TITANE チタンのレビュー・感想・評価
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ただただ、ひれ伏すしかない
想像力もここまで飛翔すると、もはやリアリティだの云々は関係なくなる。なにせインパクトが凄い。よくぞこんな作品を作ったものだ。主演女優の振り切った演技があってこそだろう。怪演という言葉を通り越して、本当にこういうエキセントリックな人が実在しているように思えてしまう。
冒頭のシーンで主人公アレクシアの性格が知れる。攻撃的で傍若無人の利己主義者だ。子供の頃の性格は一生変わらない。三つ子の魂百までなのである。唯一変わったとすれば、頭にチタンを埋め込まれたことで、欲望の矛先が人間に向かなくなったことだろう。
本作品で描かれるのは生命であり、肉欲であり、破壊衝動だ。アレクシアが愛するのは金属的なものである。頭のチタンのせいだ。おそらくではあるが、アレクシアが愛用している箸状の髪留めはチタン鋼だと思う。金属は裏切らない。必然的に破壊衝動は人間に向かう。
アレクシアにエレクトラコンプレックスを当てはめようとしても難しい。人間には興味が無いからだ。興味があるのは目の前の人間を壊すことだ。愛用の髪留めはアレクシアの相棒である。人間よりもよほど髪留めを大切にしている。
アレクシアの「Je t'aime」だけが唐突で、それまでのアレクシアにはあり得ない言葉である。アレクシアの変化がいいことなのか、そうでないのか。映画は答えを出さない。そもそも是非や善悪の価値観を超えた作品だ。我々はその圧倒的な想像力とそれを映像に実現させた作品の前に、ただただ、ひれ伏すしかないのである。
誰とも共感し合えなかった人が巡り会う『ニトラム NITRAM』にどことなく似ていますが、より奇怪でグロテスクなこちらに魂の救済があるのが不思議です
冒頭から登場人物への感情移入を撥ねのけ、前作同様のグロテスク極まりない描写を畳み掛ける理不尽な展開、それでいて凄惨極まりない殺人描写に脳天気な劇伴を被せる無邪気なギャグも挿入、尖端恐怖症には拷問のようなシーンも織り交ぜながら頭の中で描いていたありとあらゆる展開の遥か上空を軽やかに飛び越えて全く想定外の結末に着地。何気に前作『RAW 少女のめざめ』とほとんど同じ感傷に満ちていてジュリア・デュクルノー監督の突き抜けた作家性に背筋が凍りました。
主人公のアレクシアを演じるアガト・ルセル。何者も寄せつけない狂気を全身から放つ演技が強烈で、短編映画に何本か出たことがある程度のキャリアとは信じられません。どう考えても世間と折り合いをつけられるわけがない彼女が巡り会うのが失踪した息子を忘れられない消防隊の隊長ヴァンサン。演じるヴァンサン・ランドンは『すべて彼女のために』で体現した、殺人容疑で実刑が確定した妻の無実を信じて暴走する主人公の狂気とは全く次元の異なるものを表現していて、開いた口が塞がりませんでした。
正直万人にオススメできるような作品ではありませんが、今まで観たことないものを観たい人なら絶対観るべき。ちなみに客は私の他に1人いただけでした、もったいないです。
まさかこんなど変態映画がシネコンで観れるなんて!
軽い・強い・錆びない
最高!今年一番!(今んとこ)
Don't think Feel!
女性しか味わえない産みの苦しみと喜びを全人類隔てなく我が身として実感出来る怪作
今年観た他の映画の印象が一撃で吹っ飛ぶほどの、かなりの衝撃作でした。ジュリア・デクルノー監督作品は初めて拝見しましたが、まさかこれほどまでとは。
金属への執着愛はあくまで序章。本題はその後に出てくる『父親』との謎の関係性。
この『父親』がなかなかの曲者ですが、親父であり良き理解者であり性癖謎のマッチョイズムの体現者であるクセに最終的に母親属性を得るんですよね。
もう意味わからんですよね。
意味わからんけど、実際そうだったから仕方ないです。
なおラストシーンに向けてなんとなく親父と我々観客の視点がシンクロしてく感あったんですが、この辺、マジで出産場面にリアルで立ち会ってる気分になります。
そして最後の産んだのお前じゃないだろシーン。
泣けます。
そんなわけで、この映画を観た後放心状態に陥ったために、ハシゴする予定だった別の映画が観に行けなくなりました。
でも後悔してません。
ホラー映画の皮を被った、人類愛に満ちた傑作でした。
痛い、グロい、オシャレ、でなぜか昇華される変態映画
いやもう痛い、グロい、オシャレ、痛い、グロい、オシャレの連続。このような変態映画はかつてなかったわけではないわけで、90年代によく観たのかもしれない。特殊造形でスプラッターが流行り、その後にやってきたいわゆる幻想文学、というかクスリやってんじゃないかくらいほ幻惑の映画。クロネンバーグや塚本晋也や三池崇史とかの映画がそうだったと思うけど、女性監督がそれらを飲み込んでアップデートしてる感じがした。
冒頭の車の剥き出しのエンジンからはじまってエロティックなダンス、そしてシャワー室から始まる痛みへの変質的な始動、えっ、えっ、と話が進んでもう受け入れるしかない。この辺『ナイトメアアリー』なんかに比べると格段とパワフル。よっぽど悪夢。とんがったもの持つなよ、と注意したくなるほど最初っから殺し方が全部痛い。必殺仕事人か、と突っ込みたくなる。そして逃亡生活から次から次へと変態が現れる。変態の懐で変態が落ち着く。消防車の上での男の格好して踊る姿の隠しようのないエロティクな肢体のしなやかさ、それをエロティックに捕らえず呆然と見上げる男たちのポケ〜っとした顔のおかしさと直後の壮絶な死闘ともいえる新しい生命の誕生。いや〜何を言ってるのかさっぱりわからない詩篇ですが、痛快さと女性がどこへでもない場所へかっ飛んでいってるのはよくわかった。
昨年の『スワロウ』『プロミシングヤングウーマン』と並べて上映したい痛みを飲み込んで昇華していく女性の映画、な気がした。
どう評価するのが難しいけど、何がベストだったのか…。
今年94本目(合計367本目/今月(2022年4月度)4本目)。
ストーリーの大半については他の方も書かれている通りで、それを延々書いても仕方がないのでここではカットします。
一部の方で「変態映画」と書かれている方もいますが、それも理解はしますが、それもちょっと違うかな…という気はします(一応、R15の扱いで、大人の営みだのもかなり出てくる)。ただ、いわゆる「成人映画館」だの、一般の映画館でも去年の「DAUナターシャ」のような「目のやり場がない」映画でもないところです。
むしろ「目のやり場がない」のは、多くの方も書かれている通り、「痛々しい描写」(自傷行為など)が大半を占める点で、ここがかなり人を選ぶかな…という印象です(そして、なんばパークスシネマでは、「うるさい枠」として言われた「ニトラム」もあったりする)。
結局のところ、(ノンフィクションではない)映画なので、作話の範囲ですが、生まれた子供にどこまでの手術ができるか、あるいは、「通常想定しない手術をすることがどうか」という点に全部還元できるような気がします。日本ではおよそ倫理的にできないし、あまり映画でも扱われる分野でもないような気がします。そのため、R15(大半は大人の営みのシーンでひっかかったと思われます)でひっかかったという点はあるにせよ、「新しい切り口での描写」という点は「買う」ことができるので、まぁ多少「痛々しいシーン」はありますが(「うるさい枠」がニトラムなら、「痛々しい枠」はこっち)、分別がつく大人である限り、対抗以上には推せるのではないか…と思えます。
ただ、R15であることもあり、大人の営みのシーン以上に、かなりグロいシーン(ラスト3分、ネタバレ回避。女性特有の性現象)が出ますので、食事など持ち込むときには注意かなと思います(ラスト3分までポテトだのポップコーンだの残っている方も少ないかなと思いますが)。
採点は以下のようにしました。
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(減点0.3) 結局のところ、「痛々しい枠」としてみるか「新しい切り口での挑戦」として見るかが微妙で、前者のように見られるとやはり減点は免れないかなと思います。一方、「新しい切り口での挑戦」として見る場合、その「問題提起」は少ないかないに等しいので、どのように見るのかも難しく、どうにもこうにも採点のしづらい…という部分はあるんじゃないかな…と思います。
ただ、フランス映画らしく、いろいろ「視聴者で考えてね」という部分で色々余韻を残して終わるのも確かで、そこはどうとらえるか難しいところです。
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言葉に、出来ない♪
ぎゃあああああああああ!!!!
予告を見てかなり面白そうだなと思い、今月一番楽しみにしていた本作。個人的には最も信頼できる映画祭であるカンヌ国際映画祭がパルムドールを受賞したということで、これまた期待度アップ。ワクワクで鑑賞したが...。うわぁぁぁあああ!!!!!なにこれぇぇぇぇ、、、怖い、怖すぎるぞ。。。
正当に評価できません。
どうレビューしたらいいか分かりません。
ただこれだけは言いたい。これはクソ映画ではないということ。カンヌ国際映画祭がこの作品にパルムドールをあげたのはあまりにも狂っているが、素晴らしいと思う。なんと言ったらいいのか分からないが、面白い面白くないの物差しで測ることが不可能で、すごいとしか言いようがない作品です。
多くの映画を映画館で見てきましたけど、こんなに怖くて気持ち悪くて頭がおかしい映画は見たことがありません。ってか、これからも見ることないでしょう(この監督の最新作なら有り得るかもだけど笑)。痛い、苦しい、辛い、キモイ、の4コンボ。超ド変態映画。目を覆いたくなるシーン多数。ガチグロかった。とてもじゃないけど人にオススメできるようなものじゃない。
見ている時の苦しさはまるで拷問を受けているようで、一刻も早く抜け出したかった。だが、見てしばらくたった今は違う。視点を変えて考えてみれば、これは究極の愛の物語では無いのではと思うように。共感度ゼロパーセントのストーリーだが、奥底に眠っている主人公と消防士隊長の確かな愛に、私はいつの間にか魅了されていたのかもしれない。愛とは人を狂わせる。それを極端かつ大胆に描いたのがこの作品なのかも。
主人公が何を考えて何を目的として生きていたのか知る由もないが、彼女は徐々に確実に新たな希望へと向かって突き進み、愛するということの意味を知っていった。痛みを伴いながら愛を知る。「万引き家族」「パラサイト半地下の家族」とカンヌが最高賞に選んだ作品の共通点ではなかろうか。と、感じたサプライズです笑
この気持ち悪さと辛さを考慮すれば★2.5は全然おかしくないし、衝撃度と謎の満足感を全面に出すのであれば★4.5でもいい気はする。評価しないことは私にとって許せなかったので、間をとって★3.5ということで。全くもってこの評価に納得がいっていませんけど笑
改めて思う。これにパルムドールをやるなんて、すごい度胸だこと。流石は我らがカンヌ国際映画祭って感じ。一生ついて行きます。正直、アカデミー賞にはもう飽きた。アメリカのも日本のも。ま、こんな狂った映画にオスカーあげるわけないか!笑 オススメは全くしません。痛い苦しい辛いキモイに耐えれる自信がある方のみどうぞ。
気持ち悪かった
幼少時に交通事故に遭い、頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシアは、車に対して異常なほどの執着心を抱き、危険な衝動に駆られるようになってしまった。何人も人を殺し行き場を失ったアレクシアは、消防士ヴィンセントと出会った、ヴィンセントは10年前に息子が行方不明となり、現在はひとり孤独に暮らしていた。2人は共同生活を始めるが、アレクシアのお腹はだんだん大きくなってきて・・・てな話。
アレクシア役のアガト・ルセルが全裸で身体を張った演技をしてだのは素晴らしかったが、車とセックスや殺人の目的、意味がさっぱりわからなかった。
ホラーだったのか?
自分で顔を変えるため鼻を折るシーンなど観ていて痛かったし、気持ち悪いシーンが多かった。
わからない
事故る前から車好き?
車に恋をするだけの話では全くない
チタンをトラウマと置き換えれば普通のこと
子供の頃、自分の行儀悪さから交通事故を起こし
頭部にチタンプレートを填めることになった。
チタンは軽くて丈夫で腐敗することはない。
成長する毎に右耳上に術後の大きな傷痕が頭髪も剥げて暴露している。
幼少期にはどれほど指摘されて冷やかされたことか…。
そんなことからか、思春期を超えると奇行に走る様になる。
それは術後痕と頭部のチタンによるものであろう。
ある時から殺人を繰り返し、執拗に右耳穴を鋼鉄の金串髪飾で串刺にしてゆく…。
そんな因果を追いかける様に何故か妊娠をしてしまう。
その子は誰の子、
デッカ車の中でしたセックスなのか、車なのか?
何とか出産を出来たが、その子は…。
トラウマは、大人になっても引き継がれ、子供にも遺伝するのだろうか、…。
とても普通の映画だなぁ
アガト・ルセルの圧倒的存在感
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