前科者のレビュー・感想・評価
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みどりの立ち位置に保護司の展望がある
有村架純が演じた主人公阿川佳代のことを、森田剛の工藤誠が「先生」と呼んだことに、何か違和感があった。北村有起哉が演じた上司みたいな人(保護観察官か?)も、佳代を「阿川先生」と呼んでいた。これにも違和感がある。
私見ではあるが、自分のことを「先生」と呼ばせる連中にろくな人間はいない。国会議員のセンセイたちを見れば一目瞭然だ。人に「先生」と呼ばせると、おのずから目上、目下の上下関係が出来てしまう。それは近しい関係ではない。「先生」と呼ばせたい人は自分を目上の存在にしたい訳で、レベルの低いマウンティングである。
友だちには話せるけれども教師には話せないということがある。「先生」と呼ばせてしまうと、本当のことを話してもらえなくなるのだ。だから保護司を「先生」と呼ばせることに強い違和感を覚えたのである。もし教師を「〇〇先生」ではなく「〇〇さん」と呼ぶようになったら、それだけで学校の問題のいくつかが解決すると思う。
保護司を「先生」と呼ぶ人がいる一方で、佳代のことを「佳代ちゃん」と呼ぶ前科者がいる。石橋静河が演じたみどりである。そんなふうに呼ぶ以上、佳代とみどりは友だちの関係だ。なんでも話せる。頼ったり頼られたりする信頼関係がある。そういう関係は、自分にも生きる意味があるのだという自覚を促す。いわゆるレーゾンデートルだ。
保護司が前科者に持たせなければならないのは、環境への適応力ではなく、まずはレーゾンデートルだと思う。それがなければ頑張れないし、頑張っても長続きしない。みどりが「佳代ちゃんは弱いからいい」と言う。弱い佳代ちゃんが信頼してくれるから、裏切ることはできないのだ。佳代がみどりの言葉の本質を理解したら、次の担当対象者には「私のことは佳代ちゃんと呼んでください」と言うだろう。
本作品で最もよかったのはみどりを登場させたことである。みどりの存在がなかったら、本作品は単なる保護司残酷物語で終わってしまっただろう。みどりの立ち位置に、保護司という仕事の今後の展望がある。それにしても、石橋静河の演技の幅が広がっていて嬉しかった。
本筋とは無関係の話で恐縮だが、本作品ではラーメンを食べるシーンがある。ラーメンの食べ方で、麺を途中で切る人と最後まですする人がいると思う。当方は断然、最後まですする派である。有村架純も森田剛も、麺を最後まですすって食べていた。とても好感が持てた。
脇を固める役者がことごとく渋い
元受刑者の更生をサポートする保護司。ドラマや映画に出てくる保護司はおじいさんが多い。保護司が無給のボランティアであることや、社会経験豊富な方が引退後に務めることが多いからなんだろう。だから、有村架純演じる阿川さんが保護司であることにものすごく違和感があった。仕事もコンビニのアルバイトだし。そして、何よりその誠実な感じが非現実的に思えてしまう。主人公の保護司を、誠実な若い女性キャラにしたかったのはわかるけど。
でも、フィクションと割り切った後、阿川さんのキャラを徐々に受け入れている自分がいた。元受刑者たちを待ち受けている過酷な現実、彼らの更生に寄り添おうとする彼女の真摯な姿勢がいい。その非現実的なところに不満を感じていたのに。
あと、元受刑者たちが悪そうに見えて実はいい人って設定は、予想はしていたけどとても重要。彼女の誠実さに助けられているんだということがわかるエピソードだ。
有村架純がよかったのはもちろん、それ以上に脇を固める役者たちの人選がことごとく渋いのも評価が上がるところ。石橋静河や若葉竜也なんて、初登場シーンだけでは彼らとわからないくらい。
正直、有村架純を観に来たのだが、嬉しい誤算だった。
音のない世界
犯罪を行うことはどんなことがあったていけないことだとわかっているけれども、こうしてそこに焦点をあえて当てていき改めてこの映画は普通に生きることの大変さを教えてくれました。
この映画を見るまで知らなかった保護司という職業
相手を更生させたい、そうできると信じて頑張る視点。
どんなことがあったて犯罪者は犯罪者であるという警察側の視点。
それぞれの役職や感情が入り混じることによって、とても難しい感情になりました
事実を事実として受け止める、それだけではダメで寄り添うには心が必要なんですね
最初から最後まで気を張り詰めっぱなしだったこの映画
ある意味一定の感情を保っていました
だからこそED、すごい心に沁みました
1人で見てよかったなって、私も自分自身と向き合うことができそうです。
でもひとつだけいうのならば最後のシーンが少しだけ気になりました。
描き方は正解なのかもしれない
この映画の締めの一言がそれでいいのか?って
ド直球な展開に引き込まれたー!
何の伏線も捻りも無し。
素直な展開が満足度を上昇させた感じ。
ありがちなストーリー。
だけど人間ドラマが満載!
それぞれの目線からの描写に引き込まれた。
有村架純さん目当てで鑑賞。
それ以上に良かった森田剛さん!
以前観た濱田岳さんとの共演した作品同様。
迫力ある演技に圧倒!
自分好みの場面が満載。
名シーンのオンパレード。
阿川(有村架純さん)が初めての保護観察対象者の斉藤とコンビニの駐車場で会話するシーン。
泣ける。そして惚れた(笑)
保護司は仮釈放中の人とはお酒が飲めないルール。
阿川が「一杯だけっ♪」とお酒を飲むシーンからの朝の置き手紙。
笑えた!
そしてメッセージがとても良い!
阿川の人間味に惚れる。
病院で阿川が誠(森田剛さん)に保護司になった理由を語るシーン。
誠と一緒に鼻水を出しながら泣けた(笑)
阿川がコンビニでバイトしながら保護司の活動をする中でのコンビニ店長が何気に良い。
阿川の同級生だった刑事の滝本との関係も見所あり!
もう少し掘り下げて欲しかったのは残念だった感じ。
保護司がボランティアと言う事実に驚き。
誠が好きなラーメン屋。
時代の流れで200円値上したのは見逃せませんでした( ´∀`)
昨日、同時公開となったノイズを見てあんまりの駄作にがっかりしていた...
泣きました…
森田剛よかった。
ドラマ版観てからの鑑賞がオススメ!
auマンデー『前科者』
ノイズは『デスノート』の2人の再演でしたが、こちらは『ひよっこ』コンビが、切ない関係で再演
この作品は、予告観た時にWOWOWで、ドラマ版がある事を知りましたが・・・
加入してないので観れないと思ってたらAmazonプライムでもやってたので、全6話観てからの鑑賞です。
有村架純さんが、世代で少し抜けてると感じるのは・・・・
可愛いのに素朴で発展途上なイケてない女性を演じれる部分なんですが、ソコがいいんです!
今回もコンビニで勤めながら無報酬の保護司って仕事をする女性を演じますが・・・
ドラマ観てないと彼女の魅力やドラマ版から続投の『惚れるなよ』の石橋静河さんとの関係が分からないですね。
今回の映画は、森田剛さん演じる前科者の半生と・・・・
架純ちゃん演じる阿川佳代は、何故!?保護司になったのかがクロスオーバーしながら物語は進みます。
久々の森田さんもいいですが・・・
弟役の若葉竜也さんが良かったですし、マキタスポーツさんと磯村勇斗さんのコンビも良かったです。
で、あのコンビニ、架純主演ドラマ『姉ちゃんの恋人』のコンビニちゃう!?
人との繋がりや距離感を考えさせられる良作〜機会があれば是非!
私的には、ドラマ版の5話6話の古川琴音さんの回がオススメです。
@インスタアカウント → eigatama41 にも同じ投稿してますので、映画系のインスタされてる方は是非!宜しくお願いいます。
役者の力量が出ている作品
「保護司」
舞台挨拶中継付き上映にて。 自分の知っている保護司の方は高齢で、す...
真司ひよったな!?
原作未読、連ドラ未鑑賞。
コンビニでバイトをしながら保護司をする女性と殺人で服役し仮釈放中の寡黙な整備士の男の話。
男は町の自動車整備工場でマジメに働きセンスも有り、あと一度の面談で保護観察期間も終わり社員登用もみえる中で、トラブルに巻き込まれて行くストーリー。
男の過去や生い立ち、そして服役に至った事件のあらまし等共に、保護司の抱える過去やこれまでの被保護者との関係性等もみせていく展開で、さて先生はなぜ保護司になったのか、そして男はどんな思いでなぜ姿を消したのか、というサスペンス要素もありつつの人間ドラマが痛くて哀しい。
そして犯罪や犯罪者を肯定することは当然しないけれどら苛立ちや憤りややるせなさを感じると共に、赦しも考えさせられる物事でとても面白かった。
ただ、犯罪者の生い立ちは必ず厳しいもの、と括った様なものの言い方がいくつか感じられてそれは違うかな…とちょっと引っ掛かった。
弱さとは強みであり
見たかった
ヒメアノ〜ルを観てから、森田さんの役者としての素晴らしさを知り、今回も予告を観た時から絶対に観たいと思っていました。
もちろん、森田さんは素晴らしい。でも、有村架純ちゃんも役者としてどんどん素敵な女優さんになってます。彼女の場合、素晴らしい作品にも恵まれていると思った。(すごい上からで申し訳ない)
阿川さん(有村架純)の過去の自分に常に向き合っての行動、相手への無償の愛、でも他人から見ると恋愛感情にも見えるんだなぁというのが、現実にもありえる感じがして、リアルだった。
磯村勇斗くん、カッコいい。最近大好き。
2人が完全に恋愛関係にならない所も好感がもてる。でも、男女だもの。そうゆう時はあるよね。過去の関係と今が微妙に重なり合ってすれ違って、昔のようにはなれない。お互いが同じ経験をして、でも感じた事、進む道も違う。
しっとりと、あたたかな抱擁
前科者を人間へと生き返らせる手助けをする聖母
元受刑者が出てくる作品などで普段はメインのお皿の添え付けの料理ぐらいにしか描かれていない「保護司」が今回のメインディッシュ。私は単純に「前科者が保護司によって更生再生していく話」だと思っていた。だけどこれだけなら30分ぐらいで終わるだろう。一筋縄では物語は進まない。
阿川が無事に娑婆に送り出した元受刑者、刑事、弁護士などなど彩り豊かな人を揃えてサスペンスとロマンスひとつまみ、友情を少々加えての130分の大作へと昇華。
料理に例えるのも変だけど、“保護司”というメインディッシュに前科者の再犯、犯罪者達の悲痛な生い立ちや背景、社会的弱者と強者、さらにDV問題や養護施設での虐待などという重くて暗いものが幾つも乗っかっている。
前科者工藤誠と弟の生い立ちや回想シーンでは胸が締め付けられ、まともにスクリーンを見れなかった。「お願い、もう止めて!」と見ているこっちが叫びたくなるほどだ。
ちなみに保護司とは国家公務員である一方で無報酬という名ばかりのボランティア活動。それにしてもこれほどまでに尊い仕事が無報酬なのはどうしてなのだろう、、)。なので定年退職して時間のある人又は、よほどその仕事に対しての強い思いがないとできないはずだ。まだ20代の阿川がコンビニのアルバイトをしながら保護司という仕事に人生を捧げる理由も描かれており、本作の重要なテーマと登場人物とも大きく関連している。
前科者を普通の生活に戻すには様々な問題がある。
だけど結局人が求めているものは人の温もり。
「気持ちに寄り添う」そして抱擁すること(それくらい寄り添うってこと)が一番大事なのかも。意外とシンプル!
キャスト陣も実力派が大集結。森田剛と若葉竜也の兄弟の演技には驚嘆しかない。工藤誠が憑依したかのような森田剛。抱きしめたくなるほどの儚さ、今にも消えそうになるほどの弱さはそう簡単には出せないだろう。(森田剛は年取ったなぁと驚いたけど、色気がある)。今泉力哉監督作品で常連の若葉竜也の演技にはさらに上を!途中まで若葉竜也だと気づかなかったほど、なんて凄い俳優なんだ!
見終わった後には自分の心が分厚い雲でずっと覆い被さっている感じ。だけど、うっすらと陽の光も差し込むような希望もある。色々と考えさせられ、余韻も半端なかった。
明るい映画ではないので、日中のできれば晴れた日に見るのがおすすめかも。
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