劇場公開日 2022年4月1日

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「評価できない大変態映画」TITANE チタン 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0評価できない大変態映画

2022年4月1日
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とんでもない大変態映画で主人公の趣味嗜好はまったく理解が出来ませんでした。
ですが、じゃあこれが駄作かと言われると決してそんなことも無くて、最初の大ウソさえルールとして受け入れてしまえば、脚本や演技や編集はちゃんとまともだし、美術や照明やカメラアングルなど画に映るものすべてカッコよくて、監督は相当ハイレベルな演出力とセンスを備えている人だなと感心しました。
変態設定なだけで映画としての完成度はメチャメチャ高いわけです。
始まってすぐの交通事故、手術、頭にチタンが入った、タイトルイン、成長した主人公がモーターショーでダンサーしているシーンを長回し、の一連の流れは最短距離をテンポ良く突っ切る感じがたまらないですね。
さすがカンヌのパルムドール。
これが邦画の奇をてらっているだけ、もしくは芸術家気取りなだけの監督だとダラダラだらだらテンポが悪くて不必要に長いだけになるわけです。

この監督さんは技術的な基礎もメチャクチャちゃんとしてるのが分かりますし、有りがちなストーリー映画もやろうと思えば普通に面白く作れるけど、わざと難解なことに挑戦しているのもよく分かります。

ですから、今作を理解できない私の映画リテラシーがまだまだ不足しているんだと思いました。
キリスト教的なモチーフがたくさん隠されているような気もしますが、宗教的知識が無いのでそれも読み取れませんでしたしね。

テレビ局が出資している映画しか観ない人は絶対観ない方がいいですが、エログロに耐性があって、マニアックな映画も好きなシネフィルにはとてもオススメな映画です。

東鳩