ある男のレビュー・感想・評価
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誰でも 時には ふと"違う人物"に成りきってみたいものです。
謎めいた映画題名とそれに伴う 予告編 は 人を引き付ける魅力があって、
僕は映画館に自然と引き寄せられるように、この映画を鑑賞しました。
ミステリー・サスペンス調の映画に成っているが、実は在日弁護士から描く"在日問題"を考えさせる映画にも なっていた。
"親ガチャ"から得られる自分のアイデンティティを良しとせず、
隣の芝生ならば、青く見えるのだろうか?
男たちは 何も背負っていない処から、人生を再出発したいと考えた。
そんな過去を抱えた2人の男と違い、
肩書ではなく、"今"を大切にしている ある男 の妻子は「真髄のみを大切にした」違いは考え深いものであり、本作の答えであり、誠のテーマとなっていた。
どんな人生でも、それなりの厳しさがあり、「けして蒼くはない」って事
だから、誰かが捨てたアイデンティティでも、他から観れば、魅力的だと言う事。
自分の人生 自分なりに楽しみましょう。
この映画を観た後に、映画「万引き家族」と見比べると面白いかもしれない。
「流浪の月」でも良いかも。
自分とは
自分というアイデンティティーについて考えさせられるとても深い作品だった。ただあくまで僕自身の事だけど性格的に僕は僕、他人は他人。僕の幸福や価値観は僕だけの物と考えるので作品の人物達の様に悩まないかなぁと思ってしまう。それでも良かったと思う作品。
ラベルと中身。何が真で、何が偽なのか。 張り替えると偽なのか。そもそも真とは何か。
映画はたんたんと進み、終わる。
ミステリーとして観ても、人間ドラマとして観ても、胸にとどめておきたいような珠玉のシーンはあるものの、大きなカタルシスに向かってドラマが進むわけでもなく、ラストの意表をつくようなシーンはあるものの、どんでん返しというほどではない。
役者の演技で及第点ではあるものの、すべてが薄まった、帯に短し襷に長し、今一つのうまみが足りないもどかしさに、映画館を後にした。
なのに、なんだろう。後からじわじわ来る。
里枝と、自称大祐、里枝の母も含めた5人家族が、頭の中でかってに動き出す。
悠人が父の面影を追う姿。
城戸夫妻のそれから。
城戸自身の生きざま。
谷口のサイドストーリー。
小見浦のサイドストーリー。
そして、曽根崎のサイドストリー。
原作未読。
かなりはしょって映画化したのだろう。エッセンスだけを集めたように。
ラベル。
合法・違法な手段でラベルを変えることで、変わるもの・変わらないもの。
なりすました自称大祐。
帰化という形で、国籍というラベルを付け替えた城戸。
親の離婚・再婚によって、姓が変わる悠人。
自身の結婚・離婚によって、姓が変わる里枝。
ラベルこそ変えないのに、ラストに鵺の様相を見せる城戸の妻。…あなたは何者なんだ。
そして、その妻の真実を知って、城戸はカオナシになる。
城戸が被った仮面…。心の安らぎを求めたのか。
自分とは?
小見浦も言っていたが、その人がその人である証って何なのだろう。
他人が認める自分だけではなく、自分が認識する自分。
人生にいくつもある「たら、れば」
こうありたい自分と、こうである自分。
母であり、妻であり、子であり、女である里枝と城戸の妻は、それぞれにそれぞれの顔を見せる。
父であり、夫であり、子であり、男である城戸と自称大祐も、それぞれにそれぞれの顔を見せる。
そこにも、「父である」とか「弁護士である」とかのラベルが存在する。
戸籍を変えることで(帰化という手段で国籍を変えることで)、自称大祐や城戸が手に入れたかったものは何なのだろう。そして、手に入れられたのか。
自称大祐に関しては、手に入れられたのだと思いたい。
ラベル(名前)を付けることで、不特定多数の対象が、誰でもない特別なものになる(A manから The man)。そのラベルを付け替えたら…。
でも「ぼくのお父さん」というラベルの付け方もあるんだな。戸籍上・血縁関係がどうであろうと。
ステップ・ファミリーや事実婚の関係性。何を本物とし、偽物とするのか。心のつながり。制度のつながり。
「分人主義」
原作者の平野氏の講演を聞いたときはわかったような、「面白い発想」と思ったものだ。
だが、この映画を観てよくわからなくなった。
結局、自称大祐が手に入れたものは、それまでの人生で培った人間性によるものではなかったのか。彼の悩み・苦しみ・絶望が、人への優しさ・慈しみに昇華されたからこそ、手に入れられたもの。「ラベル」こそ変えて、リセットできたから、その優しさ・慈しみを素直に表現できたのではあるのだが。そして、それは悠人に受け継がれていく。
反対に、瓦解していく城戸。息子が名付けた金魚の名前で困惑。息子と同じものが見られない城戸。象徴的なシーン。
時間がたつにつれ、様々なことが頭に・心に浮かんでくる。
余韻がいつまでも響く。
★ ★ ★
しかし、原誠のトラウマは半端ない。
死刑囚の息子という境遇。
友達のうちに遊びに行ったら、まさかの場面に遭遇。その現場を見ただけでも、トラウマ必須なのに。その犯人が父だなんて。その父から手渡しされたもの。
なぜ、彼は顔を変えなかったのだろう。
余計な装飾を加えない俳優陣が素晴らしい
小説を読んでいるような、行間を味わう映画。
抑制された演技、演出で、物語のテーマがくっきりと浮かび上がる。
自分というものを搾取されてきた、ダイスケと名乗る男が掴み取った自分らしい幸せに、祈りを捧げたい気分。
怒りの感情を制御出来ない城戸は、解放出来ない自分を抱え込んでいるのだろう。
天才同士の融合
早熟の天才である平野啓一郎
新進気鋭の天才監督である石川慶
の作りが素晴らしい
ストーリー自体は、2018年に公開した
嘘を愛する女や
松本清張の点と線に似た
入れ替わりものなので
着地をどこに持っていくかが
個人的に注目した点でした
鑑賞後の感想では
とても納得できた着地でした
テンポも良く
構成が素晴らしかったし
物語も理解できました
オールスターキャストであるため
見応えもあります
今年見た中では
ベスト3に入る秀作でした
公開3週目のため
今更ですが、おススメ映画です
内容的には面白さを感じたものの・・・
さすがに凝った内容で、展開などには面白さを感じたけれど、映像や演出が何かわざとらしいというか不自然というか、とにかくウソっぽさが際だってしまっていた印象で、イマイチ没入できなかったような・・・
絵的に特段優れていたようにも思えなくて、内容について興味を持てなければ確実に寝ていたなぁと思ってしまいました。
世間の闇の部分
数年連れ添って子供も生まれて幸せそうな家庭が当人が事故で亡くなった時に思わぬ秘密に遭遇する
過去を調べるうちに闇に引き込まれていく弁護士
戸籍の交換や売買って現実にもありそうだし、きちんと出生登録されないという話も聞くので穏やかに見える日本の闇とも言える部分ですね。
弁護士自身もセンシティブな問題を抱えていて、すごく恵まれていそうな家庭にも闇はあるんだなと。。。
正体が謎になったXさんの過去を見ていくと、田舎で幸せを見つけて良かったなと。。そこだけは思いました。
最後までなんとも薄寒いような作品です。
「映画」版『ある男』が、視覚を通して思考させる、傑作!
ミステリー小説『ある男』の、映画版!
(映画化ではなく、映画版)
石川監督は、「人が生きていく中で、かかわる人たちとの関係性をつなぐ個々人の真実」とは、何なのか?
「事実を全て知ることが(は)、生きる上で、最善、最重要なのか?」
映画(映像で)を通じて、私たちに分かりやすく、突きつけてくる。
素晴らしい俳優陣が、作り出したこの作品では
主役の妻夫木さん、安藤さん、窪田さん、
さえも、作品の一つのピースでしかない
(それほどに、よくできた作品)
オープニングの一枚の絵
の意図する答えが
ラストカットに明かされる!
深い深い映画です。
*生い立ち、親族、国籍、宗教、仕事、収入、身体、体型、外観 etc.
きっと、私たちは、どこかで、何かを差別している、させている・・・。
ラストは不倫ですか?
全体がとてもゆったりとした流れに乗るのが辛く感じる。
監獄での接見でやっとリアルな話となり、
ある男が壮絶な人生を送って来たこと、
残留韓国人3世である弁護士も自分のアイデンティティを改めて問うこととなる。
こんな凄い話が、
妻の不倫で弁護士もある男の一面を描き加えようとしてる。
イントロとラストに出てくる
ルネ・マグリットの様な絵画が映画的に効果を締めくくっていた。
さて、
あなたは、
ある男ですか?
私?
私はある男です。
カール@
象徴的な絵
冒頭の山で木を切り倒す場面。
淡々としたシーンだったけど、動物とは違うけど、ひとつの『生き物』を『殺しているんだ』と感じさせるような丁寧さがあった。
なにより、
安藤サクラさんと窪田正孝さんの演技を観るだけでも、「ああこの映画、観てよかったぁ」と思った。
あと、(安藤サクラさんの息子役の)男の子もうまかった。
考えさせられる
レビューを書こうとしてここの、すでに書いてあるレビューをみて考えてしまった。
そうだよなあ。戸籍って何なんだろう。
俺の上に乗っかっている、あの紙1枚。あれが俺のすべてを証明している。
で、いいのか?
俺は本当に俺なのか? 俺は俺を代えられるのか?
脚本と役者がしっかりしているから落ち着いてみることが出来た映画でした。
・妻夫木聡と窪田正孝。役者だなあと思います。いつも違和感なく作品のなかに引き込んでくれる。
・柄本明・・・少しの場面だけでも作品全体を締めてくれる。存在感がゆるぎない。
・田舎の文房具屋さん・・・他のコメにもあったけど、独特ですよね。
誰もがあそこで買い物をした経験がある。鉛筆やスケッチブックを買った経験がある。なつかしい。
今の子はショッピングモールでしか鉛筆を買った経験がないのか。なんかかわいそうだなあと思いました。
本人が知られたくなかったんやから死んでから調べんとってくれる?
戸籍を買って別人になって横浜から宮崎に移り住んでかなり幸せな生活を送り始めるのだけれど数年しか続かず突発的な事故で死んでしまってそれでおしまいで良かったのだがそれではドラマにならず・・・一体ほんとは誰やったんやと、誰が何故に別人になりすましたんですかと、故人が絶対知られたくなかったであろうことを根掘り葉掘りおせっかいなことに調べつくしてどうしたいのどうしてくれんの?脛に傷持つ身というのがある高倉健さんが倍賞千恵子と出会うのもそれだ。前科持ちでも刑期を終えて出てきているのだから隠す必要は無いはずなのだが世間の目というやつ。「世間てなんやねん。その世間一般というやつをここへ連れて来い!」という名台詞もあったことだがましてや出自の秘密というやつ。どこで生まれようがどんな両親から生まれようがそれが何か?私に選択の余地はナッシングでそれによって差別するような輩は銀河系の果てまで飛んできゃいいのに。安藤サクラという役者がうますぎて石川慶監督がワンショットでゆっくりズームインというあまりにも前時代的なカメラワークで見せたくなる所以。
その人の辛さや苦しさはその人にしかわからない
人はみなそれぞれに何かを抱えて生きてる
日々耐えている
それが重すぎて辛すぎてどうしようもなくて立っていられなくなった時、、、、
色々と考えさせられるお話でした。
決して他人事ではない、、、
少しだけ中弛みしたかな。
妻夫木くんと窪田正孝の演技がとても良かった。
心に残った言葉
りえの言葉
過去は知らなくてもよかったかもしれない。あの人と過ごした時間だけは紛れもない事実。
(のような意味合いの言葉)
二世三世の受難如何程?と想い巡らす内に幕。 悪いが、気にし過ぎじゃ...
二世三世の受難如何程?と想い巡らす内に幕。
悪いが、気にし過ぎじゃね?誰しも生き辛いぜ。
だからか撮る動機の強度、薄くね?
重要作「怒り」まつけんパート在る世にこれ撮る意義は?
店番ヤンママ(愛と誠のガム子!)の色気良し。
柄本の下世話関西人でレクター回避も良し。
まあまあ。
深いい感じ
見るの遅れましたが興味深い。名前って戸籍ってなんなんでしょうね。全て捨てて、田舎の街で全然別の人間やってみたいってたまーに思う。
ちょっとしたところまで豪華俳優陣で演技素敵でした。柄本明好きだなぁ。。
いわゆる「カンヌに出しますよー!」という系譜の作品としては近年では...
いわゆる「カンヌに出しますよー!」という系譜の作品としては近年では一番良かったのではないでしょうか。
原作者の最高傑作にして終わりの始まりです。
以降の彼はこれで勘違いして社会派作家という名の、物語より自分の主張を押し付けるだけの作家に成り下がってしまいました。
天才平野啓一郎の最後の輝きをスクリーンで感じましょう。
柄本さんと対峙する妻夫木聡さんの狂気の笑顔は必見です。
なんか色っぽい安藤さくら、ほれてまうやろー。
田舎の文房具屋がすきです。
なんか甘い消しゴムの香りや、紙の香りがゾクゾクきます。
こんなテーマの映画だとはこれっぽっちも思わなかったなぁ。本人とは何の関係もない物を、人はだれも背負って生きていかねばならないです。家だったり、親だったり由来の良い事や悪い事様々。
親ガチャって最近言うのかな?
なんかこの映画見て親は子供が背負うものを可能な限り減らして、そして子供の可能性を広げてやるのが仕事なのかもなと思った。
外見、書類上片付いても本人の心の中には残り続ける。
忘れる事が出来ないと、ただただ生きるのが辛くなるから忘れる力は生きるために重要。
社会派とは
こういうのみたかった。背景として社会問題を扱いつつ、主張するわけでなく、でもきちんと心に残る描き方。
自我、国籍、戸籍、血脈、日常の差別、社会的な差別、死刑制度、犯罪者家族など、考えさせる要素はたくさん。
柄本明の芝居がかった演技をする芝居はやっぱりすごくて、対峙する妻夫木も大変だっただろうな。こんなに骨のある役者になっていたなんて。
真木よう子は優しいのか優しくないのか…。なんで結婚したのかな2人は。
真木よう子は両親の差別的な言動に苦笑いするだけだけど、スナックの子は店長にちゃんと反論するのがいい。いつも俯いて笑うだけだった妻夫木もハッとするんだよね。
大祐とは出会いから家族になるまでが腑に落ちる。子どももいい子だ。
血筋や家系に否定的な気分なので、こういう形の映画は新鮮で面白かった。逃れられない血筋への意識と、それを超えてつながる親子がいる現実。
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