クレッシェンド 音楽の架け橋

劇場公開日:

クレッシェンド 音楽の架け橋

解説

長く紛争の続くイスラエルとパレスチナから集った若者たちがオーケストラを結成し、コンサートに向けて対立を乗り越えていく姿を、実在する楽団をモデルに描いたヒューマンドラマ。世界的に名の知られる指揮者のエドゥアルト・スポルクは、紛争中のイスラエルとパレスチナから若者たちを集めてオーケストラを編成し、平和を祈ってコンサートを開くというプロジェクトに参加する。オーケストラには、オーディションを勝ち抜き、家族の反対や軍の検問を乗り越え、音楽家になるチャンスをつかんだ20数人の若者たちが集まったが、彼らもまた、激しくぶつかり合ってしまう。そこでスポルクは、コンサートまでの21日間、彼らを合宿に連れ出す。寝食を共にし、互いの音に耳を傾け、経験を語り合うことで、少しずつ心をひとつにしていくオーケストラの若者たち。しかし、コンサート前日にある事件が起こる。世界的指揮者のダニエル・バレンボイムが、米文学者のエドワード・サイードととともに1999年に設立し、イスラエルと、対立するアラブ諸国から集まった若者たちで結成された「ウェスト=イースタン・ディバン管弦楽団」をモデルに描いた。若者たちを導くスポルク役を「ありがとう、トニ・エルドマン」のペーター・シモニスチェクが演じる。

2019年製作/112分/G/ドイツ
原題または英題:Crescendo - #makemusicnotwar
配給:松竹
劇場公開日:2022年1月28日

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映画レビュー

4.0分断の乗り越えの困難さ

2022年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

イスラエルとパレスチナは、世界の分断の象徴みたいな場所だ。そこでイスラエル人とパレスチナ人の混成でオーケストラが結成される。両者の溝は簡単には埋まらない。合宿を経てもなお、互いをののしり合う。文化は世界を1つにすると理想論では語れるが、現実にそれを実行するのはものすごく難しい。本作は安易に理想的な「分断の乗り越え」を描くと見せかけて、分断を乗り越える困難さを語る。クライマックス、ガラスで隔てられた楽団員たちの奏でる音色だけがそのガラスを乗り越える。
ポスタービジュアルに明るい黄色をメインに使ったりしていて、ハッピーな雰囲気が漂っているが、無責任なきれいごとは描いていない、むしろ、弱々しいしい理想論を、厳しい現実で打ち砕くような結末を迎える。そのぶん、友和をあきらめないという姿勢の強さが際立つ。わかりあうことの難しさを真剣に見つめることから始めなくてはいけない。

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杉本穂高

3.0話が真面目に寄りがちなのは、“加害者”側の贖罪意識の表れか

2022年1月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

知的

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共感した! 8件)
高森 郁哉

2.0一編のストーリとしては、物足りない。

2024年4月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

真実、融和は図られつつあるとで言えるのでしょうか。

もちろん、いわゆるパレスチナ問題について、もちろん評論子は詳しい知見を持っている訳でもないのですけれども。

たしかに、和平コンサートが中止に追い込まれたのは、いわば偶然のできごとによるもので、団員の不和・対立が直接の原因でなかったことは疑いのないことでしょう。

現に、帰国のための空港の待合室で、期せずして合奏することにもなっているわけですから。
個々人としては他にわだかまりを、例え抱えていたとしても、音楽人としては、には国境がなかったということでしょうか。

そして、本作の楽団のモデルとなった楽団は、現在も活動しているとのことですので、こういう芸術(音楽)の切り口からだとしても、究極には両国の融和が実現する日を期待しているのは、独り評論子だけではないことと思います。

ところで、本作のモデルとなっている楽団が今日(こんにち)でも活動しているということであれば、その楽団が現況に至るまでの、それなりの苦難というのが、エピソードというのか、そういうものが、何かしらはあったのではないでしょうか。
本作は、いわば「端緒」だけを描いて、その点を描くところは全く描いていないことは、評論子には、「片手落ち」というのか、「尻切れトンボ」というのか、そんな感慨を、どうしても拭うことができないのです。
映画作品としての観点から本作を振り返ると、一篇の「物語」としては、物足りなさを禁じ得ません。

そこのところがちゃんとが描かれてこその「クレッシェンド」(次第に強く)なのではないでしょうか。

そう考えると、ラストシーンでの透明な壁が、一見すると簡単に越えられそうなのに、かつて「東側諸国」と「西側諸国」とを完膚なきほどに隔てていた鉄のカーテンのように、越えることのできない現実を鋭く表現していただけに、余計に惜しまれます。
(否、鉄のカーテンとは違って、透明で、お互いが見えているだけに、余計に始末が悪い?)

本作は、評論子が入っている映画サークルで、2022年の年間ベストテンに選ばれた作品ということで補遺的に鑑賞した一本でしたけれども。

しかし、上記の点を差し引くと、佳作としての評価も難しく、残念ながら、良作の評価に甘んずるを得ない惜し一本になってしまいました。
評論子には。

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talkie

4.0☆☆☆☆(ちょい甘) 簡単な感想で。 パレスチナVSイスラエル 和...

2024年3月21日
iPhoneアプリから投稿

☆☆☆☆(ちょい甘)

簡単な感想で。

パレスチナVSイスラエル

和平交渉を取り持つマエストロは《ナチスの息子》
このマエストロが、長年に渡って民族紛争を繰り広げる2つの間に入るのですが。これがもう実に根深くてどうにもならない。
言って見れば。国家間での対立の歴史を、若者達のオーケストラを通して描いている…と言って良いのだと思われますね。

マエストロが1つ和平交渉を提案すると、一旦は何とか治るものの。お互いがまた直ぐに、違った意見・感情を露わにして敵対心を剥き出しにする。

マエストロは、過去に起きた自らの悲劇を胸に秘め、少しずつこの若者達の心の中に凍結した怒りを解凍して行きます。
何しろ過去から長い歳月に渡って繰り返えされて来た対立です。自分自身だけではなく、親から受け継がれ。その親はまたその親から受け継がれている憎しみだけに、そうは簡単には解凍などしないのです。

とても良い作品でした。しかし…なかなかシビアな内容でしたが、どうやら現実に実在するオーケストラがモデルだとか(´-`)
一応、話の骨格はシェークスピア悲劇の【あの作品】ですね。
それだけに、オーディションへ向かう道のりから始まり、合格してからも様々な難問がこの人種対立の壁となって立ち塞がる。
それゆえに、(おそらく)現実のオーケストラ内では起こっては居ないと思われるのですが。映画のストーリー展開としてシェークスピアが選ばれたのだろう…と思われました。

いよいよ来週に公開される巨匠スピルバーグと観比べるのも〝 有り 〟…なのかも知れないですね。

2022年 2月7日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1

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松井の天井直撃ホームラン

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