「「シン」シリーズへの慣れの影響」シン・仮面ライダー からくりおばけさんの映画レビュー(感想・評価)
「シン」シリーズへの慣れの影響
特撮は子供の頃には観ていたものの特別思い入れはない中で、シン・ゴジラもシン・ウルトラマンも面白かったので今作も観ました。
冒頭の殺戮マシーンとしての仮面ライダーには度肝を抜かされました。アクションについては、アクション映画をあまり観ないので他と比較ができないのですが、物足りなさはそこまで感じませんでした。
ショッカーという組織の見せ方は、全部理解できたわけではないですが、興味をそそられるものでした。現代的にアレンジされた、悪い意味での宗教っぽさ、悪の組織感は十分に感じられます。人工知能などと聞けば昔は「未来っぽいなあ」と思ったものですが、今は「今っぽいなあ」と思ってしまう自分にこそばゆい感じもありました。また、これは竹野内豊・斎藤工サイドもそうですが、ケイという「監視(観測?)するだけ」の存在が不気味です。
この映画で一番好きなのは役者陣の芝居です。ここも賛否あるようですが、全体的に人工物っぽいというか、そんな演技・演出の印象を受けました。その人工的な中で池松壮亮の不安げ・儚げな表情が相対的に浮かび上がり、それでも戦っていくという構成がよかったです。
役者陣でいうと、長澤まさみには触れておきたい。シン・ウルトラマンでファンになって以降、彼女が出てくるだけで嬉しいのでyoutubeの CMもスキップしないくらいになってますが、今作での笑っちゃうくらいの怪演も素晴らしかった。シン・ゴジラの石原さとみをさらに悪化させたようなキャラで、強キャラっぽく登場しておいて、なんかライダー関係なく倒される呆気なさもいい塩梅でした。
もう少しこうだったらなあというのは、ラストバトルです。チョウオーグの圧倒的な強さはよかったんですが、急に弱体化してしまったよう印象でした。ロッキー的な、やられてもやられても立ち上がるという展開がもう少しあればよかったなあと思いました。けれどこれについては、ルリ子の「用意周到な」作戦の効果が抜群だったということかもしれません。
全体的な印象としては「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」と比較すると一歩及ばないかなとは感じました。ですがこれについては観る側としてシンシリーズに慣れてきてしまっていることの影響を、個人的に感じています。仮にシン・仮面ライダーがシン・ゴジラより前に公開されていれば「すげえええ!!」となっていたような。
とはいえ十分楽しめました。次作は「シン・ジャパン・ヒーローズ・ユニバース」なのか、全く別の作品なのかは分かりませんが、楽しみにしています。