「嫌いじゃないけど好きでもない、そんな感じ」シン・仮面ライダー 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)
嫌いじゃないけど好きでもない、そんな感じ
仮面ライダーって見た目や背景的なストーリーはダークな感じで一見大人向けにも見えるんだけど、1話1話の内容はかなり子ども向けという背反する要素で成り立っている作品である。ウルトラマンのほうがまだ哲学的なテーマを扱っていたりと大人でも面白い部分はある気がするが、特に昭和の仮面ライダーはマジで子供騙しな内容が多い。ただ当時の子供にとってはそれが良かった部分ではあろう。
ただ、大人向けに作るにあたり子供騙しをある程度排除してしまうと残るのはダークな話になり、当時の子供たちが期待するようなエンタメ性は下がる傾向はある。なので、仮面ライダーの元々の要素のどこを切り取るかでそのあたりの面白さを出していくのはそもそも難しい。
どうせやるなら、個人的には子供騙しな内容よりは大人向けに振り切ってもらった方が好き。そういう意味では、本作は大人向けに振り向けつつ、子供騙し的な戦いを盛り込みまくっていて、それらがいい塩梅で混ざっていて好みの部類ではある。それはそれですごいなぁと思いつつも、やはり仮面ライダーの戦いは大人向けの話にとっては異物感はすごくあり、なんとも中途半端な印象がある。とはいえ総合的には満足でした。ただ、シンウルトラマンもそうだったけど、CG感はすごくありなんか作り物の戦いっぽさを感じる。もしかするとチープさも当時の戦いを再現するためにわざとなのかもしれないけど、違和感拭えない。もう少しどうにかならなかったかなぁ。後半のトンネルの戦いはCGアニメかよと思うほど現実感ないです。
ストーリーや演出は庵野っぽさを感じつつで、登場人物が極めて少ないので内容自体はわかりやすい。ただ、世界観が狭すぎて、そもそも敵のアジトに行ったり来たりと場面が何度も飛ぶので、敵のアジトなのに簡単にいけんのかよ、って感じです距離感とか行きにくさとかもよくわからない感じ。
原作からそうだけど、本当に身内の痴話喧嘩としか見えないのは勿体無いかも。
唐突な2号との絡みも、もう少し掘り下げられればな、と言った感じ。2号のキャラクターとかも良かったんだけど、1号から受け継ぐ側であれば、掘り下げて欲しいよね。
0号との戦いも前半は華麗な戦いも、後半取っ組み合いで、ギャップがすごい。あの短時間で自分の考えを変えてしまうのも無理矢理感が。。。
総評としては、仮面ライダーの描き方は嫌いではなく寧ろ楽しめましたが、個人的に好きな映画とまではいかないかなぁ、と言った感じです。思い出の中の仮面ライダーが1番よい、多分それは今後も変わらないよね。