泣いたり笑ったりのレビュー・感想・評価
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おかしくも温かい家族の絆と愛の形が、しっかりと心に届く
本作はイタリア産コメディならではの愛をめぐる感情表現の豊かさが際立つが、かと思えば、それと同じくらい繊細でしっとりとした展開をも併せ持つ。
元来、海辺とは何かが終わり、始まっていく場所だ。この映画では2つの家族が潮風香る別荘で唐突に顔を合わせ、両家のシングルファーザーたちは意を決して「実は・・・僕たち結婚します!」と打ち明ける。当然、皆はびっくり仰天。様々な思いを抱えつつ、荒波を乗り越え、あるべきハッピーなかたちを模索しようとするのだが・・・。
メインの恋人どうし(父親たち)が素敵だ。片やダンディーで、片やワイルド。タイプは全く違うが、それゆえお互いの欠けた部分を絶妙な愛で補い合っている感じがする。そこを核として、照りつける太陽の下、子や孫までもが各々の価値観、人間性を添えて人間模様を紡ぎ上げていく。その清々しさ。おおらかさ。こちらも泣いたり笑ったりしながら、実に開かれた気持ちになれる良作だ。
さわやかな観了感
G7で唯一、同性婚を認めない国
楽しい映画でした。
年配の父親のまさかのカミングアウト。
それがあれよあれよと言う間に漁師の男との結婚式に至るのであるから、確かにこの映画、心の準備などなかった家族にとっては驚天動地だったでしょうね(笑)
思い出すのは、
ユアン・マクレガーの「人生はビギナーズ」です。お父さん(クリストファー・プラマー)が、自身のがんの余命宣言に上乗せして「同性のステディの存在」を息子ユアンに打ち明けるというダブル・ショック。
映画界の“旬”は 「同性の」、「年の差の」、そして「シニアの恋愛」に、移ってきているようです。
本作品、息子サンドロと娘ペネロペの嘘のない演技が、この映画をがっちりと支える土台でした。主役たちを食うほどにあの二人が本当に輝いていました。
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再来月の5月には日本でG7サミットが開かれます。
日本はG7の構成国で唯一、同性婚を認めない国。
ホストの岸田首相は大慌てでサミット開会までに同性婚を認めたいと言っているようですが、党内は揉めてますね。
岸田さん、LGBTへのヘイト発言をした自分の片腕の審議官を、目前に迫るサミットの手前からかな? 即座に更迭をしたのだけれど・・この流れで彼は国会審議も突っ走るのか?
この
【「同性婚」や「夫婦別姓」の容認って、実は日本国の天皇制と真っ向から対立する概念】なんですからね。
EUも含むG7加盟国では、王室を持つ国は日本を含めて8カ国。エリザベス女王の死去で一減したものの、デンマーク女王のほか次の代替りに「女」王が決まっている国家がスウェーデン、オランダ、ベルギー、スペインなどと目白押し。その理由は「性別に関わらず長子=王位継承者」の国だからです。
対して我が国。何がなんでも男子以外の即位を認めない日本は、家父長制度の頂点にその象徴としての皇室制度を君臨させ、男系のみを神格化しています。
誰が産んだのかは一切不問で誰が父親であるか、それだけがあの家を支える。
戸籍・皇統譜・家系図は、天皇制護持のためには聖域であり不可侵。
そこへ「同性婚」や「夫婦別姓」を導入するってことは家系図の相対化なんですよ。
男女の対等の宣言です。
もしも立法化されれば「天皇制」の憲法内矛盾や違和感が今後さらに際立ち、いずれそれを瓦解させてしまいますが。
僕は「やれー!やれー!」の立場ですが。
NATO、SDGs、LGBTと横文字を連呼する若き総理大臣=岸田文雄さんという人は、思慮が深いとは見えない思いつき発言や、時流・流行りをスイスイと取り込んでしまおうとする“新人類気質”のお人なのかもしれない。
安倍さんたち歴代総理と違って皇室とは縁戚でもありませんしね、
外様大名の気楽さがあるんでしょう。
で、劇中、イタリア人たちの早口はまったくお見事。
ほとばしる生の感情の応酬は、テンポが早くて中だるみは無し。
「反対はしたが自分は父を尊敬している。陰で妨害はしたくないのだ!」と七転八倒のパニックのあとで息子サンドロにそう言わしめた、家族愛の勝利で幕でした。
ヨーロッパでも、そして我が国日本でも、
「同性愛、別にいいんじゃないの」
「長男じゃなくて愛子さまが天皇でなぜいけないの」の大合唱。
老人政治家たちはほぞを嚼んでいるでしょうが、この風潮になるまでに至ったことはホント感慨深いです。
さて果たして今国会で、あるいは5月のサミットまでに、どれだけ生身の言葉で激論が出来るかですよね、見ものですよね。
イタリアの海辺での家族の愛の物語。
海と陽光と人間たちが美しくて、いい日曜日になりました。
きょうの東座の支配人は映画に会わせて? セルリアンブルーのカーディガンでしたよ、やっぱりねー。
うちですか?
はい。弟が素敵なゲイです。教師をしています。彼氏は我が家の家族旅行にはいつも一緒です。
家族愛があれば乗り越えられないことはありません。
実は普遍的な家族の物語。
男性同士のラブストーリーなのかと思いきや、どちらかというと2組の家族の物語だった。
ユニークで普遍的な家族の物語。
結婚の面白いところ(大変なところとも言う)って、愛し合う個人対個人の関係では完結できないところだと思う。
縁を切っていない限りは、パートナーの家族や親類と否が応でも向き合わなくてはならない。
しかも本作のカップル、カルロとトニに関してはまだマイノリティと言わざるを得ない同性同士の結婚な上に、彼らには娘や息子たちがいるのだ。
この設定がまず面白いなと思った。
同性同士の結婚に対してフラットに考える人でも、自分の親がそうなった時にはおそらく事情は複雑になるよね…。案の定カルロの長男サンドラとトニの長女ペネロペはなかなかその事実を祝福できない。
彼らは最終的に父親の結婚をどのように受け止めるのか(受け止められるのか)は、ハラハラしながら見ていた(私は他人目線なので「何がそんなにダメなんだ!祝福してあげなよ!」と歯痒くもあったが…)。
最初的に2人は父親の結婚を祝福するんだけど、ここの結末は良かったなと思う。
特にカルロがペネロペのもう一人の父親(しかも実の父親では叶わなかった彼女が望んでいた愛情深い父親)になっていき、それに彼女が救われていくところは良かった。
結婚相手との家族との関係は難しい。
異性と結婚した私にも身に覚えがたくさんある。
でも結婚したことで家族が増え、「家族」というものの尊さとままならなさを改めて見つめ直すきっかけになったのも事実。
その意味で、まだ設定に現実味が薄く感じるこの作品は普遍的なテーマを扱っていたんだと感じる。
私も彼らのままならなさが他人事には思えなくて、自分の体験を思い出しながら観ていた。
個人的には後半の人情家・カルロの悲哀が好き。
(前半はトニと比べてカルロは割と幼い印象だったのに、観終わってみると印象が変わってることに気づく。)
しかし、ペネロペ、結婚相手の息子(既婚、子ども有)にキスするのはだめよ!!
良い意味で人間臭い、リアルな家族の描かれ方
とーっても良かったー。
ある意味、「怒ったり騒いだり」になってる…。
今年1本目(合計654本目/今月(2023年1月度)1本目)。
※ 私事になりますが、資格試験にチャレンジする関係で映画を見に行く本数が3割くらい減る見込みです。
さて、こちらの映画。この前みたイタリア映画といい、イタリア映画って、フランス映画と違って放映されているところも少ないし、大阪市では専門に扱っていたテアトル梅田さんもなくなってしまったため、一応系列のシネリーブル梅田さんでみました。
…で、「いろいろな性のありかた」ということをテーマにしている「喜劇」に近いテイストなのかな…と思ってみていると、最後は確かにハッピーエンドにはなりますが、その「いろいろな「性」に対する考え方の違い」から全員が同じ考え方でもなく、描写的にもう明らかに「怒ったり言い争ったり」というような状態になっています。まぁ仕方がないですね…。ただまぁ、それでも全体にコメディによせたフシは感じられるし、お隣フランスの文化事情も出ます(これにともなって、フランス語で話されているところもある)。そのため、「同性愛がどうだの」ということで一部法律ワードが飛び交ったりと「見かけに反して」難易度は高いように見えるのですが、「泣いたり笑ったり、あるいは、怒ったり言い争ったり」なので(この映画、何らかの意味で1人だけのシーンというのが基本的にない…)、別に法律ワードが出ようがどうでもそれ以上の話に飛ばない(出てくるだけ)、し、「大人どうしの言い争い」なんて、あれ、お酒でも飲んでいるのか、もう「一応理解はできるけどなんでそんなマニアックな語句出すんだろう…」という、喧嘩をするのかしたくないのか、完全に「のんべえ」状態で「怒ったり喧嘩したり」なので、その意味では「うるさい枠」ともいえます(たぶん寝させてはくれない…。映画館はそういうところではないけど)。
ただ、イタリア映画特有の「全体的な軽やかさ、陽気さ」また、この映画が扱う真の話題である「いろいろな性に対する考え方」という点に関しては脱線はしていても、概ね正しく扱われていることまで考えると、他、特に減点要素が見出しにくいのでフルスコアにしています。
今年は少し投稿が少なくなるかもしれませんが、よろしくお願いします。
(それでも、憲法・行政法など、法律の色が感じられる映画は優先して見に行くつもりです)
カッコ良すぎるイタリアのファミリア
性別なんてナンセンスだ
メインテーマが分散したような…
コーダに負けないくらい、逆境を幸せに変えた作品
素敵な夢物語
死を意識せざるを得なかった病院で知り合ったから、そして互いに長いこと人生を見て経験してきたから可能なのかもしれない。でなければ、あれだけ環境と家庭と趣味と知性と感性が異なっていたらかなり難しいと思う。とりわけヨーロッパでは。それからイタリア人のいいところだとも思うけれど、彼等の天真爛漫さ、別の言い方をすれば自分から何もしなくても神様がどうにかしてくれる的な子どもっぽさ、幼さをトニの娘のペネロペが体現していた。
でもたくさん笑えて少し泣けて、歌「お家に帰りなよ」は良かったし、抜群の保養地で海は美しいし、カルロとサンドロはかっこいいしで幸せな気持ちになった。そしてイタリア人って本当に結婚式が好きなんだなあと思った。
おまけ
サンドロの身重の妻が言っていた:今度生まれてくる子どもの名前は「サシミ」!変だけどかわいい。
【"君は僕に自由を教えてくれた・・。"初老の子供、孫を持つ男性達の結婚を、両家(困惑したり、祝ったり・・。)の人々の姿と絡めて描いた作品。”幸せの形ってなんだろう”と思った作品でもある。】
- 突然、父に"男性と結婚する。"と言われたら戸惑うよなあ。けれど、セレブな自由人トニの家族は、元妻を含めて"良いんじゃない?"と娘のペネロペ意外は寛容で(というか、性に寛容過ぎです!)あるが、漁師のカルロの一家は息子サンドロを含めて大反対。(そりゃ、そーだ!)結婚を阻止しようと、策略を図るが・・。
◆感想
・サンドロは尊敬する父の結婚に反対しつつも、何故か心が晴れないし、ペネロペにも長年、父に対する反発する想いがある。
- この辺りをコメディ要素を絡めながらもシリアスに描いている。-
・そして、サンドロとペネロペは、カルロの海の男らしい優しさや、トニの自由な生き方に、徐々に心を絆されて行く・・。
ー 明るい音楽の使い方が、絶妙に巧い。皆で、音楽に合わせて、踊る姿・・。-
<今作を観ていると、段々幸せのカタチってなんだろう、と思った作品である。出演者全員が善良な広い心を持っているので、鑑賞後は気持ち良く映画館を後に出来る作品です。
欧米では、ゲイのカップルが普通に歩いている姿を、時折見かけるが(というか、可なりの高確率で。)日本では、見かけないよなあ・・。文化の違いなのかなあ・・。>
不快に思うのは思った側の問題
孫がいる2人の男同士のカップルの再婚話しとそれを邪魔しようとする子供たちの話。
海辺の家の離れを借りてのヴァカンスにやって来たカルロの家族達と、離れを貸したトニの誕生日を祝いに家族達が、レストランでバッティングし、思わぬ家族通しの面通しとなって巻き起こっていくストーリー。
突然のカミングアウトに戸惑う家族達だけど、ダドの家族はペニー以外ウエルカム。
ペニーとサントロの思惑と葛藤を孕みつつ、家族達の交流をドタバタっとコミカルにみせつつも、最近流行りの多様性がなんちゃらです。
訴えてくるメッセージについてはもう今更でどうでも良いけれど、そこからみえてくるそれぞれの本音はなかなか良かったし、ドドはイケメン過ぎる。
ペニーの粗相は見え見え過ぎるしそれ自体はただのトリガーだったけどw
コメディだけど、家族愛とどこかしらには共感出来そうな感じをしっかり抑えたヒューマンドラマでなかなか面白かった。
見終わった後さわやかな気分になれる映画
二人の小さい男の子が一人はカルロの次男で、一人はカルロの長男の息子であること、トニの娘2人の母親が違うこと、などが始めに説明されないまま進んでいくので、人間関係がわかりにくいな〜と思いながら見ていたが、登場人物ざみんな優しくて良い人だったので嫌な気分になることなく見れた。トニの娘ペネロペが結婚を邪魔していたのは振り向いてくれない父の気を引くためだった、というのは腑に落ちたし、カルロも二人の息子も超良い奴だし(次男が賛成してくれたのはカルロにとってすごく大きかったと思う)、一番悪者になりそうだったペネロペのお母さんが、途中からカルロの人柄を知って結婚に協力的になるのも良かった(こんな人だからトニと性格あったんだな〜)。カルロの長男はあんなに父親思いでいい人間なのになんで同性愛への理解はないのかな?と思ったけど、死んだ母親を否定された気持ちになったのなら無理ないのかもしれない。あと個人的にはプールに浮かびながら子供に人生観を説いているおじさんがいい味出してるなと思った。
バーベキュー場でのダンスシーンは最高だったし、そこから2つの家族が仲良くなっていくのも見ていて気持ちが良かった。そういう描写があったからこそ、娘に「普通のお父さんが欲しかった」と言われた時のトニの悲しそうな表情がより際立っていたと思う。エンドロールの結婚式もみんな幸せそうですごく良かった。
イタリア本国で大ヒット
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