5月の花嫁学校
劇場公開日:2021年5月28日
解説
フランスを代表するオスカー女優ジュリエット・ビノシュ主演、「ルージュの手紙」のマルタン・プロボ監督によるコメディ。1967年。フランスのアルザス地方にある花嫁学校、ヴァン・デル・ベック家政学校には今年も18人の少女たちが入学してきた。経営者である夫の突然の死をきっかけに、校長のポーレットは学校が破産寸前であることを知る。ポートレットが、なんとか窮地から抜け出そうと奔走する中、パリで5月革命が勃発する。抗議運動がフランス全土に広がってゆくのを目の当たりにしたポーレットや生徒たちは、これまでの自分たちの考えに疑問を抱き始め、ある行動に出ることを決意する。ビノシュがポーレット役を演じるほか、「セラフィーヌの庭」のヨランド・モロー、「カミーユ、恋はふたたび」のノエミ・ルボフスキーらが顔をそろえる。
2020年製作/109分/PG12/フランス
原題:La bonne epouse
配給:アルバトロス・フィルム
スタッフ・キャスト
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フランス映画で「5月」といえば、それは花嫁の季節ならぬ革命の季節だ。なるほど、68年、パリの大学生たちが「平等と自由とセクシュアリティ」を求めて立ち上がったのと同様の革命の波が、おそらくはこの、パリから遠く離れた時代遅れの花嫁学校にも押し寄せようとしているのかーーーーその予測は半分正しくて、半分は不正解だった。すなわち、よく見かけるジャンルの型通りにはいかないのが本作の持ち味。何しろ主体となるのはうら若き学生たちではなく、ジュリエット・ビノシュ演じる校長自身なのだから。夫に先立たれ、引き出しの奥に隠された秘密を知り、それから昔の恋人と出会い、感情を抑えきれなくなり・・・。自らが生徒に教えてきた道徳的価値観とはまるっきり真逆へ羽ばたくビノシュの大立ち回りぶりは、過去の出演作と比較してもなかなか意外。ただ、ドタバタ続きで落ち着きに欠ける側面も。もうちょい語り口にまとまりがあると良かったのだが。
2023年5月7日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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■1967年、フランスのアルザス地方にある家政学校が舞台。
男女平等が提唱され始めたこの時代に、夫が急死した女校長・ポーレット(ジュリエット・ビノシュ)らによる良妻賢母の教育は少女たちにとって納得できないことばかり。
そんなある日、ポーレットは夫の遺品整理をしている時に、学校が破産寸前だと知る。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・ポーレットは皆の前では校長先生だが、元カレであるアンドレと学校救済の相談に行った時に出会って・・。
ー 他のシーンもそうだが、イロイロと学校内の風紀が乱れてますな。ジュテーム。序でに急死した夫もエロ写真などを収集している。-
■良妻賢母が当たり前とされた1960年代のフランスで完璧な主婦を育成する学校を舞台に、時代と価値観の変化、新しい女性の生き方がユーモアたっぷりに描かれている。
オッカナイ修道女(ノエミ・ルヴォウスキー:知らなかったが、フライヤーにはリュミエール賞受賞と記載されている。)やポーレットの夫の妹(ヨランダ・モロー:コレマタ知らなかったが、セザール賞受賞と記載されている。)なのに遺産なし。
<可なりハチャメチャな部分もあるが、作品のメッセージは巴里の5月革命と併せた形で分かったね。
それにしても、巴里に向かうポーレットや女学校生徒達がイキナリ、ミュージカルの様に歌って踊り始めたのには、吃驚したなあ。>
ジュリエットビノシュの美しさとファッションしか見どころがない。
染み付いた社会や自分の価値観に対して、たまには懐疑的な視線を投げかけてみないと、少し時代が移り変わっただけでこんなに醜悪にみえるんだってことに気付かされた作品。
1967年のアルザス地方の花嫁学校。田舎とはいえ少し舞台が古いと随分価値観が違うことに改めて驚かされる。家政学校で生徒の女子に教えることはいかに夫を喜ばせるかという内容ばかり。いかに自分の人生を充実させるかではなく、夫を喜ばせることが自分の歓びなのだと教え続けている。
ジュリエット・ビノシュの最初の衣装はもっさりさえないマダム風。何が似合うかでも何を着たいかでもなく、何を着ていれば良妻賢母風なのかと言わんばかり。あのジュリエット・ビノシュがとにかく野暮ったい。ところが、ポーレットは生まれ変わっていく中で、パンツスタイルを選ぶ。トップスにもはっきりした鮮やかなカーマインを。それで明らかに彼女は前の彼女と違ってみえる。何を選びどう着るかは生き方を示しているのだなと痛感する。
ジュリエット・ビノシュはかなり好きな女優だけどそれでも展開が物足りない。当時のアルザスの価値観や家政学校で教える内容など新鮮な部分はあるが、映画として魅力的に仕上がっているかと言われれば、ちょっと惜しいかな。ジュリエット・ビノシュの魅力をもってしても、クリアにならない問題はあるらしい。