茜色に焼かれるのレビュー・感想・評価
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単なるフィクションでは終われない。
日々、よく分からないこの国のルールや理不尽なニュースに腹立たしい思いを感じるが、この映画では、腹立たしい、なんて傍観者ではなく、当事者になってやるせない思いを体感した。 他の方も感想に書かれているが、リアルな社会情勢を取り入れて、このスピード感で映像作品として完成させた石井監督の功績は大きい。 純平は母の背中を見て、優しく、強く生きていくだろうと、確信した。
世界の9割は理不尽
誰の言葉だったか忘れましたが「世界の9割は理不尽」と言う言葉を思い出しました。 理不尽なことばかりが続きます。だけど、理不尽なことに対して怒っても何にも解決しない、理不尽を受け入れるしかない。そんなことが次々と起こります。 見ていて気持ちの良いものではありませんが、現実の世の中はこんなものでしょう。 それを正邪で描いていない、理不尽なことに怒りながら、自分も理不尽なことをする。それが見事です。 尾野さんや片山さんが評価が高いでしょうが、純平役の和田さんが良かったと思います。 減点-1:画面が揺れて酔いそうなシーンが散見する。カメラをしっかりと支えられないのならば三脚でも使いなさい。
息子のすっとぼけた感じに救われた
金曜日のスタンプ会員デー昼過ぎの回にいつもの映画館
客は10人くらいかな
本日は休暇だったので鑑賞前に公園のベンチでビール
家からこっそり持ち出したおつまみとともに
保冷剤も持ってきたので缶ビールの冷たさを保持
マスクを外しラジオを聴きながら たまらなく幸福なひととき
で 映画の話 期待通り 素晴らしかった
コロナの話も織り込まれていて
監督の社会の理不尽さへの怒りが投影されている
監督自身が編集も行っていて
エピソード毎のバランスがとれていない印象があったが
そういうところがむしろ好ましく感じられた
きっと膨大な映像量をどうにか2時間半に収めたのでは
老人の暴走事故とか子宮頚ガン 肉親からのレイプとか
シリアスなエピソードも多いが作品全体にはユーモアがにじむ
息子のすっとぼけた感じに救われた
息子が床に股間を擦り付けているところを
淡々と見る母の画はなかなかだ
旦那の昔のスケベなバンド仲間 教師 尾野真千子の初恋相手
花屋の店長 風俗の客 死んだダンナの元愛人
息子をいじめる連中…
どいつもイヤな奴らだが記号的な役割でなく丁寧に描かれている
それぞれの理屈で生きていることがうかがえる
そして酷い目に遭うこともない(あ 初恋相手は遭ったか)
息子の成績が良すぎるエピソードの意味合いは
よく分からなかったが その後の尾野真千子の表情が幸せそうで
そういうところを描きたかったのかと
風俗嬢を演じた女優よかった 居酒屋のシーンがいい
ろくでもないオヤジとかヒモを結局かばっているところは
映画ながらつらいものがあった
映画の中だからこそ救ってほしかった
永瀬正敏はカッコよすぎ さすがに最後はありえないかと…
でもまぁ全てを許せるいい映画だった
出演者のプロフィールとかレビューを見るのが楽しみだ
プロデューサーに竹内力 リキプロダクションの名
ここでもニヤリ 出てもよかったのに
尾野真千子に魅せられた144分
いよいよコロナ下の日常が、スクリーン上に描かれることになった。 しかも巷の例の裁判とも同期されていて、冒頭から罠にはまってしまった感覚で目が離せない。 不幸のデパートみたいな登場人物たちのエピソードの連なりはどれも既視感がないと言えば嘘になる。けれど、そんな外れてしまった人生の中でも、母と息子のやりとりがすごく自然で、微笑ましくて、普遍的だった。そして男女を問わず、どんな人も通ってきた13、4歳の頃の身体の奥から湧き起こるマグマみたいなものを思い出させてくれた。 何よりもこんなふうに観る側をロックオンしてしまう尾野真千子という女優の底力に改めて魅せられた。
頑張れが命令口調で駄目なら「まあ頑張りましょう」でいいじゃん
2021年映画館鑑賞53作品目 6月21日(月)フォーラム仙台 尾身会長や玉川徹が観たらニッコリの徹底的なコロナ対策 思わず笑ってしまう 日本の現代劇といえばここ数年東日本大震災を絡めることが多かったがこれからはコロナを取り上げるのがトレンドになりそうだ 石井裕也監督の代表作と言っても過言ではない 個人的にはインディーズ時代の『ガール・スパークス』が1番好きだが 全体的に胸クソ悪い とても不愉快 不幸の連続でも笑えるコメディー映画は過去にいくらでもあるがこれはそういった種類の作品ではない それゆえに神社の乱闘シーンは痛快だし田中良子の一人芝居はインディーズ時代からの石井裕也監督らしい笑い所 教室での先生と良子の距離も笑える 冒頭の斜め下にたしか「田中良子は芝居が得意」という字幕が出てくるが映画のタイトルではない 本編で家賃とか時給とか食事代とか生活に纏わる値段がしょっちゅう登場するのがこの映画の特徴の一つ 具体的で親切な情報でも年月が経てばいずれ夏目漱石の『坊っちゃん』のようにわかりにくいものとなるだろう 交通事故で夫を亡くした妻と中学生の息子の奮闘記 良子は元女優で元カフェ経営者で今はホームセンターの生花部門と風俗店従業員の掛け持ち 尾野真千子の芝居がとにかく素晴らしい 怒りや悲しみの表現がやっぱり非凡 特に居酒屋のシーンが好き 息子純平は読者好き 特殊な環境で本を読む 全て父の遺品のようだ 塾にも行かず家で勉強するわけでもないのに成績はトップクラス 『エスパー魔美』の高畑さんみたい 風俗店の同僚ケイを演じた片山友希も素晴らしかった 彼女の出演作品は何本か観たはずだが記憶にない スレンダーな高岡早紀という印象 弁護士役の嶋田久作の憎たらしさもたまらない 世の男性にとっては朗報 尾野と片山のオッパイがちょっとだけ拝める キャラクターの言動に共感できないと映画を楽しめない人には向いていない 僕は必ずしも共感は必要だとは思わない だって世の中みんな違って当たり前じゃん みんな同じだよねって教育受けてきたのかもしれないがそんなもの嘘っぱちだよ 純平を虐めた挙句に放火するよう連中はそういった人たちのなかでも最低最悪の部類かもしれない 床に擦り付ける自慰行為はおすすめできない なんか痛そう 防弾ガラスも突き抜ける冴羽獠のタフなチンコのようならともかく 親に見つかったら匍匐前進してたと誤魔化せるかもしれないから案外いいかも 僕は潰れるのが怖いのでやりません
尾野真知子の凄まじさ
いやー尾野真知子力。凄いな。尾野真知子でなくてはこんな映画になってなかったろうってくらい主演のパワー。石井裕也監督作品も何かっていうと最近パッとした印象がないのだけどこれはよかった。最近起こったあれやこれやの現代の事象からひとりの子持ち主婦を作りあげたのだろうけど、アメリカやヨーロッパだけでなく、こういう日本の現代ドラマもできるさって。背負う女、背負って生きてく女の力強さ。ミッドナイトスワンなどより数段よかった。これだけてんこ盛りでラストカットの爽快感もよかった。
女優、思い切り吼えろ
この社会に在ることが辛い。その中でも、ちっぽけな欲望に振り回される男であることが辛い。 それでも彼女は損得勘定なしに思うまま生きていく。亡くした夫への愛情に根差すその意味を考えられないまま。傷つき、際限のない苦しみの中でどうして生きるのか? 永遠に続いてほしい茜色の夕焼けの下、自転車を漕ぎ続ける。そこに大切な人が乗っているから。
2021年ベストムービー!⭐️⭐️✨
この世に生きている意味が見出せなくなった人たちが、自らの命を絶つことも、その人の自由な選択なのかも知れない…。 でも、それはあまりにも悲しい選択だと思う。 こんな世の中だから、仕方が無いのか? いや、そんなことはないはずだ。
まぁ、頑張りましょ…ってハナシよ
平日の夕方、貸し切り状態の劇場で観賞。 石井裕也監督、「青色」の次は「茜色」か。 尾野真千子がアッパレな体当り。 事故の加害者側が謝らないから賠償金を受け取らないとか、夫が外で作った子供の養育費を夫の死後も払い続けるとか、普通できることではない。 頑張りましょ…の範疇を越えているのだが、尾野真千子演じる田中良子は頑張り続けるのだ。 息子の純平(和田庵)が母の行動の意図を図りかねて、やり場のなさから貧乏ゆすりをする。 ところが、その癖は母親譲りだったことが後に分かる。 居酒屋でケイ(片山友希)相手に遂に思いの丈をぶちまけた時の尾野真千子の貧乏ゆすりには凄みすらあった。 これは、強烈なキャラクターである田中良子が主人公だが、「いい男」の少年とダメな大人の男たちを対比して我ら男の観客に突きつける、男のための映画だった。 市営住宅の家賃が安いのは税金のお陰…だとするとそこで暮らしている人たちは税金から生活費を得ていることになるのか? 中学校の不良先輩に言われたことを純平が気にするのも分かるが、恥じることはない。 あの不良たちにそういうことを吹き込んだ大人がいるはずで、子供たちのイジメは結局のところ大人たちの価値観が産み出しているんじゃないか! 教師が態度を一変させるほど純平は高い学力の持ち主だった。 頭がいいなら純平は将来偉くなって、あの不良たちの上に立つ存在になってほしい。 そうなっても、きっと純平は彼等を見下さず、手を差し延べるんだろうな… 「純平くん、いい男」とケイに言われなくても、彼は彼女を本気で守りたいと思っていた。でも、中学生の男の子なんて、社会ではたいした力はない。シータを守るパズーになんかそうそうなれないのだ。 純平の悔しさや無力感こそが、男の子が男の子である証。我々かつての男の子の胸にしみるではないか。 一方で、良子の周囲の男模様はある意味辛辣だ。 死んだ夫(オダギリジョー)だけがファンタジーで、ほかの男たちは皆リアルでダメだったり悪だったりな男たち。 よくもまぁ、これだけダメ男のパターンを並べられたものだと思う。 そして、このダメ男たちのどれかに自分が当てはまりやしないかと胸に手を当てたなら、まだ心がある証拠かな? ♪また一つ、女の方が偉く思えてきた。 ♪また一つ、男のズルさが見えてきた。 (by河島英五)
痛々しいほど自分に素直。文句なく尾野真千子の代表作!
日本ってホントに民主国家?と疑いたく事柄が多く、理不尽な規則規則で雁字搦め。熱意も謝罪もなく規則だから、規則に反してないから・・でもおかしい事多いじゃないですか〜。ドン底でも一生懸命生きている人々が報われなくっちゃ!でも映画観ているとどんどん息苦しくなっていく。なんでだろう?生きるってそう言う事?人の強さ・優しさ・弱さ・ズルさが見えてくる。でもこんなご時世。どんな事でもいい 何かにしがみつきながらでも心の寿命を終わらせないよう私達へのエールにも思える映画。秀作でした。
メラメラと青い炎のように燃える尾野さんが「今」を描きます。
大好きな女優さん尾野さん主演作。観ないわけがない、、、、ってことで鑑賞です。
本作は楽しい作品じゃありません。爽快感も溜飲が下がこともなし。もちろん、全米も泣きません。「負の現実」が怒涛のロイヤルストレートフラッシュで迫ってくる作品です。今の日本の中における不条理を、社会的弱者の現実をこれでもかと見せつけてくれます。
同じ法、ルールの中で生きてるのに、強者はより強く、力なき者たちは集団となりマイノリティを挫く。弱者はただただ耐え忍ぶ。さらにこの時期だからこそ描けるコロナ禍が引き起こす負。女性という立場がもたらしてしまう負。食べきれないほどにテーブルに「今の日本」が並びます。本当にこれでもかと。さらに、その弱者が選ぶ未来まで提示します。
こんな社会でいいんですか?あなたたちが生きてる世界ってこれですよ?と監督が問いかけてきているようです。ただ、どんなに不条理でもどんなに打ちのめされても生きるしかないのが我々なんだと思いますが、なんとも悲しい話です。不条理に叩きのめされ、自分を押し殺し、感情を鎮め、ただただ辛い社会の中生きる意味を見出し生きて行くなんて・・・辛いですよね。
そんな辛い社会に生きていく者は、暗黒の夜と昼間の狭間を漂っているのかもしれません。綱渡りのようにふらふらと落ちそうになりながら、なんとか夕焼けの中バランスをとって生きているようです。そこに留まるか、暗い世界を選択するのか?。バランスと取り落ちずに食い止まっているのは「生き甲斐」あってこそなのでしょうね。生き甲斐が有りさえすれば、夕焼けの茜色の空の色に染まりながらもなんとか生きていける、人生の暗い夜に落ちていくことないはずだと・・・。そんな応援歌の作品であってほしいと思いたいです。
と、思う反面。本作は監督からの痛烈な「皮肉」も込められている気がするんです。ずっと引っかかってるのは、冒頭画面右隅に出る文章です。
「田中涼子は演技が上手かった」
この演技とはなんぞや?と。この不条理が立ち込め、弱者を痛ぶる世界で生きていくには、自分の本心を演技で欺きながら、心配する周りの人達に演技で安心させながら、このくだらない社会を生きているために「あなたは演技して生きているんですよ!」と。そう田中良子は僕たち自身の姿なのではないでしょうか?「まぁ、頑張りましょう」はおまじない。ホントの気持ちは抑え込み、生きていくために大丈夫な自分を演じ切るための。良子に対して持つイライラ、違和感は実は自分たちに対してのものだったのではないだろうか?と。「変える努力せずに乗り切る演技をしてるよね?それでいいの?」って監督がシニカルに言ってきている気もするのです。
こんな2つのメッセージが込められているんじゃないかな〜?って勝手に思ってますけどね。
本作は強い描写と強いメッセージがふんだんに盛り込まれ、それを尾野さんはじめ、演者さん達のの魂が込められた演技で、説得力200%で届けられる作品です。観たら何かが解る、何かが変わるというものでは有りませんが、日々の生活の中で、人生で大きなアクセントをつけてくれる一本ではないでしょうか?
本作ではそんな不条理社会をクローズアップしていますが、ちょっとだけプラスも描かれます。それは人間関係の中で生まれるものです。ほんのちょっとですが。それもまた今の世界ですよね。
ただ一点、良子がなぜに自ら不幸を選んでいくようなストーリーになってしまったんだろうか?という点だけが、納得行かなかったんですよね。これほど生きることに、息子と生きることに全身全霊をかける人物が、経済的な部分で自我を通すかなぁ?ってのが僕にとっては疑問で、それがずっと鑑賞終了まで腑に落ちなかったんです。この不幸って、良子さんが選んだ不幸ですよ?もっと考えて、他力を頼って行動した方が良かったんじゃない?って。ストーリー作るための不幸の連鎖感が、僕としてはフィットしなかったんですよね。その点加味の評点です。
どれが本当の自分か。
自分自身だからこそ 自分のことがわからない。 「なんでー?」っていう「サイアクなこと」ばかり 自分に降り注ぐ。 自分が正しいことをしていても 正しくない人にもみ消される。 悲しさを見破られないように取り繕う。取り繕う。 一時的か、一生か。 分からなくなることってあるよね。 生きてる意味なんて分からない。 多分だれも。 けどそんな「サイアクなこと」続きの中、 普通の「ヤサシサ」に触れると めちゃめちゃ神かと思うけど やっぱ「サイアクなこと」に囲まれてないと分からない 温かさに気づけるのもまた 「サイアクなこと」に囲まれてるからこそというか。
最後が、、、茜色なんとかならないのか
なんとか観ることが出来ました。 タイミングが合わず、公開スクリーンも少ないので、これは観られないかもと思っていましたが、評判が良いのでなんとか鑑賞しました。 尾野真千子さんの最高傑作ですね。 言葉にできない怒りや不満や幸せが滲み出ていました。 また、片山友希さんも良かった。 交通事故やコロナなど、とても現実的な題材で心に来ます。また、どうしょうもない男が沢山出てきて、別の意味で心に来ます。 なんて酷いことを言うのか、なんて酷いことをするのか、、、と。切ない。 可哀想とか強いとか幸せとか、一言では表せない、微妙なところが良かったです。 先生に息子を褒められるシーンが良かったな。その後の夕食で子供に望むことは、、、やっぱりそこだよね。と。 ポスターにもあったので、ある程度は覚悟していましたが、「茜」色の不自然さが気になってしまった。天気のことなので限界があるのでしょうけど、最後の最後、ここぞという場面であの光は辛い。急に別撮り感というかスタジオ感というか、、、 あと、最後はちょっと意味不明でした。 でも、いい話にもしない、悪い話にもしない、そこにリアルを感じた。
めちゃくちゃよかったです尾野真千子
好き嫌いは確実に分かれそうな作品。 ネガティブ派は相当過激に叩きそう。 でもよかったんだよなぁ。 荒削りながら強烈に心に刻まれる映画。 良子と純平とケイが愛おしい。 何をおいても攻守ともに完璧な尾野真千子の映画。 引くところは引いて主演にありがちな独りよがりの芝居にならず、 まだ蒼さが残る片山友希や和田庵ら若手の良さも引き出す「受け」の芝居も素晴らしい。
日本の「今ここにある危機」
現実にあった事故をなぞらえた理不尽な交通事故により、夫をあっけなく亡くした主人公。中学生の一人息子を育てるため、さらには亡夫の父親の老人ホーム代を払い、亡夫の愛人の子供の養育費まで払うため、昼はホームセンターのパート、夜は風俗嬢として働く。 社会の理不尽さ、コロナ禍の閉塞感、薄ら笑いに象徴される他者への共感力の欠如といった、日本の「今ここにある危機」が描かれている。 「まあ、頑張りましょう」という主人公の口癖は、自分の感情に蓋をする呪文に聞こえる。居酒屋で風俗の同僚ケイに、自分の思い、怒りを噴出させるシーンには、胸を揺すぶられる。 出演者だけでなく、行き交う人々が皆マスクをしているという、今の日常でありつつ、将来振り返ってみたら異様な姿が、劇映画として作品化されたことが貴重。 映画としては、後半の、息子の純平がケイに憧れ、主人公が幼なじみの熊木と出会うあたりから、雰囲気が変わり、軸がぶれる感じはある。撮りながらシナリオが出来上がっていった面はあるのだろう。ユーモアを交えだすのは、石井裕也監督らしいとも言える。 尾野真千子の憑依ぶりはもちろん、片山友希の真摯さ、永瀬正敏の味わいも印象に残った。
誰の視点の映画だったか
茜色に焼かれる
をレイトショーで見ました。
正直、感情が追いついていくのが大変だった。
自分では、しないだろうと思う事がたくさんあった。
同級生に風俗で働いていた事を話すこと。
旦那の浮気相手の子供の養育費を払い続けていること。
賠償金をもらわなかったこと。
念書まで弁護士に渡していること。
などなど
プライドや生き方なのだろうけれど、普段は『まぁ頑張りましょう』と流してしまうが、それを風俗同僚のケイちゃんに酒を飲んで、泣きながら吐き出してしまう。
とても辛く、憤りを感じ納得できず我慢して、生活の中で演技をし続けていたのだろうと思いました。
冒頭のシーンの字幕で
『田中良子は演技がうまい』
だったかなぁ。書いてあったので映画を見ている間、頭を離れなかった。
男だからわからないのか。
自分がまだ彼女達に比べれば幸せだからわからないのか。
心が不純だからわからないのか。
息子以外の男は
皆んなひどかった。でも多かれ少なかれ皆んなそうだ。リアルに描かれていた。オダギリジョーや永瀬正敏もカッコいいけど、どうしようもない。
尾野真千子さんはもちろんだが
ケイちゃんもよかった。
尾野真千子さんを演技で食ってしまいそうなシーンも多々あった。
片山友希さんよかったです。
ケイちゃんの自死も気持ちではわからなかった。
生きる事に意味がなくなって自死したのか。
息子とデートの約束や
尾野真千子さんとカフェを一緒にやろうとと話されたこと。
それではダメだったのか。
または
自分が醜く死んでいくのを純平に見せたくなかったのか。
それともヤクザな彼氏とどうしようもない父親に頼る事も出来ず、増してや田中良子などには、彼女達の人生に負担をかけるような迷惑をかけられないし。
これからの闘病生活を考えればお金もかかるし世話をしてくれる人もいない。なけなしのお金を全部渡して死んだのか。
悲しすぎる。
最後に息子のナレーションで
これが私の母親です
とんでもないけど大好きだ。
みたいなことが、確かセリフであったが、
この映画は息子の未来からの俯瞰した視点から、
訳の分からない個性的な難しい母親と父親に対しての愛情溢れる思い出の物語でもあったのか
とも思いました。
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