機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島のレビュー・感想・評価
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マチルダさんの方が良かった?
ガンダム誕生からもう半世紀になろうとしてますが、一向に衰えない根強い人気を博しています。
ファーストより数々の派生作品を生み出し多数のシリーズを誇る『機動戦士ガンダム』も、音頭を取る安彦良和氏は御年75歳。
本作が最後という話も漏れ聞こえますが、宮崎駿氏が81歳と聞けばもう1〜2本行けそうでしょうか? それはさておき‥‥
とは言え安彦氏は往年の頃より尚更に〝人間の生活を描く〟方向に作風が向いてしまった様に思えて(元から?)、氏の描くガンダムには今後もあまりモビルスーツバトルが期待しにくいかも知れません。
ガンダムの真骨頂はモビルスーツのカッチョ良さを描けてナンボだと思う自分は、実はORIGINもザク(シャア機)登場以降はともかく、序盤のルフィシャアから旧ザク登場までの結構長い話数は、ドラマ的には楽しめてもモビルスーツ目的では退屈でした。
本作も、アムロの顔が若干面長になって大人びたキャラデザに変わったせいもあるでしょう、ちっともヘタレてないイイ感じの若者に。
カイさんはアレで良いとして、いささか軍人カタブツで融通の利きにくいブライトさんはあんな悩み多い中間管理職だったろうか?
またドアン家の子供達のワチャワチャが作中の大部分の尺を埋めていて、モビルスーツのシーンは冒頭と終盤のみ多少の戦闘があるだけです。
ソレもワリと人間そのものの動きで、ロボロボしさが全く無いほとんどナマのチャンバラなのは何だか微妙でした。
結局安彦氏は、むしろ子供たちのワチャワチャの方を描きたかったんじゃないでしょうか?
そう云う観方であればドアンはじめ島の子供たちは、少々クドい位に個性を色濃く描けてると思われ、ソコまでするンならむしろ『マチルダさん』を観てみたかったなぁ、ってのが本音です。
その結果、個人的にお目当てだったガンダムvsザクの地上戦(ベージュのザクがドムみたいな動きなのもチョッと微妙)はウエイト的には軽くて薄味でしたし、その割にドアンのジオン離脱前の悩み多き頃を触り程度しか描写していないため、子供たちを守ると言う『意気』が描写不足かと思われます。
そもそもヤギをあそこまでフィーチャーした理由だってサッパリですし‥‥
実はファーストの記憶がなくて不明ですが、当初はもっと別な理由があった様な気もしますが?
いずれにせよ期待した見どころに乏しいため、脚本や展開の不可解さの方にばかり気をとられて、結果的に評価を下げてしまってる感が否めませんでした。
そんな訳で、イロイロ突っ込まれそうな細部のシーンも散見されつつ仕上がりも今ひとつで、個人的な期待との乖離が決して小さくはない、結構残念な作品でした。
往年の戦争映画と時代劇アニメの影響が濃厚。大胆な翻案で『〜めぐりあい宇宙篇』に対するローグ・ワンのような機能がガッツリ足された地味ながら重厚で優しい物語
重いテーマが滲んだ異色作ながらテレビ版ファーストガンダムの捨て回とも揶揄され映画版でも割愛された“ククルス・ドアンの島”を映画化と知った瞬間にその手があったか!と膝を打ち、封切初日に駆けつけました。物語は当時のテレビ版第15話であるオリジナルをかなり大胆に翻案したものでありながらファーストガンダムの世界観に関するナラティブな説明を排した潔い展開。連邦軍からは残置諜者と疑われジオン軍からは裏切り者として追われるククルス・ドアンをめぐるそれは『サスケ』や『忍風カムイ外伝』のような深い陰影が刻まれた白土三平原作アニメからの影響が濃厚でモビルスーツの白兵線はもう完全に時代劇。60年代、70年代の戦争映画のエッセンスもきっちりあるのでEP4におけるローグ・ワンとほぼ同等の役割をも担った重厚な物語は堂々たるもの。セル画プレゼントを求めて徹夜で並んで観た『〜めぐりあい宇宙篇』から40年、まさに残置諜者のごとく社会の片隅で生きてきた我々のような木っ端の魂を浄化する福音書のような作品。讃美歌の代わりに奏でられる往年のあの旋律が聴こえた瞬間に魂が震え涙が溢れました。
そりゃパリは燃えないわww
劇場版3部作でも割愛されたマイナーなエピソードをよくぞここまで設定を後付けして108分の物語に仕上げたなぁと良くも悪くも感心する。
色々と疑問は残るのだが、
①ドアンは脱走兵という形をとって姿をくらまして、実際は核ミサイルの護り人としての密命をマ・クベから受けていた…という設定は描かれたっけ?
②アムロが電源(ほとんど車載バッテリーw)を直して灯台を復旧させて、それでWBやジオンに発見される…という事だったのだろうが、それとは無関係に両陣営ともあの島に集結してるんだがww
③せっかく貴重な敵機である陸戦タイプの高機動型ザクを鹵獲しなかったのは何故だろう。隊長機とドアン機はほぼ稼働状態だったのに。もったいない。
④そもそもあんな離れ小島に戦争孤児?たちが集まっていたのは何故?そして、あのあとドアンと子供たちはあの島で幸せに暮らしましたとさ…にはどう考えてもならないだろ。少なくともジオンにとっては戦略拠点なのだから。
まあ、安彦良和さんの気が済んだと思うと良しとするかな。
ただ割引が一切効かない特別興行1900円なのは何だかなあ。
MSが綺麗
1stガンダムTVシリーズ初回放送を観た時の衝撃は今でも忘れません。それまでの勧善懲悪のロボットアニメとは一線を画した内容に、『何だこれ』と呟いた少年たちの1人です。
オリジナルの30分の話を映画の長さにしているので、若干間延びしてしまっている感がありますが、あれから40年経って1stガンダムの世界に映画館で再び浸れるのは素晴らしい。
ガンダムと名のつく作品はその後、続々と作られましたが、やはり1stこそGUNDAMです。
1900円とお高いですが、1st世代の皆さん劇場に行って次作に繋げませんか。
太陽の牙ダグラムの再映像化もして欲しいです。
まず最初に「機動戦士ガンダムF91」をボロクソに言っていた安彦良和...
まず最初に「機動戦士ガンダムF91」をボロクソに言っていた安彦良和が監督するガンダム映画なら「ガンダムF91」」を上回る作品でなければ、おかしい。
しかし、期待して観た物はガッカリ…
ジオン兵は、主人公や子供達に危害を加える悪であって、殺されて当然な描き方で、分かりやすい勧善懲悪アニメ…ガンダムは本来そういう物ではなかった筈だが…
ジオンの女性兵は、ドアンの「元恋人らしき者」であるが、中途半端なうえ出番が短すぎ意味不明。 「ガンダムF91」のアンナマリーのエピソードの方が、ちゃんと映画的な物となっていた。 無意味に子供達の無邪気な場面が多いが、ドアンの元いたジオン小隊のエピソードを、もっと描くべきだったのでは? ジオン小隊にとっては、自分達を捨てて逃げたドアンこそ、悪なのだから…
ガンキャノン2機やスレッガー専用ジムは、出てきてすぐ壊れ、何の為に登場したのか分からない。 ドアンのザクなんか、ジオンのザクがまとめて掛かれば楽勝と思えるが、なぜか1対1のタイマン・バトルを仕掛けるのが、意味不明。
「腹は空いていない」と言った後に腹がクーと鳴るとかは相当古いマンガのネタだし、この男殴られるなと思ったら殴られ、この子供ころんで手にしてる水こぼすと思ったらそうなるという、先が読める陳腐な内容。 つくづく安彦良和というのは、アニメ作家として「年寄りで終わった人」と痛感した。
「ククルスドアンの島」は、何か無邪気な子供が多くて良さげ、的な描き方だが、作品として全然楽しめなかった。 劇場で観ていて「つまんねぇ映画だな~ 早く終わんねぇかな~」と何度も思った。 「ガンダムF91」の方が「娯楽映像作品」として、充分楽しめた。
「ガンダムF91」は劇場で3度見て、ビデオをダビングして何回も観た。 「閃光のハサウェイ」は劇場で3度は観た。 だが今回の「ククルスドアンの島」は1度観て2度と観たくないと思った。劇場から出てすぐに「ガンダムF91」のブルーレイ版を観たいと思った…
最後に、ジ・オリジンのアニメ版が、一年戦争本編の前で終わり、つまり「1stガンダムのリメイク・アニメ」を、安彦良和が筆頭の体制で作らせなかったのは、つくづく会社側の判断が賢明と思える。
戦争の一側面
Dolby-CINEMAで鑑賞。
原典は視聴済み、ノベライズは未読です。
高校からの友人と観ました。
ガンダムシリーズに特段思い入れの無い私(SEEDシリーズを子供の頃に観ていた程度)ですが、ファーストの異色エピソードの映画化と聞き、ふと興味が湧きました。
去年「閃光のハサウェイ」を観に行く際に予習した劇場版三部作からは端折られた回でありながら、ファンの間では語り継がれていると云うことをネットで調べて知りました。
実際に原典(第15話「ククルス・ドアンの島」)をネトフリで視聴し、ジオンの脱走兵ククルス・ドアンの姿を通して戦争の一側面を提示した物語に、とても考えさせられました。
そう云う状態で観た本作、これぞ翻案と云う印象でした。
ストーリーの膨らませ方や、設定の掘り下げ方が絶妙な塩梅で、蛇足的な部分が一切無いのではないかなと思いました。
映画的文法で多くを語らず、観る者に解釈を委ねる手法はテレビシリーズの一エピソードの映画化として適切だな、と…
モビルスーツ戦のシーンの作画の美しさと滑らかな動きに目を見張り、その迫力には思わず手に汗握ってしまいました。
敵同士であっても分かり合える。それが人間の素晴らしい部分のひとつであるはず。現実問題として戦争が起きている今、これ以上無いタイミングで放たれた本作に籠められた想いは、真摯に受け止めねばならないものだと思いました。
[余談1]
ガンダムで敵を踏み殺す描写は必要だったのだろうか?
[余談2]
シャアも出るぞ、と云う前宣伝にどう云う絡ませ方をするのかと期待していたのに、アムロの夢(回想)だけなんて…
これじゃあまるで詐欺じゃない?
[余談3]
島の食料はどうしていたのだろう?
特に、パン。自分たちでつくっていたのか?
ガッカリ…
サザンクロス隊やスレッガーさんのジムの登場など、胸熱ポイントもあれど、サザンクロス隊がめちゃ弱かったり、スレッガーさんなんて出落ちのコミカル扱い。
「テレビシリーズの隠れた名作」の映画化は過度な期待だったなぁ…
値段も一律だし。
初期ガンブーム世代をガッカリさせるストーリー…
大きいスクリーンでモビルスーツがドンパチすること以外、大して響かなかったなぁ…
個人的には特に映画化する必要なし。
残念…
安彦さんらしさが出ていました
FIRST世代としては、1年戦争の物語をアニメ化して欲しいところですが、その場合THE ORIGIN を避けて通ることが出来ません。
しかし、原作者の安彦良和氏は74歳。
さすがに全話を監督してもらうのは不可能。
その安彦さんも、今作で監督を引退すると言っていますので、体力的にも限界なのでしょう。
多くの方は、モビルスーツ戦を望んでいたと思うので、物足りなかったと思いますが、安彦さんは人間ドラマを描くのが好きなようなので、番外編的な「ククルス・ドアンの島」の製作で間違い無いと思います。
時折りキャラがギャグっぽい仕草を見せるところなんか、安彦作品だな〜と思いました。
まあ今回の作品は、安彦さんの最後のアニメ監督作品として、軽い気持ちで観れば良いと思いますよ。
と言いましたが、スレッガー機があっさりやられたのには、ちょっと残念でした。
ファーストガンダムファンは必見
ファーストガンダム好きの人は絶対観ましょう。ただ、新規の人や他のガンダムシリーズは知っていてもファーストは知らないという人は微妙かもしれません。
この「ククルス・ドアンの島」は、最初に説明が入る通り元はファーストガンダムこと機動戦士ガンダム(TV版)の第15話を翻案した映画です。なので既存ファンはすんなりと話を理解できると思いますが、新規の人やファーストガンダムを観たことない人はあまりハマらないかなと感じました。あくまでファーストガンダムを好きな人が観るべき作品です。
新規の人が観てもあまりハマらない理由は、やはり作品の第一話をすっ飛ばしている作品なことや、回想などでファンは「あのシーンが現代の作画で観れる」と安易に感動できますが、新規の人が観てもピンとこないし意味もわからないと思います。直近の他のガンダム映画に閃光のハサウェイがありますが、「ハサウェイ面白かったからこれも観てみようかな」とは思わない方がいいです。
既存ファンの自分から観ても捏造しすぎなのでは?とも思いましたが、そこは翻案した話なことと、令和にまたホワイトベースの面々が観られたことを考えれば文句は言えません。一ファンとして今回この「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」を企画・制作してくれたことに感謝です。
さて、ここから映画の内容についての話になります。
まず最初の初遭遇シーンですが、アムロがNT覚醒前だと考慮しても、ドアンザクに簡単に背後取られすぎで少しモヤモヤしました。ただ、ドアンもいつの間にか「赤い彗星かドアンか」と言われるぐらい強化されていたのでこういった強敵描写なのかもしれませんが。
ちなみに、この作品はMS戦にはそこまで焦点を当ててないので、ドンパチを求めている人は物足りなさを感じると思います。(既存ファンはわかっていると思いますが…) とはいえ現代の綺麗なアニメ調のCGで描かれるMS戦は圧巻です。静止画で観ればイラストかと思うぐらいには違和感のないCGでした。劇中の音楽もファーストガンダムの時に使用されているBGMが流れるので、何度も言いますがファーストガンダムファンは必見だと思います。
また、アムロ役の古谷さんの演技が、過剰すぎるきらいがあります。アムロはZ時代と逆襲のシャア時代の三つ声のパターンがあるので演じ分けのためなのでしょうが…。しかし、主人公なだけあって様々なアムロの姿が見られるので、古谷さんの少年ボイスが聞きたい!という人は新規の方でも観る価値はあるかもしれません。
ハサウェイから、早1年くらいか?! ククルス・ドアンの島かぁ~と思いながら、特報が何度か更新され、デキの良さに初のムビチケをマイホーム劇場で購入。事前に電話で特典が1・2も残っているか聞き無事に購入できました。まさか第三弾は出まいと思いつつ、封切り2週間程前でも、第一弾も残っていることに少しの不安を残し・・・
ここのところ映画は4Dで鑑賞、ムビチケで無事に2日前に席確保はできたものの、少し出遅れ朝一定位置の最後列の端席は確保できませんでした。グッズも事前に確認し、封切前までにイベント上映の安彦さんの喋らなさの不安が増しながらも、車で最近の安心感、駐車場内にトイレがある安心感、車を降りて歩数最小の三拍子揃ってる劇場で観れる喜びは何よりです。
4Dだからこそ寝ないで済んだ内容と上映後のパチンコ台に直結しそうな演出と音楽に大人の事情を感じ、ブライトと参謀本部(?)とのやり取りや、アムロに対する指導方法に悩む一面は今の私にも考えさせられる場面でした。ドアンが子どもたちの親を殺してしまった苦悩が描かれていなかったのが少し残念でした。
私の映画の評価に直結するグッズ購入は、上映後の混雑を避け上映前に職場の仲間に少し買い、お布施での欲しいグッズは、マイホームには売っていませんでしたが、棚4列、更に平積1に衰えない人気を物語っていました。年1のコナンのように続けて欲しいです。
COMBAT!
とてもとても懐かしいのにすごくすごく新しい
何かとても不思議な感覚に囚われました
アムロの心の中での葛藤と成長
ドアンの揺るがない気持ち
昔見た時はさっぱり分からなかった物語だったのに今では痛いほどわかる
くしくもロシア侵攻後に上映となりリアルタイムで心に刺さるものとなってしまいました
子供の頃にがむしゃらに見ていたアメリカのドラマがあります
「COMBAT!」
このドラマには戦争へのありとあらゆるメッセージが込められていました、あの頃は分からなかった
今またもう一度再放送をしてほしいものです
今の若い人たちにも見てほしい
私ももう一度見直してみたい、何故動画サイトにも無いのでしょうか?
不思議でなりません
追伸
森口博子さん、おかえりなさい
ららぽーと沼津4DX鑑賞
まず、劇場サービス無効の料金1900円均一というのはいかがなものか…
「〜サハウェイ」の時は納得がいかずAmazon primeまで待ったが、「ORIGIN」にハマった自分としては劇場鑑賞を決意。どうせなら1000円上乗せして4DX初体験してやろう❗️と意気込んで移動時間90分かけてやってまいりました。
結論から言いますと…2900円払う程の価値はなかったかなぁ…。
4DXって最初は「おぉっ❗️」って思ったけど、時間が経つと正直邪魔な気がして内容が入って来ないですね…爆発シーンなんて揺れが凄すぎて背もたれに頭付けとくと乗り物酔いしそうになりますね。
内容については〜伝説のTV15話を劇場映画に膨らませるという荒技には、中盤での間延び感は仕方がないですかね。
それと登場人物の演出が古く感じてしまいました。一昔前のアニメを見ている気になりました。
ただ戦闘シーンは迫力があり綺麗で素晴らしかったです。高機動ザクを駆る「褐色のサザンクロス」の登場で地味な話にモビルスーツ戦闘という大きな見所が増えました。
しかしシャアの登場と入場者プレゼントって〜いります❓
個人主義的な少年になったアムロ
この映画には「オリジナル」というものがある以上、どうしてもそれと比較されてしまいます。
今回のククルス・ドアンの島は、キャラクターの性格特にアムロがリベラルな考えの少年になっているという点が賛否両論を呼ぶと思います。
オリジナルのククルス・ドアンの島では、アムロは対面して間もないドアンに食ってかかります。
「僕はジオンの侵略者と戦うために武器がいるんです!」
「あなたのように子供を利用するのとは違います!」
それに対してドアンは、
「モビルスーツを返したら、君だって私を攻撃するんじゃないのか?」
と反論し、口論になります。ここはアムロが安っぽい正義感を振りかざし、一時的に嫌な奴になる場面です。
ところが、今回の映画ではそれが一切ありません。アムロはドアンに食ってかかることなく、黙々とガンダムを探し続けます。
この辺りに首を捻ったオールドファンは多くいるはずですが、それはアムロが「戦争慣れ」した証拠と捉えることができます。目の前のジオン兵に「あなたは誰?」「どうしてこんなところにいるの?」と聞くだけ野暮という発想に、アムロは至ったのではないでしょうか。いい意味での個人主義が彼に根付いています。
実際、ドアンもアムロのことを根掘り葉掘り聴いたりしませんでした。
ドアンと彼が養っている子供たちの食事シーンは、まるでジブリ映画のようです。
いささか食事が豪勢な気もしたのですが、それは島にあったジオンの基地から備蓄を持ってきた……と考えればいいでしょう。ただ、そうであるなら「ジオンのマークが描かれている小麦粉の袋」とかをちょろっと出したほうがよかったですね。ドアンの愛用するコップにはジオンのマークがあったんですから、そうした小さな芸も詰め込むことができたはずです。
ですがそうした細かいところを補って余りある「子供たちの健康さ」を描いていた点は大いに評価できます。特にマルコスの肉体や体力は、海中を潜らせることやアムロと取っ組み合いの喧嘩をさせることで見事に光らせています。カナリア諸島の気候と相成り、ここが肥沃な亜熱帯地域であることがよく伝わってきました。
肥沃といえば、「黒い土」をきちんと描写してくれたことも忘れるわけにはいきません。あの島は農業に適した土壌だったんですねぇ。
ドアンの苦悩やこの先の不安は、時折見せる彼の表情からちゃんと伝わっています。
ただ、そうであるならオリジナルにあった「ドアンが民間人を虐殺してしまった時の夢」が出てこなかったのはいささか不満です。
この映画の中でアムロは、睡眠中に悪夢を見ています。けれどそれはドアンが見るべきものでしょう。たとえば「サザンクロス隊が無抵抗の町を破壊しまくった時の記憶」をドアンの悪夢として描写すれば(回想シーンには出てきますが)、なぜ彼が軍を脱走したのかという理由の強調にもなるはずです。
あと、あの島には核ミサイル発射施設があるというのは、いささか話を大きくし過ぎている感があります。そうすると島自体が戦略拠点ですから、もはやドアンひとりじゃどうにもならないんじゃ……という疑問もうっすら浮かんでしまいます。
ゴップやマ・クベが絡んでくるスケールの話じゃないんですよね、本来なら。
だから核ミサイルじゃなくて、ドアンの乗ってるザク自体に何かしらの新テクノロジー(もちろん機密事項)が内蔵されていた、ということにしたほうがより身丈に合った話になったんじゃないかな、と思います。全方位モニターとか、シャアの戦闘データが使われたAIとか。これならジオンとしては見過ごせる話じゃないけれど、戦略級の話でもなくなります。
ただ、全体としてはストーリーテラーな部類のガンダム映画として上手くまとまっていると思います。
キャラのやたらとオーバーな仕草や、ヤギのブランカにやられるハヤトやカイのコメディシーンは正直ササクレのように感じてしまいますが、今回の主役であるドアンの優しさ、厳しさ、思慮の深さ、心の傷を見事に描写し切っています。モビルスーツの戦闘シーンもこのテーマとしてはちょうどいい割合だったのではないでしょうか。そして今回のアムロは、ドアンを引き立たせる程度の存在感に留まっていて、その辺りも好印象でした。
時代劇か(笑)
小説版とかの情報は知らないので、もともと30分の話がどうなるのと思いながら観ました。
閃光のハサウェイとかの最近のシリーズとは違った懐かしい雰囲気もあり、やたらたくましい?アムロとヒーロー参上的展開も楽しみました
安彦監督大変お疲れ様でした
勿論、今後も何かの形で関わる事、又はやはりもう一本撮ろうと思うことも可能性として、ないことはないと信じていることも付け加える
そもそものテレビ版のいわゆる"鬼っ子"回をクローズアップしたこと自体の否定的論評も相俟って、ハッキリと今作の罵倒的評価を下すレビュアー達の感想を覧るに付け、心が冷えていくことをどうやって防ぐかに始終している自分がいる
ネット社会の弊害をこうして目の当たりにして、こんなに"分断"という舞台を作るのが果たして楽しいのか、心が痩せてしまう
今作品の最大のキモは、ガンダムが生身の人間を"踏み潰す"という、凡そロボットアニメでは演出を避けるシーンを逃げずに盛り込んだ事である。それは"天安門事件"の戦車のシーンを否が応でも思い出してしまうショッキングなシーンとオーバーラップしてしまい、人間という生物が、如何に簡単に虫の様に潰せてしまう程か弱いのだということを表現することに監督は自身の戦争体験から、現代社会に投げ掛けるテーマ性の帯びた作品としての作劇なのであろう。"ガンダム"はあくまでそれを演出する為の"手段"であり、纏うことでより多くの観客に訴える事の出来るコンテンツに過ぎない。
勿論、それだけでなく、デフォルメの強い安彦琉のコメディ演出や昭和時代の演出手法は好き嫌いの分れる所であるが、それを含めて監督としての色を包括的に評価すべきことであり、自分と合わないからこき下ろしていいんだという偏った意見を表明すべきではないと改めて強く決意する内容である
今だから余計に響く本作のテーマ
THE ORIGINデビューのガンダム初心者です。
娯楽の中に強い反戦の想いが込められた
素晴らしい作品でした。
ガンダムなのに戦闘シーンを
観たくないと願うほどに。
殺戮を続けるより今のドアンの生き方の方が
圧倒的に素晴らしい。
戦闘より戦災孤児との生活を
丁寧に描く演出に共感。
プーチンの暴走。増え続ける民間人の死者。
改憲や防衛費増を掲げる与党。
再び遠のき始めた平和という虚しい妄想。
誰かの命を犠牲にして手にする未来の価値とは?
最後の監督作品に相応しい
安彦良和氏の素晴らしい仕事に賛辞を。
神回といわれるが・・・
ここのところ、昭和のものを立て続けに観ている。
シン・ウルトラマン、トップガンマーヴェリック、そして今回はガンダム、しかもファーストの続編。
ファーストガンダムの久々の映画、ということに惹かれ、足を運んだ。
リアル放送時の私は、小学校3年生??
しかも最初のほうはあんまり見てないんですよね~。
そしてみた結果は・・・
登場人物は懐かしかった、アムロはもちろん、ブライト、カイ、セイラ、ミライ、フラウなどなど、
名前を忘れてしまった人も多々ありましたが汗
映像はもちろんきれいになっていたけど、モビルスーツの闘いはあまりなく、がっかり。
この時代にファーストはきついのかな、他の昭和の作品たちと違い、
古く感じたのは気のせいか。
上映時間109分らしいけど、めっちゃ長く感じた。
高かったのに。。。。笑
MSがカッコいいという映画ではなかったです
初代ガンダムは観ていてククルスドアンの話も知っていましたがなんせ数十年前の事だったのでむしろ新鮮な気持ちで鑑賞できました。キャラやメカデザインはオリジン版準拠かな?
アムロがこんなに喋らないキャラだったかなと思いましたが元々の設定が内向的で機械ヲタだったからそれに忠実だったのかも。
新規MSとして地上用の高機動型ザクが出ましたが活躍シーンは多くなく同様にガンダムの出番も少なかったですが終盤のカバー奥からの登場シーンはかなりヒロイックで印象に残りました。
話題になっていたシャアと専用高機動型ザクの出番は本当に一瞬でおまけにアムロの夢の中という出す必要あったのかという程度。まぁ、このエピソードにシャアは関係ないので話題作り以上は無いですね。
ドアンや島の子供達の掘り下げがほとんどないのは初代と同じかも。ドアンには元エースパイロットだったという設定が盛られ、最後に戦うのは彼自身が隊長を務めていた部隊というのはご都合主義だったかな。ドアンを案じていた女性隊員をドアンが撃墜して特に何の言及もないのはなんか悲しかった。これって戦争なのよね。
総じて人間ドラマ中心で、説明セリフもあまり無いので元からのファン向けだったと思います。元々初代アニメの15話のみのエピソードを2時間弱の映画にしているので間延びしているというかテンポの悪さを感じました。
ドアン周りに新設定を盛っているけどもうちょっと掘り下げても良かったかと。そうは言ってもつまらない事はなく最後まで楽しめたのはさすがです。
トッピングてんこ盛りの、めちゃくちゃ薄いカルピス。
まず、僕はガンダム世代のおじさんであり、プライベートではガンプラ組みまくってる程の所謂「ガノタ」である。
閃光のハサウェイはかなりの回数を映画館で観て、Blu-rayは擦り切れて溝がなくなった。
その僕の感想は、映画ファンとしての感想というより、ガノタ視点の感想となるのをご承知おき願いたい。
尚、今回点数はあえて無評価にしてあるが、心情はマイナス250位でナムコの経営陣の脳みそぶち抜いて欲しい位である。
まず、なぜ今ドアンなのか。
ご存知の通りドアンの回、15話はネタ回としてガノタ界隈で語り継がれており、酷い作画崩壊とメチャクチャな挙動にジブリ的な話の展開がわずか30分の間に収まった伝説の回である。異論は認めない。
そのドアンを今頃映画化したのは何故なのだろう。
その答えを探しに映画館で鑑賞したわけである。
ハサウェイ公開から一年経ち、昨今のガンプラ枯渇状況で市場は温まっていて、予告編が公開された時に「オリジンガンダムかぁ…」等とガノタ界隈では、期待半分不安半分で真っ二つになったと思う。
公開が近づくにつれ、肝心のドアンザクのガンプラの情報公開がされ、結果、作画崩壊のメチャクチャなザクを後付け設定で正当化して上書きされてしまった。
そこから徐々にサザンクロス隊等の新規登場人物も公開。
情報が公開されるにつれ、僕は頭を抱えてしまう。
劇場で鑑賞して、まず、そもそもサザンクロス隊のキャラクター達の薄い描かれ方と、やたら無駄に出てくるシャアを始め、ブライト、マ・クベ、レビル将軍などは、はっきり言って無駄である。
サザンクロス隊に至っては、折角の小隊での行動なのに、四天王制で各個撃破されてしまう。
これをネットゲームでやらかした日にはチームメイトの罵詈雑言に耐えなければならない。
ドアン自体はブレない存在で説得力もあり完成したキャラではあるが、オリジンを観ていない層からすると何か違うの連続だったのではないだろうか。
ハサウェイの頃より、より踏み込んだCGのシーンを期待していたものも。描かれる映像は地味な背景の1VS1ばかり。
特段目新しいものは少なく淡々と進む。
淡々と進み、静かに終わる。
長年、ガンダムを生み出してきたサンライズがその歴史に幕を下ろし、バンダイナムコの一部になってしまった。
残念ながらバンダイもナムコと合併しバンダイナムコになってからビジネスに舵を切り出し、合理性を追求するだけの企業になってしまった。
町の模型店に対する対応もかつての殿様商売に拍車をかけてもはや神様商売になり、地方の模型店を切り離し初めている。
背景には日本の少子化っもあるとは思うが、元々夢を語る場であったガンダムの世界に一気に合理化と収益性を重視するビジネスとしての完全なマーケットを推し進めた結果、そこに居る筈の子供たちは居なくなってしまった。
今回のドアンでは劇中に子供達が数多く登場するものの、映画館では子供の観客は殆どいない。
バンダイナムコになって、利益追求の姿勢で、かえってマーケットの未来を閉ざしてしまい、居る筈の子供達がいない状況で、これからのガンダムマーケットはどうなるのだろうか。
【追記】
この作品の最大の罪は、逃げ惑うパイロットをガンダムで踏み潰すシーンを描いちゃった事です。
そこで一気に冷めました。
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