茜色に焼かれるのレビュー・感想・評価
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生きる、生きている、生きていく
「まあ、頑張りましょう」とさえ思えないことがある。
その命を自ら断ちたくなる日もある。
それでも生きる、生きている、生きていく。
ケイさぁーん!
面白かったです。
不幸が寄ってくる体質の人の物語。
コレは運命めいたものがあるような気がしてならない。
内容はさて置いて、この女優さん
ケイさん役の片山友希さんの演技がヤバい
「なんかこんな女の人居そう」って思いながら観てて、気がついたら感情移入しまくってた。
とにかく自然…というか、演技とは思えなかった。
あれ…アカデミー助演女優賞取れるんじゃないかな?
言い過ぎかもしれないけど、まぁまぁ映画観てきた自分が、一押しする女優さんですね。
映画の内容も良かったな…
弱い者同士が力合わせて生きていく…
嫌いな話じゃない。
皆が皆、親が、その親の親がシッカリしてて、その子供で…護られて育って…って訳じゃない。
こんな人達も居る。
そんな人達に不幸が寄ってきて、人生を長期間足踏みさせられるような状態で…って、無い話じゃない。
しかし、人の道を大きく外す訳でもなく、地に足つけて生きていこうと頑張る。
しかし…付き纏ってくる死神的思考。
「何故生きる?」
コレが付き纏う。
付き纏ってくる。
本編後半で、3人で牛丼を食べているシーンがあるが、自分はこのシーンがお気に入り。
自分が思うに、あの瞬間、あの一時の為に人間生きてるんじゃないかな?
ただ…残念な事に…ケイさんは、それ以上に、自分の運命の重さに潰されたんだな…
自分にあの幸せな一時は、もう訪れないと感じたんかもな…
絶望だよな。
身近にある話だ。
こういう映画観るといつも思うのが、人間は皆、細い綱を綱渡りさせられていると思い知らされる。
落ちたら闇。
自分は…何とか最後まで渡り切りたいもんだ。
3年前の実際の交通事故を思わせるような冒頭の事故。良子が加害者の...
3年前の実際の交通事故を思わせるような冒頭の事故。良子が加害者の葬儀に行くのは確かに何故?とも思うが、あの加害者家族の良子に対する対応は酷すぎないか?弁護士も。良子が被害者家族でありながら何故あんな酷い対応をされるのか、、、加害者側には反省の気持ちも無いように思える。映画の中で良子が言う。一度も謝ってもらっていない。最低な家族だな。
この映画では観ていて腹の立つ最低な人間は他にも。息子淳平の先輩たち。あんなに心無い言葉をわざわざ言う必要はないでは無いか。中学3年にもなってそんなこともわからないのか、最後は立派な放火犯だ。
それともう1人、良子の夫のバンド仲間のリーダー。息子の前で良子にお金の話をしたり、俺が面倒みようかとか。良子に相手にされないと今度は良子の旦那の浮気相手に同じようなことを言って言いよる。最低な男。
良子の夜のバイト先の店長だけが唯一マトモな男性でしたね。
とにかく辛い状況なのに、まあ、頑張りましょう〜と口癖のように呟きながら生きる良子とバイト仲間のケイさんもまた辛い過去を持ちながら病気と闘い,必死に生きている。もう2人が健気で観ていて辛くなってしまう。
尾野真知子の演技力といい、ストーリーもとても良い素晴らしい作品なのに、こんな映画が何故日本アカデミー賞にノミネートもされないのか、、、(「空白」もノミネートされていなかったのは不思議)2021年の邦画の代表的な作品である。
シャー
不幸や劣化をサンプリングしてパッチワークのように嵌め込む。表層的で記号の羅列。風俗を屈辱に耐える仕事と呼び、見下されているって、作家自身が見下している。弁護士を見下し、学校を見下し、性欲を見下し、人間を見下している。ホームセンターの糞店員の変な歩き方、運動神経悪くて悪かったか?それ見て腹抱えていた類か?作り手と放火犯中学生と変わらん。
熊木はそこまで悪いとも思えん。天誅喰らわせるならば前田亜季を拐かす芹澤興人にして欲しかった。アウトローにつるむ話の流れもついてけない。必殺シリーズであれば割り切るのだが。
「まあ、がんばりましょう」
高齢者ドライバー、コロナ禍、貧困、いじめ、DV。
いろんな社会問題や、いろんな話を一つにまとめたストーリー。
そんな印象を受けました。なんか、盛り込みすぎじゃないでしょうか?
じっくりとていねいに作ったという感じがしませんね。
それに、問題を投げかけるだけで終わってしまっているので、
もやもやが残ります。
風俗で働く主人公(母)のお金の使い道も納得がいかない。
義理の父のために、というのはわからなくもないですが、
亡き夫の愛人のために、というのは無理がありすぎじゃないですか?
尾野さんの熱演がもったいない気がしました。
がんばってる人に一番使ってはいけない言葉が「がんばろう」だと
思うのですが、「まあ、がんばりましょう」というセリフの意図は???
ますますもやもやだなあw
・開始2分くらいで事故死してしまうオダギリジョーの扱いが酷い。 ・...
・開始2分くらいで事故死してしまうオダギリジョーの扱いが酷い。
・そのオダギリジョーの妻と愛人に下心丸出しで迫るバンド仲間が気持ち悪い。
・尾野真千子の中学の同級生の男、妻と子どもがいたことを黙っていたとはいえ、ぼこぼこにやられてヤクザに売り飛ばされるほど悪いことをしただろうか?
見ず知らずの片山友希にいきなり殴り蹴られて、「誰だよ?」ってなっているのが笑えた。
・息子をいじめ、放火までした悪ガキどもが結局最後までお咎めなしというのはすっきりしない。
・一人劇「神様」はとんだ茶番。
作品に出てきたキーワードが散りばめられているけれども、何のためにあのシーンを入れたのかさっぱり分からない。
石井裕也イズムにあふれた人生賛歌
ようやく観られた。いつものことながら、タイトルやあらすじだけでは到底判断できない、意外な展開に巻き込まれる。
単純なドラマではない。ベタなメロドラマでもお泣かせ作品でも、もちろんない。
登場人物の肩書きや状況だけを一瞥すれば、それらはとてもシリアスなものなのに、なぜか作品からは一貫してあたたかさが感じられる。
主人公の良子がつぶやく「私にもわからない」という言葉。この言葉の重みを感じた。生きていくということは、つまりそういうことなのだろう。
これが映画であり、人生の縮図。石井裕也イズムにあふれた、異色の人生讃歌だ。
弱者に寄り添うふりをして、本当に寄り添っているの?
旦那が交通事故で死んで、母子家庭になった。
加害者が謝りもしないので、慰謝料を受け取らなかった。母子家庭なのに。
旦那の婚外子の養育費を、払う義務もないのに払い続けている。母子家庭なのに。
旦那の父親の介護施設入所費用を払い続けている。女の平均給与は男の75%しかないのに。
だから、ダブルワークで、風俗の仕事も行っている。
旦那が社会に異議申し立てをするロックバンドをやっていたから、その妻として、公的な救済に頼ることなく自助努力だけで生活している。自分の意志で。
でも、それって、おかしいでしょう。
異議申し立てをする人間は、公的な救済に頼ってはいけないのか。逆を言えば、公的な救済を頼るためには、社会にものを言ってはいけないのか。
「お前のかあちゃん風俗なのに、公営住宅に住みやがって」家賃が安い公営住宅には、風俗嬢のようなアウトサイダーは住んではいけないのか。社会に、いや正確に言えば、政治にNoと言う人間は、公営住宅に住み公的援助を受ける生活が認められないのか。
認められるに決まってるでしょう。税金払って、社会的な義務を果たしている限り、そこからの恩恵を受ける権利がある。というか義務が果たせない事情があるなら果たさなくても、恩恵は受けられるのが筋でしょう。
誰しもが、義務を果たしながら権利を享受して、なおかつ、よりよい社会を作り上げるために、社会・政治に意見を表明していく。それが、社会人としてのあるべき姿。
でも、ここに描かれた世界はちょっと違う。「結果は自己責任。それでも、何がしの救済を受けるなら、黙れ!」そんな社会(新自由主義という考えが理想とする社会です)を声高に肯定するつくりにはなっていないけれど、それを受け入れる主人公を描くことは、そういう社会を認める映画になってしまっている。それが意図的なのか、現実を描いた結果に過ぎないのか、どうでしょうか。
映画の構造を端的にまとめると、主人公は前半、がまんしてがまんして。終盤に、怒りを爆発させ、最後に親子でほんわかムード。だから見る者も、前半ストレスをためて、終盤、溜飲を下げて、最後はあったかい気持ちで「ま、いろいろあるけど頑張りましょ」って、理不尽な社会を受け入れていく。いや、受け入れてはいけない、っしょ。
家のかみさんは、「最近の邦画、安易に女優を脱がせすぎ」と怒ってます。「女は最後、体を売ればいいから」ってセリフ、邦画では地で行ってますよね。
融合なき分断
世の不条理を受け入れて淡々と闘うヒロインが、関わる人々に触発されて感情を爆発させる。分断される彼女が分断する側にまわる事が物語に深みを与えている。中庸を行くって難しいなぁ。
尾野真千子さんの根なし草感が、茜色に焼かれるヒロインを体現している。
薄笑いはやめよう。
お金に殺され、お金に生かされ。
構成や演出は面白かったです。やや無駄なシーンも多く、長く感じられるけど、良い映画でした。
出てくるやつはロクでもないやつばかりで、これでもかと暗く重い内容を、主人公自身の捉え方で悲劇になり過ぎず、それらの出来事を被害者ぶらない姿勢が、全体のトーンを支えてた感じです。
最後がやや散らかってるので、戸惑いますが、母ちゃんは何がしたいのか?的で笑えます。
長さ重さに耐えれるなら、おススメです。
一つ気になったのは、92歳が天寿を全うした。と言う文言。1歳未満で亡くなったとしても、その命は燃えている。長生きが全てじゃないし、幾つまで生きたかじゃない。どう生きるか。全ての命は懸命に生きてるのだと思う。
個人的な意見としては、あのこども達を放火で捕まえて欲しかったゎ。
救われない、が。
池袋の例の事故を思い出した。絶対あれモデルだろ。まぁあっちは最後には認めて謝罪したけど。ほんと、いつ死んでもおかしくないくらい追い詰められ、怒るべき相手に怒れず、それはそれは限界だったでしょう。でもその怒りをやっとぶつけられた時、気づいたら共感してくれる人たちがいた。その人達と、何よりも息子がいたから、生きれた。最後に少しだけ救われた。息子の未来に期待。
尾野真千子の熱演光る佳作
コロナ禍の世界になって約2年となるが、「コロナ禍の中で生活する人々を描いた映画」として記憶されるような作品だった。
まさに、コロナ禍の現代、観るべき映画にみえた。
ロケ地(渋谷など)で映る一般人を含めて出演者たちもマスクをしたり、手を消毒したりするシーンなどが、普通に切り取られている。特に、「マスクしている時の目線」を描いたシーンでは映像の下端にマスクらしきものが映っているのは斬新な演出。
石井裕也監督作品だが、やはり尾野真千子の熱演が光る。
高齢男性が運転する車が自転車に乗る男(オダギリジョー)を轢いてしまって、自転車の男は死亡。車を運転していたのは高齢男性で元高級官僚であり逮捕もされない……というのは池袋交通事故を想起させる。
交通事故から[七年後]から、夫を亡くした妻の良子(尾野真千子)と中学生の息子、良子の花屋パート先~風俗店の店長(永瀬正敏)や若い同僚(片山友季)、良子の学生時代の男友達などとのドラマが紡がれていく…。
物語の詳細は割愛するが、渋谷センター街でロケしたかと思えば、荒川の土手(戸田市側)でのロケなどが印象的。
尾野真千子が何回か言う「まぁ、頑張りましょう…」という言葉に背中を押される感じがする見事な映画であった。
<映倫No.122561>
コロナ禍の夕焼け空を駆け抜ける 再送信
前のアカウントが分からなくなったので履歴管理のため再レビュー。
1 不慮の事故で夫を亡くし、シングルマザーとなった女性の生き様を現代社会の実相を散りばめながら描いた人間ドラマ。
2 映画の前半は、事故から7年後の主人公と息子の苦しい日常生活を映す。主人公はバイトの掛け持ちで、夜は風俗嬢。見てて気が滅入ってくる。主人公は心が病んでいて、頑張れるわけないのに「まあ、がんばりましょう。」との口癖。無意識のうちに素の自分と演技している自分が入れ替わっている。息子も学校で執拗ないじめにあい、内面が悲鳴を挙げている。いじめた彼らは、悪意ある世間の目や言葉、実力行使を具現化したもの。 映画の中盤では、中学生の息子の役どころが俄然息づく。主人公の同僚とのエピソードでは抑えきれないほどの衝動を見せ、母の軽はずみな色恋沙汰の幕引きでは若さと知恵が躍動する。主人公も内面に溜まった澱を吐き出すように言葉と体が爆発する。
3 主人公の夢はコロナ禍で破綻したカフェ経営の再開と息子の成功を祈ること。ラストシーンにかけて、この親子が夕焼けの川べりを幸せそうに自転車で駆けていく。とても心温まる場面であるが、彼らの生活が好転する要素が見当たらないことが引っかかる。どうかこの場面は、明日の希望につながることの暗示であって、決して主人公の脳内で膨らんだ単なる妄想でないことを祈る。
4 風俗の場面では、底抜けな欲望を誇張した描写はやり過ぎ。また映画の所々で世間の耳目を集めたスキャンダラスな出来事を取り入れていてあざとい。石井の演出はオ−ソドックスな映画づくりからはみ出ている。しかし、近年の邦画は漫画や原作を映画化した口当たりが良いだけのやわなものが増えている中で、ヤンチャでもオリジナル脚本で演出まで行った企みは良しとしたい。
茜色の「頑張って」
映画監督で38歳と言ったら、まだまだ若手かデビューしたばかりの新人が多い。
が、この監督はその枠には納まらない。
作品を発表する度に、石井裕也は巨匠化していく。
そう感じずにはいられなかった力作であった。
公営団地でひっそりと暮らす母とその息子。
母は元劇女優の田中良子、息子は中学生の純平。
この母子を襲う社会の不条理さは、見ていて憤りが沸いてくる。
7年前、交通事故で夫を亡くした。
加害者はアルツハイマー症状の老人で、元官僚。
アルツハイマー故罪には問われず、それどころか加害者本人や家族から“直接”謝罪の言葉はナシ。事務的にお金で解決。
若い母親と幼い娘を轢き殺し、「私に過失は無い」と言い放った上流層ジジイのあの事件を彷彿させる…。
賠償金は受け取らず。施設に入っている義父の面倒も見ている。
加害者が老衰で亡くなり、葬儀へ顔を出す。
遺族は嫌味か脅迫紛い行為とおかんむり。弁護士を立て、厳重警告。
その弁護士も情けナシの言葉を浴びせる。
夫を失ったのはこっち。なのに、まるでこっちが加害者のような扱い。
コロナにより経営していたカフェが破綻。生活や一人息子を育てる為に、昼は花屋で、夜は風俗で働く。
花屋では店長から仕事ぶりを評価されていたが、店長が会社からあれこれ注意され、腹いせの捌け口に。コネ雇用の新人と入れ替わりにクビの対象にも。
風俗では若くない事を理由に客からチクチク文句を言われる。見下され、蔑まされ…。
母親が風俗で働いている事が知られ、純平は学校でいじめに。
…いや、いじめならまだ優しい。同級生らが終盤犯した行為は完全に犯罪だ。
その騒動の原因も母子のせいになる。
本当に見ていて、辛い。苦しい。しんどい。悲しい。
この母子が社会に対して何をした? 悪口を言い、犯罪でも犯したというのか…?
否! 寧ろ、事故の“被害者”であり社会の“弱者”だ。
母子共々それを充分承知している。
歯を食い縛りながら生きている。
こんな境遇にあっても。
母・良子は一見穏やかな性格だ。
加害者遺族にどんなに邪険にされ、弁護士から情けナシの言葉を浴びせられても、泣き喚き怒りを露にする事は無い。折れそうな心を、自分を保って。
仕事は誠実。花屋では真面目に黙々と、風俗では客から見下されても奉仕する。
平常心を保っているかのように見える。
彼女は元劇女優。感情を抑え隠し、“演じている”のか…?
不満、怒り、悲しみを見せないようにしているのか…?
良子も血が通い、感情豊かな女性だ。
その心の中では、拭い切れぬ悲しみを抱え、不満/怒りは今にも爆発寸前。
ある時、遂に心の内や感情をぶちまける。
彼女がずっと背負い続けている不満、怒り、悲しみ…。
その叫びに、私の心も打たれた。
人生の中で、苦しみ、悲しみ、恵まれぬ経験をした者ならば、誰だって打たれる筈だ。
今を生きる我々皆の代弁。
それを体現した尾野真千子のキャリアベストの熱演。
4年ぶりとなる単独主演作。ここ最近、比較的助演が多かった彼女。勿論素晴らしい脇固めを魅せてくれていたが、彼女は間違いなく、堂々と主演を張れる名女優だと改めて確信した。
喜怒哀楽を巧みに演じ分け、深みも感じさせる。
ラストシーンの“芝居”は圧巻であった。
尾野真千子の新たな代表作と名演を無視する輩は居ないだろう。
…いや、居た。またしても日本クソデミーは完全無視。ホント、おかしいよッ! バカじゃねぇの!?
社会から疎外され、誰の助けも得られず、声すら届かず、孤独。
しかし、そんな身でも心を通わせ、寄り添い合う者たちもいる。
息子の純平。時々母親の考えを理解出来ない事もあるが、母一人自分一人の二人三脚。
彼も彼で母親同様、不満、怒り、悲しみを抱えている。
それでも母親と同じく、愚かな言動を犯さない。
それだけで純平少年の人間像が分かる。
この母親にしてこの息子あり。息子は母の姿を見て育つ。
良子の風俗の同僚、若い女性のケイ。
彼女も客から見下され、仕事に不満を抱いている。
私たちって、底辺も底辺、下の下の人間。
実の父親からは…。
ある時妊娠が発覚し、相手の男に打ち明けるも…。
社会や周囲の男たちの、彼女に対する仕打ちや境遇はあまりにも酷い。
そんな彼女と良子の間に育まれる交流、支え合いは、こんな世の中に於いてただ唯一の力となる。
だが、彼女をさらにある病が…。
和田庵と片山友希、若手二人が存在感を発揮。体現している。
彼ら二人の物語でもあるのだ。
かつての同級生と再会し、交際がスタート。良子は風俗で働いていた事を告げると…。
亡き夫には愛人がおり、隠し子も。良子はそれを認知し、養育費を出している。
良子はさらに解雇、純平へのいじめは激化しボヤ騒ぎ、ケイは中絶…。
彼らに救済の手は無いのか…?
こんな世の中、誰も助けてはくれない。
自分から助けを乞わない。
こんな境遇でも、どんなに苦しみ、悲しみ、喘ぎもがこうとも、決して失わず、曲げないものがある。
自分自身。
その生き方、信念。
力強く、逞しさを持って。
2020年、コロナにより映画製作すら危ぶまれる中、どうしても本作を撮りたかったという監督。
コロナに真っ正面から挑み、コロナによる息苦しさ、社会への不条理を訴えてくれた。
ただ辛く、苦しく、悲しいだけの作品ではなかった。
生きて、生きて、生き続ければ、その先にある希望。
高らかな人間讃歌、母と息子の深い親子愛。
あの茜色の空。
茜色は燃えたぎる不屈の精神の母・良子の形容だとか。それと同時に、穏やかな優しさも感じた。
我々とこれからの人生へ、「頑張って」と優しく包み抱き締めてくれた。
常に生きる理由を問われる
石井監督作の独特の台詞回しの感じが少々苦手ですが、登場人物以外の存在がふっと消える映画的な演出なんか好みでした。あの弁護士の胸糞悪いこと。。見てて貧乏ゆすりが止まりませんでした。
生きる理由なんてわかりますか?からの一筋見えた生きる唯一無二の理由 そのためにまあがんばりましょう
雑な描き方もあるが
テーマはよかったし尾野真千子もよかった。ただ加害者側が全員不自然で滑稽なのはなんでだろう。「加害者だから何をやってもいいわけではない」と言う鶴見辰吾から始まっているその違和感。なぜかええ感じの頼れる兄貴みたいにいつのまにか立っている永瀬正敏も都合良すぎる。都合の良い男感はあの不自然でしかないかたちで再会するスケコマシ同級生を優に上回ってる!
ベストシーンは息子の床シコリと前田亜紀に迫ろうとするあの気持ち悪いおっさんの身体寄せシーン。いやあヘンリー塚本のポルノはじまんのかとハラハラしましたね。
尾野真千子の最後のわけわからん演技は全く凄みがなく「昔はすごかった」てアレかよ!と思わざるを得ないが、それを息子が顔芸で表現していてよほどあの子の方が出来がいい。
尾野真千子は何やっても生真面目で少し頭が悪い感じの女性にみえるのでカーネションて感じが抜けませんが、笑って黙ってる前半の時はまさに、般若て感じで最初だけ迫力ありましたね。怒ると駄々こねてるようにみえて迫力が剥落してしまう。
生い立ちが不幸で、今も不幸で、最終的には報われず理解者にお金を残し...
生い立ちが不幸で、今も不幸で、最終的には報われず理解者にお金を残し死んだケイちゃんの人生がある種美談として消費されるのがつらかった
あと熊木くんのヤクザに処理され方がファンタジーだった。オレオレ詐欺の出し子って…こんなに人の感情に繊細な主人公が、オレオレ詐欺の被害に遭う人の不遇を想像しないんだろうか…
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