ある男のレビュー・感想・評価
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この作品を評価する映画業界はまだ終わってないと思った
ストーリーは、正直そこまで広がりがあるものでもなく、過去がわかったところでどうなんだという点に物語が収束してく感じが後半からする。
この物語を普通に演出したら本当につまらない映画になると思う。
勿論、色々な映画の語り方があると思うし、もっと適切な語り方もあるかもしれない。
でも、この危うい物語を映画ならでは表現(しかも派手さのない地味な表現)を使って、そして物語に奥行きと深みを持たせたことはとても凄いと感じた。
物語というより、映画の語り方がとても良い。
正直、この作品が映画業界で評価されるとは思ってもいなかった。
まぁ、アカデミー賞や映画祭ってのは、色々な力のバランスがあるとは思うけど、でもその中でもこの派手さのない作品が結局選ばれたってのはね。いいよね。
幸せのかたち
まず、自分だけのイメージかもしれませんが、安藤サクラさんというと悪役か、個性の強い役が多く「万引き家族」にしても泥臭い感じで、ノーマルな役を見た事がなかったので、普通の主婦の役が新鮮でしたし、さすがの演技力だと思いました。
そこに、いつ出てきても悪人なのか、善人なのか分からない窪田正孝さんのマリアージュは最高でした。
そして大変失礼ながら、見た目はかっこよくても「おもしろい」という作品を見たことがなかった妻夫木聡さんのこれ以上ないと思うほど、はまり役な弁護士。 美しく上品な妻に真木よう子さん。すべてのキャスティングがドンピシャだと思いました。
極悪非道な死刑囚の息子に生まれ、他人の戸籍を手に入れて人生を生き治す窪田正孝さんは、最後に家族に真実を知られてしまうけれど「優しいお父さんで、大好きだった。」と言ってもらえる。
反対に妻や子供に囲まれ裕福に暮らす妻夫木さんは、ある日妻の不貞を知る事となる。
自身の根底には「日系三世」というコンプレックスが根強く存在し続け、だからこそ、妻の不貞にも見て見ぬ振りを貫き通し、今の幸せを手放すまいと固持している。 どちらが幸せなのか? 最後に深く考えさせられた作品でした。
小説と同じ位かそれ以上
平野啓一郎の小説は大抵読んでいる。
だいたい映画化すると、残念になる事も多いと言われているが、この映画は小説と同じ位良かった。
安藤サクラは淡々と夫を亡くした妻を演じている。妻夫木聡もいい。
それに柄本明は怪優。あの人が静かに流れる映画の中に不穏な雰囲気を作っている。
亡くなった夫がどう生きてきたのか。
丁寧に描かれている。世の中にはいろんな人が溢れてるけど、こんな風に生きてる人いるかもしれないよね。生き直そうとしてたんだな。
あらすじはやりきれないものだけど、最後は辛く悲しくなんかない。それがいい。
窪田正孝の存在感
窪田正孝が主演の映画は初めての鑑賞だったので、静かな佇まいから醸し出されるオーラに感服しました。
天才女優・安藤サクラさんと並んでも引けを取らない素晴らしい演技でした。
それにしても、安藤サクラさんはシングルマザー役が似合うなぁ…。
「X」こと原誠は、自分をロンダリングしたからこそ新しく幸せな人生を生き直せた。
最後の妻夫木くんのバーでの語りは、原誠のような生き方を羨ましく思うからこそだったんだろうなぁ。
妻夫木家のチグハグした空気感を醸し出すのに、真木よう子の棒演技が貢献していました(笑)
自分とはなにか?
自分が誰であるかの証拠が
自分の人生にいかほどの影響を
与えているのか?
刹那の今からこの先の未来だけをみて
相手と向き合うことの大切さ。
自分が平和沼に陥ってると忘れがちな現実。
期待を裏切らない作品だった。
冒頭の絵画が全てを語っている。
これは映画の世界の話だったか、と
見終わった後に現実と混乱しちゃうくらい
名演な俳優陣でした。
他人の人生
離婚して子連れで故郷に帰った里枝は、林業に従事する大祐と再婚。二人に子供も生まれ幸せにしていたが、事故で大祐は亡くなってしまう。その後、大祐の兄が遺影を見るなり弟ではないと告げる。里枝は城戸弁護士に、死んだ夫の身元調査を依頼し。
真相は想定を大きく超えたものではありませんでした。でも、二人の大祐だけではなく城戸の人物像も掘り下げていて、物語に奥行きがあって良いです。
自分が結婚していた相手は誰なのか? その謎を解くミステリーかと思い...
自分が結婚していた相手は誰なのか?
その謎を解くミステリーかと思いきや現代社会の問題や人間の業などを突きつけられてハラハラではなくゾクゾクした。
安藤サクラが主演なのでは?と思って観ていたのが最後まで観た時にだから妻夫木聡が主演だったんだと理解した。
ちょっとスッキリしない部分もあるから原作も読んでみたい。
ちょうどいいバランス
エンターテイメント的に謎解きしつつ、終始一貫してアイデンティティ、名前について多角的に丁寧に描いてくれていて面白かった。
ポジティブとネガティブそれぞれにちゃんと振りながらバランスも取れており良い
今ひとつ共感できなかった気がする
この映画はミステリーというよりは、ヒューマンドラマだ。前半の展開は、どうなっていくのか読めなくて,引き込まれた。
ただ,正直,そここまで自分の出自を隠したい、そこから脱して違う人生を生きたいという強い思いにあまり共感できなかった。そして,そんな立場で結婚して子供を作るのもどうなんだろう。あんなに早く亡くなるとは当然思っていないので、そのまま隠していけると思ってたのか。
彼にとっては,生まれ変わって幸せな数年だったろうけれど、残された妻と子供はどうなんだろうと思ってしまった。
知らないほうがいいことは、知らないほうが良い
脚本が向井さんで、カメラが近藤さん。そう来たかとという感じで、熊切さんとか山下さんとか含めて同時期に同じ学校で出会っていた才能にただ驚きますね(鬼畜大宴会)。
安藤サクラさんの後半のセリフ「知らなくても良かった。あの楽しい時間は確かにあった」。わたしも、そう思います。今を此処で生きていることなんて偶然みたいなものなんだから、余計な過去を気にしたり、ひけらかしたり、また知ろうとしたりする必要はありません。
映画は、去年のキネマ旬報2位ですよね?正直、それ程の感銘はなかったです。
エンディングは好きです。
深く、重い
なんとも重い映画。複雑な戸籍の入れ替え。それぞれの人生が複雑に絡み合う。
谷口大祐は子持ちの里枝と結婚して子供も産まれて幸せに暮らしていたが仕事中の事故で死亡。(彼は人生の中で里枝達家族と暮らしたこの数年は幸せだったんだろう。)1年後に疎遠だった兄が来て、別人格とわかる。妻や子供からしたらショックだ。そこから調査を依頼して徐々に明らかになる真実。大祐は父親が殺人鬼で死刑囚。施設に預けられ、母方の姓に名を変えてもやはり周りには知られて差別を受け続けてきた。子供には罪もなく、つらい思いをしてきたのに世間は容赦ない。さぞつらい人生だっただろう。そりゃ名前も人生も変えたくなるよね。でも誠は顔まで父親にソックリで、鏡に映った自分を見るのもつらい。大祐ととなって里枝と一緒にいる時でもふとガラスに映った自分に怯える。まことの場合、整形した方が解決したかも。
まず誠は曽根崎という男になり変わったが、この曽根崎の人物像が判らず、本物の曽根崎はどうなったのか、殺人犯の息子の戸籍を手に入れたのか?死んでいるのか?そこも描かれているとよかった。本物の谷口大祐が自分の戸籍を変えてまでいやだったのは実家との確執だけだったのか?本物の大祐の心情ももう少し知りたかった。欲を言えば柄本明演ずる戸籍の仲介役とのやり取りもあると良かったのに。でもそこまで描いたら映画の枠では収まらないか、、、。
大祐たちの物語でも重いけど、この映画の面白いところはやはり主人公の城戸が在日3世であることの差別や妻との関係に悩みつつ、徐々に誠を理解し、同化していく様子。
ラスト、初めて会った男性に自分が谷口大祐であるような会話。恐ろしくもあり、悲しくもあり。顔の映らない男の後ろ姿の絵画を見つめる城戸の背中で終わる。それが冒頭の場面でもあるところが、とてもお上手な演出。
コレは原作を読んでみないとなあ。
出会って親しくなったかと思えば、次のシーンでいきなり結婚して娘が生...
出会って親しくなったかと思えば、次のシーンでいきなり結婚して娘が生まれて数年経っている。
あまりの展開の速さにのけ反ってしまったが、本題はここからだった。
事故死した夫が素性を偽っていたことが判明。
夫は一体誰なのか、という展開は興味深い。
弁護士が探偵のように人探しなどする暇があるのかは疑問だが。
ただ、ラストがよく分からなかった。
弁護士の男も他人と入れ替わっていたのか?
本当のことを明かさない
もし、原誠が山で命を落とさなければ、今も
家族みんなで仲良く幸せに生活していただろう。原誠はもちろん、妻の里枝、息子の祐一、花、欠けていたものが埋められて充足した日々を送っていただろうに、な、と思う。
正真正銘凶悪犯の父親とは、似ても似つかぬ、
誠実で心優しい息子であるが故に、死刑囚の息子という事実を受け入れ難く、精神面のひ弱さも相まって心身共に弱まり、生活の場から姿を消し、非合法的に名前を変えて新生活を切り拓こうとした。
原誠が所属するボクシングジムの会長や同僚は、好意的に接し、出自を聞いても、親とは別人だと言ってくれる。
にもかかわらず、自殺行為をした末に飛び出して行く。
ジムの会長と養子縁組をして戸籍上も正式に苗字を変え、顔か気になるなら、整形しても良かった。
道は色々考えられたのである。
田所祐一の動機には納得いかない。
実兄が嫌なら、縁を切り、家を出て別に暮らせばいいのにと思うが、名前を変える相手として必要であったかと思うが、原に比べて理由が弱い。
本作タイトル『ある男』には、城戸弁護士も含まれる、と思った。
在日朝鮮人3世であり、裕福な家の女性を妻にしている。
詐欺で服役中の小見浦に、見抜かれ動揺する様や、TVで、在日朝鮮人へのヘイトスピーチの集会を観て苦虫を噛み潰したような様子には、
日本人であって日本人でないというわだかまりがしつこく付きまとい悩ませていることが窺える。
妻の不倫相手の存在を知っても知らないふりをして、今の生活を壊さない。
在日3世から帰化した身であることを知りながら、日本人の婿として受け入れてくれているからだ。だから、手放したくないのだ。
城戸の親や親族が全く描かれないのも、帰化と共に絶縁したのかと考えられる。
バーで会った初対面の男に言っている内容は、
原誠が、田口祐一に名を変え宮崎に来て里枝と知り合い、祐一の下に花ができ家族四人幸せに生きている様を自分のことのように話しているのだ。
<疑問に思うこと>
①離婚調停をしてもらったからと言って、横浜から宮崎まで呼ぶかなぁ。引き受ける方も。
②迎えに来た里枝の車中での会話、偽田所祐一について依頼する際、里枝との関係を話す筈。なのに話していなかった。
⓷②の車中、ハンドルを握っていた里枝の左手薬指の結婚指輪が長く映されていた。なぜか?
④城戸の義両親、皮肉に満ちながら、結婚を許した。城戸の妻に結婚前に何か瑕疵があり、城戸が結婚してくれて安堵しているのでは?
例えば、結婚できない男性の子を懐妊していたとか。
⑤自由奔放な城戸の妻、城戸が子供は可愛がるか、妻を相手にしないので夜遊び、不倫してまた懐妊。2人とも実子ではない。
結婚して亡くなった相手が別人だった。 原作は未読。自分の存在自体が...
結婚して亡くなった相手が別人だった。
原作は未読。自分の存在自体が嫌になる人だっている。戸籍を捨ててほど変わりたい人だっている。戸籍が変わっても、その人がどのように生きるかで人生が変わる。ある男である窪田くんは幸せだったんじゃないかと。一緒にいた家族が誰がは関係なく、誰であっても幸せだと感じた時点で救われていたのだ。妻夫木くんの視点も重なると、暗い内容ながらもおもしろく観ることができた。うまく出来ている。
安藤サクラは平凡な女性を演じるに抜群にうまいなと再認識。窪田正孝、妻夫木くん、柄本明、キャストも良かった。
家族のかたちとは
良い映画でした!
家族とは何か、人生とは何かを考えさせられました。
役者陣もGOOD!
最後まで飽きることなく観れました。
ルーツや隠したい過去、みんなそれぞれあるよね。
それでも前を向いて生きられるか。
血の繋がらない家族でも深い絆があるんだね。
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