さがすのレビュー・感想・評価
全298件中、1~20件目を表示
いつも違う佐藤二朗氏の芝居を堪能できるハードな人間ドラマ
駄目父役の原田(佐藤二朗)が理由もなく姿を消し、その娘・楓(伊東蒼)が必死にその行方を捜す。観客も娘と同じ視点で「さがす」ドラマを体験し、徐々に原田のバックボーンや姿を消した理由を目撃することになります。実在の事件を思わせる重くハードな描写を交えながら、予定調和におちいらない魅力的な物語が展開され、前知識をいれないで見ることをお勧めします。
テレビや普段の映画とは違った佐藤二朗氏のシリアス演技と、いつもと違った文脈で炸裂するユーモア節の両方が堪能できます。共演陣も皆素晴らしく、終盤で強烈なキャラクターとして登場するムクドリ役の森田望智氏の演技が特に心に残りました。
www映画NO1
深くさがす
ゆっくりと人が異常者になって行く様を見せられる
心の隙間に照らされた間違った光
藁をもつかむとはこの事だったのか
私はどうだ、あそこまで追い込まれたらどうなってしまう?
自分では対処しきれない、重たい選択をしなくてはならない
一度でも堕ちたのなら心は理性を失うのかも
感覚が麻痺してどんなに異常な事だってしてしまうのかも
深い欲に操られて見境が無くなるのだろうか
赤ん坊を腹が立ったから蹴って殺したとかってその人の頭の中はどうなってしまったのだろうか?
同じ体験をしたら私も蹴ってしまうのだろうか?
私は絶対にそうはならないと言い切れるのか
でも蹴る以前にもっと些細なことから始まっているはずではないだろうか
多分そこが人から獣に変わる瞬間なのだと思う
私はその線を越えたくない
この作品にはその線がはっきりと見える
伊東葵はとても素晴らしい役者さんですね
あの二郎さんと対等に渡り合ってる
最後のラリー見事です
考えてみればあのピンポン玉、作品の中にしばしば出てきたな
確か最初に見えたのは複数だったけどみんな潰れてた
そして手からこぼれ落ちて踏み潰される
さりげななく表しているのだな〜
もう観たくない怖い作品でした。
苦しい
ずるい
ずっとさがしていた
とても面白かったです。
佐藤二朗は福田監督の作品内でスベリ芸をしているイメージだったので、出てきた時内心「あー、佐藤二朗出てるのか、、」と思ってしまいましたが、いつもの違った雰囲気で、この人が俳優であったことを思い出しました(笑)
(正直、福田監督作品のあの独特の間が好きではないのでご容赦ください)
清水尋也は悪役が似合うなぁ、
冷たい目がかっこよくて、出てきた瞬間にザ悪役ってわかるのがいいですね。
伊東蒼ちゃんは前に「空白」を視聴した時にあまり話さず気弱な印象だったのに今回は一転気の強い関西女子であまりの憑依ぶりが天晴れでした。
関西弁上手だなぁ、と思ったらやっぱり関西出身。
新今宮・西成の辺りに住んでいる主人公らが、
意外と人情に溢れた下町で良かった。
だけどあの辺りは治安も悪いし、智は名無しに殺されただろうと思って見ていました笑笑
あとムクドリの生命力が強すぎてほんまに死にたいんか?と疑問を抱くレベル爆笑
智がだらしなくガサツな父親という描写でしたが、
最後までちょっと残念な印象。娘に山内の共犯者とバレるところもなんと爪が甘いのか、、。共犯者で自分は手を汚さず、だけどお金だけは欲しいと一丁前に欲だけはあってなんだかなぁ、と思って見てました。
奥様が死にたがっている意思を尊重して殺すのは、現代でもあり得ることだろうな、
楓が智を探していた所からなぜ過去に遡る?と思っていたのですが、全部見終わった後にはミステリーを読んだ後みたいで面白かったです。
最後の卓球のラリー、2人で話した後は球がなかったから娘の幻かなぁ?
片山慎三監督の作品はこれからチェックかも!と思いました。良い映画でした。
んーなんか惜しい
佐藤二郎といえばウケ狙いな演技が多いが今作ではとてもまともな演技をしていて、素晴らしいと思った
なにより娘がすごい、かわいいかといえばそうではないんだけどとても魅了される
役者はとてもいいけど、内容は微妙、この内容で時系列をいじるのはナンセンスでわかりにくいだけ、普通にした方がわかりやすく面白かったと思う、混乱するだけ
ラスト、うーん娘が本当に通報したかはわからないけど、もし母親の死の真相からの通報だとしたら母親との関係性もわからないし死にたい母親の気持ちをどの程度理解していたのか?
その前に父親への愛もある中、通報するかな?
1人になっちまうとか高校のこととかよぎると思うし、通報する前に話し合いしてせめて自首を促すなりすると思うんだけどなぁ
娘がどこまで知っていたのかがわからないので最後の卓球シーンはいい雰囲気で撮ってはいるけど、なんかそれがやりたいだけ?って思ってしまう
介護疲れ・安楽死・自殺幇助サイト・嘱託殺人etc現代の身近では無い...
やっぱり子供って、何でも知っている
少し前に実際に起きた事件をモチーフにした作品。
自殺ほう助サイト アカウント 自殺志願者 実際にある一定数存在する人々…
この深い闇にあるシリアスな部分と大阪丸出しの素直さというコメディタッチによって描かれている。
前半部分に多いこの独特のコメディタッチから、後半にはシリアスさのみになって行く。
笑いが、笑いではなくなってしまうのだ。
この作品のポイントは、並行線で描かれている楓の心と思考だ。子供の視点で見た出来事から様々なことを想像し、やがてたどり着いたものこそが、楓が探していたものだった。腑に落ちたと同時に、その正体と本性を見てしまったのだ。
寝たきりの人の看病疲れと「殺して」という言葉は、原田さとしを鬱にするのはよく理解できる。
地力を振り絞り自殺しようとした妻をしばらく観察しているのもよくわかる。
一思いにと思い、首を絞めてしまったのもわかる。
リハビリ施設にいた山内に手助けすると言われお願いしてしまったのもわかるが、それを原田本人がしなかったこと、見なかったことに、彼自身が持つ「本性の種」があったように思う。
山内にとってそれは自分の性癖と重なり、やめれなくなっていく。
そしてその後一緒にやろうと持ちかけられ、抵抗しながらもそこに落ちていく原田。
そこに見える「お金」。
楓は母の死に不信感を持っていたと思われるが、それはうっすらと頭の奥にあるだけだった。おそらく楓は母の携帯も見ていた。「母はいつも自殺サイトを見ている」
楓にとっては非日常的な思考を母はいつも抱えているということが悲しいと思っていたはずだ。そして実際起きてしまった母の「自殺」 小さな輪ゴムによる自殺だった。
やがて父が失踪してしまうが、楓はどうしても母の自殺が頭にこびりついていて、父もまた自殺しているのではないかと思ってしまう。
卓球上のパソコン キーボードの上にあったアカウントが書かれたコースター 自殺サイト
これによってますます父の自殺が心配になる。
やがて父を果林島で発見、父が供述した「事と次第」は警察や世間は信じたが、楓には多くの疑問が残っていた。
まず浮かんだのが母の自殺だっただろう。そして父と山内の接点を考えたはずだ。決定的だったのが、あの自殺サイトで再びあのアカウントが使われていることに気づいたことだ。
楓は失踪した実体である父を探しながら、父という人間の正体を探し続けていたことに自分自身が驚愕するというのがこの作品の見どころだ。
二人で卓球をする最後のシーン 落球後に球を使わないでエア卓球するシーンがある。
そこにあるはずのものがない。
なければ成り立たない。
あったと思っていたものが消えていた。
それがあったものとして卓球を続けてはいるが、それが虚しいことだと理解する。
球とは、もう楓の中から失われてしまった「父」の象徴だ。
遠くに聞こえてくるサイレン。
「迎えに来たで」とは大阪人なら誰もが遣うギャグ。
このギャグがギャグになっていない寂しさ、切なさ。
楓の気持ちを考えると涙が出てくる。
この言いようのない余韻、素晴らしいとは言いにくいが、面白かった。
作品として納得できた。
超えてはいけない壁がある
娘が走る先にはスーパーマーケット。たった20円で万引きをする父親。警察も加わって、父を叱り尻拭いをする娘。このシーンが映画の結末として最後に繰り返される。
救済だと自らを正当化し6万円のために殺人を犯す父親。証拠を掴み父親を観念させる娘。
死にたい人は沢山いるといいつつも、終盤には本当に死にたい人なんて居なかったと暴露する山内。最期に涙目に何かを訴える妻と、それから目を背ける夫。
「死にたい」「死んだ方が良い」という言葉が軽く使われるようになって久しいが、この作品は登場人物が各々の大切なものを探し求めるプロセス通じて、軽々しく捉えられるようになってしまった生と死の境目や、死をもたらすことの罪を、改めて強く描きたかったのだと解釈しました。
☆☆☆☆(ちょい甘で) 少しだけの感想で。 これはまた強烈な作品が...
☆☆☆☆(ちょい甘で)
少しだけの感想で。
これはまた強烈な作品が現れた。
作品のテイストは、完全に昨今の韓国ノワール映画群と比べても遜色ないほどだった。
先ずもって、大阪は西成地区の風景が作品にマッチしている…と言っては、失礼に値してしまうのだろうか?と、ちょっと躊躇してしまうところが無きにしも非ず💧
非情な殺人犯役として登場する山内のキャラクター設定には、ある程度ですが少し前に話題になった市橋であったり。あの津久井やまゆり園で大量殺人を犯した、植松死刑囚のイメージが少しばかり頭に浮かぶ。
その為なのか?作品中の主な舞台設定は大阪なのだが、大量の死体が出るのは東京の西多摩地区に設定されていた。
(津久井は神奈川県の川崎市郊外で2つの地域性は近い)
タイトルの『さがす』は、作品を観て行くとまさにその通りで。娘から見た父親は、1年前に亡くなった母親の居ない現在となり、実に大きな存在となっているのが分かる。
そんな父親のちょっとした違和感を、この娘は感じ取り。その際に提示される(父親の台詞等の)雰囲気や娘の記憶等を頼りに探し始める。
従って、前半は色々な伏線が貼られ。後半にそれらの答え合わせが徐々に始まって来る。
その際に、観ていてちょっとだけ違和感を感じた場面があって。それが山内が3カ月前に品川徹演じるお爺さんを殺める場面。
この時の品川徹がもう絶品!
素晴らしい程の変態ジジイで最高だった。
この時に山内が、一見すると自身の性癖に《目覚めた》様に見えるのですが。その後に13カ月前と字幕が出て。ある人物を、映画の登場人物の中での重要な人物と共に殺める時にも、山内は【ある性癖】を露わにする場面があり。観ながら「ん?」…ってなってしまった。
あの場面だけはちょっと意味が分からなかったのだが、、、
ところでこの監督さん。前作の『岬の兄妹』の時はまだ粗削りな面が強かったと思うのですが。その対象者への目線であり、演出力やストーリー展開での語り口が、かなり洗練されて来ているのが分かります。
最後のCGで描かれるピンポン玉と、素振りのスピードと角度とのズレがかなりあって。それがこの父娘の想いのズレを表していたようにも見えた。
だからなのか?最後の最後にはそのCGを消す事によって、この父娘の想いがやっと重なりあっているようにも見えたのでした。
2022年2月1日 テアトル新宿
※ 映画本編とは関係ないのでここに
ところで、撮影された時期が今ひとつ分からないのですが、コロナ禍での大阪と思われるロケ撮影だと思います。
画面での出演者の周りに居る人の反応を見ると、おそらくはゲリラ撮影と思うのですが。その時の感染具合に関係するとは言え、多くの人がマスクをしていないのがちょっと気になってしまった。
現況の大阪で蔓延する感染具合が、人口数からして東京と比べてかなり少ないのに。1日辺りの感染者数が東京の感染者数とそれほど変わらないのは、そんなところにもあるのかなあ〜と。
よく作ったね(´・ω・`)
出だしは、女子中学生が駆け回って解決する新感覚の映画かと思いましたが、中盤からかなり重く、生半可な気持ちで観ると具合が悪くなる映画でした。やっている事に良い悪いはありますが、人生のネガティブな面に向き合って、よく映画にしたなあという感想です。タイトルに各人の「さがす」が込められていて、上手かったです。障害者が辛いですね。キャストも良かったです。
何を見せたかったんだろうか。
自殺願望のある人を「救済」するために、その自殺を幇助するー。
それを、あたかもビジネスのように割りきる山内と、苦悩しながらも、この犯罪(殺人…少なくとも自殺関与罪)に手を染めて行く智とが、好一対だったと思います。
そして、最後の局面では、犯罪の発覚を恐れる智が、かえって山内を圧倒して行くー。
経営が行き詰まってしまったという智の卓球場ですけれども。
そういう事態を回避するため、おそらくは智は最大限の努力を尽くしたことでしょう。愛娘・楓のために。
それだけに、智の転落のプロセスが、何とも胸は痛いく、生きる道を踏み外していく様を演じた佐藤二朗の熱演は、大きな加点要素でもあったとは思います。
しかし、実際に起きた事件をモチーフに構成された作品という本作は、その「実際に起きた事件をモチーフにしている」ということに、いわば寄りかかりすぎて、映画作品としての「何かそれ以上のもの」…智が巻き込まれていったという「実際に起きた事件」を映画化してまで製作陣が世に訴えたかったもの、観客に見せたかったもの、その「何か」が、明確には浮き彫りにはなっていなかったと思います。評論子には。
その点では、いささか物足りないような思いも、実は払拭することができない一本でした。
それゆえ、良作としての評価に留めておきたいと思います。評論子としては。
(追記)
それにしても、本当に楓を演じた伊東蒼の熱演は光ったと思います。
手持ち金の不足で万引きを働いたといえば必死の形相で駆けつけたり、父の消息に繋がりそうな人物を見かけると、これまた必死の形相で追いかけ、ついには父の失踪の実相に繋がる父のスマホを手にいれるー。
若い女優さんでもあり「これからが楽しみ」という大方のレビュアーのご意見に、評論子も、諸手を上げて賛同します。
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