは不穏、雄大で美しい大自然は孤立した場所としての不安と神秘を感じさせる。ホラーというよりリアルで美しいR15の童話だと思った。
賛否分かれるらしい半人半獣の出てくるラストもわたしはすごく好き。いろんな子ども向けの有名な童話も、リアルに描けばこんな感じで不気味なものなんじゃないかな。本国イタリア製作の「ほんとうのピノッキオ」も美しくも不気味だった。このラムは血も流れるからもっとほんとに怖いけど。
静かで台詞も説明も少なく、変にショッキングにも作らず、何か起こりそうでも最後までは起こらないで淡々と見せる。そして「娘」の見せ方がうまい。わたし、片手以外はすべて「羊」の身体だと思ってたので、あの抱っこされたときのぬるん、とした背中やお尻があまりに異形で忘れられない。「羊」だからしゃべれない、でも可愛らしい声は出す。人間が言ってることはわかる。
ふだんはきっと「わたしはパパやママに愛されてるニンゲン」と思って暮らしてきたんだろうけど、成長してきて、家にいる動物たちの顔を見たり、鏡で自分の顔を見たり、羊の群れの写真等を見て何かを感じ、気づき始める…そこへあの「お迎え」。突拍子もない物語なんだけど、その辺は丁寧に描いていて好感が持てるし、お陰で地に足ついたお話になっている。徐々に可愛くなって可愛がり始める叔父とか、トラクターの中でいろんな思いが溢れて泣いてしまう夫とか。
勝手な想像だけど、マリアはアダちゃんを探しに行きそうな気がする。
パンフ買えばよかったなー
アダちゃんの可愛さよ
終始不穏さとシュールな空気感が漂い、なにが起こっても飲み込むというか受け入れる雄大な自然のスケールを感じずにはいられない。シュールとスローライフは相性がいいのだろうか。
人間社会の中でなら大騒ぎの出来事なんですが、人里離れた山奥なら家族の問題でさわぐほどでもなくなってしまうし。罪も誕生も死も記録されることなく平等に訪れるし、それは人間と動物にも関係ないと言わんばかりの終わり方。
あの自然の景色と環境音の嵐は映画館のスクリーンがおすすめです。私の場合、家で見るにはゆったりすぎる感もあるので劇場で現代の民謡のような空気感に集中できたのが良かったなと。
それとアダちゃん可愛いすぎて、最高だったのですが異質が交わると何であんなに罪を感じざるえないのか不思議ですね。普通にしているほど不穏が際立ちそれをおさめる代償はいつ支払われるのかゾクゾク。
映画を通して人社会が介入しない場所に入る事で自然の力とそれと人を繋げる役割の必要性が古来あったのだと感じられました。
動物の演技が良すぎてどうやって撮ったの?って凄く気になったんですがパンフレット売りきれてました。
羊好きなら見るべき
「羊がセーターを着てる」それだけで観たいと思った。そして当たりだった。
とにかく羊が可愛くて、ジッとこっちを集団で見てるうまく使ってるなーと思った。
羊がラムウールのセーター着てコート羽織ってもうホントにかわいい❤
セリフが少なくて映像をガン見して満喫できる。
最後の方は集団羊の出番がないのが物足りなかった。
お父さん羊人間が出てきた時には笑いそうになったけど、子羊をあそこまで可愛がって育てたから殺さなくてもよかったのにな。
最後マリアは何か決意してたような顔してたけどどうするんだろう?
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