「差別や偏見にとらわれずに本質を見ることの重要性を教えてくれる良作」ある男 あささんの映画レビュー(感想・評価)
差別や偏見にとらわれずに本質を見ることの重要性を教えてくれる良作
キーワードは
在日、ヘイトスピーチ、身元ロンダリング、snsなどのなりすまし…
自分の力ではどうすることもできない生まれや家柄、ルーツ…
人をワインの“ラベル”のように貼って見る人間の愚かさよ。
本作には差別と偏見によって苦しむ人の声が根底にある。
大祐たちは、犯罪を犯していなくても、名前を変えないと生きていけない人たち。
こういった人が、世の中にいることを改めて気付かされた。
二度目の人生を前向きに生きようとした大祐。
彼を愛した里枝。
血はつながらないものの、本当のお父さんのように慕っていた息子。
この事実が真実なんだと。
大祐の正体を追えば追うほど、在日3世である自身とも重なる城戸。彼がこれほどまでに本件にのめり込んだのは、自分自身を投影していたからではないだろうか。
家柄、職業、肩書き、出身地、そもそも名前だって単なる記号でしかないのかも。
重要なのはその人の人間性や本質。
差別といった意味では「ザリガニの鳴くところ」と基本的なテーマは同じだと思う。
安藤さくらと義父の柄本明が同じ作品に出ているのは面白い。そして、柄本明の名演には唸る。
ところで、最後、城戸の妻のLINEの通知は(浮気相手からのLINE)は、皮肉を込めたメッセージですね?
一見幸せそうな家族だって、本当のところはわからないですよ!ってことかな?
原作未読なので、読んでみようと思う。
日本アカデミー賞とりましたね。
分人主義のストーリーなんて予習なしではムリなヤツなのに。
ドライブ・マイ・カーも監督のインタビュー予習必要なヤツだし。
賞レース嫌いです。
コメントありがとうございます。
現実逃避という意味では、究極の方法でしたよね。
冗談で済まないのは承知ですが、成りすましの人生を演じるのは、他人の気持ちを理解したり、人の傷みが分かったり、人に優しくなれる。そんな効果もあるかもしれないですね。
反対に、差別主義の犯罪者に、被差別者の出自を与えて元の自分を誰も知らない社会に送り込む。なんて罰則を想像したりもしました。とても恐いのですが…