「「人類の自由と平和を守る」? 「大自然の使者」?」シン・仮面ライダー Aタイプbbさんの映画レビュー(感想・評価)
「人類の自由と平和を守る」? 「大自然の使者」?
昭和ライダー世代ならば
特に観ていただきたい作品とは思いますが
石ノ森先生の漫画版
そしてTV版
それらの雰囲気や要素はあるものの
一文字隼人像はともかく
自身が改造人間になった事と
同類殺傷に苦悩する部分のみが色濃く
あまり憧れの対象にはなりにくい
本郷猛像となっており
「人類の自由と平和を守る」
「大自然の使者」等の志はあまり感じられず
個人的にライダースピリッツがある作品には思えませんでした。
○コアなファンへのサービス
シンウルトラマンよりも多いように思えました。
・TV版旧1号を細部までリスペクトしたデザイン
・冒頭の三栄土木と書かれたトラック
・蜘蛛男編を完全リメイクした対決シーン
・漫画版の13人の仮面ライダーに似たシーン
(原作同様に銃を所持してのバイク戦闘だったので、本郷!と不安でした)
・1号から2号への継承部分
ざっと挙げても多数散りばめられていました。
(また余談ですが
シン・ウルトラマンではBタイプが未登場ですが
シン・仮面ライダーでも非常に残念な事に
桜島タイプは省かれました。
この部分は漫画よりなので、新1号も省かれた事になりますね)
○あまり宜しくない点
個人的感想では、1号2号のデザインや一部にしか
良い部分が見当たりませんでした。
(特に映画鑑賞後、NHKドキュメントも観てしまい尚更)
・アクションの統一性のなさ
リアルにするかヒロイックするか、どっち付かずでした。
最後3人での戦いは、終始泥臭い戦いで
仮面ライダーBlack Sunの張りぼて戦闘を思い出し
(2号のヘッドバットは良かったのですが)
CGである事を暗闇とスピードで誤魔化したような
大量発生型相変異バッタオーグ戦
(ドキュメントと異なり、ショッカーライダーデザインも把握出来ないほど)
双方が極端過ぎて、違和感と、安っぽさを印象付けてしまいました。
またドキュメントでの苦悩がそのまま映像としても残り
本郷役池松壮亮さんが、TV版当時の藤岡弘、さんのよう
ライダー1号アクションまでこなす事に、果たして意味を成しているのか?
(バイク事故で大怪我をしてしまった藤岡弘、さんの過去もあり)
池松壮亮さんが足を挫いてしまった件も含め、疑問で気の毒に思えました。
・何故か尺の長いハチオーグ関連
上記部分より、もっと本郷の心情に時間を割いてほしかったです。
緑川ルリ子とヒロミ(ハチオーグ)の女性キャストが
男性ファン用ならば、本郷猛や一文字隼人も
TV版と同じく撮影当時の若手イケメン俳優起用
男性キャストで、女性ファン用に振り切るべきでは?とも思いました。
ルリ子を改造人間にして、ヒロミとのドラマ部分を作るなら
一文字隼人が仮面ライダー第2号となる部分を
石ノ森先生の漫画版、更には村枝先生のライダースピリッツのよう
もっと大事に描いてほしかったです。
(あくまで本作ではあまり意味の無い刑事ではないK
シャドームーンと融合したようなデザインの
サナギマンにはならないイナズマンも、必要な要素か?と疑問でした)
・リスペクトになっているのか?
確かに漫画もTV版も、絶命時の泡状表現はありましたが
証拠隠滅とはいえ、わざとチープにしているように思え
(石ノ森先生漫画版の方が徐々に白骨化したりしてリアル)
登場人物達を失う度にブクブクされ、興醒めしてしまう事が多々ありました。
また序盤の血飛沫表現、あれはTV版蝙蝠男編のリスペクト
あるいはリアルティ追求なのかも知れませんが
仮面ライダーアマゾンズのよう、振り切っているのなら兎も角
妙にチープな泡状絶命とかけ離れ過ぎていて
客層を狭めるPG12指定にするまでの意味があるのか?と
理解出来ませんでした。
●総評
私個人は熱烈な旧1号、旧2号、桜島、ダブルライダーファンなので
スピリッツが感じられなかったり、不釣り合いな要素に嫌悪感は出るものの
一文字隼人のラストシーンで救われました。
石ノ森先生の漫画版を上手くアレンジしていて良かったです。
(終演スタッフロール時の3曲も良いのですが、仮面ライダーのうたを流して
「嵐とともにやってきた~♪」で
ショッカーオーグを蹴散らす映像がほしかったです)
今回は悪い意見の方が目に入り
これでシン・仮面ライダーは終わり、そうなると寂しいです。
(せめてTHE FIRST、THE NEXTのよう2部は制作してほしいです)
やはりシン・ウルトラマンの方が絶賛までとはいかないものの
ウルトラマンのスピリッツまでリスペクトを感じられ
撮影現場の雰囲気も良く、それを映画にまで反映しているように思えます。
今後、庵野さんはデザインや脚本に情熱を注いで
アクションやドラマ部分は各専門家にメインを任せ
もっと肩の荷を下ろして、続編を作ってほしいと思いました。