TITANE チタンのレビュー・感想・評価
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嫌いな作品ではないが応援したくなる作品
前半は短絡的犯罪バイオレンス調で逃亡劇と思いきや後半は熱い親子愛憎劇と言う意外な展開。さらな主人公の異常な体調の変化と盛り沢山。
なかなか読めないストーリーは興味深いが好みは分かれそう。
個人的には好きな作品でこの監督はこのまま突っ走って欲しい。
これからも応援します。
すごいものを
これは好みによって評価が分かれる映画だ。
私は残虐行為や暴力場面が苦手で、生理的に拒否反応を起こす。そのシーンでは薄目にして鑑賞した。何とか耐えることができた。
この映画監督は、従来の既成概念や常識を壊してやろうとの意志が感じられる。善悪、性差、老若、肉親愛など意識的に私達の肌を逆立てるような演出をしている。そんな映画や小説もあっていいと思う。小説だと想像することが難しいところでも、映画だと見ればわかる。車とのセックス描写は笑える。
妄想・空想小説を映画にした作品と思えば、楽しむことができるのはないか。個人差があるので、万人向けとは思えないけれど。
物語自体は驚くほどのものではない。結末も見たか読んだような終わり方だった。何故、主人公が殺人鬼となるのか。チタンを頭に入れたからでは納得できないだろう。主人公を行方不明となった息子と思い込む老消防士を殺せないのはなぜか。本当の愛情を消防士から感じたのか。私に理解不能な映画だ。
この映画を「変態映画」だと評するレビューが散見する。分かりやすいけれど誤解を招かないか。変態の許容範囲も、昔に比べれば緩くなっている。最近の映画では、同性愛は当たり前に取り上げられている。車への異常なまでの執着は、私に獣姦嗜好者を連想させた。さすがにこれは私をドン引きさせる。
炎まみれのキャデラック
変態度MAXからの刺激的な描写とオチを含めたギャグ感満載な痛々しさは監督の前作『RAW〜少女のめざめ〜』からパワーアップした勢いのままパルム・ドールを獲得した凄み、デヴィッド・リンチの『ワイルド・アット・ハート』程の衝撃には及ばないにしてもカンヌ映画祭のイカれた感覚にアッパレ!!
本作からイメージするジョン・カーペンターの『クリスティーン』は愛車の嫉妬心から芽生える狂気性、クローネンバーグの『クラッシュ』は自動車による衝突事故から性衝動がセクシーかつメタリックに、キャメロン・ディアスが『悪の法則』で車のボンネットから繰り広げる性的な場面、本作はマジでキャデラックとヤッちゃってるように思うしかない、そんな展開が続き混乱が生じながらのビックリ仰天、孕ませてるし!!
ホラー映画にありそうな題材から意味不明な殺人衝動、逃げるために取る手段の痛々しさと無理矢理感、歪んだ愛情と近親相姦を匂わせる雰囲気から産み出される奇形児は"トランスフォーマー"でも誕生する勢い!?
監督の前作同様に責任と負担を強いられるのは哀しき中年男性である、ラストはギャグとして捉えるしかない衝撃と潔さ。
バルト9 初日の初回10:40 L列の左中央付近に座った貴方へ
シアター6でチタンなんて、空席に十分余裕がある中で、本編開始直前に入ってきて、俺の右隣に着席・・・思わずマジかよと声に出してしまったわけだが。。
大人しくしてるならまだしも、こいつは落ち着かない輩だとすぐに判った俺は、
同じ列の左側に座る2人組まで席に余裕があることを確認したうえで、1つ左に席を移させてもらいました。
特徴的な貴方の容姿を書くのは控えるが、言われてるのが自分のことだと分かるよね?
鼻はジュルジュルしてるし、何度もマスクを外しては、持ち込んだ飲み物を音を立てながらゴクゴク飲んで、プハァーみたいな。要所要所でケラケラ笑うし。
このパンデミック下、貴方のやってることは非常識もいいところ。
ここにコメントしてきなさい。
直接会って教えてあげるから。
見る映画ではなく、体験する映画です
開いた口が塞がらない、というか…
一体何をしてくれちゃったの?
今まであまり味わったことのない複雑で奇妙な感情の余韻がなかなか引かずに困ってます。
「不条理な設定」と「前衛的(アヴァンギャルド)」
そうだ、これだ❗️
昔、安部公房という作家の本を読んだときに、誰かの評論で使われていた言葉です。
まさにこの映画の世界観にも当てはまるように感じます。
(以下、一部ネタバレあります)
チタンを埋め込まれることで、何か異質な脳内作用のスイッチが入ったのか、はっきりとした説明などありません。それでも動機不明の殺人衝動は破滅的で破壊的です。
それでいてサイコな怖さよりも、彼女が抱えている精神的な病理の正体のほうが気になります。
中盤以降は、生命を宿すことから生じる〝有無を言わせない身体的懊悩〟がつまらない理屈で何かを語ろうとする小賢しい試みを蹴散らかしていきます。
筋骨隆々の屈強な男たちに比べて遥かに脆くて弱々しいはずの女。しかし、その女しか持ち得ない〝命そのもの〟を宿し育む肉体。その生命体としての力が真に迫ってきて、とにかく圧倒されました。
見る映画ではなく、体験する映画です。
意外と浪花節
悪の法則のファックシーンに感動した身からするとこの映画ではその更に先を行く。最初の20分は復讐するは我にありを女性にしたみたい。友人はその凶暴性の理由が分からなかったと言っていましたが、最初は身の危険を感じて、2回目は憐れみを持たれた逆上かと思いました。その後は流れに身を任せて。そこからサバイバルとして挑戦するのが異性への身代わりとはかなりハードルが高い。これはどう見れば良いのだろう。ドラマのサスペンスとして面白いといえばそうだが、男性になりたい願望なのだろうか、そう捉えると暴力も理解はしやすい。その目的を選んだときに主人公の行動が一気に受け身にならざるを得ないので、映画として萎んでしまうなという危惧があったのですが、ジジイがなかなかに見応えのあるジジイでイライラしながらステロイドを打つのは、自らの老いへの恐怖ということかな。そりゃ子供を持ったことがあるオジサンなんだから性別については最初から確信犯のように思う。簪とサラシなんて五社監督の映画みたいで面白い。何が出てくるかは引っ張りまくったので人型の時点でちょっと攻めが足りないと思ってしまう。いっそトランスフォーマーみたいなのでもいいのに。
考え方によっては東京物語みたいな映画だ。
黙して語らず
エグい。キモい。グロい。イヤ、なんなんですか、コレは?と言うか、痛いって!
評価できない大変態映画
とんでもない大変態映画で主人公の趣味嗜好はまったく理解が出来ませんでした。
ですが、じゃあこれが駄作かと言われると決してそんなことも無くて、最初の大ウソさえルールとして受け入れてしまえば、脚本や演技や編集はちゃんとまともだし、美術や照明やカメラアングルなど画に映るものすべてカッコよくて、監督は相当ハイレベルな演出力とセンスを備えている人だなと感心しました。
変態設定なだけで映画としての完成度はメチャメチャ高いわけです。
始まってすぐの交通事故、手術、頭にチタンが入った、タイトルイン、成長した主人公がモーターショーでダンサーしているシーンを長回し、の一連の流れは最短距離をテンポ良く突っ切る感じがたまらないですね。
さすがカンヌのパルムドール。
これが邦画の奇をてらっているだけ、もしくは芸術家気取りなだけの監督だとダラダラだらだらテンポが悪くて不必要に長いだけになるわけです。
この監督さんは技術的な基礎もメチャクチャちゃんとしてるのが分かりますし、有りがちなストーリー映画もやろうと思えば普通に面白く作れるけど、わざと難解なことに挑戦しているのもよく分かります。
ですから、今作を理解できない私の映画リテラシーがまだまだ不足しているんだと思いました。
キリスト教的なモチーフがたくさん隠されているような気もしますが、宗教的知識が無いのでそれも読み取れませんでしたしね。
テレビ局が出資している映画しか観ない人は絶対観ない方がいいですが、エログロに耐性があって、マニアックな映画も好きなシネフィルにはとてもオススメな映画です。
チタンは軽くて強くて腐食しないけど
黒いミルクとマタイ受難曲
ヴァンサンは消防士で部隊の隊長、神だ。だから息子は神の子イエス・キリスト。アレクシアがマタイ受難曲と共に生んだ幼な子はイエスで、産婆の役割をした「父」ヴァンサンはヨセフであり、洗礼者ヨハネであり、幼な子を胸に抱くマリアでもある。アレクシアは聖母マリアでありイエスでありマグダラのマリアでもある。すべてを一身に備えていた失われた両性具有への憧れも根底にあるのだろうか?マッチョ的肉体の若い消防士達が男だけで踊り狂う様子は恐怖でもあり子どもっぽくもあり何かが欠けていた。
「クラッシュ」と同じく金属やメタルの冷たい感覚。そして再生と生誕のプロセスは炎と血のイメージで熱くて痛くて不気味で、赤くて黒い。腹部に何かが「居る」のかなという感じから共生の感覚を覚え、一体感に満たされ、胎児がぐるぐる動き出すと「これ」を守るのは自分だ、と思いきや出産は怖い、という妊娠の状態と変化は大変な経験で、忘れたくても身体が覚えてる。怖い映画なのに悲しくもあり幸せで何度も涙が流れたのは「ザ・フライ」以来。見てよかった。
おまけ
パンフレットがエッジ効いててかっこよかった。中身も良かった。
この狂った世の中で信じられるものが欲しかった
例えば性もフェチも越える多様性、すべてを通り越した先にある愛。自分勝手に女性性に群がる男たち、刺す、燃え盛る(=家庭など平穏を壊すもの)、そして歪な親子関係…など繰り返されるイメージの中で、命を容赦なく奪う側から守り、与える側へと変化していく奇妙奇天烈な(ジャンル分け不可能)ドラマ。アガト・ルセルの体当たりな熱演が引っ張る!
老いに勝てないと知りつつも抗おうとしている義父は消防士として、あるいは32歳の主人公ももしかするとダンサーとして、ともに年齢的に現役の厳しくなっていきそうな傷(=身体的欠損)を背負った二人。そんな不思議な疑似親子モノからの年齢差純愛としてヘンテコな面白さ、スリリングな興奮、そして…。
もっと理解できない"劇薬"的作品を想像していたら、思ったよりちゃんとした作品だった。神経逆撫でブッ飛びジュリア・デュクルノーがまたも挑戦的かつ衝撃的なビジョンを打ち立てやってくれた!例えば同監督前作『RAW』(個人的にはハマらなかった)でどれほどショッキングなシーンが展開されても、それはあくまで"食人目覚める系"とでも言うか同ジャンルから抜け出さない範疇のものだった気がする。
それに対して、本作はよりオリジナルで挑発的。『クラッシュ』ミーツ『鉄男』などレッテルも無意味。一見、普通の映画ではあまり見ることのないようなシーンから雑多にこんがらがった印象も受けながら、意外と芯・軸は通っているという不思議な作品で、逆に困惑しながらも最後は落ち着くところに落ち着いてきれいに纏まっていた。すごく好きかと言われたら悩むけど、このカオスな面白さになんだかんだ魅了されてしまった。
♪She's Not There(まさしく彼女は"いない")
目を反らしっ放しの108分
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