劇場公開日 2023年3月17日

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「ただオタクなだけでは仮面ライダーは作れない。」シン・仮面ライダー sokenbiteaさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ただオタクなだけでは仮面ライダーは作れない。

2023年4月2日
iPhoneアプリから投稿

オタクっぽい作品ですね。悪い意味で。

そもそも世界に誇るジャパニメーションみたいなことを政府の人たちまで言うようになってきたあたりから、オタク的なものは市民権を得て久しいかと思うし、実際ちゃんと現代的な技術やらセンスやらをプロフェッショナルに使いこなして突き抜けた作品になってるケースも多々あるわけですが、しかしいわゆるのオタクの気持ち悪さってのは今なお厳然と存在してて・・・、これはもうある意味、普遍的なものなんだと思います。
市民権を得たからといって、気持ち悪さがなくなるわけじゃないということですね。
オタクがオタクである所以の「自分だけに気持ちのいい都合よさ」、それ自体はどこまでいっても、あんまり褒められたもんじゃないんですよ。

浜辺美波のあの女捜査官みたいなのに端的に、如実に出てると思うんですけど、あの着替えてるからこっち見るなのくだりとか、泣くからもたれさせてーみたいなやつとか、あれ気持ち悪くないですか?
これは女性に対する目線というポイントだけど、その他にも至るところで、あーこれオタクっぽい、ていう都合の良さを感じる。そこで閉じてる感じというか。
仮面ライダーってそういう作品じゃないでしょ。

「仮面ライダーオタク」ていう人種はかなりの数がいると思われ、自分もその端くれという自覚があるけど、仮面ライダーって作品自体は、決してオタク的な作品ではないと思う。子供のためのヒーロー作品として、極めて真っ当な、メインストリームの作品であって。
そこをちゃんと思い出して作って欲しかった。

仮面ライダーは、改造人間にされた悲しみを背負って、悪と戦うんですよ。
ここでいう悪ってのは、平和な人間社会を壊す怖い人たちのことです。これは”平和な人間社会”てとこに変に皮肉のこもらない、文字通りの意味で、です。つまり自分のまわりにある大事な街、大事な人、大事な日々、それを守るために人知れず孤独に戦い続ける。
だから熱い。
見ている子供たちも、まず第一にはそこに熱くなってたはず。そこはもうあえて言うまでもない根っこのところなはずで・・・。
この映画の仮面ライダーは、正義の味方ですかね?ちゃんとそうやって描けてますかね?
そうじゃなかったらね、やっぱりそれは本物の仮面ライダーじゃないんですよ。

着ぐるみやら衣装やらを無理に現代風にしないのは良かった。雰囲気はなんとなく出てた。それはそれで重要だし、そこは良かった点。
ただ、その辺こだわるなら、ちゃんとその心にもこだわって欲しかった。
この仮面ライダーにはヒーローものとしての、正義のために悪と戦うっていう心意気がない。それが致命的だと思う。

その衣装にしても、諸手を上げて褒めたいようなものではなかったけど、、
あのさそり女の露骨な人間ぽさは何?仮面ライダーも、後ろの髪の毛出てるのってどうなのよ。
その辺にも、大人のオタクの変な目線を感じる。べつの種類のオタク度が余分に付け加わってるというか・・・。
子供の頃に見てワクワクした仮面ライダーって、絶対こうじゃなかったはず。

ここまで書いてて、ああ、そうなのかも、とちょっとわかったことがある。正義のヒーローに本気で憧れた人が作った仮面ライダーが見たかったんだと思う。
オタク根性だけでは、それは作れない。どんなに筋金入りのど根性であっても。
ケーキを作るには、スポンジもクリームもデコレーションも、全部できないとダメだと思うけど、この映画はケーキのデコレーションだけに興味ある人が、それだけについてあれこれ考えて作ったもののように思われる。
それじゃやっぱりいいケーキはできないでしょ。

sokenbitea
sokenbiteaさんのコメント
2023年8月8日

Thank you! ><

sokenbitea
pipiさんのコメント
2023年4月29日

めちゃくちゃ共感です。
「そうだ!そうだ!」と、強く頷きながら拝読させて頂きました。

庵野さんにはもうシン・シリーズは作って頂かない方がよいのかもしれませんね。その作品のファンを泣かせることになる・・・。

pipi